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レガシー特別記事「Enter the Entomb ―レガシーにおける最強のリアニメイトを目指して」  
 




《納墓/Entomb》の出現により、リアニメイトは変わった。一見するとディスアドバンテージなだけのこのカードは、それまでの単なる大型生物を猥雑に釣るだけの退廃的な戦略から、状況に見合った生物をシルバーバレットし、その場に対処することが出来るコンボデッキへと進化した。

リアニメイトというデッキは本来のマナコストを無視する代わりにリスクを背負い、大型生物を早いターンに場に出すという、短期決戦型のデッキである。古くはドレッジの祖先とも言えるベリード・アライブに始まり、単純にデカブツを出す「ゴジラ・デッキ」から、アドバンテージを稼いでいく「エンドレス・リアニメイト」など、様々な形に姿を変え、有力なアーキタイプとして環境に残り続けている。

プロツアーニューオーリンズ01
順位:TOP8
Player:Chris Schafer
Deck Name:David Humpherys
Deck Designer:Rob Dougherty
22land
3 《リシャーダの港/Rishadan Port》
19 《沼/Swamp》

7creature
1 《悲哀の化身/Avatar of Woe》
2 《Krovikan Horror》
1 《マローの魔術師ムルタニ/Multani, Maro-Sorcerer》
1 《冥界のスピリット/Nether Spirit》
1 《新緑の魔力/Verdant Force》
1 《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin

31spell
4 《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
4 《ゾンビの横行/Zombie Infestation》
2 《動く死体/Animate Dead》
3 《生き埋め/Buried Alive》
4 《強迫/Duress》
4 《納墓/Entomb》
4 《再活性/Reanimate》
4 《死体発掘/Exhume》
1 《虐殺/Massacre》
1 《汚染/Contamination》
15sideboard
1 《悲哀の化身/Avatar of Woe》
1 《隆盛なるエヴィンカー/Ascendant Evincar》
2 《汚染/Contamination》
3 《棺の追放/Coffin Purge》
1 《無のロッド/Null Rod》
2 《虐殺/Massacre》
1 《恐怖/Terror》
2 《ファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator》
1 《非業の死/Perish》
1 《骨砕き/Bone Shredder》

「《納墓/Entomb》」の出現により、リアニメイトのスピードは格段に速まる。「《ゾンビの横行/Zombie Infestation》」と「《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》」による息切れ防止も兼ね備えたデッキから「《納墓/Entomb》」の歴史は始まる。



*《納墓/Entomb》と釣竿

基本的にリアニメイトは2枚コンボである。序盤に決着をつけたいため、広大なカードプールからもっとも軽い釣竿が優先される。



デッキ名の元になった「《再活性/Reanimate》」はライフと引き替えに怪物たちを蘇らせる。相手の墓地も対象に取れるため、カウンターやハンデスと組み合わせればさながら《支配魔法/Control Magic》のように機能する。

一方、ほぼデメリットなしでリアニメイトできる「《死体発掘/Exhume》」は、珍しく対象を取っていない。相手の墓地攻撃に《納墓/Entomb》を重ねれば怪物たちが速やかにゲームを終わらせるだろう。

幾度のオラクル改変を重ねた「《動く死体/Animate Dead》」は上記の2枚を足して割ったような呪文である。ほぼノーリスクでどの墓地からも釣ることができるが、対処されやすい呪文でもある。

まず「カードを墓地に置く」というワンアクションがいるため、無駄になりやすいカードが多く、脅威が
一箇所なため対処されやすいのが弱点ではある。



*発掘とフラッシュバック



発掘やフラッシュバックをもつカードとの相性は抜群ではあるが、かの「フローレス・ブラック」の《吸血の教示者/Vampiric Tutor》のようにその時々の対処手段をシルバーバレットで探す、というわけにはいかなかった。再利用できるカードというものはカードパワーを抑えられているものである。それでも《壌土からの生命/Life from the Loam》、《暗黒破/Darkblast》、《カラスの罪/Raven's Crime》、《未練ある魂/Lingering Souls》など様々な試みがあったが、デッキとなるには至らなかった。



*青黒リアニメイトと《神秘の教示者/Mystical Tutor》

Grand Prix–Madrid
順位:優勝
Player:Andreas Muller
Deck Name:
Deck Designer:
16land
2 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2 《島/Island》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
2 《沼/Swamp》
4 《Underground Sea》
2 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》

7creature
1 《魅力的な執政官/Blazing Archon》
1 《浄火の大天使/Empyrial Archangel》
2 《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
2 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》

37spell
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《入念な研究/Careful Study》
1 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《目くらまし/Daze》
1 《残響する真実/Echoing Truth》
4 《納墓/Entomb》
4 《死体発掘/Exhume》
4 《Force of Will》
4 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
4 《再活性/Reanimate》
1 《実物提示教育/Show and Tell》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
15sideboard
1 《動く死体/Animate Dead》
1 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《残響する真実/Echoing Truth》
1 《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《誤った指図/Misdirection》
2 《非業の死/Perish》
1 《実物提示教育/Show and Tell》
3 《呪文貫き/Spell Pierce》
1 《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》
1 《拭い捨て/Wipe Away》
1 《森滅ぼしの最長老/Woodfall Primus》

リアニメイトを語る上でもう一つ外せないサーチカードがある。《神秘の教示者/Mystical Tutor》である。この2種類のサーチが使える

最大規模のレガシーGPであるマドリードにおいて、リアニメイトが優勝に至ったことは当然と言える。

《神秘の教示者/Mystical Tutor》によりほぼすべてのカードにアクセスできるこのデッキは、状況に応じた対応が可能で、速度がある上に対応力が高いという、ほぼ隙なしのデッキである。しかし、当然というか、レガシーのコンボデッキ安定の底上げを担っていた青い教示者は、先輩である「《吸血の教示者/Vampiric Tutor》」の後を追うかのように禁止となった。



*「《納墓/Entomb》」先の選択
MTGには気が遠くなるほどのデカブツが存在する。大海原から如何にして釣り上げる魚を見つけるのか。環境理解と、対処のしにくさを基準としてクリーチャーたちは選別されていく。


《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》

イオナによる呪文封じはカウンターによるバックアップを更に強固にする。懸念材料である《剣を鍬に/Swords to Plowshares》さえ封じれば7/7飛行が速やかにゲームを決めるだろう。


《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》

一見すると4/7は力不足に見えるが、相手の行軍を叩き潰す白の法務官は、《再活性/Reanimate》によるライフ損失の隙を狙ってくるミシュラ・ランドなどの存在すら許さない。


《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》

魅力的な鯛である《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》は釣ることの叶わないクリーチャーである。攻撃力とひきかえに除去体制を得た文字通りの「魚」はメバルのように釣られてきた。


《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》

ひと昔前、スタンダードにおいて《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》を釣るデッキが日本選手権を制した。

アクローマの後継機とも言えるこのメカローマは2種類の除去耐性を持ち、《再活性/Reanimate》のデメリットをライフ回復で補うこともできる。


《魅力的な執政官/Blazing Archon》

ドレッジやゴブリンなど、尖ったクリーチャーデッキを1対で完封できるクリーチャー。役割は前述のエリシュ・ノーンによく似ているが、《再活性/Reanimate》との関係上、マナ・コストの低いノーンが優先されている。


《絶望の天使/Angel of Despair》

最速のコンボデッキのひとつであるリアニメイトだが、リバイアサンは《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》で対処され、イオナは《Karakas》により返される。

1枚のスロットをあけることでそれらのパーマネントに対処できるなら安いものだろう。


《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》

パーマネント対策として《納墓/Entomb》からシルバーバレットされる。《動く死体/Animate Dead》とのシナジーがあり、ほぼ専用コンボとしてセットで使用されている。


その他にも様々なクリーチャーたちがいるので、その時々で入れ替えることができるのがリアニメイトデッキの魅力のひとつである。

パーマネント対策なら、《森滅ぼしの最長老/Woodfall Primus》、《灰燼の乗り手/Ashen Rider》、《スラクジムンダール/Thraximundar》、《虐殺のワーム/Massacre Wurm》などを。防御型なら《白金の帝像/Platinum Emperion》、《古鱗のワーム/Elderscale Wurm》、《浄火の大天使/Empyrial Archangel》といった具合に。



*ジン=ギタクシアスの登場




「《納墓/Entomb》」から「《再活性/Reanimate》」という、ハンドアドバンテージを失っての短期決戦に臨むリアニメイトデッキは、初太刀がすべてであり、それを躱されると、ライフ、手札ともに底を尽き、サンドバッグにされるだけだった。

ファイレクシアの法務官、ジン=ギタクシアスはリアニメイトが求めていた能力を持っている。
その重すぎるマナ・コストは問題にならず、圧倒的なアドバンテージと絶望的なハンデス能力で対戦相手の行動を封じ、一見リアニメイト生物としては物足りないパワー/タフネスも次の矢につなげることで補える。

過剰ともいえるドローはディスカード・ルールを利用するとともに、溢れかえる手札で相手の対処手段をあざ笑うことができる。《Force of Will》という最強のカウンターのコストにあてることも可能なので複数枚の投入も可能だ。

しかし同時期には《精神的つまづき/Mental Misstep》が存在したため、こちらも採用できるとはいえ、「《納墓/Entomb》」「《入念な研究/Careful Study》」といった“埋める”手段がすべて封じられてしまってはなす術がなかった。

グランプリ・広島併催 日曜レガシーオープン
順位:Top8
Player:Kamemaru Tsubasa
Deck Name:
Deck Designer:
17land
2 《島/Island》
2 《沼/Swamp》
4 《Underground Sea》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
3 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
3 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》

9creature
3 《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1 《絶望の天使/Angel of Despair》
1 《浄火の大天使/Empyrial Archangel》
1 《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》
2 《不運な研究者/Hapless Researcher》

35spell
4 《Force of Will》
3 《目くらまし/Daze》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
3 《思案/Ponder》
4 《納墓/Entomb》
4 《入念な研究/Careful Study》
4 《再活性/Reanimate》
4 《死体発掘/Exhume》
3 《動く死体/Animate Dead》
15sideboard
1 《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《魅力的な執政官/Blazing Archon》
3 《強迫/Duress》
2 《呪文貫き/Spell Pierce》
3 《実物提示教育/Show and Tell》
1 《残響する真実/Echoing Truth》
1 《拭い捨て/Wipe Away》
2 《真髄の針/Pithing Needle》

*《グリセルブランド/Griselbrand》の登場


イニストラードブロックはレガシーを変えた。「《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》」に始まり、「ヴェールのリリアナ」、「《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》」「《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》」彼らはスタンダードだけでなく、レガシーでも猛威を奮うことになる。だがアヴァシンの帰還での獄庫の解放により“バーゲン”の意志を受け継ぐ悪魔「《グリセルブランド/Griselbrand》」の支配を許すことになる。

現在でも禁止リストに名を連ねる「《ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain》」となんら遜色ない能力をもつ「《グリセルブランド/Griselbrand》」は、ジン=ギタクシアスや《大祖始/Progenitus》を押しのけ、リアニメイトはもとより実物提示教育デッキでもその実力を遺憾なく発揮しだす。

絆魂とそのドロー能力により“ネクロ・ドレイン”や“ピット・サイクル”を1枚で表現したようなこのデーモンに対しては対処手段が限られ、かの「《剣を鍬に/Swords to Plowshares》」ですらメリットとしてとれる、ファッティデッキには申し分ないクリーチャーであった。
StarCityGames.com - Legacy Open 2012/05/27 Nashville
順位:16位
Player:Dustin Sendejas
Deck Name:
Deck Designer:
18land
4 《島/Island》
2 《沼/Swamp》
4 《湿地の干潟/Marsh Flats》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《Underground Sea》

7creature
1 《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》
1 《絶望の天使/Angel of Despair》
1 《浄火の大天使/Empyrial Archangel》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1 《グリセルブランド/Griselbrand》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》

35spell
4 《渦まく知識/Brainstorm》
3 《目くらまし/Daze》
4 《納墓/Entomb》
4 《Force of Will》
4 《入念な研究/Careful Study》
3 《死体発掘/Exhume》
4 《思案/Ponder》
4 《再活性/Reanimate》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《動く死体/Animate Dead》
15sideboard
3 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
1 《魅力的な執政官/Blazing Archon》
3 《残響する真実/Echoing Truth》
3 《強迫/Duress》
4 《実物提示教育/Show and Tell》

*メインからの脅威の出現


リアニメイトに対する対策とは何であろう? そう、それは墓地対策である。《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》、《外科的摘出/Surgical Extraction》etc…。しかしこれらはサイドボードにあるカードであり、また墓地対策もサイド後のゲームにするものだった。それまでは。

メイン戦において相手の干渉しにくいリソースで戦うリアニメイトは、サイド後これらの墓地対策をいかに躱すかが課題ではあったが、それは同時に1本目を比較的とりやすいこのデッキは、同じようにサイドからの墓地対策“対策”をとることで戦うことができた。

しかしメインから構成を崩さずに投入することができ、まさにリアニメイトを狙い撃ちしたかのようなこれらのカードに対して、メインから場に干渉する手段をもたないリアニメイトは以前までのメイン優勢を覆され、サイド後さらに追加される墓地対策により苦渋をなめるだけであった。死儀礼により4色化も現実的に可能なデッキが増え、《Karakas》の増加もリアニメイトの衰退に拍車を掛けていった。

リアニメイトは二の矢を「《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》」に委ね、目には目を、歯には歯を、「Karakas」には「Karakas」を。リアニメイターたちが試行錯誤の末に行きついたのが、最強のプレインズウォーカー・ジェイスに泣きつくことだった。

Legacy MOCS - #4965124
順位:1位
Player:Roon
Deck Name:
Deck Designer:
16land
2 《島/Island》
1 《湿地の干潟/Marsh Flats》
2 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《沼/Swamp》
4 《Underground Sea》
1 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》

7creature
1 《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
4 《グリセルブランド/Griselbrand》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》

37spell
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《納墓/Entomb》
4 《Force of Will》
4 《入念な研究/Careful Study》
4 《死体発掘/Exhume》
4 《思案/Ponder》
3 《再活性/Reanimate》
2 《実物提示教育/Show and Tell》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《動く死体/Animate Dead》
4 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
15sideboard
2 《裏切り者の都/City of Traitors》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
2 《Karakas》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《撤廃/Repeal》
2 《実物提示教育/Show and Tell》
1 《呪文貫き/Spell Pierce》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
元々単体で圧倒的な能力をもつ「《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》」は青であればほとんどのデッキが何も考えずに採用している。では何故今までリアニメイトはジェイスを採用しなかったのか。それは《目くらまし/Daze》の採用と、ほとんどが2マナ以下の呪文で構成されているために、限界まで削ぎ落とした土地の数からはジェイスの着地が現実的ではなかったからである。荒波のように寄せ来るアンチ・カード群に対して導き出した“答え”ではなく“妥協”が土地の増量とPWの採用であった。


*リアニメイトの様々な実験

デッキ構築をするときには相手のベストな行動を完封するイメージをしながら組むべきだ。対戦相手の脅威に対処していくために試行錯誤がなされ、日々、色々なカードが試されていく。

・《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》とのハイブリッド
石鍛冶パッケージに加え、剣を鍬にやKarakasを積むことができる。瞬殺パターンのあるコントロールデッキとして組むことが出来ればよいだろう。3色という性質上、《Force of Will》が採用しにくいことが難点である。

・相殺独楽とのハイブリッド
エメリアの盾、イオナで青を指定し、相殺独楽で《剣を鍬に/Swords to Plowshares》をはじく。一見理想的に見えるが、スロットを割きすぎるため、良構築には至らないかもしれない。

・《もみ消し/Stifle》、《不毛の大地/Wasteland》
たった1枚のKarakasを引かれて対処できない、というのはよく目にする。カナディアン・スレッショルドと同じ理論のリアニメイトに挑戦できればと思う。


*ネオ・ピット・サイクル



実物提示教育デッキの《騙し討ち/Sneak Attack》による速攻は《グリセルブランド/Griselbrand》の絆魂メリットを存分に発揮させる。リアニメイトのコンボ要素を強めたデッキが「Tin-Fins」である。

Sample Deck:Tin-Fins
13land
4 《湿地の干潟/Marsh Flats》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《Scrubland》
1 《沼/Swamp》
1 《Tundra》
2 《Underground Sea》

5creature
2 《コーリスの子/Children of Korlis》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
2 《グリセルブランド/Griselbrand》

42spell
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《納墓/Entomb》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
3 《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》
4 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4 《思案/Ponder》
1 《再活性/Reanimate》
4 《浅すぎる墓穴/Shallow Grave》
1 《沈黙/Silence》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
15sideboard
2 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《残響する真実/Echoing Truth》
1 《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》
2 《虐殺/Massacre》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《永遠からの引き抜き/Pull from Eternity》
2 《沈黙/Silence》
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
《浅すぎる墓穴/Shallow Grave》により速攻で走らせた《グリセルブランド/Griselbrand》の大量ドローを糧に軽量スペルを連打し、十分にストームのたまった「苦悶の触手」が相手のライフを奪う。その動きはどこか「ピット・サイクル」にも似ている。また、2種類の釣竿がインスタントなので《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》による場の壊滅も狙える。


*《納墓/Entomb》以外の《納墓/Entomb》方法
StarCityGames.com Legacy Open on 10/20/2013
順位:13位
Player:Chase Hansen
Deck Name:
Deck Designer:
17land
2 《島/Island》
3 《沼/Swamp》
2 《湿地の干潟/Marsh Flats》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
2 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《Underground Sea》

11creature
1 《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
4 《不運な研究者/Hapless Researcher》
1 《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
2 《グリセルブランド/Griselbrand》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1 《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》

32spell
2 《動く死体/Animate Dead》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
3 《目くらまし/Daze》
2 《残響する真実/Echoing Truth》
4 《納墓/Entomb》
4 《Force of Will》
1 《誤った指図/Misdirection》
4 《入念な研究/Careful Study》
4 《死体発掘/Exhume》
4 《再活性/Reanimate》
15sideboard
2 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《悪意の大梟/Baleful Strix》
1 《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》
1 《魅力的な執政官/Blazing Archon》
2 《水没/Submerge》
1 《拭い捨て/Wipe Away》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
2 《虐殺/Massacre》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
《納墓/Entomb》が毎回初手にくるわけではない。《グリセルブランド/Griselbrand》が如何に強くても、手札の中では何もしてくれない。入念な研究や《不運な研究者/Hapless Researcher》がドローからディスカード、2つの役割を1枚で担ってくれる。《納墓/Entomb》と役割は似ているが、前者はソーサリーであり、隙をつきにくいことがある。後者はブロッカーとして使えるが、コンボデッキとしてはできる限り多くのカードにアクセスしたいものである。その他、《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》などの共鳴者が試されたりもしたが、Force of Willとの兼ね合いがあるため採用は見送られている。



*統率者2013



《真の名の宿敵》という無敵のマーフォークの出現により、環境は生物戦が中心となってきている。リアニメイトを始め、コンボデッキには追い風が吹いているといえるだろう。

統率者2013よりリアニメイトデッキが得たものは《毒の濁流/Toxic Deluge》や《進歩の災い/Bane of Progress》があるが、あくまでサイド候補であり、メインからの採用に足り得るものは手に入れていない。

青いタルモゴイフともいえる宿敵が“妥協リアニメイト”に投入されることもあるかもしれない。しかしあくまでリアニメイトの美学は“リアニメイト”である。“勝つため”に二の矢、三の矢があるのはとても重要だが、デッキのコンセプトに沿った勝ち方をすべきである。



*「ディスカードフェイズ」の利用

MTGには手札を持ちすぎないために「ディスカード」というルールがある。カードゲームというものは基本的には手札が多いほうが有利となる。それを緩和するためのルールがディスカードフェイズであり、本来は単なるデメリットとなるルールだが、リアニメイトにおいてはそのルールを悪用することができる。

後手1ターン目に釣竿とファッティはあるが「《納墓/Entomb》」や「入念な研究」がない場合、土地をセットしないことでファッティを墓地に埋め、リアニメイトの準備をすることができる。またコンボパーツが極限まで軽いため、複数回のマリガンも現実的である。リアニメイトデッキの真価はルールを利用できるところにある。
Sample Deck:Shutout Reanimate
17land
4《Underground Sea》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
3《島/Island》
2《沼/Swamp》

8creature
4《グリセルブランド/Griselbrand》
3《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》
1《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》

35spell
4《納墓/Entomb》
4《再活性/Reanimate》
4《死体発掘/Exhume》
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《思案/Ponder》
4《目くらまし/Daze》
4《撃退/Foil》
4《Force of Will》
2《誤った指図/Misdirection》
1《応じ返し/Snapback》
15sideboard
4《実物提示教育/Show and Tell》
4《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》
4《思考囲い/Thoughtseize》
2《真髄の針/Pithing Needle》
1《応じ返し/Snapback》
リアニメイトを極限まで追求し、過剰なディスアドバンテージを2種類のバーゲンによって補填する。悪魔と法務官への対処はすべて打ち消していく。「撃退」が打消しの水増しと、ディスカードを兼ねる。
サイドボードには実験的に「真の名の宿敵」を割いてみた。



*《納墓/Entomb》というカード



《納墓/Entomb》はサーチカードの1種であるが、いわゆる“チューター”教示者系と確実に違うのは、教示者たちは可能性を明確にしているだけであり、本来引くはずであったカードを再び探しているだけのカードかもしれない。しかしカードを墓地に置く行為は《納墓/Entomb》にしかできない。この1マナのちっぽけな呪文は、運命を変えるためのカードではなく、運命を決めるためのカードなのだ。

《納墓/Entomb》の出現によりリアニメイトは進化したが、「《納墓/Entomb》」はまだ未完成である。

《納墓/Entomb》というカードは発展途上であり、青黒リアニメイトは《納墓/Entomb》を全力で使っているデッキではない。
これから先のレガシーにおいて、《納墓/Entomb》でプレインズ・ウォーカーやエンチャントをサーチする、
そんな日がくることを望んでやまない。

 
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