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by Keita Okamoto
あけましておめでとうございます!
今年も統率者戦、デュエルコマンダーの記事をもりもり書いていきます!よろしくお願いします!
今回は去年の年末に開催されたGP静岡のサイドイベントの「DCC2013」(DCC=DUEL
COMMANDER CHAMPIONSHIP)のデッキ分布とトップ8、トップ8のデッキによく採用されているカード、そしてこの結果から考えられる今後の環境を解説したいと思います。
デュエルコマンダーで使われるカードはものによっては統率者戦でも採用に値するカードもあるので、デュエルコマンダーではなく統率者戦しかやらない予定の方でも一度目を通しておいて損は無いと思います。
まずはトップ8から紹介しましょう。
1位《野生の意志、マラス/Marath,
Will of the Wild》
2位《略奪の母、汁婆/Wort,
the Raidmother》
3位《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi,
Empyrial Tactician》
4位《幽霊の酋長、カラドール/Karador, Ghost
Chieftain》
5位《結界師ズアー/Zur the Enchanter》
6位《背教の主導者、エズーリ/Ezuri, Renegade
Leader》
7位《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial
Tactician》
8位《背教の主導者、エズーリ/Ezuri, Renegade
Leader》
トップ4までのデッキリストはこちらで参照できます。
8人中7人が緑を含んだデッキで、そのうち6人が2マナ以下のマナ・クリーチャーを5枚以上採用していました。
また、唯一の緑を含まないデッキである《結界師ズアー/Zur
the Enchanter》では2マナのマナアーティファクトを5枚採用したうえで《神の怒り/Wrath
of God》系統を3種類とっており、全体的に1〜2ターン目のマナ加速やマナクリーチャー、もしくはマナクリーチャー対策を強く意識したデッキが勝ち上がっている結果となりました。
参加者35名全員の使用ジェネラルは以下の通りです。
《背教の主導者、エズーリ/Ezuri,
Renegade Leader》
《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial
Tactician》
・・・各4名
《結界師ズアー/Zur the Enchanter》
《数多のラフィーク/Rafiq of the Many》
《巨大なるカーリア/Kaalia of the Vast》
・・・各2名
《野生の意志、マラス/Marath, Will
of the Wild》
《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》
《幽霊の酋長、カラドール/Karador, Ghost
Chieftain》
《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》
《悪辣な精霊シルヴォス/Silvos, Rogue Elemental》
《マナの座、オムナス/Omnath, Locus of
Mana》
《迷える探求者、梓/Azusa, Lost but Seeking》
《無情の碑出告/Heartless Hidetsugu》
《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
《朝の歌のマラレン/Maralen of the Mornsong》
《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God
of the Forge》
《死体生まれのグリムグリン/Grimgrin, Corpse-Born》
《アニマのメイエル/Mayael the Anima》
《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider
of Kher》
《鷺群れのシガルダ/Sigarda, Host of Herons》
《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》
《ギトゥのジョイラ/Jhoira of the Ghitu》
《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》
《首席議長ゼガーナ/Prime Speaker Zegana》
《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the
Firemind》
・・・各1名
35名全員分のデッキリストを紹介する事は出来ませんが、22名が緑を含んでマナ加速を意識して採用していた事、緑を含んでいないデッキは赤もしくは黒を大抵採用しており、マナクリーチャーを除去するカードを少し多めに採用していた事が分かりました。
全体的に青単、白単、青白は少なく、緑のマナ加速を使うかそれに対抗するかの二大勢力に別れている印象を受けます。
では、トップ8のデッキリストを主に参照しながら採用されているカードをその機能ごとにピックアップしていきましょう。
・マナ加速
—マナクリーチャー
《ラノワールのエルフ/Llanowar
Elves》
《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
《東屋のエルフ/Arbor Elf》
・・・6枚
《Fyndhorn Elves》
・・・5枚
《極楽鳥/Birds
of Paradise》
・・・4枚
《アヴァシンの巡礼者/Avacyn’s
Pilgrim》
《ボリアルのドルイド/Boreal Druid》
《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》
《献身のドルイド/Devoted Druid》
《ラノワールの使者ロフェロス/Rofellos, Llanowar
Emissary》
・・・3枚
《花を手入れする者/Bloom Tender》
《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》
《根の壁/Wall of Roots》
《クウィリーオン・エルフ/Quirion Elves》
《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》
《遺産のドルイド/Heritage Druid》
《心の管理人/Heart Warden》
《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers》
・・・2枚
《森の女人像/Sylvan Caryatid》
《旅するサテュロス/Voyaging Satyr》
《貴族の教主/Noble Hierarch》
《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》
《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》
《葉光らせ/Leaf Gilder》
《スカイシュラウドのレインジャー/Skyshroud Ranger》
・・・1枚
惜しくもトップ8の緑絡みのデッキ全員が採用しているマナクリーチャーはありませんでした。
多く採用されているマナクリーチャーはどれも「1マナで唱えられる」もしくは「2マナだが一度に2マナ以上のマナを生み出せる」のどちらかが条件となっています。
他には《遺産のドルイド/Heritage Druid》や《ティタニアの僧侶/Priest
of Titania》などのエルフデッキ専用のものや、《アヴァシンの巡礼者/Avacyn’s
Pilgrim》《花を手入れする者/Bloom Tender》など、多色デッキ用のものが採用されています。
マナクリーチャー対策としてはまずは単純にクリーチャー除去呪文が挙げられます。
《四肢切断/Dismember》《殺し/Snuff Out》《水没/Submerge》などの1マナ以下で撃てて尚且つ他のクリーチャーにも十分仕事をする単体除去呪文は、マナクリーチャー対策として考えなくても率先して採用するべきですね。
マナクリーチャー対策として追加で採用するのであれば《紅蓮地獄/Pyroclasm》《火山の流弾/Volcanic
Fallout》《神々の憤怒/Anger of the
Gods》などがリーズナブルなコストでそれでいて最低限の汎用性があるので、少し強めに意識するのであれば採用しても良いでしょう。
また、自分の統率者が起動型能力を使うものでなければ《呪われたトーテム像/Cursed
Totem》もオススメです。
統率者戦でもよく使われるこのカードはマナクリーチャーの動きを止めるだけにとどまらず、TOP8に入った《背教の主導者、エズーリ/Ezuri,
Renegade Leader》《野生の意志、マラス/Marath,
Will of the Wild》はもちろん、今回はあまりいませんでしたが《戦争のアスラ、ジェナーラ/Jenara,
Asura of War》《カーの空奪い、プローシュ/Prossh,
Skyraider of Kher》などの人気統率者の動きを止める事も出来ます。
《呪われたトーテム像/Cursed Totem》では《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi,
Empyrial Tactician》の戦場に飛び出してくる起動型能力を止める事が出来ない点だけ注意しましょう。
—緑のマナ加速
マナクリーチャー以外にも緑はマナ加速の手段があります。その中でもトップ8のプレイヤーが採用していたのは
《楽園の拡散/Utopia Sprawl》
・・・4名
《繁茂/Wild Growth》
・・・3名
《自然の知識/Nature’s Lore》
《三顧の礼/Three Visits》
・・・2名
《肥沃な大地/Fertile Ground》
・・・1名
ここでもやはり1マナのマナ加速が重要視されている事がわかります。
土地にエンチャントしてマナ加速するものは《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi,
Empyrial Tactician》との相性が良く、トップ8に二人入っているため多少多めに感じられるかもしれません。
デュエルコマンダーではレガシーと似た環境という事もあり、《不毛の大地/Wasteland》の採用率も高く、うかつに特殊土地にエンチャントしてマナ加速していくのは危険です。基本土地にエンチャントするか、《自然の知識/Nature’s
Lore》《三顧の礼/Three Visits》《遥か見/Farseek》などのソーサリー呪文でマナ加速するようにしましょう。
クリーチャー除去と兼用できるマナクリーチャー対策と違って、この種類のマナ加速の対策は不可能ではありませんが汎用性が高いものは多くはありません。
《楽園の拡散/Utopia Sprawl》系の土地にエンチャントするものであれば《酸のスライム/Acidic
Slime》《不毛の大地/Wasteland》などの土地破壊やエンチャント破壊、《三顧の礼/Three
Visits》などのライブラリーから土地を探す系のものであれば《疑念の影/Shadow
of Doubt》《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》などのサーチ抑制カードが一応対策カードとして挙げられます。
基本的にここに関しては対策をするよりも自分もマナ加速して速度で追いつくようにした方が良いと思います。
通常の統率者戦と違って、《木霊の手の内/Kodama's
Reach》《耕作/Cultivate》《スカイシュラウドの要求/Skyshroud
Claim》などの3マナ以上のマナ加速呪文の枚数が非常に少ないですね。
この点から、緑絡みのデッキは1、2ターン目に絶対にマナ加速をして、他の最速で2ターン目からしかマナ加速を出来ないデッキに差をつける動きを重視している事がわかります。
—マナアーティファクト
緑が入ってるデッキは上記2種類のマナ加速のどちらかもしくは両方を採用していましたが、入っていないデッキでマナ加速するためにはアーティファクトに頼るほかありません。
トップ8に入っていた《結界師ズアー/Zur the Enchanter》は、印鑑シリーズ(《ディミーアの印鑑/Dimir
Signet》《オルゾフの印鑑/Orzhov Signet》《アゾリウスの印鑑/Azorius
Signet》)とタリスマンシリーズ(《発展のタリスマン/Talisman
of Progress》《威圧のタリスマン/Talisman
of Dominance》)のみ採用していました。
マナアーティファクト対策は単純に《汚損破/Vandalblast》《自然の要求/Nature's
Claim》などのアーティファクト破壊や《無のロッド/Null
Rod》《石のような静寂/Stony Silence》などのアーティファクトの起動型能力を禁止するものが挙げられます。
しかし、統率者戦では卓のうち誰かしらは影響を受ける《無のロッド/Null
Rod》シリーズですが、デュエルコマンダーではそうとは限りません。
《Mana Crypt》《太陽の指輪/Sol Ring》《師範の占い独楽/Sensei's
Divining Top》といったほとんど誰でも採用しているアーティファクトが禁止されている事が大きく、あまり影響が及ばない可能性があります。
上記の《汚損破/Vandalblast》《自然の要求/Nature's
Claim》は一度に複数破壊出来たり同時にエンチャントにも触れられたりと他に使い道はあります。しかし《無のロッド/Null
Rod》シリーズは自分で装備品などを使わないように構築に制限をかけてまで使うほどでは無いと思います。
マナ加速は重要な要素ではありますが統率者戦の時とは異なり、ほぼ入っていないデッキも存在していました。
更に、マナアーティファクトを採用しているデッキも全体的に枚数が少なく、大体5枚以下のものが大半でした。
これは、緑に当たった時の事を考えると緑のマナ加速とは違い2ターン目からしか加速出来ないので追いつく事が出来ず、それならばいっその事相手を減速させるカードにカードの枠を割いた方が良いというある意味開き直り的な考えからではないかと思います。
ただ、僕個人としてはマナ加速の枠をマナ加速対策にするよりは、2マナのものでも良いのでマナ加速をしっかりと5枚以上入れて、他のスペースでマナ加速対策も出来るような構築にした方が良いと思います。それぐらいデュエルコマンダーでのマナ加速は重要なものだと考えます。
ちなみに上記のマナアーティファクト以外では《精神石/Mind
Stone》《厳かなモノリス/Grim Monolith》《金属モックス/Chrome
Mox》《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》各種ダイヤモンドシリーズ(《緋色のダイアモンド/Fire
Diamond》等)などが採用されていました。
このあたりのチョイスは統率者戦と特に変わりはありませんね。
今回はここまで。中編に続きます。
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