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岡本桂多のKill them All! 第3回 統率者戦の基本その3 アーティファクトを極める(前編) 
 
text by Okamoto Keita

 お久しぶりです。統率者戦担当の岡本です!前回は統率者戦の基本から、各色でよく使われるカードを取り上げていきました。
 ですが、MTGには単色のカードだけではなく、多色のカードと無色のカード、そして土地カードもあります。今回はその中でよく使われるものを見ていきます。




・無色、アーティファクト

 アーティファクトでない無色のカード(土地を除く)は一握りしかないので、記事内では度々二つを混同して説明するかもしれません。あらかじめ注意しておいてください。



 無色のカードは何色の統率者のデッキにも入れられるため、必然的に見かける機会が多くなります。

 ただし、起動や誘発時に色マナを要求するものは統率者の固有色がその色を含んでいないとデッキに入れられないので注意しましょう(例:《鞭打ち悶え/Lashwrithe》、《メムナーク/Memnarch》、《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》など)




一概にアーティファクトといっても役割が多いので、カテゴリーごとに見ていきたいと思います。




・マナアーティファクト

 統率者戦ではマナはいつものMTG以上に重要になります。他の3人よりも一段階上のマナ域に到達する事はそれだけ強力なカードがプレイしやすくなるためです。

 土地やマナを自力で伸ばせる緑が入っていれば話は別ですが、入っていないデッキではマナアーティファクトに頼るほかありません。マナアーティファクトにも膨大な種類があるので、種類別に紹介していきます。



1.99%のデッキに入る
《Mana Crypt》《太陽の指輪/Sol Ring》


この2枚は群を抜いています。

 《Mana Crypt》は50%の確率で3点食らうデメリットを持ちますが、初期ライフが40の統率者戦においては誤差のようなものでしょう。それよりもいきなり2マナ生み出せる事のほうが重大です。ちょっとでもMTGをやった事のある人ならその異常性にすぐ気づくでしょう。統率者を再キャストする際の追加の2マナを一瞬にして調達してくれるため、あえて手札に持っておいて対戦相手の計算を狂わせる事も戦術の一つでしょう。難点としては過去に配られたプロモーションカードなので非常に高価な事です。

 《太陽の指輪/Sol Ring》は《Mana Crypt》と違って唱えるのに1マナかかりますが、その分デメリットもなく、一度出してしまうと後はどれだけ使っても問題ないので非常に使いやすいです。また、統率者デッキにて再録されたので比較的安価で手に入れる事が出来るため、《Mana Crypt》よりも親しみやすいカードといえるでしょう。

 どちらも1ターン目に出すことが出来るので、キープ基準として非常に優秀なカードです。



2.一気に加速したいデッキに入る
《魔力の櫃/Mana Vault》《厳かなモノリス/Grim Monolith》《Basalt Monolith》《水蓮の花びら/Lotus Petal》《金属モックス/Chrome Mox》《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》《オパールのモックス/Mox Opal》



 これらのカードは一瞬にしてマナ加速をしてくれる代わりに、再度利用するためにはそれ以上にコストがかかったり、1回きりしか使えなかったり、唱える時にディスアドバンテージを要求したりするものです。

 したがって、マナ加速した後でコストが重めのカードを継続的に叩きつけていく、いわゆる「ビッグマナ戦略」をしたいデッキにはあまりお勧めできないカードです。

 その一方で、マナ加速した後で一気にコンボを決めてゲームを終わらせるデッキや一時的に莫大なマナが必要となるデッキにはうってつけです。

 また、高価なカードではありますが《Timetwister》や《Wheel of Fortune》、《時のらせん/Time Spiral》、《意外な授かり物/Windfall》など、自分の手札が相手の手札より少ない時により大きな効力を発揮するカードを使う時には必要になります。



3.色が合うなら入る
《ゴルガリの印鑑/Golgari Signet》をはじめとする「印鑑シリーズ」、《威圧のタリスマン/Talisman of Dominance》をはじめとする「タリスマンシリーズ」、《炭色のダイアモンド/Charcoal Diamond》をはじめとする「ダイアモンドシリーズ」




 これらのカードは、安定の2マナ域のマナ加速といえるでしょう。1ターン目に「1.」で触れた2枚のカードから唱えて爆発的にマナを伸ばすのも良いですし、普通に2ターン目に唱えても十分に仕事をしてくれます。

 惜しむらくは対抗色のタリスマンが無いため、対抗色でデッキを組む時には必然的に少なくなってしまうことです。



4.その他よく採用されるマナアーティファクト

 《友なる石/Fellwar Stone》・・・卓の色次第ではありますが、最低でも1色は自分とかぶる色のデッキがあるはずです。それでなくとも2ターン目に安定してアンタップ状態で出せるマナアーティファクトなので単色でも採用される事があります。

 《スランの発電機/Thran Dynamo》・・・4マナと重いですが、2マナから4マナや3マナから5マナへのジャンプアップではなく、更に上の7マナ、8マナ域へのジャンプアップを目指したいデッキでは採用されます。

 《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot)》・・・安定して全色出すことが出来、しかもアーティファクト破壊によって破壊される事なくしっかりとマナを供給し続けてくれる安定感抜群のカードです。安定感重視すぎて加速力が足りないので他のマナアーティファクトよりは一歩劣るイメージです。とはいえ非常に安価なので頻繁に見かける事があるでしょう。

 《彩色の灯籠/Chromatic Lantern》・・・3マナから5マナへの加速だけではなく、自分の土地から好きな色のマナが出てくるようになるので、色拘束がキツいカードも簡単に唱えることが出来るようになります。たまに赤単色や赤を含む2色デッキで採用される《血染めの月/Blood Moon》などがあっても、これのおかげで自分は全くマナトラブル無くゲームを進めることが出来る素敵カードです。

 《連合の秘宝/Coalition Relic》・・・使わないでおけば(普段は)1マナ貯めておけるアーティファクト。3マナから5マナではなく6マナへ一気にジャンプアップしてくれて、それでいて使用に特に制限のかからない優秀なカードです。



マナフィルター
《彩色の宝球/Chromatic Sphere》、《彩色の星/Chromatic Star》、《テラリオン/Terrarion》、オデッセイの「卵シリーズ」など

 統率者の色拘束がキツいけどすばやく唱えないといけないデッキ(《結界師ズアー/Zur the Enchanter》、《巨大なるカーリア/Kaalia of the Vast》、《裏切り者グリッサ/Glissa, the Traitor》、《精霊の魂、アニマー/Animar, Soul of Elements》など)にたまに採用されます。《魔力の櫃/Mana Vault》などで無色マナは十分出せるが色マナが足りないので唱えられない・・・などの問題点を解決してくれます。また、マナを出す際に1ドローがついているものが多くて無駄になりにくいのが高評価です。

《鉛のマイア/Leaden Myr》などのマイアシリーズ

 2マナで出せて1マナ生み出せるアーティファクトクリーチャーなので、「召喚酔い」があり、普通に使うと「ダイアモンドシリーズ」と似たような使い心地になります。

 しかしこちらはクリーチャーなので、(《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》などで)速攻を持たせてすぐにマナを生み出せるようにしたり、クリーチャーであることを利用して《頭蓋骨絞め/Skullclamp》でドローに変換したり、色々とおまけがついています。もちろんクリーチャー破壊で破壊されてしまうので、どんなデッキにでも入るというわけではありません。




・ドローサポート

 マナ基盤が安定したら今度は安定したドローをサポートしてくれるアーティファクトに目を向けましょう。




《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》

 1マナでデッキの上から3枚を自在に操れる不思議な独楽です。レガシーを嗜んでいるプレイヤーならその強さは改めて説明する必要は無いでしょう。

 統率者戦においては各カードを1枚ずつしか入れられないため、そのデッキトップ操作能力は非常に重要です。

 ただ、混戦になりがちな統率者戦では3枚だけとはいえその順番に非常に悩んでしまうプレイヤーが多く、そのため1ゲーム1ゲームが無駄に長引いてしまう要因にもなります。このカードを使う時は、特に支障がなければ自分の次のプレイヤーのターン中からすでに起動して3枚見始めたりして円滑にゲームを進めるように心がけましょう。



《巻物棚/Scroll Rack》

 手札ではなくてライブラリーに収まっていて欲しいカードを用いるデッキ(《結界師ズアー/Zur the Enchanter》のエンチャントや《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》のドラゴンなど)や、独楽だけではトップ操作が不十分なデッキ(《アニマのメイエル/Mayael the Anima》や《コルフェノールの若木/Sapling of Colfenor》など)では採用されるカードです。

 独楽以上にシャッフル手段との併用が強く要求されるカードなので、採用する際には自分のデッキにシャッフル手段がちゃんと入ってることを確認してからにしましょう。



《水晶球/Crystal Ball》

 上の2種類には少し見劣りしますが、トップ操作をしつつ、不要なカードをデッキの下に埋める事が出来る点では上のカードよりも優秀といえるでしょう。

 シャッフル手段を無理に採用しなくても良いので、デッキ構築に無理を生じさせないのは良いですね。また、これは上2種のカードに比べるとものすごく安価なので、初心者の方でも無理なく入れる事が出来ると思います。



《精神の眼/Mind's Eye》《遠見の仮面/Farsight Mask》

 どちらも設置コストが5マナと重いですが、直接的なカードアドバンテージに繋がるカードです。白単や赤単など、自分の色のカードでは手札を直接的に増やせないデッキでは入れざるを得ないでしょう。



《頭蓋骨絞め/Skullclamp》

 本来はドローサポートカードではないのでここに分類するのは間違っていますが、デッキによってはこれにカードアドバンテージを依存する事もあるぐらいそのドロー能力は異常です。

 もちろん何も考えずにデッキに放り込んでも、タフネス1のクリーチャーを使わないデッキは稀で、そうでなくとも生け贄手段と併用したり、除去されにくくする抑制効果としても十分効力を発揮してくれるでしょう。





・装備品

 一旦戦場に出してしまえば何度でも利用できる装備品は統率者戦においては見かけない事がほとんど無いといっても良いでしょう。



・速攻付与+クリーチャーを守る装備品
《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》、《速足のブーツ/Swiftfoot Boots》



 この2種類、特に《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》はよく見かけるでしょう。統率者を中心とした構築になる事が多い統率者戦では、統率者への単体除去やコントロール奪取から装備コスト0マナで守れるこのカードは多くのデッキにとって非常に重要なパーツといえるでしょう。また、速攻を付与することが出来るのでいつでも奇襲を匂わせることが出来て盤面への良いプレッシャーとなりえます。


 《速足のブーツ/Swiftfoot Boots》は装備コストが1かかってしまい、マナがカツカツな構築だとしばしば抜けてしまう事もあります。しかし被覆ではなく呪禁を持たせるため、他のオーラや装備品などで更に強化していきたいデッキでは必要になります。

 また、《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》だけでは速攻付与手段が足りないデッキではよく採用されます。攻撃回数を稼ぎたい《巨大なるカーリア/Kaalia of the Vast》や《結界師ズアー/Zur the Enchanter》、強力なタップ能力を持つ《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》などではよく見かけるでしょう。



・純粋に強い装備品
 《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》や《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》をはじめとする剣シリーズ、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》など



 レガシーやモダンで強力な装備品は多くが統率者戦でも十分仕事をしてくれます。

 剣シリーズはそれぞれ異なった効果を持つので、自分のデッキにあった剣を採用すると良いでしょう。プロテクション付与も除去耐性を持たせるという意味では重要になるので色にも気をつけましょう。

 《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》は統率者戦では一見地味に見えますが、基本的にはいつでも軽いクリーチャーを除去れるように構えておく使い方になると思います。サイズの小さい統率者に頼るデッキでは《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を破壊するまで機能不全に陥ってしまう事もあります。



・コンボパーツとなる装備品
《パルンズの剣/Sword of the Paruns》《暗黒のマントル/Umbral Mantle》



 それぞれ装備品としてだけ見ると上記のものには劣りますが、タップで4マナ以上生み出せる状態のクリーチャー(《ラノワールの使者ロフェロス/Rofellos, Llanowar Emissary》や《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》、《貴重品室の大魔術師/Magus of the Coffers》など)に装備すれば無限マナになります。

 もしこれらの装備品を出されたらコンボされる前に破壊してしまうか、常に除去を構えて警戒しておくようにしましょう。



・その他よく使われる装備品

 《鞭打ち悶え/Lashwrithe》《悪夢の鞭/Nightmare Lash》・・・黒単の、特に《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》に採用される事が多い装備品です。黒単色ならその効果は絶大で、《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》デッキだと感染クリーチャーが多く採用されているので一撃で毒殺する事も十分可能な脅威の装備品となります。

 《囁き絹の外套/Whispersilk Cloak》・・・コストの重さに反して打点が全くあがらない欠点はありますが、単体除去もブロックもさせないという効果は一旦装備してしまえば相当強力なものです。特にパワーの大きい統率者で統率者ダメージでの勝利を狙うデッキでは採用に値するでしょう。

 《ダークスティールの板金鎧/Darksteel Plate》・・・これ自身も装備したクリーチャーも破壊されなくなる、非常に対処しづらいカードです。装備に対応してクリーチャーを破壊したり手札に戻したりして対処しましょう。赤系統の全体除去(《ジョークルホープス/Jokulhaups》や《抹消/Obliterate》など)と絡めて使うとお手軽コンボになります。

 《幻術師の篭手/Illusionist's Bracers》・・・無限コンボにはしづらいですが、起動型能力をもつ統率者のデッキならまず間違いなく入ります。

 《生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton》・・・何色のデッキでも入れる事が出来て手軽に感染を持たせる事が出来ます。更に+2/+2修正も感染を持ってしまうと馬鹿には出来ません。

 何色かに関係なく、コンボを決めずに殴り勝つ事を目的とするデッキの場合はほぼ確実に採用されます。《数多のラフィーク/Rafiq of the Many》、《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》、《黄金夜の刃、ギセラ/Gisela, Blade of Goldnight》、《戦導者オレリア/Aurelia, the Warleader》、《覇者、ジョー・カディーン/Jor Kadeen, the Prevailer》、《怒れる腹音鳴らし/Borborygmos Enraged》など、すんなりと採用される統率者は数多くあります。


後編に続きます。
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