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by Okamoto Keita
多色カード
多色カードはその色を全て含んだ固有色の統率者でなければデッキに入れる事ができないため、単色のカードや無色のカードと違って見かける機会は少ないかもしれません。
しかしその分強力なものや便利なものが多いので、注意しておいて損はないでしょう。
ここで紹介する多くのカードは実際にモダンやレガシーなどで結果を残しているので、見覚えのあるカードが多いと思います。
白青
《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter
Augustin IV》
統率者としての嫌らしさは想像に難くないでしょう。そうでなくとも統率者のコストが2マナ軽くなって、対戦相手の呪文のコストが増えて展開しづらくなるだけで十分に仕事をしてくれるでしょう。2回目以降に統率者を唱える時のコストも軽減できるので、再展開が非常に容易になります。また、パワーが2以下なので《目覚ましヒバリ/Reveillark》で容易に回収できる点も見逃せません。
青黒
《Lim-Dul's Vault》
2マナのインスタントながら、その時必要なカードが見つかるまで何度もライブラリーを掘り続ける事ができます。場合によっては多大なコストを支払う事になりますが、1枚ずつしかデッキに入れる事が出来ない統率者戦において擬似サーチカードはコンボデッキにとっては必要不可欠といえるでしょう。逆に、コンボを一直線に狙いに行かないデッキではアドバンテージを失うことになるので採用されないこともあります。
《概念泥棒/Notion Thief》
ドラゴンの迷路から参入したニューカマー。追加でドローをする事が多い統率者戦においてはタイミングを見計らって出せば一気にアドバンテージ差をつけることが出来ます。逆に相手が青黒で4マナ以上構えている時はこのカードに注意しましょう。
《疑念の影/Shadow of Doubt》
対戦相手のサーチカードに対応して撃つことで擬似的にカウンター呪文として使えるカードです。ハイブリッドマナなので比較的構えやすく、しかも1ドローもついているのでアドバンテージも失いません。
序盤は対戦相手の《木霊の手の内/Kodama's Reach》や《耕作/Cultivate》、《スカイシュラウドの要求/Skyshroud
Claim》などに対して積極的に使っていき、中盤から終盤にかけては《知識の搾取/Knowledge
Exploitation》や《歯と爪/Tooth and
Nail》、各種教示者、《生き埋め/Buried Alive》に対して使えるように構えていきましょう。
《ディミーアの魔除け/Dimir Charm》
3つのモードがどれも統率者戦では活きてくる場面があります。序盤はパワー2以下のクリーチャーを破壊するモードでアドバンテージを稼ぐクリーチャーを破壊し、中盤から終盤にかけては打ち消せないとほぼゲームが終わってしまうソーサリー呪文(《歯と爪/Tooth
and Nail》や《ジョークルホープス/Jokulhaups》、《時間の伸長/Time
Stretch》など)を打ち消したり、ライブラリーの一番上に置く教示者に対して使って事実上の打ち消しとして扱ったりと、いつ引いてきても腐る場面がほとんどありません。
黒赤
《終止/Terminate》
シンプルな2マナの除去です。破壊対象の制限もなく、再生も許さないので非常に信頼がおけます。黒赤が入っているデッキならほぼ確実に入る基本的な除去になるでしょう。
《狂気の種父/Sire of Insanity》
スタンダードでもその強力な手札破壊の威力は知られています。統率者戦では単純に効果を及ぼす相手が3人に増えたと考えるだけで十分強さがわかると思います。
ただ、このカードを採用するときはいつも以上に墓地利用が出来るような構成にしておくといいですね。《裏切り者の王、セドリス/Sedris,
the Traitor King》や《帰ってきた刃の翼/Bladewing
the Risen》など、墓地利用できる統率者に入れるのがわかりやすい使い方です。
《深火の精霊/Deepfire Elemental》
コストは少々重めですが、《ゴリラのシャーマン/Gorilla
Shaman》の強化版で、アーティファクトだけでなくクリーチャー破壊も出来ます。《ゴリラのシャーマン/Gorilla
Shaman》のように最序盤から《Mana Crypt》や《太陽の指輪/Sol
Ring》を破壊する事は出来ませんが、中盤以降の盤面の制圧力は圧倒的です。
《魂魄流/Torrent of Souls》
リアニメイト呪文は多々ありますが、このカードは少々コストが重いものの速攻を付与することもでき、パワー修正も終盤に一気に畳み掛けるときに相手の計算を狂わせることが出来ます。
《大釜のダンス/Cauldron Dance》
6マナと非常にコストは重いものの、リアニメイトしつつ手札からもクリーチャーを速攻もちで繰り出すことができます。
あまり有名ではありませんが、実際に使ってみると色々な状況に遭遇します。キキジキコンボや《不浄なる者、ミケウス/Mikaeus,
the Unhallowed》と《トリスケリオン/Triskelion》の無限コンボを一瞬で決めるのは、一度コンボパーツを対処させてから一瞬で奇襲できるのでスマートです。
手札から頑強持ちの《森滅ぼしの最長老/Woodfall
Primus》や《くぐつ師の徒党/Puppeteer
Clique》を出すことでターン終了時に生け贄に捧げてしまうデメリットを抑えたり、《金粉のドレイク/Gilded
Drake》を絡ませて大変な事にも出来ます。
赤緑
《大量破壊/Decimate》
1枚で4枚ものカードに対処できるカードです。赤緑という色の組み合わせでここまで一気にアドバンテージを取れるカードは珍しいですね。対象が1つでも取れないと打てないので当時は評価が低かったみたいですが、統率者戦では場にアーティファクトが出てないことはまず無いので、エンチャントが場に出てさえいれば問題なく打てるでしょう。
《外殻貫通/Hull Breach》
手軽に使えて1対2交換も取れる置物破壊です。マナアーティファクトや各種装備品、《森の知恵/Sylvan
Library》、《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian
Arena》など、破壊しないといけないエンチャントやアーティファクトは多いのでそれらに対して1対1交換を繰り返しているだけではジリ貧になってしまいます。
もちろんいざという時に打てないソーサリーという欠点はありますが、序盤から積極的に使っていくぶんには全く問題ない性能を持っています。
《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》
統率者戦では統率者に速攻を持たせる手段が大事になる事が多いです。ただ単に速攻を持たせるだけの《熱情/Fervor》よりは、いざという時にパワータフネス修正を与えられるこういったカードのほうが良いですね。
《炎樹族のシャーマン/Burning-Tree Shaman》
統率者戦では使い捨てのカードよりも何度も「起動」出来るアーティファクトやエンチャントの方が重宝されます。1点ずつとはいえ、それらを起動する度にダメージを受けていては勝負になりません。
もちろん自分への影響もあるので注意しないといけませんが、対戦相手の《師範の占い独楽/Sensei's
Divining Top》の起動を躊躇させるだけでなく、《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki,
Mirror Breaker》コンボに対する抑制にもなります。
緑白
《エラダムリーの呼び声/Eladamri's Call》《Altar
of Bone》
緑単色だけでもクリーチャーサーチは十分にありますが、緑のクリーチャーだけだったりコストが重かったり手札に直接こなかったりと色々と細かいデメリットがついて回ります。
《Altar of Bone》は追加コストでクリーチャーを生け贄にささげないといけませんが、どちらも直接手札に加えることができ、しかも2マナと軽いので非常に使いやすいクリーチャーサーチです。
《オーラの破片/Aura Shards》
自分がクリーチャーを展開するたびにアーティファクトかエンチャントを破壊することが出来ます。トークンデッキではもちろん、トークンをたくさん出さずとも十分に複数枚の置物に触ることが出来るでしょう。破壊は強制ではないので自分の置物に被害が及ぶことはなく、特に工夫なく入れるだけでも強力です。
《艦長シッセイ/Captain Sisay》
統率者としての強力さは有名ですが、普通にデッキに入れるだけでも強力です。何しろ統率者戦ではよく使われる伝説のパーマネントは非常に多く、《ガイアの揺籃の地/Gaea's
Cradle》や《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh
Norn, Grand Cenobite》など、大抵のデッキに入るカードを何も考えずに持ってくるだけでも十分です。
《果たし合いの場/Dueling Grounds》
トークンを並べて殴りあうデッキや、キキジキコンボに対して効果的なメタカードです。
当然のことながら自分も影響を受けるので、単騎で殴りにいく《数多のラフィーク/Rafiq
of the Many》や《鷺群れのシガルダ/Sigarda,
Host of Herons》などで使いましょう。
《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》
《目覚ましヒバリ/Reveillark》、《霊体の先達/Karmic
Guide》、《太陽のタイタン/Sun Titan》との無限コンボは統率者戦においては有名です。それでなくとも強力なクリーチャーを一度破壊から守ることができて、普通に使っても強いコンボパーツになっています。場に出たときに誘発する能力を持つクリーチャーとの相性もいいですね。
《真の木立ち/Sterling Grove》
緑と白は優秀なエンチャントが多くあります。《森の知恵/Sylvan
Library》や《よりよい品物/Greater Good》などのアドバンテージを稼ぐものから《オーラの破片/Aura
Shards》や《沈黙のオーラ/Aura of Silence》などの置物に直接干渉するもの、《適者生存/Survival
of the Fittest》などのクリーチャーサーチするもの、《ミラーリの目覚め/Mirari's
Wake》や《マナの反射/Mana Reflection》などのマナを倍加させて大量展開につなげられるもの等々。それらを破壊しづらくさせたり、いざという時にはサーチにも使えるこのカードは緑白でエンチャント主体のデッキにする場合は必須です。
白黒
《名誉回復/Vindicate》《屈辱/Mortify》
《名誉回復/Vindicate》はソーサリーながらどんなパーマネントも破壊でき、《屈辱/Mortify》はクリーチャーとエンチャントにしか触れませんがインスタントタイミングで対処できます。どちらも白黒が絡むデッキならすんなり入るでしょう。
《名誉の御身/Divinity of Pride》
初期ライフが40スタートの統率者戦ではこのカードはほぼ確実に5マナ8/8の強力なクリーチャーになるでしょう。コストが重いので《セラの高位僧/Serra
Ascendant》ほどの活躍は期待できないですが、《セラの高位僧/Serra
Ascendant》とは違って条件が達成できていなくても一定以上のパワータフネスがあるので終盤に引いたときの弱さがなく、安定して運用できます。
白赤
《摩耗/損耗/Wear/Tear》
赤緑の《外殻貫通/Hull Breach》の項目を読んでいただければこのカードの強さも理解してもらえると思います。
《黄金夜の刃、ギセラ/Gisela, Blade
of Goldnight》
統率者としての強さももちろんありますが、デッキに入れておくだけでも強力です。ダメージの発生源が誰のものかには関わらず自分以外のプレイヤーへのダメージが倍になるので、交渉材料にも使えます。
青赤
《変化/点火/Turn/Burn》
一度に2枚以上のクリーチャーに対処できる可能性もある除去です。序盤は点火の方だけでも十分で、融合で撃てば除去にもなり、変化だけでも多くのクリーチャー絡みの無限コンボは阻止できます。
《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the
Firemind》
統率者としてはもちろん、デッキ内に仕込んでおいて、「普通に使っても強い無限コンボパーツ」として運用するのも強力です。特に青赤黒のデッキなら黒の豊富なサーチカードを入れる事が出来るので、統率者として運用するときよりもコンボがそろいやすいこともあります。
青緑
《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster
of Trest》
現在の統率者戦における最強統率者の一角を担っています。マナクリーチャーを展開して一気に殴りかかり、追加ターンを得るカードを駆使して半無限ループに入る勝ちパターンは軽量除去をちゃんと採用していないと阻止しづらくなっています。
統率者としてではなく、普通にデッキに入れるだけでも強力なカードです。《トレストの密偵長、エドリック/Edric,
Spymaster of Trest》のコントローラーに攻撃をしてもドローが出来ないのでそこを上手く交渉材料に使って誘導していくのも面白いでしょう。
《冷淡なセルキー/Cold-Eyed Selkie》
統率者戦では青いデッキが多いので、島渡りは普段以上に強力な効果です。それに加えて、装備品などで強化してやれば一気にアドバンテージを稼ぐことが出来ます。ハイブリッドマナなので多少の色事故は簡単に乗り越えられる唱えやすさも高評価です。
黒緑
《突然の衰微/Abrupt Decay》
2マナと軽く、3マナ以下のパーマネントであればなんでも破壊できるので序盤から終盤まで腐る盤面が少なくて使いやすい除去です。
《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
モダンやレガシーの時以上に対象に取れる墓地が多いので比較的安定して効果を使えます。序盤はマナクリーチャーとして、中盤は黒マナの効果で「各対戦相手」にダメージを与え、終盤は墓地を利用した無限コンボに睨みを利かせることが出来、いつでも強いクリーチャーです。
《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》《化膿/Putrefy》
《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》はソーサリーながら何でも対処することができる便利除去です。《化膿/Putrefy》はクリーチャーとアーティファクトだけですがインスタントなので妨害手段として入れておくといざという時に助かります。
3色以上の多色のカードは入るデッキが限られるため、今回は2色のカードのみ紹介させていただきました。
デッキタイプによって必要なパーツはさまざまです。ここであげきれなかったカードも多数あるので、それについては今後機会があればその都度紹介していきます。
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