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by Kojiro Omonishi
皆さんこんにちは!
エターナルパーティ2013inグランプリ京都を運良く優勝する事ができたので、記事を書かせて頂く事になった表西
幸次郎(DN名:ストーンフォー次郎)です。レガシーの他にも、GPやPTで上を目指す為に「無限連合」というチームに所属して練習をしています。記事を書く経験が少ないので、至らない点もあると思いますが、よろしくお願いします。
今回の記事は、KMCサイトにて載っている私のコラムを先に読んでいただくとより分かりやすいので、良ければ先に読んでください。
【デッキ解説】ストーンフォー次郎のこのデッキを使え!!
前編
後編
KMCのコラムの内容は、優勝したリストの解説では無いのですが、エスパー石鍛冶の事は大体書いてあります。
では、簡単なデッキ解説からいきます。
デッキ解説
エスパー石鍛冶とは、手札破壊と軽量除去で序盤をしのぎ、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge
Mystic》+《殴打頭蓋/Batterskull》で場を制圧するデッキです。
様々な角度から相手の動きを妨害出来るので、どのデッキに対しても満遍なく戦えるレガシー界のオールラウンダーでした。
相性が悪いマッチはRUGデルバーか《燃え柳の木立ち/Grove
of the Burnwillows》+《罰する火/Punishing
Fire》を採用したデッキぐらいでしたが、その二つのデッキさえも克服する衝撃的なカードが登場しました。
そう、《真の名の宿敵/True-Name
Nemesis》です。
真の名の宿敵の参入
前までのエスパー石鍛冶は、ビート系・クロックパーミッション系・コントロール系に対抗する為に《未練ある魂/Lingering
Souls》を使っていました。
デッキ内での役割は
・除去に耐性がある
・クロックとしても優秀
・装備品を付けて殴れる
・PW対策
・チャンプブロック
等があります。
そして、この《未練ある魂/Lingering Souls》の役割を高い次元で補っているのが、真の名の宿敵です。
一度場に着地してしまえば、RUGデルバーの《敏捷なマングース/Nimble
Mongoose》を一方的に倒し、《罰する火/Punishing
Fire》をものともせず、あの青い悪魔「《精神を刻む者、ジェイス/Jace,
the Mind Sculptor》」も軽々となぎ倒していきます。
クリーチャーデッキからすれば、《殴打頭蓋/Batterskull》を装備した真の名の宿敵が完成すると、もうどうしようもありません。
「ブロックできない7/5絆魂・警戒」ですからね。
まさに、世界中の石鍛冶愛好家が待ち望んだ一枚と言えるでしょう。
ただし、真の名の宿敵によって強化されたのはエスパー石鍛冶だけではありません。
パトリオット(WURデルバー)とマーフォークも、真の名の宿敵を採用しています。
パトリオットは、今まで《聖トラフトの霊/Geist of
Saint Traft》を採用していました。
ですが、真の名の宿敵が出てからは、
・装備品を付けて殴りやすい
・ダメージが通りやすい
・地上の戦闘では最強
という面を考慮して、真の名の宿敵を優先して採用しています。
マーフォークは、マーべリックのサイズのでかいクリーチャー・ジャンドの豊富な除去を苦手としていましたが、真の名の宿敵は両方無視出来るので、新たなアタッカーとして採用されています。
この二つだけではなく、他のデッキにも真の名の宿敵が採用され始め、メタが変化していきました。
個人的なメタの予想としては
・マーフォーク・パトリオットの増加
・真の名の宿敵を無視できるコンボの増加
・コンボ系に強いRUGデルバーは現状維持か微減少
・マーべリック・ジャンド等のビート系は減少
と予想し、エタパに向けてデッキの構築をしました。
では実際にエターナルパーティ2013inグランプリ京都に持ち込んだデッキを載せます。
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エターナルパーティ2013inグランプリ京都優勝
Player:Omonishi Kojiro |
24land
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
3《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》
1《湿地の干潟/Marsh Flats》
1《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》
3《Tundra》
2《Underground Sea》
1《Scrubland》
2《島/Island》
1《平地/Plains》
1《沼/Swamp》
1《Karakas》
10creature
4《石鍛冶の神秘家/Stoneforge
Mystic》
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
3《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》
26spell
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
4《Force of Will》
3《思考囲い/Thoughtseize》
1《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
1《対抗呪文/Counterspell》
1《呪文貫き/Spell Pierce》
1《殴打頭蓋/Batterskull》
1《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
1《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
1《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
2《至高の評決/Supreme Verdict》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind
Sculptor》
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15sideboard
2《外科的摘出/Surgical Extraction》
2《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1《流刑への道/Path to Exile》
1《解呪/Disenchant》
1《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and
Famine》
1《盲信的迫害/Zealous Persecution》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《否認/Negate》
1《呪文貫き/Spell Pierce》
1《思考囲い/Thoughtseize》 |
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重要な変更点や、特徴的な部分だけ説明します。
3真の名の宿敵
今回は真の名の宿敵を4枚入れるほどビート寄りなデッキではないので、3枚にしています。テンポ系のクロックパーミッションであれば、引いた枚数がそのままダメージに直結するので4枚入れますが、今のコントロール寄りの場合では3枚で十分です。
2《至高の評決/Supreme
Verdict》 1《仕組まれた爆薬/Engineered
Explosives》
《至高の評決/Supreme Verdict》をメインから2枚採用しているのは、相手の真の名の宿敵を除去する為と、増えるだろうと予測したパトリオットとマーフォークを対策する為です。《仕組まれた爆薬/Engineered
Explosives》でも対策できますが、真の名の宿敵は放置すると負けてしまうので、確実に対処できる《至高の評決/Supreme
Verdict》を優先しています。
1《火と氷の剣/Sword
of Fire and Ice》
今の石鍛冶系のデッキは装備品をメインから3種類採用しています。
《殴打頭蓋/Batterskull》・《梅澤の十手/Umezawa’s
Jitte》・《火と氷の剣/Sword of Fire
and Ice》の3種類ですね。
前までは、2種類の装備品だけ使うのが一般的でしたが、真の名の宿敵が出てからは《火と氷の剣/Sword
of Fire and Ice》を足して3種類になりました。
相手の真の名の宿敵に守られて殴れない時も、《火と氷の剣/Sword
of Fire and Ice》があれば無視して殴れる為、最低限の枚数に絞った2種類から3種類に増やしています。
単体でも強いカードなので、今回の大会では活躍した一枚です。
3《ミシュラの工廠/Mishra’s
Factory》 1《忍び寄るタール坑/Creeping
Tar Pit》
DiaryNoteを徘徊中に、「《ミシュラの工廠/Mishra’s
Factory》をなぜ3枚も採用しているのか?」と疑問に感じている人をちょくちょく見かけました。
これは、いくつかの理由があります。
・不毛で勝負が決まるマッチが少なくなった
・PW対策
・《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》等の生贄系のスペルから真の名の宿敵を守る
・対コンボ用
この最後の対コンボ用はこれだけでは理解しづらいので補足します。
コンボを相手にしている時にこんな状況になったりしませんか?
①打ち消しはあるが場にクロックがない
②消耗戦の後、手札に打ち消しが無い為に早期に決着をつけたい
③《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and
Famine》が場にあって、クリーチャーが場にいない
毎回、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》をプレイして早いターンからプレッシャーをかけられる訳ではありません。
こんな状況になった時の為に、《ミシュラの工廠/Mishra’s
Factory》を3枚採用しています。特に、③の状況は《ミシュラの工廠/Mishra’s
Factory》に《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast
and Famine》を装備してアタックすれば4点と相手の手札を一枚奪いつつ土地が起きるので、カウンターを構えながら攻勢をかけられます。
1枚の《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》は昔からずっと使っていますが、真の名の宿敵が出てから《忍び寄るタール坑/Creeping
Tar Pit》が少し強くなりました。お互いに真の名の宿敵を出すとお互いがブロックできない殴り合いになるので、その殴り合いに参加できる《忍び寄るタール坑/Creeping
Tar Pit》は重要になっています。
エスパー石鍛冶の様な、カウンターとコントロール要素のあるデッキは、「攻めに回った時にいかに早く対戦相手を仕留められるか」が重要になります。これは、こちらが有利な場からクリーチャーが足りなくて攻めきれない時に、逆転されてしまう事があるからです。
ミシュラを入れるデメリットとして色マナが安定しなくなりますが、それでも様々な状況で役に立つので、入れてない方は試してみて下さい。
もし、このデッキを大会で使う場合、メインボードは《至高の評決/Supreme
Verdict》も入って、コントロール気味なデッキにしているので、プレイする際は、《至高の評決/Supreme
Verdict》の打ちどころに注意してください。
続いてサイドボードです。
サイドボード15枚分
2《外科的摘出/Surgical Extraction》
2《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1《流刑への道/Path to Exile》
1《解呪/Disenchant》
1《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and
Famine》
1《盲信的迫害/Zealous Persecution》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《否認/Negate》
1《呪文貫き/Spell Pierce》
1《思考囲い/Thoughtseize》
今回はサイドボードに大きな変更はないので、一枚だけ入れた《盲信的迫害/Zealous
Persecution》について
1《盲信的迫害/Zealous
Persecution》
これは、増えると予想した真の名の宿敵の対策カードです。エスパーカラーが採用できる真の名の宿敵を対策できるカードは何枚かあります。
・《至高の評決/Supreme Verdict》
・《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
・《盲信的迫害/Zealous Persecution》
・《仕組まれた疫病/Engineered Plague》
・《毒の濁流/Toxic Deluge》
・《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
《至高の評決/Supreme Verdict》と《仕組まれた爆薬/Engineered
Explosives》はほぼ確実に対処できて、《盲信的迫害/Zealous
Persecution》は装備品が付かない限りは相手の真の名の宿敵を対処できます。
《仕組まれた疫病/Engineered Plague》は自分の真の名の宿敵も影響を受けるので不可。《毒の濁流/Toxic
Deluge》は、個人的には試してみたい一枚ですが、ライフを払うのが少しネックです。1マナ重くなりますが《至高の評決/Supreme
Verdict》の方がいいですね。
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》は横に別のクリーチャーが居るだけで対処できないので、これも不可です。
仕組まれた疫病
→ 自分のネメシスも×
毒の濁流
→ ペイライフが×
リリアナ → 宿敵+他のクリーチャーがいると×
相手の真の名の宿敵を一方的に殺せると試合展開が楽になるので、今回は低マナで対処できる《盲信的迫害/Zealous
Persecution》にしました。
メインとサイドの《至高の評決/Supreme Verdict》・《仕組まれた爆薬/Engineered
Explosives》・《火と氷の剣/Sword of
Fire and Ice》・《盲信的迫害/Zealous
Persecution》は「自分の真の名の宿敵を強化し、相手の真の名の宿敵を対処する」というコンセプトを基に採用しています。
先に挙げた、《至高の評決/Supreme Verdict》と《仕組まれた爆薬/Engineered
Explosives》は一見このコンセプトから外れているように思われます。ですが、実は大きく関係しています。
それは、真の名の宿敵をプレイする最善のタイミングをこちらで決定することが出来るという点です。
真の名の宿敵が入っていても、それを除去することが出来ないデッキでは、一度真の名の宿敵を出されてしまうと戦闘が支配されてしまうことがあります。しかし、《仕組まれた爆薬/Engineered
Explosives》などはこちらの有利な部分を残しつつ相手の宿敵を除去することが出来ます。
(このデッキで言えば盤面が、石鍛冶+瞬唱(自分)vs真の名の宿敵(相手)と言った構図になったときなどですね)
あなたは相手の切り札を対処した後にこちらの切り札を叩き付ければ良いのです。
また、《至高の評決/Supreme Verdict》は相手が数で強引に押そうとしたときに真価を発揮します。こちらがダメージレースで先行しているときや、マーフォークなどの強化手段が部族ロードによるデッキなどには効果覿面でしょう。
数でダメージレースを逆転しようとする相手の目論見を阻止出来るわけです。
さらに、こういった防御策は相手だけが一方的に多くの真の名の宿敵を引いてしまったときの保険にもなります。
《殴打頭蓋/Batterskull》と《盲信的迫害/Zealous
Persecution》が真の名の宿敵を巡る攻防の「攻めの要」だとすれば、《至高の評決/Supreme
Verdict》と《仕組まれた爆薬/Engineered
Explosives》は「守りの要」にあたるでしょう。
ただ強いカードを使うというわけではなく、より最適な方法で使うことを意識しました。
その他の細かいカード選択についてはKMCのコラムで書いてあるので、「これはなんで使ってるの?」ってカードがあったらそちらの方を見て下さい。他にも良く分からない事があったら、ダイアリーノートで「ストーンフォー次郎」という名前で日記を書いているのでそちらに質問して下さい。出来る範囲で答えるようにします。
今回の記事は、これからも注目される真の名の宿敵を中心に書いていきました。エターナルパーティ2013inグランプリ京都ではトップ8の真の名の宿敵の使用者は二人だけでしたが、これからも真の名の宿敵の注目度は上がっていくでしょう。どんなデッキを使うにしろ、大きな大会では一度は対戦するはずなので、自分の愛用のデッキでの対処法は考えておいた方がいいです。
もし、真の名の宿敵を買うか迷っている方は、今の値段であれば購入しておいても損はしないと思います。それだけの強さと実績がありますからね。
もちろん、このBig Webでも真の名の宿敵は好評発売中です。
シングルカードはBig
Webで買うのがお得です。
レガシーでは強力なカードが出ると、当分の間はメタが安定せず、様々なデッキがトップ8に残れる可能性があります。今回の大会で言うとゴブリンは圧倒的な勝ち組でした。(使用者6人中2人がトップ8)
ゴブリンだけではなく、他のデッキでもメタを読んだカード選択をすれば、あなたがトップ8に残り優勝するのも夢ではありません。
そして、エターナルパーティ2013inグランプリ京都の熱も冷めない内に、12月21日からグランプリ静岡と並行して、日本レガシー選手権・Winterが開かれます!日本の大規模レガシー大会では初の試みとなる2日間に分けての開催です。これは、初のレガシーグランプリと言っても過言ではありませんね!あなたの愛用のデッキを持ち込んで優勝を目指しましょう!
次回は大会の簡単なレポートと動画を見ながらの解説の予定になっています。
それでは、また会う日まで!
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