幽霊は黒や白の専売特許ではない。緑にだって存在するのだ。
緑と言えば、生命力あふれる野生の色。
死後の魂である幽霊とは縁遠そうに見える。
どちらかというと、森林に満ちた生命エネルギーの結晶体・木や森の精、エレメンタルの方が緑というイメージが強い。
今回紹介する緑の恐怖は、まさにそのエレメンタルである。
《幽体の魔力》はエレメンタルでありながらスピリットでもあるのだ。精霊の幽霊…というとあまりピンとこない。
このカードは次元ドミナリアが正常な機能を失っていた頃「時のらせん」にて登場したもので、そういう背景を考えると「魔力の暴走の結果、精霊と幽霊の隔たりが曖昧になってしまって一体化しているんだな」「既に死んだ精霊が、次元の危機に合わせて蘇ってきた」などと様々な解釈が出来て面白い。
カードとして見ても、5マナ8/8トランプルは破格のコストパフォーマンスだ。
元ネタになっている《Spectral
Bears》が時を経ることでこれほどまでに強力になるとは、クリーチャーの質の向上を感じずにはいられない。
相手が黒のパーマネントをコントロールしていなかった場合、Bearsは実質パワー1.5のクロックだが、魔力はパワー4.トランプルと、同マナ域で1:1ではまず討ち取れないタフネス8を加味すれば、5マナのクリーチャーとしては十分な性能だ。
Bearsには《クウィリーオン・レインジャー》という、アンタップを補助する名パートナーが存在したため、相手が黒くなくても活躍できた。
この魔力にも、同様にリメイクされた《スクリブのレインジャー》という単体でも強力なサポーターが同エキスパンションに収録されている。
この組み合わせは単にアンタップを助けるだけでなく、森を手札に戻す能力でマナを疑似的にブースト、18枚などの少ない土地構成でもこのカードを場に出しやすくする。
「スクリブ・アンド・フォース」と呼ばれるデッキが生まれるほど、この2枚は恐怖のタッグチームだったのだ。
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