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Deck Remember Vol.1 「ふるーどスター」 
 
text by Iwa-Show

『マジックの長い歴史において、無限とも思えるような数のデッキが生まれては消えていった。彼らの存在は、いつか忘れ去られてしまうことだろう。彼らが忘れ去られてしまわない様に、彼らを知る者はその足跡を記し後世に伝える義務がある。その役目は、お前が果たすのだ。』



ある夜、プレインズウォーカーであるカーン様が僕の夢に出てきて、こう言い残して去って行った。最初は「マクト卿 ※」などと名乗っていたが「カーンさんでしょ?」と聴くと恥ずかしそうにスルーしながら本題に入っていったのを覚えている。

いやはや、面倒な…いや、やり甲斐のあるお仕事を押し付けられたものだ。ご随意に応えていきたい、ということで早速風化しつつある思い出たちを蘇らせていきたい。






※注1 マクト卿とは…「スカージ」背景世界において、邪神となって暴走した妹に嘆くカマール君に助言をするために、カーン様が用いた偽名。かっこいいね。
































第1回
「ふるードスター」


ほとんどの読者は初見の名前ではないかと思う。「ふる」が平仮名なのは決してミスタイプではない、この何ともゆるキャラチックな響きがこのデッキの正式名称だ。

1.詳細
このデッキは、「ミラディン」ブロック構築でその生を受け、その後スタンダードでも若干その姿を見せたデッキである。アーキタイプとしては、ロックデッキに分類される。ロックデッキとは、対戦相手を行動不能に貶めることに全力を注ぎ込み、相手の心をへし折ることを目的としたデッキである。過去には「ターボステイシス」や「プリズン」といったデッキが実績を残している。近年はこれらのデッキは誕生しない様にカードがデザインされているようで少々残念である。


話をふるードスターに戻そう。このロックデッキの軸は《時間ふるい》。
これを早いターンに設置し、以降は相手より重いカードをめくり続けて「ずっと俺のターン」することが目的のデッキだ。



デッキ名の平仮名の「ふる」はこの《時間ふるい》のことである。そして「ードスター」の部分はそのめくられる超ヘビー級のカードを代表して《ブルードスター》から取られている。平たく言うならダジャレである。





《知識の渇望》《加工》で引きこんだ《時間ふるい》を《ヴイダルケンの技術者》を用いてさっさと場に出し、以降は《洞察力》《洞察のランタン》でトップを操作し続けてがっちりとロックしながらアーティファクトを展開。勝負を決めるサイズになった《ブルードスター》や《マイコシンスのゴーレム》により場に出した《ダークスティールの巨像》で圧殺するわけだ。マナコストこそ力、マナコストが全てだ。






2.サンプル
今回この記事を書くにあたって、当時のふるードスターのレシピを探したのだが…

まだ、現代ほどネットに情報を配信し、共有して洗練するという文化がまだ発展していなかった頃のデッキであり、しかもトーナメントシーンに存在はしていたが残念ながら勝っていたデッキではなかったため(本当に残念ながら)、これといったレシピをみつけることが出来なかった。そのため、当時を思い出しながら作ってみたいと思う。

24land
20《島/Island》
4《教議会の座席/Seat of the Synod》

17creature
4《ヴィダルケンの技術者/Vedalken Engineer》
4《尖塔のゴーレム/Spire Golem》
4《ブルードスター/Broodstar》
3《マイコシンスのゴーレム/Mycosynth Golem》
2《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》

19spell
4《時間ふるい/Timesifter》
4《洞察力/Second Sight》
2《洞察のランタン/Lantern of Insight》
2《加工/Fabricate》
4《知識の渇望/Thirst for Knowledge》
3《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》
何これむっちゃ弱そうやん…




3.リブート
さて、風化させてはいけないということは現代にその血脈を蘇らせる必要があるということだ。
よりによってこんなクレイジーなデッキを…はっきり言って限界なのだが、やれるだけのことはやってみた。
22land
4《ウルザの塔/Urza's Tower》
4《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》
4《ウルザの鉱山/Urza's Mine》
8《島/Island》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》

10creature
2《荒廃鋼の巨像/Blightsteel Colossus》
4《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
4《マイアの戦闘球/Myr Battlesphere》

28spell

4《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《時間ふるい/Timesifter》
4《厳かなモノリス/Grim Monolith》
4《解放された者、カーン/Karn Liberated》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
2《巻物棚/Scroll Rack》
2《撤廃/Repeal》
2《真髄の針/Pithing Needle》





 俗に言う「ウルザトロン」とのハイブリッド型だ。もはやドスター要素はゼロなので「ふるザトロン」とでも改名した方が良いだろう。

 独楽とブレストでターンは得つつ、着実にウルザ土地を引くと言うのが目的だ。このコーナーをやるように言い出したカーン様もしっかり入っているので満足のはず!

 いや、むっちゃ弱いよね。お疲れ様でした。






4.終わりに
 はっきり言って無理ですよこんなもん。
ただ、この記事で1人でも多くの人にこのデッキを覚えてもらうことが出来たかと思うと、感無量である。

次回は、もっとリブートしやすいデッキを選ぼうと心に誓ったのだった。続く。
 
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