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「よっしーの“渦巻け知識”」 知識その2 プレイングの追求(前編) 
 
text by Yoshihara Tomoki

 みなさんお久しぶりです。
 似顔絵が予想外に似てて驚いた、ライターのよっしーこと吉原です。
 前回の「知識その1:メタゲーム」に続いて、今回では筆者が選んだカードを前後編に分けて紹介していきたいと思います。



★《渦まく知識/Brainstorm》

 1枚目はコラム名の元ネタにもなっていて、レガシーの青いデッキならほぼ全てのデッキに採用されているこのカード。
 今更・・・と思う方も多いかもしれません。ですが、基本こそ大事! 
 このカードほど語り尽くせないカードは無いと言っていいほど濃厚な1枚です。

 まずはどういった状況で使えば最も強いのかを考えていきましょう。


【ケース1:手札が多く、無駄牌がある状況】

 この渦まく知識(以下ブレスト)というカード、3枚引いた後に2枚を戻さなければなりません。つまるところ手札が多ければ多いほど、戻す2枚の選択肢が増えます。手札に有効牌を残しやすくなりますね。

 また、手札が強い状況でプレイすべきカードではありません。手札が強い状況で撃って、有効牌を2枚引いたとしましょう。戻したいカードは1枚・・・これでは強力なカードを1枚ライブラリに戻さなければなりません。
 これは考え方によってはディスアドバンテージとも取れます。少なくとも、戻したい「このマッチで不要になるであろう」と思われるカードが2枚以上あればより効率良くプレイ出来ます。手札が強力な時に撃つブレストよりも、非常に有効的で強力な呪文となってゲームを支えてくれるでしょう。

【ケース2:ライブラリのシャッフル手段がある状況でプレイする】
 これがある時と無い時では、かなりブレストの強さが変化します。
 戻したい、つまり無駄牌をライブラリの上2枚に積むわけですから、当然これは引きたくありませんね。となってくると、何かしらのシャッフル手段を用いて次のドローに入りたいです。不要牌を引く可能性が下がり、有効牌を引ける可能性が出てくるというわけです。
 レガシー環境では主にフェッチランドや《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》等がシャッフル手段としてよく用いられますね。

【ケース3:手札破壊からの回避】
 相手の手札破壊に対応してプレイする。という事も多いかと思います。捨てさせたくないカードをライブラリトップに避難させることが出来ます。
 ただ、手札にどうしても隠したいカードが無いときはプレイしないで全部見せる。というのも1つの手なので、覚えておいてくださいね。必ずしも何かを隠さなければならないというわけでもありません。

【ケース4:他のカードとのシナジー】
 カードを2枚戻す部分を使い、他のカードとのシナジーを形成することもできます。
《闇の腹心/Dark Confidant》で失うライフを調節する。ターン終了時にライブラリトップに《終末/Terminus》を積み込んで奇跡を起こす。《相殺/Counterbalance》では相手の呪文に合わせて戻すカードを選んで打ち消します。

・弱いブレスト
 ブレストの強さというのは、タイミングによってかなり変わってきます。この見極めが上手ければ上手いほど、ゲームでの勝率も上がることでしょう。
 7枚の手札をキープして、1T目の相手のターン終了時にブレストをプレイしていませんか?  これは手なりでプレイしてしまっているか、もしくは手札が弱くて思わずプレイしてしまったか、或いはコンボデッキのような特殊な状況かのどれかだと思われます。

 手なりでプレイしてしまっているなら、それは完全な悪手だと言えるでしょう。結果として不要牌があったとしても、必ずそのうち1枚引かなければならないからです。
 手札が弱くて思わずプレイしたというならそれはマリガンハンドです。ブレストを1T目に撃たなければならないくらい弱いハンドならば、6枚のハンドに賭けた方がゲームとしての勝率は高くなるでしょう。

例題:たとえばこんな時
 ちょっとだけ、例としてこんな手札と状況があったとします。


手札


状況:盤面が拮抗している状況で、相手が攻めの一手で追加の生物をキャスト

 《Force of Will》 を撃たなきゃという状況で、手札に青いカードがブレストしかないコト。よくありますよね。
 私も今まで何回もこんな場面に遭遇してきましたが、その度に少し悩んでしまいます。結局は毎回ブレストをピッチコストにしての《Force of Will》 のキャストをするんですが、皆さんはどうしてますか?


○よっしーのワンポイントアドバイス
 ブレストのタイミングは、それこそ人によって様々です。これが正しいタイミングだ。というのは中々ありませんが、正しくないタイミングというのは往々にして存在します。
 これからブレストをプレイする前に、果たして本当に今プレイするべきなのか?と一呼吸置いて考えてみるのもいいかもしれませんね。



★《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

 瞬速で出てきて前方確認ができる、今やクロックパーミやコントロールに無くてはならない存在となりました。
 当然インスタントタイミングで出せるからこそ、いつ出すのかが難しいカードでもあります。そのタイミングによってはゲームの決め手になりうるカードです。どのようなタイミングがあるか、考えていってみましょう。

1、ドローステップにえいっ
 もっともよく使われるタイミングかもしれませんね。
ドローステップ中。つまり相手のターンのドロー後のメインステップに入る前にプレイし、手札を覗く事でそのターンの相手の脅威を取り除こうというプレイングです。
 相手にカウンターが無ければ、そのターンにプレイしてきたであろうプレインズ・ウォーカーやゲームを決めてしまいかねないソーサリー・置物等をライブラリのボトムへ送る事が可能です。

2、エンドオブターンにえいっ
 これまたよく使われるタイミング。ターン終了時にプレイする事で、相手の手札の妨害カードを手札から引っこ抜きます。返しの自分のターンに強力なカードをプレイするための前方確認の意味があります。
 また、相手のプレインズ・ウォーカーへの攻撃手段としても優秀なクリーチャーでもあります。除去されるタイミングの一番少ないこのタイミングでプレイ→返しのターンでプレインズ・ウォーカーを攻撃、という場面もよく見受けられます。

3、自分のターンにえいっ
 瞬速だからといって、メインに出してはいけないなんて事はありません。
 相手がフルタップの時はなるべく打ち消されないように、インスタントをプレイされないよう自分のメインステップにプレイする、という事も頭に入れておかなければなりません。
 どのタイミングがもっともいいのかは状況によりますが、自分のターンにも出す事が多いカードでもあります。最も状況が良くなるタイミングで出しましょう。

4、○○にスタックでえいっ
 ここからはヴェンディリオンの上手なプレイの一つ、何かの起動能力や誘発に合わせてのプレイを紹介します。

《霊気の薬瓶/AEther Vial》
 薬瓶にスタックでプレイして、そのマナコストの生物を手札から引っこ抜くプレイ。
手札にそのマナコストの生物がそれだけだった場合、相手の薬瓶の起動を1回カウンターしたのと同義になります。

《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
 石鍛冶の起動に合わせて、手札から装備品を引っこ抜くプレイ
手札に石鍛冶の誘発で持ってきた装備品しかなかった場合、非常に効率よく相手の石鍛冶を無力化したといえるでしょう。

《実物提示教育/Show and Tell》
 相手のSnTに合わせて、出したいものを引っこ抜くプレイ
SnTに合わせて、相手の手札から決め手になるカードをボトムに送ってしまえば それこそこちらだけ出し得になることもあり得ます。

ドロースペルや能力
 相手のドロースペルや能力に合わせてのプレイ
よくあるのが、ブレストのキャストや《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の±0の能力起動に合わせてのプレイになります。
これは、相手のドローによってカウンターを引かれる前にヴェンディリオンを出してしまおうというわけです。

フェッチランド
 相手のフェッチ起動に合わせてのプレイ
フェッチの起動中なので擬似的にですが相手はマナが減っているため、カウンターさ れる可能性が減っています。そしてこのプレイがなぜ必要になってくるのでしょうか?
例えば、相手がブレストをプレイ→フェッチを起動と行動したとします。
ここでプレイすることによって、相手はシャッフルしたかったカードをまた1枚手札に加えなければならなくなります。相手が切羽詰っている状況でこのプレイが出来れば、相手にとってはかなりの誤算になりゲームは有利に進むことでしょう。

奇跡カード
 相手の奇跡カードの誘発に合わせてのプレイ
終末や《天使への願い/Entreat the Angels》はドローした時に公開する事で誘発する カードです。ドローした状態なので、奇跡誘発中のカードは手札にあるということ。
つまり、そのタイミングでヴェンディリオンをプレイすれば、奇跡カードをプレイする前にライブラリボトムに送り込むことができ、カウンターしたのと同じというわけです。
このプレイは日本を代表する最高のプロプレイヤー、あの黒田正城氏ですら知らずに誘発を解決してしまい、ヴェンディリオンを握ったまま自身の大好きな天使の群れに押し潰されてしまったコトもあるくらいです。

参考カバレッジ:
http://www.bigmagic.net/gpnagoya2012/ep2012/001.html

○よっしーのワンポイントアドバイス
 ヴェンディリオンは非常に多くのキャストタイミングが存在します。
少しタイミングがずれただけで、このカードのカードパワーは全く異なったモノになることもあるでしょう。
このタイミングを極める事が出来れば、確実に勝利へと繋がるでしょう。

《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》

 上2枚は少し濃いカードが続き胃もたれしそうな方に最後はあっさりとした1枚を。
 このカードにそんな細かいプレイがあるのか?と思うかもしれませんが、今一度確認してみましょう。


○コストXと烈日はイコールでは無い

このカードの細かいプレイはこれに尽きると言っていいでしょう。
これがどういう事なのか?どんな時に役立つのか? 一つずつ見ていきましょう。

1、特定カードにおける、追加マナが発生する時
 例えば《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》や《抵抗の宝球/Sphere of Resistance》が場に出ていたとします。このとき、爆薬のコストは「X+①」となりますね。
 「烈日」は唱えるために支払った色マナ1色につき1つのカウンターを載せます。
ということは、サリア等が出ていても出ていなくても、爆薬の烈日カウンターの数自体は変わらずプレイできるという事です。

①:X=2でプレイを宣言。2色払う。X=2で烈日は2

※追加コストを要求されている場合
②:X=
1でプレイを宣言。追加コストの支払いでもう1色払う。結果的に2マナ支払い、烈日は2となる。
両方とも2色使用しているので、烈日2で爆薬設置できるというわけですね。


2、特定マナ域以外でプレイしたい時
 特定のマナ域がいやなときってありますよね。例えば、《相殺/Counterbalance》がある場や相手の《呪文嵌め/Spell Snare》を警戒する時、また《虚空の杯/Chalice of the Void》がX=0で置かれている時もでしょうか。
 相殺が出ている時は、相手のライブラリトップに無いであろうマナ域で唱えたいものです。同じ色や無色で払えば爆薬の呪文コストだけ上げて、烈日は2のままといったプレイが可能になります。
 無色で払えば烈日は0のまま、コストは1や2といった支払いも可能でX=0のチャリスも怖くありませんね。


○よっしーのワンポイントアドバイス
 爆薬は上記のコトを知っているだけで、知らない人の何倍もの強さを発揮します。《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》が裏返った時用にX=0で先置き、なんてプレイもあるくらい、様々な使い方があります。
 爆薬に限りませんが、レガシーはどれだけ知っているかも勝敗を分けるファクターだと考えているので、このコラムが皆さんの知識になればと思います。



まとめ&次回予告
 さて、今回は少し長めに個々のカードのプレイングについて触れました。
前編後編に分けたこのコラムが、レガシープレイヤーの知識の一つになればいいなぁ…。

後編の次回は
新青い悪魔

よっしーの最も好きなアーティファクト
知識が多い程協力になる手札破壊
の3枚の細かいプレイングを追求していきたいと思います。

それでは、後編でお会いしましょう!
良いレガシーライフを。
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