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リュウジのバーン道場 第5回 テーロス環境の赤アグロ調整録 
 
text by Ryuji Murae

 とうとうテーロスが発売されました。注目カードTOP5の結果も出た頃でしょう。

 僕は相変わらず赤系のアグロデッキを使う予定なので、記事を掲載する時点で赤単が駆逐されていない事を祈りつつ、環境初期から一ヶ月後までと期間を定めて、赤単の使用・調整記録を書きたいと思います。

最初期(~9/29)
GPT香港 SE2没
21land
21 《山/Mountain》

26creature
4 《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》
4 《灰の盲信者/Ash Zealot》
4 《チャンドラのフェニックス/Chandra's Phoenix》
4 《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》
4 《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》
3 《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》
2 《軍勢の忠節者/Legion Loyalist》
1 《瓦礫帯のマーカ/Rubblebelt Maaka》

13spell
4 《ショック/Shock》
4 《稲妻の一撃/Lightning Strike》
2 《マグマの噴流/Magma Jet》
2 《向こう見ずな技術/Madcap Skills》
1 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
15sideboard
4 《頭蓋割り/Skullcrack》
4 《峰の噴火/Peak Eruption》
3 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
2 《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》
1 《変わり谷/Mutavault》
1 《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
 発売日に《火飲みのサテュロス》と《パーフォロスの槌》あとコモンとアンコモンを揃えてとりあえずデッキを完成させてFNMに参加。結果は2-0、3-0でした。

 「環境最初期の赤単は強い」の定説通りの結果になりました。

  あまりデッキを変える必要性もないと感じたので、メインに入れていた《パーフォロスの槌》をサイドボードに下げてGPTに参加しました。


R1グルールミッドレンジ○×○
R2青t赤アグロ○○
R3グルールミッドレンジ×○○
R4黒単アグロ○○
R5ID

スイスラウンド1位通過。

SE1黒緑ミッドレンジ○○
SE2グルールミッドレンジ××



  結果はSE2没。比較的相性のいい相手でしたがどちらも土地が2枚でストップしての負けでした。

 特にサイドボード後は《マグマの噴流》を使わずにクリーチャーを展開する事を選んだ結果《森の女人像》を出されて1ターンを無駄にし、3枚目の土地を引くのが遅れた等のミスが絡んでの負けだったので反省です。



サイド後ボード後の先手2T目に《ラクドスの哄笑者》を出した返しに《森の女人像》を出されるの図。

《マグマの噴流》→《火飲みのサテュロス》でアタックでも2点通ることに変わりがなかった。

1T目に《踏み鳴らされる地》を出されていたため3枚目の土地を探して初手からあった《峰の噴火》に繋いだ方が明確に強い場面。

《ラクドスの哄笑者》を出すのは素で土地を引いた場合のみ強く、《森の女人像》1枚で2ターン目を無駄にし、裏目が多いため出すべきではなかったです。 

結果的に上から4枚土地が無かったため2T目に《マグマの噴流》を撃っていても土地は引けなかったのですが、上から3枚に土地があった場合を想定して適切なプレイをすべきでした。






 準決勝であえなく散ってしまったものの、この週末は10-1-1とまずまずの結果でした。

 赤単はここから対策されて辛くなっていくので、逆に言えば発売週はこれくらいの結果でないといけませんね。テーロス後最初のSCGも赤単が優勝していました。


中期(~10/06)
GPT香港 SE1没
21land
21《山/Mountain》

27creature
4《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》
4《火拳の打撃者/Firefist Striker》
4《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》

4《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》
4《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》
3《チャンドラのフェニックス/Chandra's Phoenix》
3《灰の盲信者/Ash Zealot》
1《軍勢の忠節者/Legion Loyalist》

12spell

4《ショック/Shock》
4《稲妻の一撃/Lightning Strike》
2《マグマの噴流/Magma Jet》
2《向こう見ずな技術/Madcap Skills》
15sideboard
4《頭蓋割り/Skullcrack》
3《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
3《峰の噴火/Peak Eruption》
2《反逆の行動/Act of Treason》
2《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》
1《変わり谷/Mutavault》
・前回との変更点

out《火飲みのサテュロス》、《瓦礫帯のマーカ》

in《火拳の打撃者》、《炎樹族の使者》


 《もぎとり》、《忌むべき者のかがり火》等が退場し、環境に全体除去が減ったので横に並べる戦略は前環境よりも有効そうだったので《火拳の打撃者》《炎樹族の使者》のパッケージを使ってみることにしました。

 《炎樹族の使者》のおかげで2ターン目のアクションからでも十分だと判断したことと、アグロ同士でのダメージレースがかなり辛かったことからサイドアウト筆頭候補だった《火飲みのサテュロス》を抜き、2マナ、3マナの枚数を微調整してデッキ完成です。

 少し重くなったことと、前回も土地が詰まると辛い展開が多かったため土地を22枚にしようかとも考えましたが、とりあえず今回このまま使ってみて判断しようということで他はいじらず。

 《反逆の行動》を使ってみたかったため、あまり考えずにサイドボードに突っ込んでいたカードと入れ替えました。



R1グルールミッドレンジ×○○
R2エスパーコントロール○○
R3黒赤アグロ○○
R4黒単ミッドレンジ○××
R5オロスコントロール○○

スイスラウンド6位通過

SE1赤単×○×



 スイスラウンドはなんとか通過したものの、SEで同系に負けあえなく一没。引いた《ボロスの反攻者》の数が勝敗に大きく関わるゲームでした。

 決してそれだけではありませんが、単色だと同系戦でできることの選択肢がとても少ない事を改めて感じさせられたマッチでもありました。



・試したカードの評価
《火拳の打撃者》《炎樹族の使者》

  この2枚のパッケージは感触や良し。大隊能力によるブロック妨害や炎樹族の展開力のおかげで《火飲みのサテュロス》を抜いたことによる再序盤でのスピードダウンもそこまで気になりませんでした。

 特に《炎樹族の使者》は《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》との相性も良好でした。



《反逆の行動》
 《冒涜の悪魔》を乗り越える為の採用だったのですが、結果は今一つでした。


 前環境の緑黒ミッドレンジよりも現在の黒単はクリーチャーが並びやすく、奪っても向こうの生物を生贄にささげられて終わり。という状況が起きやすくなってしまいました。

 《世界を喰らう者、ポルクラノス》等を奪っても《裏切りの血》と違いトランプルが付かない為、チャンプブロックで凌がれてしまいます。


 引けば勝てるという場面もあったのですが不確定な部分が多かったので、この枠は重くて強い《紅蓮の達人チャンドラ》や《鍛冶の神、パーフォロス》などにしてもよかったかなと思いました。



・デッキを振り返って
 赤と黒の隆盛により単体除去が強くなったことと、知られていると対処されやすい《向こう見ずな技術》などの点で押すカードは総じて厳しいという印象でした。奇襲系のカードは賞味期限も早いですね。


 前述の通り、環境に全体除去の数は減っている為、やはり面で押す戦略の方が有効だと感じました。







・プロツアーを経て
 そしてやってきたプロツアー“テーロス”。


 青単、黒単、赤系・・・。みなさんご存じの通り“信心”が大きくフィーチャーされた大会でした。マナシンボルが濃い事が強みにある環境がくるとは思ってもみませんでした。

 《モーギスの狂信者》が強いのは分かっていたのですが、《ニクスの祭殿、ニクソス》をはじめとした“信心”系のカードに辿り着いていなかった自分にとっては感心するとともに、トッププレイヤー達との差を感じさせられた週末でした。



 プロツアーで大きな印象を残したのが青単・黒単・それに通称コロッサスグルールと呼ばれる緑赤ミッドレンジでしょうか。この辺りと戦えるようなデッキでないといけません。






・赤単の“弱点”

 上記の3つのデッキと戦うことを考えたとき、致命的な弱点が浮き彫りになりました。



《波使い》
《冒涜の悪魔》
《世界を喰らう者、ポルクラノス》 

 どれも赤単が1枚で対処出来ないカードなのです。基本的にサイズの大きいクリーチャーには対処できないことが多いのが赤です。

  「俺は出されない」とタカをくくってしまう事も時には必要なのですが、これだけ採用率の高いカードを無視してしまうのはただの現実逃避です。


 出されても勢いで押せる場合もあるにはあるのですが、各デッキには《潮縛りの魔道士》、《ファリカの療法》、《森の女人像》と2マナ域にこちらの勢いを殺すカードを採用しているため、やはり別のアプローチを考えた方がよさそうです。

というわけでとても簡単な解決策を持ちだすことにしました。




・色を足そう
 「赤」が対処できないカードは他の色に対処してもらいましょう。ということで、文字通り「白」に白羽の矢を立てました。


 タッチカラーに白を選んだ理由はいくつかありますが、一番の理由は《岩への繋ぎ止め》がとても強いと考えたからです。

 かつての《未達への旅》を彷彿とさせるこのカードは上記のクリーチャー全てに1マナで対処できる素晴らしいカードです。追放なので《海の神、タッサ》や《ボロスの反攻者》が出た時も安心です。

 これと、かねてからパワー不足だと感じていた《ショック》を《ボロスの魔除け》に変えて、爆発力を高めるため《ニクスの祭殿、ニクソス》を忍ばせてデッキ完成です。

終盤(~ 10/20)
GP香港併催スーパーサンデーシリーズスタンダードTOP4
22land
13《山/Mountain》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
3《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
2《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》

27creature
4《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》
4《灰の盲信者/Ash Zealot》
4《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
4《火拳の打撃者/Firefist Striker》
4《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》
4《チャンドラのフェニックス/Chandra's Phoenix》
3《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》

11spell
4《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4《ボロスの魔除け/Boros Charm》
3《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》

15sideboard
4《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
3《頭蓋割り/Skullcrack》
2《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》
2《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》
2《異端の輝き/Glare of Heresy》
1《戦導者のらせん/Warleader's Helix》
1《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
 僕は別のイベントに参加していたため、友人にデッキを託したのですが結果は上々。5-1でTOP4に滑り込みです。デッキも友人も頑張ってくれました。

 急造なせいもあり荒い部分もあるリストですが、方向性は間違っていなかったと思います。



・試したカードの評価
《岩への繋ぎ止め》

 期待通りの働きでした。怖いのは《峰の噴火》と《漸増爆弾》なのですが、どちらも気にならないレベルでしか目にしませんでした。1マナなのでテンポ面でのアドバンテージを取りやすいのがよかったです。



《ボロスの魔除け》
 このデッキの《ボロスの魔除け》は4点ダメージと破壊不能の両面で受ける事ができる点が思っていた以上に強かったです。

 《ショック》は本体に撃つと弱かったですが、このカードは本体に重ねて撃つとそれだけで勝ててしまいますね。4点という数字は盤面に触れない事を差し引いても十分すぎました。



《ニクスの祭殿、ニクソス》
 無色マナが出るのが偉大。3枚目に置く土地としては申し分のない強さでした。

 ただ、嵌った時の爆発力はものすごいのですが、デッキ自体がそこまで信心を重視していないことと、序盤に重なったときのリスクを考えて2枚に落ち着きました。



《鍛冶の神、パーフォロス》
 僕自身はメインボードに採用したかったカードですが、消耗戦を前提としたサイドボード後のゲームに投入する戦略でも問題なさそうでした。チャンドラのフェニックスとの相性や良し。



《異端の輝き》
 緑白系の相手に対しては《ミジウムの迫撃砲》以上の働きです。《ボロスの反攻者》をノーリスクで対処できるので赤系相手にサイドインすることもあったり。思っていた以上に用途の広い、良いカードでした。


 自分でも使ってみましたが、新しく採用したカードがことごとく好感触でした。色を足すに足る働きはしてくれたと思います。

 《凱旋の神殿》が3枚なのは何かの間違いでなのでおとなしく4枚にしますが、それでも白マナが8枚しかないのは少し不安定なので、マナベース改善に取り組んでもいいかもしれないと感じました。




 と、ここで期限がきてしまいました。

 たった一ヶ月間の変遷でしたがいかがだったでしょうか。

 あくまで僕個人がこうやってデッキを作っているという一例なので、納得いかない方もいると思いますが、デッキを作るうえで大切なことは自分が納得し、デッキを理解できるかどうかです。是非自分が一番納得のいく形でデッキを作り上げてほしいと思います。



 スタンダードの本番は12月に行われるグランプリ静岡。本当はそこまでの調整過程までも記録したかったのですが、一ヶ月だけをみても色を足しているので、そこまでいくとデッキが変わっている可能性が大いにありますね。



 また機会があればお会いしましょう。それでは。
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