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リュウジのバーン道場 第4回 レガシーバーンのススメ 
 
text by Ryuji Murae 


 バーン道場と銘打っているからには一度は触れたかった題材。
時期的に今しかない!ってことでレガシーのバーンについてのあれこれです。


レガシーのバーンデッキ


 メインデッキに入っているカードはすべて相手のライフを削るためのものばかり。出来ることもすることも限られているバーンは、とても素直なデッキだと言えます。

 カウンター等のリアクションカードがないので、ルールを知っている人ならまず使えると思います。ただ、決して扱いが簡単なデッキではありません。




バーンの強み

・基本地形万歳
 土地がフェッチランドと山しかないので土地を切り詰めやすい。
安上がりですね! 土地を割られにくいということは、《不毛の大地/Wasteland》が飛び交うレガシー環境において大きなメリットです。《発展の代価/Price of Progress》で現実を叩きつけましょう。




・引きムラが少ない

 ライフを削るためのカードしか入っていないので、迷ったら全部本体!  ができるのはおそらくこのデッキだけです。



バーンの弱み

・単色である
 出来ることと出来ないことの差が激しく、サイドボードに融通が効きにくいです。出来ない=負けにつながることが多いので諦めが肝心です。


 単色デッキは本当に善し悪しがはっきりしています。僕自身は出来ないことはプレイヤーの工夫でなんとかなると思っているのですが、《神聖の力線/Leyline of Sanctity》等のアンチカードがどうしようもないと感じるなら素直に他のデッキを使いましょう。



それでも使う?それなら次にいきましょう。



 次はパーツ選択の当落線上にあるカードについて話をしようと思います。確定枠が割と多いデッキですが、その脇を埋めるカードによってデッキの性質も大きく変わってくるのでしっかり考えて選びましょう。



クリーチャー
 恒久的なダメージ源ですが、対戦相手の妨害にも遭いやすいところ。
《ゴブリンの先達/Goblin Guide》《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》が大抵のデッキで採用されおり、この2種類は文句のないところですが、あとは使う人が何を重視しているかで結構変わってきます。何ターン目に勝ちたいか、どの相手に勝ちたいかを考えて選びましょう。



《苛立たしい小悪魔/Vexing Devil》
 1マナ4点になり得るカード。

 おそらく2ターン目に出すのが一番強い(ダメージ効率を考えると1ターン目は基本的に先達が一番強い)
とてもピーキーな生物。時間が経つにつれて効果は薄くなっていきますが、本当に前のめりにいこうと思うならこれが一番かも。



《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》
 6点分になりうる歩く火力。キルターンをどこに設定するかで評価が変わってきます。

 カウンターにも耐性があるのでキルターンを遅め(5T以降くらい)に設定するなら息切れ防止にもなるのでいいと思いますが、それより速く相手のライフを0にすることを念頭に置くなら2マナを2回使うというのはかなり重い。

 あと《タルモゴイフ/Tarmogoyf》で簡単に止まってしまうのが僕は好きじゃないです。《火花の精霊/Spark Elemental》も似た理由でおすすめしません。



《ケルドの匪賊/Keldon Marauders》
 《呪文嵌め/Spell Snare》に引っかかる点を除けばタルモをブロックしつつ2点飛ばせたり、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》と相討ちも取れる点がRUG Delverに強いですね。単純に2マナ5点というマナ効率はコンボにも弱くないですが攻撃機会は一度しかないため、候補の中で最もチャンプブロックされやすいクリーチャーでもあります。

  個人的には石鍛冶系やRUG Delver等のメタデッキ相手には地獄火花の精霊よりもこっちの方が効果的だと思います。



《灰の盲信者/Ash Zealot》
 関西でよく見かけるクリーチャー。

 2マナ2/2とサイズは標準ですが先制攻撃がえらい。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を牽制し、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を一方的に潰せます。ANTのPIFルート(※1)を潰せるのもえらい。

 ケルドの匪賊、地獄火花の精霊との一番の違いは恒久的なクロックであることなので、その点をどこまで重視するかで評価が変わるクリーチャーです。

※1《炎の中の過去/Past in Flames》で墓地のカードにフラッシュバックを持たせ、墓地のカードを再利用することでストームを稼ぐ方法。灰の盲信者がいれば1度唱える度に3点のダメージを受けるので、大抵途中で力尽きてしまう。





《ボール・ライトニング/Ball Lightning》
 レガシーでの3マナは不意をつきにくいのがなんとも。3マナなら《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》程度の働きは欲しいですね。



呪文

 相手の場を無視できるのがバーンいいところ。突き詰めて生物にほぼ頼らないバーンも、相手が嫌がってとても気持ちいいです。基本的な1マナ3点火力以外に採用の余地があるカードを並べました。


《火炎の裂け目/Flame Rift》 
 2マナ4点とダメージ効率は抜群ですが、自身の命も削るもろ刃の剣です。
ダメージレースを挑む相手への使いどころは難しいですが、神聖の力線等で守りに入る相手に対しては心強い火力です。



《焼尽の猛火/Searing Blaze》 
 都合2マナ6点火力。使いどころは限られるものの、「クリーチャーに火力を使っていたらライフを削りきれなかった」という事態を回避してくれる強力なカードです。

 全く効果のないデッキも少なからず存在するので、メインボードに採用するかどうかはメタ読みが重要になってきます。



《マグマの噴流/Magma Jet》
 他にもっとあるでしょ?

 占術で追加の火力を探すよりも、これ自体を上記で挙げたようなダメージ効率のいいカードに変えた方が効率いいです。

 サイドインする対策カードを探したい? このカード自体がサイドアウト候補筆頭じゃないでしょうか。コンボ相手に対策カードを探しに行くには遅すぎるので、素直に対策カード自体を増やすことをおすすめします。



《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》
 3マナと重いですが相殺と虚空の杯をかいくぐり、ライフゲインも阻止する。更に対象を取らない恒久的なダメージ源と相手の妨害にめっぽう強いカードです。バーンの最終兵器的な扱いでいいと思います。

 ダメージレースで負けている時以外は基本的に出し得なので、枚数を多めにとっていいと思います。



《蛮族のリング/Barbarian Ring》
メリット:打ち消されにくい火力、土地としても呪文としても計算できる
デメリット:山じゃない、特殊地形、ダメージを受ける

 マジで使うのこれ?






バーンで勝つために

 バーンを使って勝つための一番の方法。それは・・・





































練習しましょう。


 マジックはこれに尽きます。バーンに限らずどのデッキも練習しないと勝てないです。デッキの強いところだけ引いて勝てることはあるけれど、バーンはライフを削る事に特化している分他の事に融通が効きづらいので、そこをカバーできるように練習しましょう。

 安定して勝てる人とそうでない人の差は、強い動きができなかったときや、相手に動きを阻害されたときにどれだけ勝ちにもっていける引き出しがあるかです。負けたときの自分のプレイ手順と相手のライフを覚えておきましょう。

 あと何点足りなかったか。足りない分はどうすれば削れたかを考えましょう。人に聞くのがおすすめです。

 めちゃくちゃ初歩的な練習ですが、これを完璧にできると勝てます。バーンはミスが相手の残りライフにそのまま出るので、こういった練習には最適です。



・おわりに

 僕がレガシーを始めたのが2010年の終わり頃。The Finals10が世界選手権10と一緒に開催されたときですね。Fire&Lightningの登場をきっかけに、新しいフォーマットに手を出すことにしました。Foilの《Chain Lightning》がかっこよかったのです。結局2年程をレガシーバーンに費やしました。

 レガシーフォーマット自体も、赤がメインカラーのデッキを使うのはほぼ初めてだったのですが、ライフの詰め方、火力の使い方。勝ち方。それに負け方。バーンは僕に多くのものを教えてくれました。

 現在も赤いデッキを好んで使用しているのは、レガシーバーンが僕のマジックの基礎になっているからに他なりません。レガシーを経験していなければ現在も赤いデッキを使っていなかったかもしれません。

 絶版カードが多いレガシーは日本では競技フォーマットになりにくく、カード単価も高いで敬遠するプレイヤーも多いと思いますが、これもマジック。

 新しい発見はきっとあるはず。グランプリの併催イベントの定番になっているレガシー選手権をはじめ、全国各地で大規模な大会も多く開催されているので是非レガシーの世界を経験してみてください!

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