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Card of the Day
 
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2013/8/31 「カメレオンの巨像」


FtV発売記念特集、
トリはこのセットの数少ないクリーチャーから《カメレオンの巨像》を紹介だ。

ちなみにセット内のクリーチャー:その他の比は4:16。

クリーチャーを出して殴りきる展開よりも、
呪文をトップデッキして戦況をひっくり返した時の方がより印象に残るからだろうか。

《カメレオンの巨像》は「モーニングタイド」のトップレアの一つとして鳴り物入りした。

4マナ4/4でプラス能力3つという破格の性能は《変わり谷》《苦花》《目覚ましヒバリ》といった面々が並ぶ 「モーニングタイド」の中でも確かな存在感を放っていた。

4/4という元のサイズに加え、能力を起動すれば倍の8/8になる。

これが《黒曜石の戦斧》などでサポートされていれば二桁サイズに膨れ上がり、
ワンパンチでゲームを決めるバケモノへと変貌することになる。

さらに、前述したパワー上昇は「多相」という能力で容易く達成できる。

まず色が合う「緑黒エルフ」には、文句なく採用される。

《ラノワールのエルフ》によりブーストされて、 《傲慢な完全者》によりサイズを上げて殴ってくる、 恐ろしい「エルフ」でありながら…彼(彼女?)はまた強靭な「マーフォーク」でもあった。

当時、青単では打撃力があと一歩足りないため《タルモゴイフ》と《カメレオンの巨像》のために緑を追加したのだ。

《アトランティスの王》で島を渡るし、《メロウの騎兵》の能力を誘発させる部族シナジーは強力と言うほかなかった。

そして最後に紹介するプロテクション:黒。

これがこの時代、どれだけ頼もしい1文だったことか。

この時代は言うなれば「フェアリーの時代」、
《苦花》で2ターンキルとまで言われた時代なのだ。

あらゆるアタッカーをいなす花の精、それをものともせずブチ破り、
《恐怖》《名もなき転地》《叫び大口》など意に介さない。

場に出てしまえばまさに無双の活躍をしたものだ。

巨像と名のつくクリーチャーの中では一番小さいが、
その存在の大きさは天空に届くが如くだった。


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2013/8/30 「Hymn to Tourach」


「フォールン・エンパイア」というエキスパンションは、
マジックの20年の歴史の中でも不遇の象徴であると言える。

セット内容は、お世辞にも強力とは言えない。

セットの顔と言える軽くて強力なカードもあるにはあったが、
それらが全てコモンであった。

また、最大4種類の絵違いイラストが用意されているものがあり、
それらは別々のカードとして扱われていたため、パックからの登場頻度は非常に高いものになった。

「レジェンド」「ザ・ダーク」と売り切れ続出だったため
気合を入れて(俗説では発注部数を間違えて)大量に出荷されたブースターは、
ごく少数のパックが剥かれただけでとても長い期間安値で売られていたのだ。

そんなセットの、所謂「トップレア」のポジションがこのコモンである。

ダブルシンボルとは言え、2マナで相手の手札を2枚奪うハンデスであり、簡単に1:2交換を行える。
さらには、恐ろしいことにそれらの落とされる2枚はランダムに選ばれるということ。

これがこのカードの最大の強みだ。

アドバンテージを得るだけでなく、相手のプランをめちゃくちゃに出来るのだ。

極端な例だが、3マナのカード4枚・土地3枚という手札をキープしたとしよう。
3ターン目からはそれらの呪文を毎ターン使っていくだけでゲームに勝てるというレベルの手札だ。

後手1ターン目、ドローは呪文。
土地を置いてターンを返す。返しの相手2ターン目が《Hymn to Tourach》、
落ちた手札は2枚とも土地…絶望である。

勿論、言うまでもなくスタンダードでも活躍したカードである。

同時期に存在した最凶最悪の手札破壊、《精神錯乱》と共に相性抜群の《拷問台》と併せたデッキが
世界選手権95で優勝、この年の代表カードとしてFrom the Vault入りを果たした。

現在でも、レガシーの手札破壊と言えばこれ。

《思考囲い》《コジレックの審問》と併せて相手の手札をズタズタにすることが出来る。

「ジャンド」「POX」「チームアメリカ」などのデッキではお馴染みの2ターン目アクション。

流行すたりのある1枚だが、
うっかり喰らってしまうとそのままゲームを落としてしまえるカードであるので、常に注意したいものだ。


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2013/8/29 「黒焦げ」


4マナ4点火力《電撃破》。
稲妻と比べると割高なコストに思えるが、ライフの5分の1を掻っ攫えるのは馬鹿にならないし、4マナ以上払って出したクリーチャーをそれより安いマナで焼かれたりするのは割に合わないだろう。

では、3マナで4点火力はどうだろう?これがノーリスクであれば許しがたいだろう、ということで使用者自身にもダメージが飛ぶように調整されたのが《黒焦げ》だ。

調整…正しくは青の《心霊破》を本来の色にリメイクし直したというべきか。

ファイレクシア・マナが2点のペイライフで1マナに置き換えていたことを考えると、適正コストであるともいえるカードだろう。

このような火力を積むデッキは往々にして前のめりであり相手より早く攻め立てることが前提なので、2点のダメージはほとんど気にならない。

むしろ土地を削った構成の中、3枚の土地で相手の邪魔なクリーチャーをどかし、追い詰められた本体を焼き切るのに使えるのだから言うことなしのお買い得品である。

勿論、当時のスタンダードでは「ZOO」「グルールビート」「ボロスビート」などのデッキで3マナ域の鉄板として、そこら中でプレイヤー達を真っ黒焦げにしていたものだ。

特に同期の《稲妻のらせん》があればライフの損失リスクも軽減でき、ビート同士の激しい殴り合いにおいても無理なく運用出来、強固な火力のタッグチームを形成していた。

このタッグが最高に輝いたのが、プロツアーホノルル06。

準決勝の最終戦、お互いのライフは3対7。

盤面は完全に支配されていた「ZOO」側は、意を決して相手のエンドに最後の手札であるこの《黒焦げ》を本体に放つ。

これでライフは1:3.そしてトップに手をかけたところで、対戦相手が「(引いたカードを)見るな!叩きつけろ!」と声をかけ、促されるままに叩きつけたトップが《稲妻のらせん》!マジックの歴史に残るトップデッキ名場面だ。

以上のエピソードや、このプロツアー優勝デッキ「グルールビート」に積まれていたこともあり、この年を代表する1枚に選ばれたのは納得である。


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2013/8/28 「緑の太陽の頂点」


「サーチ呪文」というくくりにまとめられるカード群がある。
マジックは、いやおおよそのカードを用いるゲームは、山札をシャッフルした上で、そこからランダムに手に入る戦力を使って戦う。

自分で欲しいカードが必ず手に入る訳ではないため、それらを文字通りサーチしてくるカードはそれだけで強力なものだ。

デッキに同名カードは4枚(一部除く)という制約を、サーチ呪文を入れることでその枚数分水増し出来るのも強みだ。

サーチと一口に言っても、様々な形態がある。直接手札に・ライブラリーのトップに・間接的に使用できる、など…その中で直接場に影響を及ぼす1枚として、《緑の太陽の頂点》はまさに「頂点」に君臨している。

クリーチャーの本来のコストに緑1マナ多く払うだけで、その場に応じたカードを直接場に出すことが出来るこのカード。

登場した頃のスタンダードでは「ヴァラクート」の《原始のタイタン》水増しとして大いに貢献した。

また、次期スタンダード環境では同様のビッグマナ系デッキ「ケッシグ」において、タイタンのみならず《スラーグ牙》《高原の狩りの達人》といった時間稼ぎの出来るクリーチャーを持ってくる手段としても有効だった。

しかし真価を発揮したのは、広大なカードプールを誇るレガシーでこそ。

その驚くべきアクションの幅を紹介しよう。

X=0:《ドライアドの東屋》を持ってきてマナブースト

X=1:《貴族の教主》《死儀礼のシャーマン》などマナブースト、《野生のナカティル》筆頭とするアタッカー、《ワイアウッドの共生虫》などのコンボパーツ

X=2:《タルモゴイフ》、《ガドック・ティーグ》《漁る軟泥》《クァーサルの群れ魔道士》などのピンポイントに効くアンチカード

X=3:殴ってよし能力使って良しのエース《聖遺の騎士》

X=4:ここまでくればもう勝ったも同然、《数多のラフィーク》とか

強力なカードは4枚以上に水増しされ、用途が限定的であったり序盤しか使い道がないカードを1、2枚だけデッキに入れてもしっかり使うことが出来る。

このシルバーバレットと呼ばれる戦略を主軸に据えたのが「マーベリック」と呼ばれる緑と白を主体としたデッキだ。

X呪文は決して軽くないが、それもマナクリーチャーと《ガイアの揺籃の地》があれば何の苦も無く運用出来る。


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2013/8/27 「嘘か真か」


マジックで勝ち続けるためには、勿論強運である必要もあるが、何といっても腕・プレイングの上手さというものが不可欠である。

そのプレイングの上手さの中身は、マジックの根本的な部分であったり(ダメージレースの計算力など)、あるいは環境に存在するものを真に理解しているかという部分だ。

「インベイジョン」が使用可能なスタンダード環境で上手さの指標となったのが、今日の1枚である《嘘か真か》。

マジックのトーナメントの歴史において、これほど気軽にアドバンテージを稼げて、それでいて非常に難しいドローカードは他にないと言っても良いだろう。

何が難しいのかと言うと、それはこのカード1枚の中に駆け引きが存在している点だ。

このカードは4マナのインスタントにして、膨大な量の情報を引き出すことが出来る1枚だ。それは、これを唱えた側は勿論、唱えられた側にとってもだ。

何気なく、相手のターンエンドに唱えてみる。

5枚捲れたカードを相手が二つに分ける。自分としてはAというカードが欲しかったが、相手はAが含まれる山を3枚・Bが含まれる山を2枚に分けたとする。

この場合、素直に欲しかったAを含む3枚ドローを取ってもいいが、実は相手がよりキツいと思ったのはBの方であり、Bの山を取った方が有利になるんじゃないか?ふとこんな考えが頭をよぎる。

でも実はそれが計算であり、Bの方を取らせるように賭けに出ている可能性はないか?など、深読みすればキリがない。

冒頭の「プレイングの上手さ」というものに、この「山を分ける上手さ」というものが含まれている時代があったのだ。これには盤面を完全に把握していること、相手の手札を予測できる能力、巧妙な心理戦のテクニックを持ち合わせている必要がある。

例えば通れば勝てるマストカウンターをこちらが唱え、相手がそれに対応して《嘘か真か》を唱えその中に《対抗呪文》が1枚見えた時…。

せめて1:1交換と、《対抗呪文》とその他に分けてしまうと、相手に4枚引かれた挙句に、既に持っていたカウンターを撃たれて地獄を見るという事態になってしまう。

かと言ってカウンターを持っていなかった場合、打ち消されて1枚引かれるのは丸損でもあるし…ウーム……。

と、こんな風に相手が悩む絶妙なタイミングで使用するのが良いだろう。とはいえ、何も考えなくても3枚引けるカードでもあるけども。


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2013/8/26 「スランの発電機」


先日、マジックは生誕20周年を迎えた。

20年間世界中で遊ばれ、競技としても楽しまれている非電源ゲーム…筆者はマジック以外に思い浮かばない。

そんな20年の歴史を記念して、From the Vault:Twentyが発売された。

今週は、このスペシャルアイテムに封入されているカードからピックアップして紹介していこう。

1番手は、《スランの発電機》。4マナ払って3マナ出す。出たターンのことだけを考えれば、むしろマナが減る訳だが、次のターンには3マナのジャンプアップを約束する。

3マナの差がどれほど劇的なものかは、いまさら語るまでもないだろう。

これを無色のマナのみで、デメリットや起動制限もなく使用できるのは破格の性能だ。

このカードの華々しい活躍と言えば、1999年東京で行われた世界選手権。
優勝したドイツの伝説、Kai Buddeがスタンダードで使用した「赤茶単」に4枚搭載されていた。

7枚の2マナランド(《古えの墳墓》《裏切り者の都》)と《厳かなモノリス》でブーストされ安定して2ターン目には設置できたのは脅威と言うほかない。

実際に、世界選手権決勝の動画でこの盤面を見ることが出来るのでこの圧倒的なブースト力を一度見てほしい。

溢れるマナを《マスティコア》《ミシュラのらせん》《束の間の開口》に供給し、《燎原の火》で土地を吹き飛ばした後も残り続けるマナ供給源として、非常に使い勝手の良いカードだった。

無色のマナ・アーティファクトということで、多くの兄弟たちがデザインされたカードでもある。

このカードの原型になったのは、恐らく「ヴィジョンズ」の《シッセイの指輪》だろう。

4マナ払って2マナブーストでは全く使われなかった、ならば3マナで!という調整の結果(環境に噛み合ったというのも勿論あるが)使われまくる1枚となり、やはりやり過ぎだったと反省しての《ウル=ゴーレムの目》への退化、そして1マナ重たくなって《金粉の水蓮》への進化。

他にも多くのマナ・アーティファクトがある中で最も安定感のある1枚として現在でも「統率者戦」で人気の1枚である。


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2013/8/24 「ボロスの反攻者」


最初のミノタウルス《ハールーンのミノタウルス》から20年。

20年という歳月がもたらす進歩は凄まじい。

テレビは比べ物にならないほど高画質・大画面・薄型になり、
インターネットは生活になくてはならないほど当たり前の存在となり、
携帯電話はトランシーバーのようなものからスマートフォンという次元の違う進化を遂げた。

話は戻って、ミノタウルス。
このマイナー部族も驚異的な進化を遂げたのだ。

この《ボロスの反攻者》、
赤白のハイブリッドでトリプルシンボルとは言え
3マナ3/3というサイズがまず合格点である。

さらには1マナで先制攻撃を得られるため、
殴りかかっても突っ立っていても小物が触ることを許さない威圧感がある。

しかしこのミノタウルスの真価は、
やはりその名前たる「反攻」能力にある。

ダメージを受けるとそれをそっくりそのまま
任意の標的に報復射撃することが可能だ。

この能力により、3マナ3/3にして
それよりも重く大きなクリーチャー達の大多数と相討ちする戦闘力の高さを誇っている。

大抵のクリーチャーは自身のタフネスと同じ値のパワーの持ち主なので、
迂闊にこの牛人に触れられない。

下手をすれば隣のクリーチャーに八つ当たりが飛び、
1:2交換を取られてしまう。まさに鉄壁と言うほかない。

反攻者がそこかしこで立ちはだかるため、
各種ビートダウンデッキはその突破方法を用意する必要に迫られた。

それもダメージによるものでは逆効果であるため
《平和な心》のようなカードが採用されるまでに至った。

スタンダード環境に新しい価値観を持ちこんだ存在なのだ。

さらには「アリストクラッツ」系での《冒涜の行動》・「リアニメイト」での《収穫の火》といったカードで
自らの反攻者に大ダメージを与え、逆恨みの業炎で対戦相手のライフを一気に奪ったり、
「絆魂」「破壊不能」を同時に持たせて自らを焼き続けて
無限にライフを得て相手の心を折るコンボを狙ったりできる。

大事なのはコンボパーツである反攻者が、
コンボとは関係なしに相手のライフを削りきれる強さを持っている部分だ。

グランプリ会場でも絶対的な存在としてプレイヤーの行く手を遮り続けるのだろう。


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2013/8/23 「スフィンクスの啓示」



アドバンテージの獲得というのは、
マジックにおいて最も簡単な勝利への近道だ。

勝ちたければ、1枚でも多くカードを引こう。
手数が相手よりも1枚でも多い方がより勝利に近い。

引きたいものが山札の一番上に居てくれる確立など
数パーセントに過ぎないから、辿り着くために1枚でも多く引く。

手札をたんまり握っていても、
それらを盤面に還元できなければ意味がない。

1ターンに使えるマナが決まっている以上、
手札を消費して勝利に向かう際に必要なものは、時間である。

時間とは即ち自分のターン。
ライフが0にならない限りは自分のターンがやってくる。

カードを1枚でも多く使うため、
得られるライフは1点でも得るべきである。

この手札とライフの問題を、
1枚でいともあっさり解決してしまうカードが《スフィンクスの啓示》である。

夢のXドロー、Xゲイン、インスタント。

勝つためのカードを与え、カードのためのライフも与える。
コントロール好きなプレイヤーにとって、これほど頼もしい1枚もないだろう。

コントロールデッキを作るために必要な1枚というより、
このカードがあるからコントロールを作る価値があると言ってもいいほどの強力な呪文である。

もちろん良いことづくめではない。
X呪文の性、小回りが利かないというのが弱点ではある。

4マナ払って1点ゲイン付きのサイクリングというのは、あまりにも弱い。
5マナ払ってやっと微々たるアドバンテージ。
6マナではまだ《好機》の方が引ける。

しかしこれが7マナ、8マナと来るにつれて、驚愕のアドバンテージへと変貌してくる。

この超絶アドバンテージが、
ビートダウンでペチペチ攻めている相手の心をへし折ってしまうことも度々ある。

ある意味、フィニッシャーと言ってしまっても良いだろう。

こちらは手札が空、向こうはこちらエンドに7枚引いて7点ゲイン、
続く相手ターンで《至高の評決》…ありがとうございました。

各種トリコロール・エスパーコントロール・バントフラッシュなどの柱となっているこのカード、
グランプリの戦場でも飛び交うことになりそうだ。

「通れば勝てる」とまで言える決定力の高さゆえ、
モダンでもトリコロールにて採用されている。


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2013/8/22 「オリヴィア・ヴォルダーレン」



かつて《腐れ肺の再生術士》という強力なカードがあった。
自身及びクレリックが死亡する度、その死体は2/2のゾンビとなって甦る。

各種生け贄やゾンビ・クレリックシナジーとの噛み合い、《神の怒り》を撃たれても戦線を維持するなど強みを上げればキリがない。

この後継機がM14にて登場。

それが《ザスリッドの屍術士》だ。

新型は参照するのがクレリックという職業ではなく、なんと人間という部族そのもの。

ほとんどのクレリックは同時に人間でもあるので、この点は先代を凌駕する性能だ。

一見、この幅の広がりで完全上位互換に見えてしまうが、実はそうではない。

ゾンビがタップインというのも勿論あるが、先代は相手のクリーチャーが墓地に落ちても能力が誘発し、自分のコントロール下にゾンビを追加することが出来た。

参照部族が人間でありながら相手もカウントというのはさすがに強すぎるためか、自分のコントロールする人間クリーチャー限定となっている。

いずれにしても、シナジーを形成するカードが非常に多く、超強力なクリーチャーであることは間違いない。

特に、生け贄シナジーの最終形態「アリストクラッツ」系との噛み合い方は特筆に値する。

《ファルケンラスの貴種》を守るために《宿命の旅人》を生け贄にしてスピリットとゾンビを獲得…など悪夢だろう。

《縞傷痕のヴァロルズ》にバクバク小物を食べさせて《血の芸術家》で大量ドレインなども素晴らしい。

また、《屍術士》が増えればそれだけ出てくるゾンビも増えるので、《旅人》の死後、魂はスピリットとなり肉体は左右半々のゾンビになった、などという薄気味悪い状況も多々あるだろう。

3色のアリストクラッツ系ではなく、《変わり谷》を採用した、マナの安定感とシナジーに特化した「白黒人間(白黒トークン)」というタイプも姿を現してきている。

北九州では、どれだけのゾンビを従えることになるのだろうか。


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2013/8/21 「ザスリッドの屍術師」



かつて《腐れ肺の再生術士》という強力なカードがあった。
自身及びクレリックが死亡する度、その死体は2/2のゾンビとなって甦る。

各種生け贄やゾンビ・クレリックシナジーとの噛み合い、《神の怒り》を撃たれても戦線を維持するなど強みを上げればキリがない。

この後継機がM14にて登場。

それが《ザスリッドの屍術士》だ。

新型は参照するのがクレリックという職業ではなく、なんと人間という部族そのもの。

ほとんどのクレリックは同時に人間でもあるので、この点は先代を凌駕する性能だ。

一見、この幅の広がりで完全上位互換に見えてしまうが、実はそうではない。

ゾンビがタップインというのも勿論あるが、先代は相手のクリーチャーが墓地に落ちても能力が誘発し、自分のコントロール下にゾンビを追加することが出来た。

参照部族が人間でありながら相手もカウントというのはさすがに強すぎるためか、自分のコントロールする人間クリーチャー限定となっている。

いずれにしても、シナジーを形成するカードが非常に多く、超強力なクリーチャーであることは間違いない。

特に、生け贄シナジーの最終形態「アリストクラッツ」系との噛み合い方は特筆に値する。

《ファルケンラスの貴種》を守るために《宿命の旅人》を生け贄にしてスピリットとゾンビを獲得…など悪夢だろう。

《縞傷痕のヴァロルズ》にバクバク小物を食べさせて《血の芸術家》で大量ドレインなども素晴らしい。

また、《屍術士》が増えればそれだけ出てくるゾンビも増えるので、《旅人》の死後、魂はスピリットとなり肉体は左右半々のゾンビになった、などという薄気味悪い状況も多々あるだろう。

3色のアリストクラッツ系ではなく、《変わり谷》を採用した、マナの安定感とシナジーに特化した「白黒人間(白黒トークン)」というタイプも姿を現してきている。

北九州では、どれだけのゾンビを従えることになるのだろうか。


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2013/8/20 「炎樹族の使者」



2マナで能力持ちの2/2の系譜は、様々なクリーチャーを生み出している。

先日の《復活の声》も勿論そうであるが、スタンダードにはもう1枚、とんでもない能力の持ち主がいる。

それがこの《炎樹族の使者》だ。

かつて「フリースペル」と呼ばれる強力なカード達があった。

それらは唱える際にマナが必要ではあるが、場に出た時にそれに使った土地・マナを返還してくれる、キャッシュバックな能力を持ったものであった。

しかし、それらの大多数はそもそも「重い」のだ。

そして《炎樹族の使者》。場に出た時に赤1緑1のマナを生み出す能力を持っており、実質フリースペルと言っていいだろう。

たったそれだけの2マナ2/2だが、これ以上危険な能力というのもないだろう。

これが採用されている、所謂「スライ」の理論で組まれているデッキは、1ターン目にクロックを出すのは当然の動きである。

問題は2ターン目で、ここで相手が同様のクロックやマナ・クリーチャーを出していた場合。

これに《灼熱の槍》を合わせて除去したいが、それではこちらの展開も止まってしまう…という場面。

これに100点満点の回答をしてくれるのが《炎樹族の使者》だ。

攻め手は止まらず、しっかりと盤面にも触れる。

無論、1ターン目の相手が何もしてこなければ《火打ち蹄の猪》と共に展開して一気に打点を引き上げることができる。

これが手札に複数枚あると来れば、もはやお祭り騒ぎである。

赤単寄りの構築で、山2枚という場で前述の猪を展開できるというのも強みだ。

さらには部族がシャーマンである点に注目して、モダンでデッキを組んでみるのも良いだろう。

《憤怒の鍛冶工》との相性は抜群である。

このクリーチャーが起爆剤となる猛攻に、耐えられないデッキ・同様の爆発力を持たないデッキでは、グランプリを生き延びるのは恐ろしく困難だろう。

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2013/8/19 「復活の声」


GP北九州直前ということで、今週はスタンダード最前線特集でいこうと思う。
今回は「セレズニア」「ナヤ」「呪禁バント」などのデッキをより強力なものへと躍進させ、それらの2マナ域をしっかりと支える強力な緑白のクリーチャーである《復活の声》をピックアップした。

2マナ2/2にプラスの能力を持つクリーチャーの活躍は、マジックの歴史が証明している。

それが相手の足をとてつもなく引っ張るものだったり、自己のアドバンテージ獲得につながるものは尚更である。

では、これらを合わせ持ったクリーチャーがいたとしたら?非常に強力なものとなるだろう。

まさしくこの《復活の声》がそうであるように。

対戦相手がこちらのターンに動くとトークンを産み出す。

このトークンがまた強力で、こちらがコントロールするクリーチャーの合計値のパワー/タフネスを持つ通称《役畜》トークン。

こんなものが出てくるなら、相手はまずこちらのターンに行動することはないだろう。実質的な《孤独の都》内臓クリーチャーと考えてよいだろう。

クリーチャーにオーラをつけるなどの、相手がインスタント・タイミングで割って入ってくると大損するようなアクションも、堂々と行うことが出来る。

このため「呪禁バント」では重宝される2マナ域となっている。

また、相手を縛るだけでなく、自らが死亡した時にもトークンを残していくという点が非常に重要だ。

相討ち上等の特攻・肉壁として活躍するのは勿論のこと、「セレズニア」や「ナヤ」において展開した返しの全体除去によるダメージを、最小限に食い止めてくれる点も重要である。

次の自分のメインでクリーチャーを展開し直し、膨れ上がった巨体で攻撃と攻め手を絶やさないように出来るのは非常に大きい。

また、能動的に生け贄に捧げてアドバンテージを得ることも可能だ。

《カルテルの貴種》を守りながら、《縞傷痕のヴァロルズ》の餌も調達しながら、巨大なトークンが場に出てくるのは強烈だ。

これはスタンダードは言うに及ばず、モダンでも強力なのだ。

《出産の殻》デッキに標準搭載されているこれを生け贄に《刃の接合者》なんて展開されてはたまったものではない。

北九州でもそこかしこで声を上げ続ける1枚となるだろう。


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2013/8/17 「腐肉クワガタ」


カブトやクワガタなどの大型甲虫類は、男のロマンと言っていいだろう。
ちびっこから大人まで、皆が虜になる不思議な魅力を放つ存在。

オオクワガタが高騰し、高額で取引されることがニュースになった時代もあった。
様々な産地・バリエーションをそろえるなど、マジックなどのカード・コレクションに近いものがあるかもしれない。

マジックでクワガタと言うといないわけではないが、
どうもリミテッド向きでパッとしたカードが見当たらない…のだが、
そんな中で構築の最前線にその姿を現した1枚を紹介しよう。

このグロテスクなイラストがなんとも印象的な《腐肉クワガタ》である。

夢にさえ出そうな強烈なイラストの通り、このクワガタは墓地に喰らいつく。

1マナという先出ししやすいサイズで、ポッと置いておくだけで墓地を主軸として利用するデッキは、 まずこのクリーチャーをどうにかしなければいけないという壁に直面する。

能力は3マナと小回りは利かないが、墓地を3枚かっさらえる能力は当時貴重なものだった。

アジア太平洋選手権という、かつて同地域の強豪たちがしのぎを削った大会があった。
その99年の大会、優勝したデッキは「サバイバル・デス」。

サバイバル系デッキの最新型のシルバーバレットの中の1枚に、このクワガタは採用されていた。

明らかに同系対決を意識したものであり、また《生ける屍》をキャストする際、
こちらが一方的にアドバンテージを取れる盤面を作るためにこのクワガタの墓地掃除能力が活躍したのだ。


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2013/8/16 「花火破」


夏の夜と言えば、花火。
イベントの豪華絢爛な打ち上げを見たり、小さな線香花火の灯りを楽しんだり。

何れにせよルールを守って、安全な花火を楽しんで欲しい。

今日の1枚は《花火破》。

英名もHanabi Blastと、まさしく花火そのもののカードだ。

このカードは運の要素が絡むが、繰り返し使える火力となるべく設計をされている。

普通に使えばダブルシンボルで2点飛ばすだけのインスタント、これだけではリミテッドならば使えないこともない除去だが、せめてもう1点と言いたくなるものだ。

そこでオマケとしてこのカードは手札に帰ってきて、ランダムにカードを1枚捨てるという能力を備えている。

これにより、毎ターン3マナとカード1枚で延々2点火力を叩き込める…可能性がある。

あくまで、カードを1枚捨てるのはランダム。そのため、最初の1発ですぐ墓地に消えたり、あるいはとても大事なカードを持っていかれて何とも言えない気持ちになったりするかもしれない。

上手く使うには、構築段階から工夫すべきだろう。

《火を浴びるルートワラ》《癇癪》などの「マッドネス」呪文と組み合わせて、アドバンテージの損失を防ぎながら展開をしていくのが最も相性が良いだろう。

このカードが繰り返し使える火力としてリミテッドで強力(な可能性がある)なのは先ほども述べたが、ここで必殺のコンボを紹介しよう。

それはレアではあるが神河謀反の《梅澤俊郎》とのコンボだ。

手札が《花火破》1枚で俊郎をコントロールしている場合、タフネス2以下のクリーチャーを根こそぎ持っていくことが出来る。

墓地から唱えられクリーチャーを焼いた《花火破》は、その効果中に手札に入ることで、墓地から唱えられたそれとは別のオブジェクトとして扱われる。

結果俊郎の能力のリムーブは受けずに、再度使いまわせるという訳だ。


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2013/8/12 「ホタル」


夏も中盤。
日本の野山での夏の風物詩といえば、蛍だ。

日本人はあの昆虫の幽玄な・儚い灯りが大好きなように思う。死者の魂になぞらえるなどして、昔から愛され続ける昆虫だ。

この小さな昆虫が、マジックの世界にもしっかり生息している。

その名もストレートに《ホタル》だ。

ホタルは4マナ1/1飛行、赤マナ1つでパワーが1上がる、所謂ブレス能力持ちだ。今でこそサイズで上回る《焼炉の仔》が存在するが、当時同マナ域で同様のブレス持ちフライヤーはブレス回数が1回限定だったり、複数回起動するとターン終了時に死んでしまったりするなどブレス能力に制限が設けられていた。

それらの連中に比べて、4マナで1/1とサイズ自体は小さいが、使い勝手の良いブレス持ちであることは確かだ。

「テンペスト」のリミテッドで相手の対空防御がガラ空きならば、あっという間に勝負を決めてしまえる強力なフィニッシャーだ。

このカードのアッパーバージョンが前述の《焼炉の仔》、現代風にアレンジすれば《ドラゴンの雛》になるだろう。

何れもリミテッドでは活躍する良きカード達だ。

余談ではあるが、フレイバーのスクィーのセリフからするとこの昆虫は熱で攻撃しているようである。

ブレス能力で注ぎ込んだ赤マナは、その身体から高熱を放出するのに使うのだろう。

現実の蛍は、発光の際に全く熱を発生させないの、次元ラースに生息するこの昆虫は、似たような光を発するだけで全く別の進化を遂げた昆虫なのだろう。


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2013/8/10 「The Abyss」


人間が最も恐怖を感じるものとは何だろうか。
数え上げるとキリがないほど、それぞれの様々な恐怖が存在することだろう。

それらの中で最も身近で、大多数の人が恐れるもの、
それは「暗闇」ではないだろうか。

全く光が差さない、何も見えないほど真っ暗な空間には、
なるべく近寄りたくないものだ。

恐怖の一週間、最後を締めくくるのはそんな深い闇が全てを飲み込むカード《The Abyss》だ。

インパクトのあるイラストである。

誰も逃れられず、叫び声さえも深淵に飲まれていく…
己の存在が深い闇によって完全に消し去られてしまう。

これほど恐ろしいことはないだろう。

マジックのクリーチャー達も同様で、アップキープが訪れる度に、
そのプレイヤーが選んだ1体が闇に飲まれて破壊されてしまう。

相手は勿論、自分のクリーチャーも引きずり込まれてしまうのが難点ではあるが、
継続的にリソースを奪うことが出来る強力なエンチャントとして名を馳せた。

これ1枚でも機能はするが、何か足止めできるものを用意しなければ
相手が1枚を犠牲に数で勝負と開き直った展開をしてきて、そのまま押し切られてしまう可能性もある。

待っていてもジリ貧、展開しても大損失という状況を作れる構築が必要となってくるだろう。

またアーティファクト・クリーチャーやプロテクション・被覆・呪禁・破壊不能持ちと組み合わせて使うのも手だ。
これらの能力もちで場を縛りつつ、ジワリジワリと真綿で首を絞めるように勝利へと向かうのだ。

ワールド・エンチャントという利点は、
その他のワールド・エンチャントを見ることがない今日ほとんどないも同然。

むしろ、2枚貼って物凄い勢いでクリーチャーを奪うなどの芸当が出来ないのは残念である。


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2013/8/9 「幽体の魔力」


幽霊は黒や白の専売特許ではない。緑にだって存在するのだ。
緑と言えば、生命力あふれる野生の色。

死後の魂である幽霊とは縁遠そうに見える。

どちらかというと、森林に満ちた生命エネルギーの結晶体・木や森の精、エレメンタルの方が緑というイメージが強い。

今回紹介する緑の恐怖は、まさにそのエレメンタルである。

《幽体の魔力》はエレメンタルでありながらスピリットでもあるのだ。精霊の幽霊…というとあまりピンとこない。

このカードは次元ドミナリアが正常な機能を失っていた頃「時のらせん」にて登場したもので、そういう背景を考えると「魔力の暴走の結果、精霊と幽霊の隔たりが曖昧になってしまって一体化しているんだな」「既に死んだ精霊が、次元の危機に合わせて蘇ってきた」などと様々な解釈が出来て面白い。

カードとして見ても、5マナ8/8トランプルは破格のコストパフォーマンスだ。

元ネタになっている《Spectral Bears》が時を経ることでこれほどまでに強力になるとは、クリーチャーの質の向上を感じずにはいられない。

相手が黒のパーマネントをコントロールしていなかった場合、Bearsは実質パワー1.5のクロックだが、魔力はパワー4.トランプルと、同マナ域で1:1ではまず討ち取れないタフネス8を加味すれば、5マナのクリーチャーとしては十分な性能だ。

Bearsには《クウィリーオン・レインジャー》という、アンタップを補助する名パートナーが存在したため、相手が黒くなくても活躍できた。

この魔力にも、同様にリメイクされた《スクリブのレインジャー》という単体でも強力なサポーターが同エキスパンションに収録されている。

この組み合わせは単にアンタップを助けるだけでなく、森を手札に戻す能力でマナを疑似的にブースト、18枚などの少ない土地構成でもこのカードを場に出しやすくする。

「スクリブ・アンド・フォース」と呼ばれるデッキが生まれるほど、この2枚は恐怖のタッグチームだったのだ。

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2013/8/8 「脂火玉」



日本人にはお馴染み、ヒュードロドロと現れる火の玉。
死者の魂として扱われる火の玉、色のイメージでは赤か黒絡みか?と思うところだが、神河にて姿を見せたそれは白。

スピリットで溢れたこの次元、お化けや妖怪は黒の専売特許という訳ではないようだ。

この妖怪、プレイヤーにとってはありがたい座敷童のように敬い大事にするべき存在である。

神河ブロックらしい秘儀あるいはスピリットにより何かボーナスを得られるサイクル・通称「スピリットクラフト」カードの一つ。

エンチャントの色の白らしく、クリーチャーにつけることができるオーラを探してくるありがたい妖怪だ。

リミテッドでは強化系オーラや所謂《平和な心》系オーラを1枚持ってこれるだけで十分に強力、2枚目以降はゲームを決めてしまえると言っても過言ではないアドバンテージを獲得させてくれる超強力なクリーチャーだ。

オーラというもの、殊更クリーチャーにつけるものは除去1枚で簡単に1:2交換を取られてしまうため、構築の場では避けられる傾向にあった。

しかしこのスピリットは、オーラを得ている時点で1枚分のアドバンテージを稼いでいるわけで、これらのリスクを背負っても十分に余りある強さだと判断したプレイヤー達の手によってデッキは作られ、檜舞台にオーラを主軸としたデッキが現れたのだ。

2006年プロツアーホノルルで鮮烈デビューを果たした「ゴースト・ダディ」、2008年グランプリフィラデルフィア(エクステンデッド)にて躍進した「ファントム・メナス」などがそれだ。

現在ではスピリットといえば《聖トラフトの霊》。呪禁も持っているのでオーラとも相性が良く、オーラ自体《天使の運命》のような強力なものが誕生している今、デッキを作ってみるのも面白いだろう。

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2013/8/7 「Ghostly Flame」


火の玉、人体発火現象、地獄の業火…古来より恐怖の存在と火は親和性の高いものである。
マジックにおいても、恐怖の色である黒と、炎の色である赤はカード背面のデザインでも隣り合う、「友好色」という関係だ。これらは相性の良いカードや、色の垣根を越えてデザインされているカードも多く、お互い攻めの色として非常に噛み合う良きタッグパートナーだ。

逆に、彼らのタッグから対極の位置にあるのが白。

所謂「敵対色」というものであり、お互い露骨に嫌いあっているのだ。


この敵対色である白は防御の色である。

プロテクション:黒および赤を持つカードは山のようにあるし、赤と黒が手も足も出ないエンチャントには各種《防御円》という鉄壁の防御過ぎて守っているだけで投了を促せるレベルのカードまで存在している。

これらに立ち向かうにはどうすれば良いのだろうか?その回答が今日の1枚《Ghostly Flame》だ。

赤と黒のパーマネントや呪文を、無色のダメージ発生源として扱うという、意外な角度から白を攻め立てる1枚だ。

これを貼れば、相手が防御円をコントロールしていようが《シー・スプライト》を立たせていようがガシガシ殴りに行くことが可能になるし、《地震》で憎き《銀騎士》や《サルタリーの僧侶》をあの世に送ってやることも可能だ。

《ラクドスの血魔女、イクサヴァ》様は《第10管区のラヴィニア》なんぞ笑いながら踏み潰してくれることだろう。

赤と黒が白のプロテクションに抗うには、この上ない手段ではある。

しかし、呪文やクリーチャーが常時無色になる訳ではなく、あくまで無色の発生源になるだけである点には注意だ。

《終止》で《鬼斬の聖騎士》を除去はできないし、《コーの火歩き》の能力は誘発してしまうのだ。

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2013/8/6 「墓所這い」 


ホラーといえば、ゾンビ。映画に漫画にゲームにと、随分身近な存在となったゾンビ。
マジックの世界にも満ち溢れているのは言うまでもないだろう。

最初は部族シナジーも非常に薄く、スケルトンなどと大差のない扱いをされていた連中であるが、それでもワラワラと数自体は多かった。

この有象無象の大群が、「オンスロート」ブロックにてフィーチャーされ一躍強力部族の仲間入りを果たす。

その後もちらほらと、しかし確実に姿を見せるものの環境の最先端に君臨するような存在ではなくなってしまう。

そんなゾンビ達が再び地の底から這い出し地表を覆い尽くしたのが「闇の隆盛」後の環境である。

《ゲラルフの伝書士》と共に颯爽と現れ、ゾンビの1マナ域の鉄板となったのがこの《墓所這い》。

1マナでパワー2、ブロックには参加できないが尋常ではないそのしぶとさ。

文句のつけようがない高性能ゾンビだ。

その墓地から帰還してくる能力を有効活用して、《血の座の吸血鬼》《ファルケンラスの貴種》に食べられ続けるのも彼らの仕事だ。

横に《血の芸術家》がスタンバイしていると尚良い。

「レガシー」では《ゴブリンの爆撃》で肉片を飛び散らせてはズルズルと元の姿に戻り、さらには「統率者戦」で《ファイレクシアの供犠台》と他のゾンビで無限ストームや無限アーティストでゲームを決めることが出来る。

殴ってよし、コンボして良しの超優等生。


余談であるが、《墓所這い》を蘇らせたのはゲラルフの姉であるギサ。

ゲラルフは「胴のないグールは戦力としてノーカン」と言ったり、この恐怖そのものの1マナ生物をリリアナ姉さんが見た感想がフレイバーテキストにかかれている。

このレベルで、まだまだ弱いという扱いをされているということは…この先、より恐怖に満ちたゾンビが姿を見せるのかもしれない。恐ろしや。

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2013/8/5 「恐怖」 


夏真っ盛りの中皆さん如何お過ごしだろうか。
夏と言えば、海・プール・花火…様々なレジャーシーズンである訳だが、一つ忘れちゃいけないものがある。

夏と言えば、お化け屋敷・肝試し・怪談…そう、ホラーである。

ホラーならば、マジックの世界にも満ち溢れているではないか。

というわけで今週はホラーなカードウィークで行ってみたいと思う。

ホラーと言えば、黒。恐怖のカードのオンパレードの中、名前がまさに《恐怖》そのものであるこのカードが今日の1枚。

元祖・黒の確定除去として、「アルファ」から「クラシック(6th)」まで基本セットのコモン除去として、初心者にインスタントでかつ2マナで相手のクリーチャーを1:1交換することの強さや大切さを教えてきた、僕らにとっては先生のような1枚である。

その後、7thで現役を退く。

これは「トーメント」で黒がプッシュされることなどを見越した上であろう。

後に「ミラディン」や「10th」にて再録された。

恐怖によってクリーチャーが破壊されるというのは、なかなか面白い。

おそらく、精神がまともではいられないほどの恐ろしい何かを感じて、死んでしまうのだろう。

そもそも恐怖の根源である黒のクリーチャーや、無機質で感情を有しないアーティファクト・クリーチャーに効かないのはなかなかフレイバーが効いていて、かつゲームとしても良調整であると言えるだろう。

《断片無き工作員》はあんなファニーなお面をしていながら無感情なのか・《ジャングルの障壁》が恐怖で死ぬということは植物にも感情がある証明か?などと考えると楽しい。

そしておそらくこれらのイメージの問題で、《破滅の刃》へと後を託す形になったのだろう。

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2013/8/3 「Venarian Gold」 



M14ルール変更ウィーク、トリを務めるのはほとんどのプレイヤーが存在自体知らなかっただろうこの1枚。
オラクル・ルール変更リストの中でもかなり浮いた1枚となっている。

《脱水》《睡眠発作》《閉所恐怖症》といった、現在では定番の青のアンタップ妨害系オーラ。その先駆者にあたるのがこの「レジェンド」のコモンだ。

睡眠カウンターが乗っている限り、このオーラをつけられているクリーチャーはスヤスヤと眠りについてアンタップされることはない。

X個カウンターが乗った状態から始まるこの深い眠りは、そのクリーチャーがアップキープを迎える度に薄れていく。

現代の《閉所恐怖症》が3マナで永遠の眠りをもたらすのに対して、このカードは同じ3マナでは1ターンしか防いでくれない。

マナを注げば注いだだけ寝かしつけてくれるが、重すぎるし期限付きというのは大きなデメリット。

何事も最初に始めるのは難しいらしい。


さて、本題のオラクル変更であるが、こんなカードでも実は複数のオラクル変更を経験している、歴戦の猛者なのだ。

カウンターを乗せるのがクリーチャーではなくオーラ自身になり、それが睡眠カウンターに変更され、戦場に出た時にクリーチャーをタップすることが明確化され、カウンターを取り除くタイミングがちょくちょく変わり、睡眠カウンターを置くタイミングが「戦場に出る際」へと変わり、さらにそれが以前どおり「戦場に出た時」に戻され…オラクル変更の申し子のようなカードである。

そして今回の変更。これまで放置され続けた肝心要な部分にメスが入ることとなった。

「戦場に出た時、X個の睡眠カウンターを置く」これでは実はこのカードは全く機能しない。スタック上でいくら膨大なマナをXに注ぎ込んでも、戦場に出たパーマネントのXは「0」として扱われる。

即ち、睡眠カウンターを置く数は0。一体このカードは何をするために生まれてきたというのだろうか。

こんな悲惨な事態をいつまでも放置する訳にもいかず、今回「戦場に出た時、唱える際のXに等しい数の睡眠カウンターを置く」というテキストに生まれ変わり、マジックの歴史上から一つ、悲劇が消えることとなった。

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2013/8/2 「Gaea’s Touch」



M14ルール変更シリーズ5つめは、土地に関するルール。
同一ターン内での、追加の土地のプレイに関するルールの変更だ。

以前までは、プレイヤーは土地を手札から戦場に出す際、例えば「これは《踏査》の効果によるセットランドです」といった発言をする必要があった。

ある特定の効果により得た、「土地を置く権利」のようなものを消化していく形だ。

このルールでは、

①《踏査》による追加の土地を置く
②《踏査》をバウンスして出しなおす
③新しく場に出た《踏査》で新しく土地を置く権利ゲット!

通常のセットも合わせて1枚の《踏査》で3枚の土地を展開!…といったややこしいプレイングが可能であった。

このゴチャゴチャしたものを取り去るため、M14新ルールではプレイヤーは各ターン、「土地プレイ」というものを1つ持っているという形式に変更となった。

土地を1つ置くことで、これを1つ消費する。ここに《踏査》や《ムルダヤの巫女》といったカードがあれば、土地プレイは2に増える。

これを2つ消費して2枚セット。《ムルダヤの巫女》をバウンスすると…土地プレイは1に減ってしまう。

再度《巫女》を出したところで土地プレイは2に戻るだけ。

そしてこのターンすでに2つ使ってしまっているため、これ以上のセットは不可、という形になる。

純粋に数字の増減であり、プレイヤーにとってはよりわかりやすくもめごとも減りそうだ。


ここで1枚、このルールの下やっかいなことになりそうなカードが発覚する。

それが統率者戦でも見かける本日の1枚、《Gaea’s Touch》である。

以前は基本土地の森限定で追加の土地プレイができるようになるという効果だった。これを現行のルールに置き換えると、少々ややこしくなる。
これのコントローラーは追加の土地プレイ1を得るが、それは森限定でしか使えない。

これと他の土地プレイ追加カードの恩恵を受けている状況では、以前同様「これは《Gaea’s Touch》の追加で置く森です」云々の発言をする必要があり、以前と変わらない状態になってしまう。

これに対する回答は単純明快なものだった。《Gaea’s Touch》の能力は「0:あなたの手札にある基本森カードを場に出してもよい。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときにのみ、各ターンに1回のみ起動できる。」へと変更されたのだった。カードの能力を常在型から起動型に変更するオラクル変更はとても珍しい。

このおかげで、能力をコピー・打消しできるようになったり、《真髄の針》《抑制の場》の影響を受ける、全く新しいカードへと生まれ変わったのだった。



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2013/8/1 「不可視の忍び寄り」



普通に遊んでいると、全く気付かないルール変更というものもマジックには存在する。
本当に細かな・ただの書式変更にすぎず、機能自体の変更ではないものがそれだ。

20年間の歴史に胡坐をかくわけではなく、より新規のプレイヤー達にとってわかりやすいカードゲームであろうとする努力・姿勢の表れだろう。

今回起こった密かな変更は、我々日本人にはあまり関係のない話かもしれない。

「~はブロックされない。」通称「アンブロッカブル」と呼ばれる回避能力の最上級。

これがアンブロッカブルと呼ばれるのは「~ is unblockable.」という表記からきたものである。

この英文での表記が、今回ひっそりと変更されていたのである。

これからは「~ can’t be blocked.」という表記で統一されることになる。

アンブロッカブルという、専門用語的なものを排したかったのかもしれないが。

これでは「~ can’t block.」と区別がつきにくくなって別の誤解を招きかねないのでは?という疑問は筆者が日本人だからだろうか。

日本語では英語表記がどちらでも「ブロックされない」の一言で済むので、混乱を招くことはほぼないだろう。ありがたい話である

さて、今日の1枚だが最近最も使われた「ブロックされない」クリーチャーといえばこれだろう。

2マナ1/1と打点としては貧弱だが、「呪禁」「ブロックされない」という装備品・オーラをつけろと言わんばかりの能力の持ち主である。

「呪禁バント」と呼ばれるデッキではベタベタとオーラを4枚5枚貼り付けてワンパンチ二桁ダメージという光景もザラである。

リミテッドでは相性抜群の《肉屋の包丁》を手に取ると、デッキによってはそれだけで投了するしかないという強さを発揮した。

透明人間というフレイバーがゲームに活きた好例である。



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2013/7/31 「映し身人形」



どんなクリーチャーでも触れることさえできれば取り込め、そのクリーチャーのサイズを我が物とする驚異的なアーティファクト・クリーチャー。
6マナと少々重いが、それに見合う強力なカードであったため、当時のスタンダード、ミラディン・ブロック構築、統率者戦、そしてヴィンテージでも活躍するパワーカードだ。

《Mishra’s Workshop》さえあれば簡単に場に出せてしまうだろう。レジェンド・ルール変更で《ファイレクシアの変形者》が対伝説のクリーチャー除去として機能しなくなった今、またよく見ることになるかもしれない。

この人形も、今回M14の発売に合わせてオラクルが変更されている。

これまでも、このカードによって複数のクリーチャーが追放されている時にパワー・タフネスを複数持ってしまうという、マジックにおいて非常にややこしい状況を作り出してしまうため様々な変更がなされた。

まず、最後に追放したカードを参照するように能力が変更された。

続いて、複数のクリーチャーが追放されている時はパワー・タフネスの変更が起きないという、より混乱を招きにくい能力へと置き換わる。そして、M10の発売時に「刻印」能力自体にメスが入る。

これにより、刻印は自身の能力で追放したもののみを参照とし、特殊な方法で刻印したものは人形に何ら影響を及ぼさないというルール自体の変更により、《映し身人形》は最初期のテキストに戻ることになった。

して此度M14。《ストリオン共鳴体》によって、再び複数のパワー・タフネスを持ってしまうという問題が再浮上したため、以前有していた最後に追放したクリーチャーのみ参照というテキストに出戻りすることとなったのだ。



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2013/7/30 「召喚の調べ」



エクステンデッドの「Elves!」、モダンの「メリーラポッド」と最前線で活躍し続ける優秀なクリーチャー・サーチである。

その強みはインスタントであること、サーチするクリーチャーに色の制限がないこと、そして「召集」で土地やマナクリ以外もブーストとして用いることが出来る点だ。


この強みである「召集」にも、実はM14ルール変更のメスは入っていたのである。

以前の召集は「追加コストとして望む数のクリーチャーをタップし、タップしたクリーチャー1体につきコストを(1)かそのクリーチャーの色のマナ1点分だけ軽減する」というものだった。

これで問題となるのはその呪文のコストを超えた数のクリーチャーをタップできる点(3マナの召集呪文に4体以上のクリーチャーをタップすることも可能だった)。

また、追加コストが決まるタイミングでのタップとなるため、例えば《召喚の調べ》キャスト時に《野生の朗詠者》タップで1マナ軽減してからこれをマナに変換して支払うということも可能だったのだ。これは召集という能力のイメージにそぐわない。

そのため、今回のルール変更で「この呪文を唱えるに際しあなたがタップしたクリーチャー1体で、(1)かそのクリーチャーの色のマナ1点を支払う。」というものに変更された。

追加コストではなくなり、またマナが軽減されるのではなく、どちらかといえば全てのクリーチャーがマナクリになると考えた方が良いだろう。

軽減ではなく直接的なマナの支払いとなったことで、実際のマナを1点も支払わない《召喚の調べ》が《三なる宝球》に引っかかることはなくなる(以前のルールでは唱えるためのコストが0になっても宝球の効果で3マナ支払わなければならなかった。)

エターナル環境でこれらを使用する場合は、直面しないとも言い切れない事態なので知っておいて損はないはずだ。


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2013/7/29 「ダークスティールの板金鎧」


M14が発売されて早くも10日経った。
皆さんもいろいろな新規・再録カードを試してぼちぼちデッキも固まってきたのではないだろうか。

落ち着いてきた所で、このセットがカード以外にもたらしたもの・ルール変更に目を向けてみては如何だろうか。

今回のルール変更は「レジェンド・プレインズウォーカールールの変更」「サイドボードに関するルールの変更」の2点に注目が集中している感はあるが、実はその裏で地味ではあるが大幅な変更が行われている。

今週は、それらの変更に関係があるカードの一部を紹介していきたいと思う。

トップバッターは「破壊されない」ルールから《ダークスティールの板金鎧》。

カードそのもののテキストが、今回のルール変更でとてもスッキリしたものに生まれ変わったのだ


破壊不能
装備しているクリーチャーは破壊不能を持つ。


そう、「破壊されない」は「破壊不能」というキーワード能力として生まれ変わったのだ。

まあ破壊不能と表記が変わっただけで読んで字の如くこれまでと扱いが変わるわけではない。

しかし大事なことは、これが単なる属性からキーワード能力となったことである。

能力となったということは、各種カードでこれを失わせることが出来るようになったということである。

以前まではこの鎧が装備しているクリーチャーを守る効果は、クリーチャー自体が持つ能力ではなかった。

そのため《お粗末》でペラペラの貧弱クリーチャーになっても、鎧が優しく守ってくれたのだ。

だが、現在のルールでは同様の状況ならば超合金の鎧に包まれたまま内部損傷で死んでしまうのだ。

余談だが、海外の統率者戦でこれを出すと「超チートカードだ!」とヘイトを買ってしまうらしい。

文化の違いって面白いね。

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2013/7/27 「Water Gun Balloon Game」


デパートの屋上で・遊園地の片隅で、
このカードのような水鉄砲ゲームを遊んだ記憶はないだろうか。

勢いよく吹き出す水流、飛び散るしぶき、
見ているだけで涼しく・楽しくなるものだ。

このカードの銀枠世界の例に漏れず、非常にユニークな能力を有している。

プレイヤーはお互いカードイラストの0のところに
「バン!」カウンターを置き、ゲームスタート。

呪文を一つ唱える度にカウンターが一歩ずつ進んでいき、
目盛り全開の5に達したらそのプレイヤーに
大きなピンクのクマさんぬいぐるみ(5/5の巨人・ぬいぐるみ・熊トークン。色はピンク)をプレゼント!というわけだ。

ちなみにゲームが達成されると、全てのカウンターが取り除かれて一からやり直し。

なかなか厳しいゲームだ。5/5のトークンはそう簡単には手に入らないということだ。

因みにこの「バン!」カウンターが置かれる際に
《倍増の季節》をコントロールしていれば一人で2クレジット分ゲームを楽しめる。

もちろん2個同時に5に達するのでクマちゃんも2つプレゼント!
「増殖」してしまっても良いだろう、同じ銀枠という点で見るなら《Giant Fan》で
相手の「バン!」カウンターを吹き飛ばして一人用スコアアタックゲームに変更、

飛ばしたカウンターは自分の十手のカウンターにしてしまうという
意味不明なほどのオーバーキルを狙ってみるのも楽しいかもね。

これにて夏休みウィークは終了、
皆の夏が楽しく健やかなものでありますように!


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2013/7/26 「炎の中の過去」


燃えろよ燃えろ、炎よ燃えろ。
キャンプファイヤーを髣髴とさせるイラストでこの1枚をチョイス(本当は焼き討ちだけど気にしない)。もう随分と過去の思い出を、このカードのイラストはフラッシュバックさせてくれた。

カード自体も「イニストラード」のテーマ、フラッシュバックに関係するもの。
自分の墓地にあるインスタントとソーサリーをもう一度キャストできるようになるというもの。
国や次元が変わっても、炎を見ることで過去の何かを思い出すという、人間の本能的な部分は変わらないようだ(イラストのオリヴィア様は吸血鬼だけど気にしない)。

類似カードは《埋め合わせ》《ヨーグモスの意志》。

《埋め合わせ》の効果範囲を広げた分、重くなったのは当然だが獲得できるアドバンテージではこちらの方が圧倒的に膨大だ。

レガシーでは未来永劫禁止と言われる超絶パワーカード《ヨーグモスの意志》と比べると、挙動・狙い自体は近いが流石に分が悪い。しかし、ヨーグモスには出来ない芸当をしっかり備えてはいるのだ。

それが、レガシーの「ANT」でよく見られるアクション。

《陰謀団の儀式》スタックで《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動、赤マナをひねり出しつつスレッショルドを達成。そこからディスカードした《炎の中の過去》をフラッシュバックし、墓地に眠る呪文を連打して《冥府の教示者》フラッシュバックに繋ぐ…という、今では定番の勝ち筋。

以前は《不正利得》がこのポジションを務めていたが、それをこのカードがまさしく「炎の中の過去」にしてしまったのだ。


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2013/7/25 「Spiny Starfish」


この夏、もう海には行かれただろうか。

海と一口に言っても、何も人でごった返す海水浴場だけが海ではない。
生き物がたくさん生息する岩礁地帯、通称「しおだまり」で一日中生き物観察をしながら水遊びをするのもなかなか楽しいものだ。

もちろん転倒や熱中症には気を付けて!

そんな海での生き物探しで、定番とも言える生き物がヒトデだ。

マジックにももちろん、ヒトデにまつわるカードは存在する。するといっても、20年の長い歴史でこの1枚だけなのだけれど。

「アライアンス」にて登場した、この人のように立ち上がったヒトデ、0/1という貧弱すぎる・生きていくうえでの最低限の身体に備えた能力は「再生」。

ヒトデは原始的な構造の生き物ではあるが、それゆえ身体が千切れたくらいものともしない。
簡単に復元してしまう驚異の再生能力を持っているのだ。

ヒトデを盾に《ゴブリンの先達》や《タルモゴイフ》の攻撃を防いでいる姿はシュール極まりない。

さらに、ターン終了時にはこのターン再生した回数1回につき1匹、0/1の子ヒトデを産み出す能力を持っている。

おそらく、戦闘で吹き飛んだ足の破片などが、そちら側でも再生して別個体に分裂しているというフレイバーの能力なのだろう。

残念ながら、再生を起動しただけでは再生したわけではないので、青マナを払えば無尽蔵に増え続けるというわけではない。
破壊されることをちゃんと置換しなければいけないのだ。

イラストのように無尽蔵に子ヒトデをバラまくには、一体どのような場を作ればよいのやら。

こういう状況を「このコンボでヒトデにダメージを与え続け、青マナをこれで供給して…」と一人考えるのも楽しいものだ。


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2013/7/24 「メテンダ・ライオン」


夏に行きたくなるスポット、動物園・サファリパーク。
動物も人間も暑さでバテているのに、何故か賑わう不思議なパワーを秘めた土地である。

そんな動物園の定番・顔といったらやはり、百獣の王ことライオンだろう。

巨大な、それでいてバネのような筋肉を誇る身体、ギラギラとした眼、鋭い牙と爪、王者の風格を備えた鬣…それでいて、近所の猫と大して変わらない仕草に愛嬌があり、子どもも大人も大好きな動物だ。

マジックにおけるライオンといえば《サバンナ・ライオン》があまりにも有名だが、このメテンダだって負けてはいない。

サバンナと同じく1マナ2/1、2ターン目から2点のクロックを刻みだす。《ジャングル・ライオン》と違っていざという時はブロックにも回れる、ナイス軽量クリーチャーだ。

…対青を除いての話だが。勇猛果敢に飛び掛かるが、相手に青マナを一つ支払われるだけで、マタタビを与えられたかのようにゴロニャンと戦意喪失してしまう。

最序盤に襲い掛かってくる軽量クリーチャーを苦手とする青、その青にあまりにも一方的になりすぎないように作られたのだろう。

ただこれを逆手にとり、アタックして青マナを支払わせ、カウンターやドローに使えるマナに制限をかけた上でこちらのアクションを行えるのは強みではあるのだ。マナを払ってこなければダメージが通るので、何も問題はない。

この能力、おとぎ話調のフレイバーテキストと完全にマッチしているのもこのカードの魅力である。「ライオンの恩返し」なんだかかわいくていいね。


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2013/7/23 「Save Life」


夏といえばプール。冷たい水の中ではしゃいで、身体が冷えればプールサイドで甲羅干し。健康的な夏の過ごし方の定番である。

そんなプールでの1シーンもしっかりマジックのカードとなっている。もちろん銀枠での話だが。


イラストで溺れそうになっているのは、ウェザーライト・サーガの主人公《ジェラード・キャパシェン》その人である。

マラクザス、ヴォルラス、クロウヴァクスと数々の強敵との死闘を繰り返してきた歴戦の勇者も、ついついプールではしゃぎすぎて脚をつってしまったのだろうか。

そんなジェラードにクールに浮き輪を投げて《Save Life》してくれている、水着姿が眩しいネエチャンが、同じくウェザーライト・サーガの主要人物、《艦長シッセイ》だ。

《飛翔艦ウェザーライト》で次元から次元へと旅を続けてきたクルー達も、疲れを癒すためにバカンスに来ているのかもしれない。

浮き輪には「市営マナ・プール」と書かれているのも、なんとも「アンヒンジド」らしくていいね。


カード自体の効果は、気にしなくても良いレベル。

2と1/2点のライフゲインか軽減効果で、相手が「助け」「ライフ」と口にする度に「ゴチ!」と叫べば回収可能なインスタントである。

うん、それだけ。イラストが全てなカードってあるよね。

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2013/7/22 「Tropical Island」


いよいよ学生諸君が待ちに待った夏休みシーズン突入、暑い日が続くが元気に乗り切って楽しんでほしいと思う。
あと、もちろんマジックもね。というわけで今週は「夏休み」ウィークでいってみよう。

トップバッターは《Tropical Island》、遂に今日の1枚にも通称「デュアルランド」が登場。

1枚の土地でありながら、2つの基本土地の特性を併せ持つ最古の特殊地形・元祖2色土地のサイクルを「デュアルランド」と呼び、黎明期から今日に至るまで愛され続けた土地達である。

これらの土地は色マナを出すことに対するデメリットや制約は何一つもない。

さらには基本土地のタイプを持っているため、各種「フェッチランド」や《遥か見》などでサーチしてくることが可能な点も強みである。

しかしながら勿論、良いことばかりではない。《窒息》《沸騰》各種渡りなどの特定の基本土地に対するアンチ全てに引っかかってしまう点は唯一にして最大の弱点である。

各種デュアルランドの中でも、その時々のメタで価値が変動しがちな1枚であった。

が、現在は「カナディアン・スレッショルド(RUGデルバー)」各種BUGカラーのデッキが君臨しているため、不動の地位を確立したといって良いだろう。

「α(アルファ)」版でのみ、イラストレーターがMark Pool氏と表記されるエラーが存在する。

これは、もともとPool氏がこの土地のイラストを担当したのだが、肝心の島よりも一緒に描かれた鳥が目立ってしまい他のイラストに変更となったことの名残である(Pool氏のイラストは、かの《極楽鳥》として使用された)。


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2013/7/20 「月の大魔術師」


7月20日と言えば何の日かご存知だろうか。

1969年、アポロ11号が月面着陸に成功、
人類が初めて月に降り立った記念すべき日なのだ。

アームストロング船長が地球に送った
「この一歩は小さいが、人類にとっては大きな飛躍である」というメッセージはあまりにも有名である。


さて、マジックでも月に関係のあるカードは多数あるが、
今回は「人」が月に降り立ったということでこの1枚をチョイスした。

特殊地形を縛りながら、クロックとして相手のライフを削りに行けるアグレッシブなカードだ。

3マナ2/2は立派な戦力とは言いにくいが、しかし最低限の打撃力は備えているのも事実であり、
特殊地形が封じられてもたついている所に《梅澤の十手》など各種装備品を担いで攻め込むことができるのはエンチャントである本家《血染めの月》にはない利点だ。

実際、この点を高く評価して採用しているデッキが
「オール・イン・レッド」や「ドラゴンストンピィ」といった初速に全てをかけているデッキ達だ。


話は変わるが、このクリーチャーの持つ能力は時として面白い状況を作り上げることがある。

全てのクリーチャーが全ての能力を失うという驚異の効果を持つ《謙虚》。

これと《月の大魔術師》が場に揃うと…

カードのテキストだけ読むと、月の大魔術師が全ての能力を失って1/1となり、特殊地形はそのままという盤面が思い描かれることと思う。

しかし現実はそうではない。

《月の大魔術師》の能力は、オブジェクトの特性に関する継続的効果というルールの中の第4種というものに分類される。

同じく《謙虚》のそれは第6種と第7b種。

これらの効果は数字が若い順に適応されるというルールであり、まず特殊地形が山になる。

次いで全てのクリーチャーが全ての能力を失い、そして1/1となるのだ。
このクリーチャーは所謂バニラになっても場に影響を及ぼし続ける、まさに大魔術師と言うべき存在なのだ。

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2013/7/19 「漁る軟泥」


いよいよ本日、M14発売ということで本日はこの1枚を。泣く子も黙る、ウーズ様の登場である。

マジックのゲーム特典プロモであることが発覚した時に世間に与えた衝撃は大きいものだった。

いよいよこの最強のウーズがFoilとなる時が来たのである。


「統率者」にてポッと現れたこのクリーチャー、当初はイラストも一見地味であり《太陽の指輪》再録などの陰になってしまっている感はあった。

使用できるフォーマットは、統率者はもちろんのこと、エターナル環境も含まれている。

ことレガシーにおいて、墓地絡みのカード・デッキといえば…《タルモゴイフ》《聖遺の騎士》《敏捷なマングース》《罰する火》《恐血鬼》《壌土からの生命》《アカデミーの廃墟》《弱者の剣》《陰謀団の儀式》《不正利得》、そして「ドレッジ」「リアニメイト」というデッキコンセプトそのもの、といった具合に当時でもこれだけの相手に刺さるポテンシャルは持っていた。

これら相手に緑1マナが必要なこのカードが間に合うのか?という疑問を、このウーズは一瞬で消し去った。

《緑の太陽の頂点》という最強サーチとも言えるカードと、《ガイアの揺籃の地》という壊れたブーストの後押しも大きいだろう、このカードは一躍スターダムへとのし上がることになった。

しかし真に機が熟したと言えるのは、「イニストラード」ブロックの登場後である。

フラッシュバックを復活させたこのセット、《炎の中の過去》でANTがパワーアップ!…も、もちろんあるが、やはりレガシーに最大の衝撃をもたらしたのは《瞬唱の魔道士》、この1枚に尽きる。

手軽に勝負を決めるレベルの危険なこのクリーチャーに真っ向から立ち向かえ、ダメージレースを優位に進めるウーズは「最強」クリーチャーの称号を与えられてもおかしくないほどの活躍をみせたのだった。

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2013/7/18 「オーリオックのチャンピオン」


白の代表的な能力その1:ライフゲイン 白は生命の源の色・疲労を和らげ傷を癒す

白の代表的な能力その2:プロテクション  護法を唱え、身を守る。 特に粗暴な赤・邪悪な黒に対して。


これらが組み合わさるとどうなるか?鉄壁のクリーチャーの誕生である。

このカード、パッと見ですでに強そうだが、使われてみると更にその強さがよくわかる。

2ターン目にポッと出て、こちらの《ゴブリンの先達》のアタックを完全に阻んでしまう。

焼いてどかす事もできないので仕方なくターンを返すと、《幽体の行列》。

さらに《未練ある魂》を呼び込み、圧倒的なライフの差をつける。これを一度味わうと、白という慈悲の色に対して強烈な恐怖心を抱いてしまうことになる。

バーンでなくとも《突然の衰微》で落とせないため、ライフ獲得を止めることが出来ず、《欠片の双子》《鏡割りのキキジキ》コンボを決めても増えるクリーチャーが《詐欺師の総督》では相手のライフを1も減らすことはできない(かといって《やっかい児》を多く採用するのは《稲妻》環境ではリスキーでもある)。 

このクリーチャー自身はパワー1のため打撃力はないが、その能力は相手の心そのものをへし折る点ではパンチ力抜群だ。

プロテクションもライフゲイン能力も、どちらもコモンのカードでも持っている能力だが、それらをミックスすることで堂々たるレア・スペックへと昇華するのである。

フレイバーテキストでレオニンがメロメロになっているのも頷けるものだ。

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2013/7/17 「クラークの親指」



「コインを投げる」この一文が書いてあるかいないかで、カードの評価は大きく変わる。
もちろん、書いてあるカードはカジュアルだという評価を受けることになる。何故か。

得する確率が2分の1であるなら、確実にやりたいことが行えるカードを使うべきである。

それに、コイン投げに勝ったところで負けた時のリスクを背負ってまで得る旨味がそれほどない。これに尽きるだろう。

ではもし、コイン投げに常勝できるとしたら…?

《魔力激突》1枚でゲームに勝利できるだろう。各種火猫達は割合の良いクリーチャーとなり《焦熱の計画》は超絶アドバンテージ獲得を約束し《ラル・ザレック》で笑いが止まらない。

これらを邪魔しようとする相手の呪文も《次元の混乱》が2分の1の確率で弾く。


《偶然の出合い》は必然の出合いへと変貌するだろう。楽園じゃないか。


この楽園への切符は、このゴブリンの親指にぶら下がっているのだ。

これが1枚あるだけで負ける確率はグッと減るが、開発部はこれを複数並べられるようにし、2つ目以降は「3枚投げて2枚無視、4枚投げて3枚無視…」というカードにしたかったらしい。

しかし、書式があまりにも難しくなりすぎることからこれを断念。伝説のカードにすることで複数並ぶことはなくなってしまった。

もちろん、《鏡の画廊》の力を借りれば複数並べることは可能だ。

この場合、数が増えれば増えるほどとんでもないことが起こってしまう。

クラークAの効果で投げるコインは2枚、この2枚がクラークBでそれぞれ2枚に増えるため合計4枚。

さらにCがあれば4枚がそれぞれ2枚に増えて8枚、Dで16枚、Eで32枚…Jの時点で1024枚、これではコインを投げて拾っているだけで日が暮れてしまう。

このカードを伝説のパーマネントにしてくれた開発部には、感謝してもしきれないのである。



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2013/7/16 「広がりゆく海」



先日は「海の日」だったのだが、皆さん今夏は海に行く予定はおありだろうか。
夏・クーラーの効いた部屋でマジックに明け暮れるのも良いが、たまには波の音を聴きながらじっくり日光浴するのも健康に良いだろう。

そんな母なる海を、マジックを遊ぶテーブルにもたらすのがこの1枚だ。

つけられた土地は島になるという、一種の土地破壊を目的として作られたカードである。

この手の土地変更系のカードは多くあるが、この1枚はそれらとは別格の活躍をトーナメントシーンで見せている。

まず、当時のトップメタであった「ジャンド」。この向かうところ敵なしのこの3色デッキの弱点であるマナ基盤に、直接妨害を仕掛けることの出来る手段として青白系のコントロール、特に「タップアウト」と呼ばれるデッキに採用され、コントロールの序盤を支えた。

また登場したゼンディカー・ブロックは特殊地形のオンパレード、なかでも当時暴れまわっていたコンボデッキ「ヴァラクート」の勝利手段《熔鉄の尖峰、ヴァラクート》を封じることが出来るのは大きい。

それだけではなく、当時同じく流行であった「赤黒吸血鬼」において黒マナのダブルシンボルを出しにくくさせたり、コントロールが元来苦手とする通称ミシュラランドを封じたりと地味ながら最高にいやらしい名カードとして活躍したのだった。

さらにエクステンデッド、レガシーにおいてもマーフォークに搭載され、苦手とする《燃え柳の木立》を封じながら島渡りをサポートするという攻防一体の1枚としてポジションを得た。

このカードの最大のセールスポイントは、これらのいやがらせをしながら手札の枚数が減らないというこの一点に尽きるだろう。何かと一緒に「カードを1枚引く」と書いてあるだけで、カードは化ける恐れがあるのだ。


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2013/7/13 「スリヴァーの女王」



スリヴァー一本でやってきた今週の締めくくりには、女王様にご登場願おう。

史上初の5色クリーチャー(1996 World Championは特殊なものなのでノーカウントで)であり、
イラスト・フレーバー重視でありながら 強力な能力・ストーリー上での立ち位置などからファンが多く、
登場してから今日に至るまで揺るぎない人気を誇っている。

名実ともに女王と呼ばれるに相応しい1枚だ。

実際に、女王はトーナメント・シーンで活躍した。
点数で見たマナコストならば5マナで7/7という理想的なサイズであり、
《再活性》の負担が少なくて済むため
「リアニメイト」で釣り上げる生物の1枚としては優秀だったのだ。

トークン生成能力も盤面を支配するには十分な力があった。
また、緑であるため《自然の秩序》からの降臨も度々みられた。

常に比較対象としてあがっていたのは《新緑の魔力》。

トークン生成に制限があるか・マナが必要かという面、
5色であるが故に《恐怖》は効かないが《紅蓮破》《水流破》で落とされる・あらゆるプロテクションに引っかかるなど、お互いに一長一短である。

大抵は併用され、対戦相手の色・デッキから最適な方がチョイスされた、いわば2枚看板のエースであった。
こと対「カウンタースリヴァー」においては、彼女が圧倒的な強さを示していたのはなんとも面白い。

今日でも、増えに増えたスリヴァー達と
様々な組み合わせで無限コンボを達成するためEDHではなかなかに侮れない存在だ。

再録禁止カードであるが故に新枠・Foil仕様が登場することがないのは残念な限りではあるが、
そんなファンのためを思ってか「Commander Arsenal」にて、
大判カードとして我らが女王は新枠Foilカードのお姿となられたのであった。


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2013/7/12 「狩人スリヴァー」



「挑発」というのはレギオンにて登場した、いわば相手のクリーチャーを一本釣りする攻めの能力である。

強引にブロックさせて一方的に倒したり、攻撃を通したいクリーチャーのための露払いをしたりと戦闘を一方的に有利に進められる。


そして挑発とともにレギオンのメカニズムとなったのが、ご存知スリヴァーである。

このカードはその両者の所謂「いいとこどり」な1枚として作られた。

本体自体は1/1と貧弱であり、相討ちもなかなか期待できない性能だが、そこはスリヴァー。

別にこいつ自身ではなくもっとサイズの大きい味方にその役目を委ねてもよし。

また、《毒素スリヴァー》と併せて確実に仕留める、それを《墓所スリヴァー》で一方的なものにしつつ《精油スリヴァー》でライフを…と、シナジーを形成しだすとキリがない。

逆に、《有翼スリヴァー》《変容スリヴァー》達とはウマが合わないので気を付けよう。

ちなみに、数が並べば1体のスリヴァーに挑発を2つ、3つと持たせることが可能。

さながら《寄せ餌》のように道を切り拓き本陣へスリヴァーの群れを殺到させることも可能だ。

頭部が二つあるイラストが印象的だが、これには彼が誕生した経緯が関わっている。

まず、最初期の彼は先制攻撃付与というデザインがなされていたのだが、それでは色違いの《かぎ爪のスリヴァー》に過ぎないということで、続いてデザインされたのが「2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない」というもの。

このカードのイラストが用意されたのはこの第2段階の時・マジックでは双頭の生物が有するこの能力を与えられた時だったのだ。

これにも開発陣は納得せず挑発付与という形になったが、後にこの能力を持った《双頭スリヴァー》がしっかり登場している。

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2013/7/11 「熱狂スリヴァー」



かつて公認大会でそこかしこでコインが飛び交うという光景が見られた。
「ミラージュ」が生んだ名クリーチャー《熱狂のイフリート》は、カウンターバーンや5CG・3CBなどのデッキで粘り強さを生かして活躍していたのだ。

そんなイフリートの力を受け継いだのが「次元の混乱」の過去の対抗色のカードをスリヴァーとしてリメイクしたサイクルの1枚、この熱狂スリヴァーだ。

能力に対する評価が、プレイヤーによって大きな差があるという面白いカードである。

前述のイフリートに殴られ避けられを経験したプレイヤーにとっては驚異の能力に見え、この時代を知らないプレイヤーの中には失敗したら自爆するリスキーなカードじゃないのか?という風に捉えていた方も多いのではないだろうか。

実際、この能力がどれ程のものなのか。

やはり運の部分が絡んでくるのでなんとも判断しづらい。

が、当サイトでもライターとして記事を書いてくださっている黒田正城さんが、とてもわかりやすいカード評価をされていたのでその言葉をお借りしたいと思う。

「神の怒りに『すべてのクリーチャーを破壊するかもしれない。』なんて書かれていたら使う気がしないだろう?」なるほど、確かに数を並べてこそ価値のあるスリヴァー。展開してきたところにシメシメと全体除去を撃ったら《活性スリヴァー》で瞬速を得た《熱狂スリヴァー》が飛んできて、5匹中1匹しか除去できなかった…なんて事態になると目も当てられない。

日頃の行いを良くして、マイコインを磨きながらゲームに臨もう。

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2013/7/10 「樹根スリヴァー」


スリヴァーが打ち消されなくなる、戦場以外の部分で味方をアシストするスリヴァー。
能力はただそれだけのことなので、打消し呪文をたっぷり積んでいる相手でなければ効果は薄く、逆に刺さる相手にはあざ笑うかのような展開力を約束してくれる。

俗に言う「シルバーバレット戦略」向きの1枚(これをサーチする手段がそもそも打ち消されるという話は置いといて)。

まあそれだけのカードなのだが、話のタネは持っているクリーチャーである。


まず、樹上で鎌を構えるそのイラスト。

これは元々「すべてのスリヴァーは到達を得る」というデザインであった名残なのである。

後にこの能力は「時のらせん」でよりコンパクトになった子孫に引き継がれている。


そして、テキストについて。

カード画像では「スリヴァーのクリーチャー呪文は打ち消されない」となっている。

これが後に「スリヴァー呪文は打ち消されない」というスッキリしたテキストに変更された。

が、これが問題となった。「未来予知」にてカードタイプ:部族の呪文が登場し、続く「ローウィン」にて多相を持つ部族呪文が登場した。

これらが打ち消されなくなる、というのはこのカードのデザインからして当然なのだが、ここで想定外のことが起こった。

例えば《外身の交換》。

これを《樹根スリヴァー》をコントロールしながら対戦相手のクリーチャーに向かってキャスト→相手はスタックでこのクリーチャーにプロテクション白を与え、対象不適正となってこれは打ち消され…ないのである。

このスリヴァーの能力はルールによる打消しにまで干渉する、想定外のイレギュラーな存在となってしまった。シンプルな「打ち消されない」の一文が呼び起こした混乱である。

そこでエラッタにより現在は「呪文や能力によっては打ち消されない」という一文となっている。

マジックの歴史の中でも、稀有な事例の一つだ。

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2013/7/9 「給食スリヴァー」


名前だけでプレイヤー達にインパクトを与え、鮮烈に記憶に残るマジックのカードは少なくない。
この名前もなかなかに強烈だ。給食とは、学校や会社などで生徒・従業員に食事を支給することであり、またその食事そのものを指す言葉でもある。

日本では、どちらかと言えば後者の印象が強く、なかなかにわけのわからない名前になってしまっている。

英名の「Victual」は食糧という名詞と、食糧を供給する・積み込むという意味の動詞でもある。

訳者はこれを動詞として訳し、日本語のスリヴァー名の縛りでもある「二文字熟語+スリヴァー」に当てはめる際に、この給食という言葉を使ったのだろう。

後に、公式でこれは誤訳であると認められることになるが、一度見ると忘れられないカード名として、そういうものを越えたナイス・ネーミングと言えるだろう。


さて、名前だけではなく実はこのカードはひっそりと活躍していたのである。

旧環境のエクステンデッドにおいて暴れまわっていた「ネクロドネイト」及びその後継機「トリックス」。

《ネクロポーテンス》で手札を引き増して、減ったライフは《Illusions of Grandeur》で補填。

その《Illusions of Grandeur》を《寄付》で相手に押し付け、維持できなくなった相手から20点のライフを一気に奪うコンボデッキである(トリックスはネクロ禁止後の青単及び青赤のデッキ)。

だが、一回のコンボで奪えるライフはちょうど20点。このスリヴァーがいるだけで、相手はコンボを2回決めなければならない。

《Force of Will》などのカウンターを構えつつ、《筋肉スリヴァー》で強化した戦線でライフを詰めてくる「カウンタースリヴァー」相手に、これは現実的に考えて不可能に近い。栄養抜群の給食だったのだ。

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2013/7/8 「骨鎌スリヴァー」


発売が迫った「M14」の目玉の一つが「スリヴァー」の再来である。
「未来予知」から実に6年ぶりの登場であり、月日の長さに驚きを隠せない。

つくづくマジックとは壮大なゲームなのだなと思う次第である。


さて、そんな新規メンバーの中から一足早く、今日の1枚はゲームの特典プロモにもなったこの1枚を。

と、まず度胆を抜かれるのは何よりもその見た目であろう。

「テンペスト」から16年、様々な進化を遂げてきたスリヴァーであるが遂に生物としての形状にも変化がもたらされた。

以前のような脊椎動物の先祖のような見た目から一気にヒューマノイド型へと大変貌を遂げたのである。

巷ではSF映画に登場する種族によく似ていることが大いに話題となった。


見た目の変化はさて置き、スリヴァーの本質的な部分にも少々の変化がみられる。

これまではすべてのスリヴァーが敵味方を問わずに能力を共有していたのが、M14の連中は自軍のみを強化するデザインが施されている。

お互いがスリヴァーを展開している時によく起きる、盤面がよくわからなくなってしまいゲームが壮絶にグダってしまうということを防いでくれるこのデザインはありがたいと言えるだろう。

この《骨鎌スリヴァー》は場に出れば自軍の打撃力が純粋に2倍となる、とても4マナとは思えない致死性の高い能力を付与する。

《神経スリヴァー》で超ドロー!する前に決着がついてしまうだろう。

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2013/7/6 「Dreams of the Dead」


墓地ウィークの最後を締めくくるのは青、青で墓地といえば《瞬唱の魔道士》!
なんて安直な答えはせずに、かなり捻くれたチョイスをしてみた。

青という色にして、所謂「リアニメイト」系の
しかも繰り返し使えるエンチャントであるという、とにかくイレギュラーな1枚。

青でなんでも釣れるのはまずいのか、効果範囲は友好色である白と黒限定。

さらに青がリアニメイトするのはかなり無茶しているのだろう、
蘇ったクリーチャーは時間が過ぎればいずれは消え去ってしまう運命なのだ。

累加アップキープという足枷を避けるには、
色的にも噛み合っている《一瞬の瞬き》《修復の天使》でブリンクしてしまうのは一つの手だ。

いっそ累加アップキープと相性の良い《目覚ましヒバリ》を採用して
アドバンテージを得るというのはどうだろう。

想起そのものと相性が良いので、
釣れる色からすれば《叫び大口》など良いんじゃないか…

あ、ヒバリで釣れないか。

じゃあヒバリで釣れる《熟考漂い》を、ってそもそもDreams of the Deadで釣れない。
いやーデッキが作れそうで形にならない、この歯がゆさ。

こういうカードの最高の相棒を見つけ出せた時、
そういう時がデッキデザイナーを目指すものにとっては最高の一瞬だったりするのだ。

誰にも何の自慢にもならないけど、こういうマジックの楽しみ方だってアリなのだ。

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2013/7/5 「チャンドラのフェニックス」


墓地ウィーク・赤からはこの1枚。
タイムリーなことにM14でのカムバックが決定したところだ。

この火の鳥、まず基本的な部分で見ても3マナ2/2飛行速攻と悪くない、むしろ《空騎士の軍団兵》がマルチカラーであることを考えると破格の性能と言うべきか。

さらにプレインズウォーカー名入りカードとしての意地として、火の鳥のごとく不死身の能力を備えている。

歴代フェニックス達の再誕にはアップキープ限定・5マナの支払いを要求などタイミングもマナも縛られ、フェニックスを手札に戻すターンは他の行動がとれず隙だらけとなってしまうのが最大の難点であり、構築の最前線ではちょっと…というものが多かった。

そんな中、新たに炎の中から誕生したこの不死鳥は赤単であればこともなげにクリアする簡単な条件でマナも要求せずに復活し、そのターンの内に対戦相手に襲い掛かる。

非常に優等生であり、赤単が常に抱える「息切れ」という宿命に真っ向から立ち向かっていける素晴らしい1枚である。


名前の通り、もちろんチャンドラとの相性も抜群である。

同期として登場した《炬火のチャンドラ》はもちろん、《チャンドラ・ナラー》でも回収は可能である。

しかし何より、最も相性が良いのは《燃え立つチャンドラ》。毎ターン、ノーリスクで4点飛ばす固定砲台は驚異の一言。

さて、新チャンドラもしっかりフェニックスを回収できる能力であることがつい先日発表された。

あとは脇を固める火力に期待というところだ。

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2013/7/4 「再誕の宣言」


ここまでくれば、今週は墓地ウィークということにしてしまおう。
本日は白の墓地に関する1枚。


そもそも白が墓地からクリーチャーを蘇らせるのはあまりイメージにない・どっちかといえば黒じゃないの?という方も多いのではないだろうか。

実は、マジックが生を受けた時より、この効果は白が持つものであったのだ。

黒の通称「リアニメイト呪文」は、死者を使役する・ゾンビとして墓から引っ張り出すフレイバーのものが多い。

それに対して白の呪文は、神や聖人が起こした奇跡としての「復活」であり、魂の抜け殻と化した黒の蘇生とは本質的な部分が違うのである。

黒のリアニメイトが条件次第では再度死体に戻るのに対して、白のそれは純粋な復活であるところはフレイバーとして納得できるものだ。


さて、前置きが長くなったが今日の1枚はディセンションからこれを。

3マナで、1マナ以下という制限はあるが3枚ものクリーチャーを復活させるコストパフォーマンスは抜群の1枚だ。

ウィニーの息切れとして普通に使ってもなかなかに強力だが、このカードがトーナメントシーンで真価を発揮したのはもう一つの能力によるところが大きい。予見という能力で、コストと効果は下がってしまうが、繰り返し使えるという点がポイントとなる。

特に登場時から現在まで、環境を問わず存在する相棒が《砂の殉教者》だ。殉教者自身で7マナ貯まるまで粘り続け、7枚目のランドをセット出来ればそこからは釣って回復を毎ターン延々行える。

どんなビートダウンでも、毎ターン二桁回復されるようになってしまってはお手上げである。

最近では《苛立たしい小悪魔》のような新しい相棒になりそうなカードも出てきているので、デッキを作ってみるのも楽しいだろう。


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2013/7/3 「冥界のスピリット」


墓地に関わる、一時代を築いたカードが続いたので、ここはさらに1枚。
「ネザーゴー」のデッキ名にもなったこのカードだ。


墓地から舞い戻る不死のクリーチャーは、新旧問わず非常に多くのバリエーションを備えている。

彼らは様々な、中には複雑な条件をクリアすることで場に戻ってくるのだが、その中でも彼の能力はもっともシンプルで達成しやすい。

墓地に他の存在が眠っていなければ良い、それだけである。

その不死身なことを除けば、ただの3マナ2/2で戦闘に関する能力は何一つ持っていない。

しかし、この不死身さが当時はこの上なく最強であったのだ。


序盤は、相手のアタックをチャンプブロックし続けてダメージを減らし、そのしぶとさに相手が痺れを切らして展開してきたところを大量破壊呪文で掃除し、相手がいよいよ息切れすればのらりくらりとアタックを仕掛ける。様々なヘビーコントロールにて、攻防一体の活躍をみせた。

ウルザ期は《汚染》とのロックコンボを、インベ期には《調査》《嘘か真か》と組み合わせてのアドバンテージ獲得や、《抹消》との相性の良さで八面六臂の大活躍。

まさに、マスクスブロックが存在した時代を代表する1枚だ。


やり込んでいるプレイヤーは同系対決だと、後手を選んで1ターン目に土地を置かずにディスカードからスタートするという戦術をとってくる。

そこにメイン1挿しの《死体焼却》を撃たれてしまうと壮絶に切なくなれる。


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2013/7/2 「セファリッドの円形競技場」


《根囲い》最後の問題の答え:オデッセイ・ゼンディカー
納得の見送りである。それぞれのブロックでのメインテーマであるスレッショルド、土地絡みとのシナジーが危険であると判断されたわけだ。スレッショルド、土地とくれば、この土地が真っ先に思い浮かぶ。

スレッショルド達成で得る起動型能力は、土地を1枚失い3枚引いて3枚捨てるため実質アドバンテージでは損をしている。

しかし、当時は相性が良いカードやデッキが多かったのだ。

《堂々巡り》《尊大なワーム》といった強力なマッドネス呪文が急襲してきたり、「サイカトグ」のようなコントロールが、長期戦の果てに不要なカードを入れ替えるのだから損をしても強いという側面もある。

ただし、通常運用する場合にはただただ1点が痛い。実によくデザインされた強力な土地と言えるだろう。

しかし、なんと言ってもこのカードが真の実力を発揮したのは、未来予知の登場後となる。

「フリゴリッド」という、マジックに新しい概念をもたらしたデッキに4枚積まれているこれは、ライブラリーを驚異的な爆発力で掘り上げる。

この会心の一撃が、呪文ではないため通常の打ち消しの的にならないときたものだ。

レガシーを遊ぶ上で、一度はこの洗礼を受ける。《通過儀礼》やね。


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2013/7/1 「根囲い」


今をときめく強力デッキ、リアニメイト。
このデッキに必要なものは、たっぷりと肥えた墓地と手札に来たデカブツを場に展開するための土地である。

そんなプレイヤーのわがままを解決するカードが、たった2マナとはなんというお得感であろうか。

最近のこのカードの強力ぶりは疑うまでもないが、近年マジックを始めたプレイヤーはこのカードの再録以前の活躍ぶりを知らないことが多いのではないだろうか。

当時は墓地を肥やすという部分よりも、ライブラリーの上4枚が土地であればそれら全てが手札に入るという部分が重要視されていた。

しかし上から4枚全てが土地などということが、確率的に考えてそう頻繁に起こるのだろうか。いや、起こるのではなく起こせたのだ。

《巻物棚》という手札とライブラリーを入れ替えるアーティファクトを用いて、土地を4枚トップにおいてからこのカードを使えば、ライブラリーを4枚掘り進んだ後、次のターンにはこれらの土地をまたカードと交換し…というアドバンテージ・エンジンを形成することが容易にできるのだ。

これによりボードコントロール系のカードを常に補充しながら、《ドルイドの誓い》ないしは溜まった土地でフィニッシャーを盤面に叩きつけて勝利する、「ターボマルチ」というデッキが存在したのだ。

ちなみにこのカード、2度再録が検討されたがどちらもセット内のカードとのシナジーが強力すぎるためにイニストラードまで眠りについていた。

どのエキスパンションかわかるかな?答えは明日の更新で!


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2013/6/28 「ヴォルラスの要塞」


今日の1枚は、マジックのストーリーにおいても重要な舞台の一つとなり、ヴォルラス本人はもちろん、クロウヴァクスや他のウェザーライト・クルー達の運命の転換点となったこの土地を。

効果は実にシンプルであり、墓地に落ちたクリーチャーを何度も回収することができる。

実質、ドロー自体は飛ばしているわけだが、《永遠の証人》《熟考漂い》を使い回せばアドバンテージをいくらでも稼ぐことが可能である。

生物が強ければ強いほど強力なカードであり、レガシーでも初期のthe Rockなどのデッキで採用されている姿を見ることがあった。

ファンは《墜ちたる者、ヴォルラス》と組み合わせて使っても楽しめるだろう。相性自体は良い。


この土地に関する小ネタはいくつかある。まずは、「暗黒時代」と呼ばれる日本選手権98での出来事。

この大会ではひたすらに厳しいジャッジの裁定と、それを利用したあげ足の取り合いが飛び交う混沌とした大会になった。そんな中、スイスラウンドの最終戦。この土地の能力を起動するに際して、マナを払うより先にこの土地をタップしたプレイヤーAに対して、Bがこれはマナ能力でタップしたのだと主張した。結果、Bの主張が通りAは能力を使えずマナバーンを受け、最終的にAは敗北してしまった。競技イベントがまだ成長期だった頃に起こったエピソードである。

また、この土地は「Mega-Mega-Cycle」と呼ばれるサイクルの一部だ。マローことMark Rosewater氏がミラージュより始めた伝説の土地サイクルの1枚であり、5年間に及ぶ壮大な計画のピースの1つなのだ。


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2013/6/27 「ボガーダンの金床」


全プレイヤーにドローをもたらす、吠えたける鉱山の系譜には様々な型がある。これはジャムーラにて作られた、少し特殊なタイプだ。

追加のドロー後に、ディスカードを要求してくるため手札が増えるわけではない。

しかし、手札の質を整えることで実質的なアドバンテージを獲得していくものだ。

そのため「Owling Mine」などのデッキに採用することは出来ないが、そのディスカード能力を軸として、フラッシュバックやマッドネスと組み合わせる・偏頭痛やリリアナの愛撫でライフを攻めるなどの戦略が取れるのは面白い。

最近ではChains of Mephistophelesとの凶悪なコンビネーションがレガシーにおいて見られた。まだまだ研究の余地ある1枚、是非デッキを作って欲しい。


このカードには逸話がある。元々は、画像にある通りのテキストであり「ディスカード・フェイズを飛ばす」という能力だった。そのため、ディスカード・フェイズに手札にカードを加えるネクロポーテンスの息の根を止めることが可能だったのだ。そのためデッキにこのカードを忍ばせてインビテーショナル99に参加したプレイヤーもいたのだが…。

会場にて急遽この能力が「手札の上限はなくなる」というものに置き換わるというルールおよびオラクルの変更が発表された。悲しいなぁ。


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2013/6/26 「野生語りのガラク」


遂に明らかになった、M14のプレインズウォーカー達(以下PW)。
M13からの続投組と共に、ガラクとチャンドラは新規カードとして参戦が決定。

つい先日、ツイッターでも新ガラクが発表されたので今回は初代ガラクをピックアップしてみよう。

ローウィンの初代PW組にして、現在でも多くのプレイヤーに「最も完成度が高いPW」と言わしめる1枚だ。

初代組の特徴でもある、プラス・小マイナス・大マイナスの3つの能力からなるそのデザインは、なかなか隙がない。

PWの弱点である、出たターンの返しの相手の攻撃を乗り越えられるかという点に対して、土地を起こして除去呪文を使用したり肉壁となるビーストを呼び出せるというのは回答として足り得る。

次のターンからはより重い呪文を唱えるのをサポートしたり、次々とビーストを戦場に送り込み圧倒したりしつつ、大マイナス《踏み荒らし》の射程圏内へと対戦相手を追い詰めていく。1枚で勝てるPWの鑑のようなカードだ。

実際、緑黒ビートダウンやローウィンの各種エルフ達の背後をしっかりささえた屋台骨であり、特に《タルモゴイフ》《獣群の呼び声》そしてガラクと続くマナカーブ3羽ガラスは「TCG」(トレーディング・カード・ゲームの略称とかけたもの)と呼ばれ、広く愛された。


新しいガラクも、初代や先代のように活躍してほしいと心から思う。

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2013/6/25 「宿命の旅人」


マジックはゲームであり、同時に壮大なファンタジーである。
ゲーム上でのメカニズムと、ファンタジー世界での役割・フレイバーが噛み合ったカードというものは
プレイヤーにとって印象深いものとなる。

それが強いカードであればなおさら、愛される1枚となるのだ。

この1マナ1/1の一見貧弱な人間は、死亡すると浮遊霊として場に帰ってくるため、
ブロッカーとして使う上では相当なしぶとさを誇る。

また同環境に人間という部族間でのシナジー、
生け贄に捧げることでのシナジーを形成するカードが多数存在したため
それらのシナジーを軸に据えたデッキでの1ターン目のアクションとしては申し分のない1枚である。

UWやナヤカラーの人間ビート、各種アリストクラッツといったデッキで、
今日も彼は死してなお終わらない旅を続けている。


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2013/6/24 「傭兵騎士」


「ポータル」は、マジックをプレイするのが初めてな人に
ゲームをわかりやすく体感してもらうためのセットである。

そのため土地・クリーチャー・ソーサリーのみで構成されていたり、
視覚的により初心者にわかりやすいデザインが施されていたりと、
他のマジックとは少し「別物」として作られた感がある。

これらのポータル系セットは、
使用可能なフォーマットが存在しなかったこともあり
忘れ去られた存在となっていた…のだが。

2005年10月20日、エターナル環境での使用が可能になり、
その檻に閉じ込められていた危険なカード達が遂に日の目を浴びることになったのだ。

この傭兵騎士もそんなポータル生まれの1枚だ。
隠された恐怖の上位互換として生を受けたが、ポータル出身ゆえの呪縛に囚われ、
その隠された恐怖が「ゴジラ」などのデッキで活躍している姿を
ただ見ていることしか出来なかった。

が、もうそんな悩みも吹き飛んだ。
傭兵・騎士という珍しいクリーチャータイプを持ち、
ストロームガルドの災い魔、ハーコンと能力・タイプ共に非常に噛み合う。

彼らが強力なタッグを結成して大活躍…とはいかないのも、またマジック。
カードが持つ雰囲気・カッコ良さから、コアな人気のある1枚であることには違いない。

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2013/6/22 「Goblin Bowling Team」


本日は日本ボウリング協会が制定したボウリングの日。
ということで、Goblin Bowling Teamに登場いただいた。

カードとしては
「このカードがクリーチャーかプレイヤーにダメージを与えた時、
6面ダイスを振って出た目の数だけ追加でダメージを与える」というもので、

期待値から考えると実はマナコストに見合った打撃力を持ったカードだ。

もちろん1が出た場合は信じられない弱さだが、
6が出ればストライク!驚異の7点クロックへと化けるのだ。

アングルードではこの手のダイスに関するカードが複数作られたが、
その中でも随分「まとも」な活躍を期待できる1枚だろう。

ちなみに、このテキストのままだと追加ダメージで自身の能力が誘発し、
延々とゴブリンがボールを投げ続ける地獄の朝までフリータイムボウリングが始まってしまう。
(もちろんエラッタにてループが起きないようになっている。いくらアングルードといえどもこれは…となったのだろう)

相棒にはGoblin Bookieを。

チームメンバーが着ているシャツにはMonsのロゴが。
略奪隊のメンバーのオフか、彼のレストランがスポンサーについているのかは不明である。

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2013/6/21 「獣群の呼び声」


いよいよ目の前に迫ったGPバンコク。
筆者は初めての海外GP参戦ということで非常~~~~っに楽しみである。
そんな私事は置いておいて。

微笑みの国、タイ。
タイと言えば浮かんでくるのは象、象、象。

というわけで安直ではあるが、
トーナメントシーンで使われまくったこの象について。

当時は3マナ3/3というサイズ自体悪くなく、
それに後払いでマナを注げばもう1匹同サイズの象を呼べるこのカードは、
一見地味ながら使われると悶絶する強さを持った1枚だった。

実際、オデッセイ発売直前直後は
インスタントである点やトークンのサイズから
《獣の襲撃》の方が評価が高かったのだが、

蓋を開けてみれば軽いこと・シングルシンボルなことがそれらの点よりも勝ることが判明し、
そこここでタイの象使いよろしくこのカードを使い回す姿が見られた。

全体除去や息切れ対策となる点からビートダウンはもちろんのこと、
これらに対抗するコントロール側でも採用され
あちこちで象同士のぶつかり合いが見られることとなった。

ステロイド、PT Junk、ワラミーズなど
様々なデッキをその大きな背中で支え続けた。

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2013/6/20 「呪文嵌め」


青の象徴・特権といえば「打ち消し」だろう。
αから20年に渡る永き多元宇宙の旅の中、次元ラヴニカにおいて「打ち消し呪文」の完成形の一つと言えるものが登場した。

その効果はシンプル極まりない。
限定的な範囲ではあるが、逆説的に考えれば用途がはっきりしているため打ち消すものを間違えるということもない。

1マナで2マナに対応できるということは、自分が後手でも先手の相手の呪文を打ち消せるということである。

これは2マナ域に危険な・致死性の高いカードが数多ひしめき合うモダン、そしてレガシーにおいて非常に重要な事であり、
このカードをデッキに採用する理由足り得る。

テンポ・アドバンテージを簡単かつ確実に稼ぐことが可能な驚異の1マナ呪文だ。

度々呪文貫きが比較対象とされるが、
範囲が狭いとは言え確実に打ち消すことが可能な所謂「確定カウンター」であることがこのカードの利点だ。

構築段階でどちらを採用するか・共存させる場合はどちらを優先するかを、
メタゲームに照らし合わせてあれこれ考える時こそマジックの楽しい一時である。

イラストで打ち消されているのは、同ブロックで登場した強力な2マナクリーチャー、番狼である。

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2013/6/19 「清々しい雨」


ピットサイクルというコンボデッキがかつて存在した。

かの凶悪エンチャント《ヨーグモスの取り引き》で命の限り引きまくり、《スカージの使い魔》がそれらをマナに変え、そのマナで《魂の饗宴》のようなドレイン系の呪文でライフを吸い、吸ったライフでドローして…というサイクルを続けるチェイン系コンボだ。

《厳かなモノリス》などのブーストや《アカデミーの学長》と《ファイレクシアの塔》《縁切り》のシナジーなど、環境に相性の良いものが溢れかえっていたためスタンダードで暴れまわることとなった。


このデッキへの対抗策として用意されたのだろうか、ネメシスにて緑に与えられたのがこの1枚。ピットサイクル側の最後のドレインに合わせてピッチでキャストすれば6点ゲイン、2枚あったとすれば12点ものゲインだ。

ピットサイクルはギリギリのライフまで引き続けたり、手札をほとんどマナへと変換したりと生きるか死ぬかのギリギリでコンボを決める動きも多い。

当時の緑といえば《飛びかかるジャガー》《怨恨》を有するストンピィであり、ライフを序盤から削るこのデッキでは上述したような状況へ持っていきやすく、このカードで最後一発を回避して逆転勝利ということも存分にあり得たのだ。

しかし、これを理解したピットサイクル側は、黒マナを沼以外の土地から調達するプレイングをするようになり、プレイヤーを優しく包む清々しい雨が降ることなく梅雨が明けてしまうこともあったのだ。

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2013/6/18 「残忍なレッドキャップ」


モダンマスターズでのリミッテッド、皆さんは遊ぶことができただろうか。
それらのゲームの中で、この小さな暗殺者は八面六臂の大活躍をしているに違いない。

彼の頑強前の能力は、モダンマスターズ内のコモン・アンコモンのクリーチャーの内約6割をこのゴブリンは除去することが出来、かなりのヒットマンぶりを発揮することになるだろう。

リミテッドのみならず、モダンの構築でももちろん大活躍している。

《シルヴォクののけ者、メリーラ》《臓物の予見者》との無限コンボで対戦相手に斬りかかりまくり、自身の頑強が《出産の殻》とも相性が良く、状況に合わせたシルバーバレット戦略をサポートする。

さらにレガシーやEDHでも《擬態の原形質》がこれと《絶滅の王》をミックスして一撃必殺をかましたり。クリーチャーに求められるものの内、サイズ以外は全てカバー出来ていると言ってもいい1枚だろう。


レッドキャップとはイングランドとスコットランドの国境付近で出没し、出会った人間を惨殺する極めて狂暴凶悪な妖精・悪鬼の類である。

被害者の血で染まった帽子を被り燃えるような赤い目をして、殺人が行われた場所で歩行者を待ちかまえているらしい。

弱点はロザリオの十字架であるとのことなので、これを持って大会に臨めば姿を見ることはないかも…しれないね。



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2013/6/17 「Drought」


本日は「砂漠化及び干ばつと闘う国際デー(World Day to Combat Desertification and Drought)」。
砂漠化や干ばつに立ち向かうには、国際協力が必要だという認識を高めようという日だそうな。

というわけでこの日にその名前が含まれるDroughtをチョイス。


テキストを訳すると「呪文および起動型能力は、それを唱えるためのコストが、それ自身のコストに含まれる黒マナシンボル1つにつき『沼を1つ生け贄にささげる』だけ多くなる。」というもの。

《暗黒の儀式》をキャストするには黒マナ1つと沼1つの生け贄が必要となるということ。

《ゲラルフの伝書士》に至っては沼を3枚も持っていかれてしまう。

過去に度々見られた露骨すぎる対抗色シリーズの1枚でありジワジワと確実に効く嫌がらせタイプだが、これ1枚では嫌がらせに過ぎず勝利できるものでは無かったり、黒側が開き直って沼を破棄して展開などしてきてそのまま押し切られたり、4マナという決して軽くないコストのためこれが出る頃には相手の盤面が完成していることもあったりで今一つ頼りない。

むしろこの手の能力は黒が白をいじめるためのものだろう、色の役割がまだ定まりきっていない時代の産物である。


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2013/6/15 「狂暴ウォンバット」


トーナメントの歴史において、
永らくオーラというものはその性質ゆえに
活躍することが非常に難しかった。

まずクリーチャーありきのカードであるため、
各種除去で簡単に1:2交換以上のアドバンテージを稼がれてしまう。

しかし、この1年ほどの期間でそれは大きく様変わりした。

もちろん《ひるまぬ勇気》や《怨恨》といった
強力なオーラが存在することもあるが、

それをつける先である呪禁持ちでありながら
回避能力や強烈なパンチを持った、なおかつ軽いクリーチャー達…
《聖トラフトの霊》や《不可視の忍び寄り》によるところが大きいだろう。

オーラをベタベタつけられた彼らが対戦相手を1パンチで沈めている様を、
草葉の陰から見守っているのが
マジックの歴史上唯一のクリーチャータイプ:ウォンバットである彼だ。

オーラをつけて殴ってやるぜ…と勇んで動いたところに
《ふにゃふにゃ》をブチこまれて燃え尽きる、マナコストに見合わないボディ。

こうやって散って行った有袋類の魂が、
今シーズンようやく成仏できたようである。

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2013/6/14 「Rasputin Dreamweaver」


どうしてもロシアの怪僧を思い浮かべてしまうが、全く関連はない。

作中の人物としては、氷河期到来前にソーン騎士団を援助してゴブリンの根絶を目指していた魔術師。

イラストから見ると少々過激派のようだ。

カードとしては、このカード独自の「夢カウンター」なるものを使用するとても面白い1枚である。

実にこの色らしい自衛能力と、この色らしからぬ強烈なマナブースト能力を併せ持っている。
この能力にして伝説のクリーチャーなのだから、統率者戦で使わない手はないだろう。

出た次のターンにウラモグを呼んで圧殺、精神隷属機を投げつけ一人をグズグズにしたり、スフィンクスの啓示で超絶ドロー&回復など、なんでもやりたい放題である。
この辺りはやはり怪僧と重なる部分があるか…?

M14ルール導入後は幻影の像がさながら陰謀団の儀式として機能するようになるため、ますます強くなるのではないだろうか。

さあ、キキジキや汁婆といったゴブリンの粛清に繰り出そう!

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2013/6/13 「雷口のヘルカイト」


マジックの20年の歴史において山ほどドラゴンが刷られてきたことは言うまでもない。
巨大で飛んでいて火を吐く、ファンタジー界最強の種族だ。

ではこれらのドラゴンがマジックでも最強なのか…というと…うーん。
勿論トーナメントの場で活躍したドラゴンもいくつか存在する。

しかし近年のドラゴンは、そのフレイバーを重視する方向性でデザインされているためデカくて重たいスーパーヘビー級ばかりで、構築で彼らを呼び出す頃には勝負がついていることがほとんどだ。


そんな不遇な時代を経て、2012年遂に現れたドラゴンの最新鋭の最高傑作がこのヘルカイトである。

5マナ5/5飛行速攻の優秀すぎるボディに、突撃を止めようとするハエを撃ち落とすバルカン砲を搭載。ダメージレースをあっという間に捲ってしまう堂々たる神話性能である。

その強さを存分に発揮してスタンダード戦線で暴れに暴れまくり、近年のドラゴン族の鬱憤を晴らしまくるエース中のエースである。


と、こんなことはわざわざ書くまでもないことだが、何故ここで取り上げたのか。理由は二つある。

まず一つは、発売がそこまで迫っているM14でこのエースが引退する可能性が高いこと。ウワサで上がってきている後輩ドラゴンは偉大すぎる先輩と比べて活躍できるのだろうか?

そしてもう一つの理由は、このカードの中文版の翻訳を知ってほしいというもの。「ヘルカイト」が「残虐者」と訳されているのである。これはカッコイイ、カッコイイぞ。

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2013/6/12 「モンスのゴブリン略奪隊」


4thからマジックの日本語版が発売され、その人気は次第に広がっていった。

そして5thから大々的に発売されることとなり、最初のマジックブームが到来することとなる。

4thまたは5thからマジックを始めたプレイヤーにとって、このカードは印象深いものではないだろうか。

テキスト欄に小さな文字でびっしりと書かれた文字を読むと、それはルールについてのものではなく所謂フレイバーテキストというもの。


この1マナ1/1の頼りないクリーチャーの背景には、壮大な物語があるのだ。


ゲームだけではない、ファンタジー世界としてのマジックの面白さの入り口と言っても良いだろう。

パシャリク・モンスと彼の仲間は後にレアへと昇進したり、レストランでウェイターとして働いたりしている

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2013/6/11 「藪跳ねアヌーリッド」


帰宅中、田んぼの横を通るとゲコゲコとカエルの鳴き声が聴こえてくる季節になってきた。

MTGにおいてもカエルをモチーフとしたカードは多数存在するが、
最もトーナメントシーンで活躍したカエルこそこの籔跳ねである。

3マナ3/4というサイズとマナを必要としない驚異的な除去回避能力、
かつ共鳴者であり当時のスタンダードに日を浴びるルートワラ、尊大なワーム、栄光といった相方が多く存在したため多くのゲームでその跳ね回る姿を見ることになった。


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2013/6/10 「時のらせん」


本日は「時の記念日」だそうで、
この日に相応しいカードを...と考えると
真っ先にこのカードが浮かんできた。

同期にトレイリアのアカデミーという超マナ加速が存在したために、
6マナという重いコストを簡単に払えるどころか
マナが増えつつ7枚ドローという驚異的な恩恵をもたらすカードとなった。

もちろん同期の凶悪カード達と共に禁止の道を歩み、
最終的には全ての環境で禁止されるというタイトルホルダーでもある。

エターナルではその封が解かれ、
レガシーのハイタイドのエンジンとして息を吹き返している。


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2013/6/8 「氷河の城砦」


M14の情報も出だしたので、
Mシリーズの顔である土地サイクルから1枚。

10、11、12、13と時代が流れる中様々なデッキのマナ基盤として
多くのプレイヤーを支えてきた大黒柱である。

UWタップアウト、カウブレード、UWデルバー、トリコフラッシュなど
各時代のスタンダードに留まらず、
最近ではレガシーの奇跡コントロールでの採用も増えてきている。

窒息が存在する環境ではTundraを数枚
これと交換する戦略が功を奏する場面もある。

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2013/6/7 「闇の腹心」


多くのプレイヤーが待ちに待った「モダンマスターズ」が遂に発売された。
今回はセットの看板神話レアの1枚でもある闇の腹心を。

「最強のクリーチャーは?」という議論において、
このカード名が挙がらないことはまずないだろう。

公開されたカードが土地であれば無条件で追加のドローであり、
「土地をめくれば宇宙」という名言も生まれた。

環境を問わず、最高の相方は〈師範の占い独楽〉。
2ターン目に揃うこのコンビネーションは対戦相手にとっての悪夢そのものである。

このカードはインビテーショナルの優勝者によってデザインされたものであるが、
提出された原案は「G:対象のプレイヤーは毒カウンターを9個得る」というものだったり、
後にデザイナー本人がヴィンテージ世界選手権で使用し、
決勝にてこのカードのライフルーズで敗北するなどの伝説を残している。

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2013/6/6 「ネビニラルの円盤」


小説家ラリー・ニーヴン氏の名前のアナグラムであるネビニラル。

氏の短編小説における、
土地からマナを吸い出し魔法を奪う円盤へのオマージュとして、
逆さ綴りのネビニラルは
マナ以外のものを破壊するものとしてデザインされたと言われている。

リセット系の元祖であり、
ネクロディスクやユーロブルーといったデッキを支えた。

黎明期のカードであるが故、
プレインズウォーカーに触れないというデメリットはあるが、

それを逆手にとりエルズペスとの相性の良さを生かした
UWスティルがレガシー初期には存在した。

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