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by Okamoto Keita
統率者戦攻略コラム(前編)の続きです。
・黒
ドロー&サーチ
《夜の囁き/Night’s Whisper》《血の署名/Sign
in Blood》《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian
Arena》《月光の取り引き/Moonlight Bargain》《古えの渇望/Ancient
Craving》など。
ドローは青の特権のように思えますが、黒にも多くあります。その多くがドローと引き換えにライフを要求してきますが、幸い統率者戦では初期ライフが40もあるので大きな痛手にはなりません。
また、他の色ではカードタイプ限定のサーチカードがありますが、黒には《吸血の教示者/Vampiric
Tutor》《Demonic Tutor》《魔性の教示者/Diabolic
Tutor》などのカードタイプを指定しないサーチカードがあります。これらは序盤にはマナ加速やドローカードを持ってきて、後半は適宜必要なコンボカードなどを探してこられる万能なものです。これらを採用できるだけで対応力が格段に上がります。
クリーチャー除去
《殺し/Snuff
Out》《四肢切断/Dismember》《喉首狙い/Go
for the Throat》《滅び/Damnation》《苦痛の命令/Decree
of Pain》など。
黒の特権といえばクリーチャー破壊でしょう。《殺し/Snuff
Out》や《四肢切断/Dismember》はマナコストをほとんど要求せずに多くのクリーチャーを破壊でき、《滅び/Damnation》ですべてのクリーチャーを破壊でき、《苦痛の命令/Decree
of Pain》はサイクリングで用いればインスタントタイミングで打ち消されずに多くのクリーチャーを破壊出来ます。
通常のクリーチャー同士の殴り合いになった時にはもちろん、よく採用される無限コンボはクリーチャーを介するものが多いので、それらを妨害する時にも必要になります。
墓地利用
《再活性/Reanimate》《ネクロマンシー/Necromancy(VIS)》《死体のダンス/Corpse
Dance》《不穏の標/Beacon of Unrest》など。
統率者戦では、初動が速くそのまま妨害をはじいて勝利まで駆け抜けられる時以外は基本的には長期戦になります。長期戦になると必然的に墓地が増えて、墓地利用を出来るデッキが有利になっていきます。黒は自分のクリーチャーのみならず対戦相手のクリーチャーも墓地から釣り上げる事が出来るので、臨機応変に動くことが出来ます。
黒を使う上で最も気を付けるべきなのはアーティファクト・エンチャントです。他の色との混色で対処できる場合は問題ありませんが、単色の場合は青のようなバウンスも無いので着地してしまったらどうしようもありません。かろうじて《ファイレクシアへの貢ぎ物/Phyrexian
Tribute》や《Gate to Phyrexia》でアーティファクトは破壊できなくもないですが、多くのリソースを要求されてしまいます。強すぎるアーティファクト・エンチャントはおとなしく他の人に任せましょう。
・ 赤
アーティファクト破壊
《汚損破/Vandalblast》《溶解/Smelt》《破壊放題/Shattering
Spree(GPT)》《破壊的脈動/Shattering
Pulse(EXO)》《溶融/Meltdown》《荒残/Rack
and Ruin(ULG)》《ヴィーアシーノの異端者/Viashino
Heretic(ULG)》など。
赤はエンチャントには触れませんが、アーティファクトなら比較的容易に破壊できます。赤はたいていの場合1対多数交換でしかアドバンテージを取れないので、《汚損破/Vandalblast》や《荒残/Rack
and Ruin(ULG)》などを序盤からどんどん使っていって対戦相手のマナ基盤を攻めて、アドバンテージ勝負に持ち込まれないようにしましょう。
赤単色の場合は特殊土地対策(《破滅/Ruination(STH)》《月の大魔術師/Magus
of the Moon》《血染めの月/Blood Moon》)を使ってマナ事故を引き起こさせてその間に展開するようにしましょう。
全体リセット呪文
《ジョークルホープス/Jokulhaups》《壊滅/Devastation》《黙示録/Apocalypse》《抹消/Obliterate》など。
赤が使うリセット呪文は、非常におおざっぱなものです。自分も含めて土地もクリーチャーも一気に破壊出来るので、もしその破壊を(《ダークスティールの板金鎧/Darksteel
Plate》や破壊されないクリーチャーや待機クリーチャーによって)免れることが出来れば更地にそのクリーチャーだけが残る事が出来るので一気に盤面を掌握する事が出来ます。
その効果は非常に大きい反面、何も考えずにただ盤面を更地にしてしまうだけだとトップ勝負になってしまい、ゲームがグダついてしまいます。使うときは十分注意しましょう。
赤の欠点は統率者戦においては多くあります。
マジックにおいて赤は火力呪文やダメージを与える効果を持つカードが多いですが、初期ライフが一人当たり40もある統率者戦ではプレイヤーへの戦闘ダメージでないダメージはほとんど誤差のようなものになってしまいます。
また、白のようにドロー手段に乏しく、すぐに息切れしてしまいます。白と同様にアーティファクトに頼る事で補いましょう。
さらに、黒のようにエンチャントに触る手段がありません。バウンスする事も出来ず、全体リセット呪文でもエンチャントを破壊出来ないものばかりです。これもまた破壊出来る人に一任してしまうしかないでしょう。
・ 緑
パーマネント破壊
《内にいる獣/Beast Within》《押し潰す蔦/Crushing
Vines》《帰化/Naturalize》《自然の要求/Nature’s
Claim》《酸のスライム/Acidic Slime》《森滅ぼしの最長老/Woodfall
Primus》など。
緑はクリーチャー、アーティファクト、エンチャント、土地、プレインズウォーカーと全てのパーマネントに触る手段があります。クリーチャーを破壊する方法は限定されますが、それ以外のパーマネントの破壊に関しては非常に得意としています。
エンチャントやアーティファクトが絡んだ無限コンボは非常に多く、また無限コンボでなくとも強力なエンチャントやアーティファクトは無数に存在するので、それらを簡単に処理できる緑は柔軟に戦える色と言えるでしょう。
アドバンテージが取れるカード
一概にアドバンテージと言ってもいくつかあります。
《調和/Harmonize》や《魂の威厳/Soul’s
Majesty》、《集団潜在意識/Collective
Unconscious》、《威厳の魔力/Regal Force》などの大量ドローカードによって息切れする事なくカードを展開できます。
《永遠の証人/Eternal Witness》や《デッドウッドのツリーフォーク/Deadwood
Treefolk》などの墓地回収カードによって継続的に脅威をつきつけ続ける事が出来ます。
良質なクリーチャー
緑はクリーチャーの色と言っても過言ではないでしょう。
各種マナクリーチャーはアーティファクトに頼る事なく、しかも多くの場合1ターン目からマナ加速に貢献出来るので、スピーディなゲームの展開が期待できます。
中堅どころのクリーチャーも強力なものが多く、《酸のスライム/Acidic
Slime》や《シルヴォクの模造品/Sylvok Replica》などの対応力重視のものから《野生の狩りの達人/Master
of the Wild Hunt》や《落とし悶え/Spawnwrithe》などの自軍を簡単に増強できるもの、《ゼンディカーの報復者/Avenger
of Zendikar》や《飢餓の声、ヴォリンクレックス/Vorinclex,
Voice of Hunger》、《テラストドン/Terastodon》、《巨大オサムシ/Giant
Adephage》などの圧倒的なパワーを持つカードまで網羅しており、デッキタイプにマッチしたクリーチャーの選別をしていく事ができます。
優秀なクリーチャーサーチ
《俗世の教示者/Worldly Tutor》は1ターン目から使っていけるクリーチャーサーチで、いつ引いてもその状況に応じたクリーチャーをサーチできる優秀なカードです。
《出産の殻/Birthing Pod》は、デッキ内のクリーチャーのマナカーブに気をつけないといけませんが、継続的にクリーチャーをサーチしていく事ができ、非常に強力です。
《歯と爪/Tooth and Nail》はクリーチャーサーチの中でも別格で、クリーチャー2枚だけで成立してしまう無限コンボがいくつかあるので、「1枚コンボ」と言われる事も多々あります。
緑の弱点としては、青以外の色全てに言えることではありますがパーマネントには触れるもののインスタントやソーサリーに干渉できないため、相手に強力なインスタントやソーサリーを使われると一気に不利になってしまう事が多い事があげられます。特にクリーチャーに頼る事が多いので、全体除去などを一度まともに喰らってしまうと立て直しが効く前に他の人に勝利を持って行かれる事があります。むやみにクリーチャーを展開しすぎないように注意しましょう。
最後に
統率者戦を楽しむ際に注意するべき点が一つだけあります。
このフォーマットをカジュアルフォーマットだからと気楽にデッキを組んでパーティゲームの一環としてプレイしたいカジュアルプレイヤーもいれば、カジュアルフォーマットとはいえ本気で勝ちに行きたいガチプレイヤーもいます。もちろん前者も後者もプレイスタイルとして正しい姿勢です。ですが、なるべく自分がプレイする環境に応じてデッキを構築していけるともっと長く統率者戦を楽しんでいけると思います。
ちなみに今後の記事では可能な限りカジュアルプレイヤー視点とガチプレイヤー視点のどちらで見ているかを明記するように努力していきます。カジュアルプレイヤーとガチプレイヤーの区別は厳密につけることはできませんが、この記事ではざっくりと「高いカードを惜しみなく使えるかどうか」で区別していきたいと思います。
今回の記事で各色の特色やよく使われるカードを挙げましたが、これらを必ずしも採用する必要はもちろんありません。あくまでもカジュアルフォーマットなので、自分の好きなカードやデッキ、コンボを使うのが一番長続きするコツです。
統率者戦はデッキを構築する楽しみも、実際にゲームをプレイする楽しみも他のフォーマットとは段違いです。近しい友人を誘って一回統率者戦をやってみればすぐにその魅力に気づくはずです。是非マジックの新旧入り乱れた混沌としたゲームを楽しんでみてください
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