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表西幸次郎 千里の道も一歩から(仮)第1回 
 
text by Kojiro Omonishi 

 MTG、あなたは本当に楽しんでますか?

 MTGには様々な楽しみ方がある。

例えば

case1:友人とワイン片手にフリープレイ


case2:手汗握り、緊張感溢れる大会で真剣勝負

case3:トレードしたり(あっ、その極楽鳥と、この甲鱗のワームでトレードしません?)

case4:同じカードをひたすら集めて愛でたり(石鍛冶ちゃん可愛い


 MTGの楽しみ方は人によって違い、多数のフォーマットがプレイされています。
その中でも、スタンダードとドラフトは気軽に始められて、GP・PTQ・GPT・店舗大会も多数開催されており、プレイヤー数も多いので人気のフォーマットです。

 でも、最新のカードばっかりの現代社会にあなたは疲れていませんか?
 目まぐるしく変わる環境、次々と発表される新デッキ、それに慣れてきたと思ったら、休む暇もなく発売される新セットに心休まる時もありません。これでは、現代社会を生き抜くMTG戦士達も《疲労困憊/Exhaustion》です。





 トーナメントマジックに疲れた方も、普通のマジックに飽きてしまった方も、ちょっと気分転換してみませんか?
歴代の強カードを詰め込み、一度デッキを作ればずっと遊べて、適度に大会もあり、なんてったって面白い!
 
そんな、夢のようなフォーマットがあります。

それは・・・レガシーです。



みなさん、こんにちは!

 今回からレガシー記事の新連載を始めさせて頂く、表西  幸次郎です。
この記事は、レガシーを始めたい人・レガシーのプレイスキルを上げたい人向けの記事です。最初から読み続けていくと気が付いたら強くなっているような記事を目指していくのでよろしくお願いします。

では第1回目は、レガシーの説明と実際にデッキを準備する方法を紹介します。





Chapter1:「レガシーって何?」


 レガシーは、今まで発売されたカードをほとんど使用する事が出来るフォーマットです。  あまりにも強いカードは禁止になりますが、膨大なカードプールからデッキを作る事が出来る為、デッキの種類が豊富にあります。 

 日本でも、ここ数年で人気急上昇中のフォーマットで、年を追うごとに大規模大会での参加人数は増えてきています。

 他にも新たな試みとして、GP静岡のサイドイベントで「2日間に分けてスイスランドを行う」日本レガシー選手権2013Winterが開催されました。GPの本戦一日目と開催日程が被ってしまったので、参加人数は普段より少なくなりましたが、レガシーに参加する為だけに170人ものプレイヤーが集まり、冬の日本王者を決める熱い戦いが繰り広げられました。


 これは、どんどん盛り上がっていくレガシーを始めるしかありません!


 そんな、レガシーの面白い所も紹介していきましょう。




Chapter2:レガシーの面白さとは?


 レガシーでは様々なカードを使う事が出来るので、レガシーでしか使用できない強力なカードを使う事が出来ます。
例えば、

・《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
・《渦まく知識/Brainstorm》
・《Hymn to tourach》
・《Force of Will》
・《不毛の大地/Wasteland》


 これらのカードは使ってみると分かりますが、レガシーでしか味わえない程のカードパワーがあります。特に、《渦まく知識/Brainstorm》のカードパワーはすさまじく、劣勢の場から一気に逆転出来る程の力を持っています。

 こういう強力なスペルを使えるのは、レガシーでしか体感できないので、プレイした事の無いプレイヤーは是非レガシーを始めてみて下さい!

 レガシーの面白さはそれだけではありません。大規模大会のTOP8を見続けているとすぐ分かるのですが、レガシーはどんなデッキを使っていても勝てる可能性があります。

 前回の日本レガシー選手権2013Winterではペインターというデッキが優勝しました。まさか、このデッキが優勝するとは誰も思わなかったでしょう。

日本レガシー選手権2013WINTER優勝  Shimizu Hiroki
19land
2《裏切り者の都/City of Traitors》
3《古えの墳墓/Ancient Tomb》
3《教議会の座席/Seat of the Synod》
3《大焼炉/Great Furnace》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3《Volcanic Island》
1《島/Island》

8creature
4《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》
4《絵描きの召使い/Painter's Servant》

33spell
4《渦まく知識/Brainstorm》
3《思案/Ponder》
3《Transmute Artifact》
3《Force of Will》
3《稲妻/Lightning Bolt》
2《赤霊破/Red Elemental Blast》
2《紅蓮破/Pyroblast》
4《丸砥石/Grindstone》
3《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》
3《オパールのモックス/Mox Opal》
2《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
1《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
15sideboard
2《呪文滑り/Spellskite》
2《白鳥の歌/Swan Song》
2《直観/Intuition》
2《方向転換/Divert》
3《血染めの月/Blood Moon》
3《罠の橋/Ensnaring Bridge》
1《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
 こんな風に、一つの好きなデッキを使い込むだけでも優勝できるのは、スタンダードとは違うところですね。


 レガシーのデッキは1つでも十分です。


 
 ただ、レガシーは気軽にカードを集められるような金額ではないので、簡単には選ぶ事ができません。もし、何を愛用のデッキにするか迷っているプレイヤーは、自分の好きな(好きだった)スタンダードのデッキと似たようなデッキを選ぶのも一つの手です。

簡単に例を挙げると、


 これらのデッキは、全て強力なクロックパーミッションデッキですね。


・カナディアンスレッショルド(RUGデルバー)
 カナディアンスレッショルドとは、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》と《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》と《タルモゴイフ/Tarmogoyf)》を場に出し様々な軽量カウンターや《不毛の大地/Wasteland》+《もみ消し/Stifle》でのマナ縛り戦略で勝利するデッキです。ギリギリの勝負を味わいたい人や、自分のプレイングに自信がある人におすすめです。


・パトリオット(UWRデルバー)
 同じようなデッキにパトリオットというデッキがあります。こちらは除去が《稲妻/Lightning Bolt》+《剣を鍬に/Swords to Plowshares》の8枚体制になり、クリーチャーも最近流行りの《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》が入っています。どちらのデッキでも強いので、リストを見て好きな方を選びましょう。

 カナディアンスレッショルドに関しては、有名なカナスレプレイヤーの方が記事を書いているので参考にどうぞ。


【コラム】Canadian Thresholdのフリースロットについて


【コラム】How to beat Canadian Threshold







・奇跡コントロール
 こちらはコントロール中毒の人にお勧めなデッキです。どんな環境だろうとコントロールを使ってしまうプレイヤーはどこにでもいるようで、プロプレイヤーで言うなら、LSVやGuillaume Wafo-Tapaが有名ですね。

 レガシーは勝負が着くのが速いイメージがあるので、コントロールは通用しなさそうですが、ちゃんと存在しています。それが青白t赤相殺奇跡コントロールです。


 このデッキは、《相殺/Counterbalance)》+《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》のコンボを使って相手の呪文をシャットアウトし、《終末/Terminus》と《天使への願い/Entreat the Angels》を《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》+《渦まく知識/Brainstorm》で積み込み、奇跡を自分で起こしていくデッキです。

 クリーチャーデッキや一部のコンボデッキには理不尽なほど強く、今でも愛用者が多いデッキですね。
相手の動きを全て捌いて勝ちたい人、詰将棋のようなゲームが好きな人ならお勧めのデッキです。






 これらのデッキはコンボデッキです。最近のスタンダードではこのアーキタイプは減りましたが、レガシーでは当たり前のように存在しています。もし、最初に作るデッキでコンボデッキを選んだ人は要注意です。


 レガシーのコンボデッキは強すぎます!!


 最速で1ターン目エムラクールor《グリセルブランド/Griselbrand》を出したり、相手が積み立ててきたプランを一瞬でひっくり返す《苦悶の触手/Tendrils of Agony》からの20点ドレインライフはレガシーでしか味わえない理不尽さと快感があります。


・SnT
 簡単に紹介すると、SNTは《実物提示教育/Show and Tell》や《騙し討ち/Sneak Attack》から《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornor》《グリセルブランド/Griselbrand》を場に出して勝つデッキです。


・ANT
 ANTは、《暗黒の儀式/Dark Ritual》や《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》でマナ加速し、《冥府の教示者/Infernal Tutor(》でキーカードをサーチしたりしながら、《むかつき/Ad Nauseam》で手札を補充して《苦悶の触手/Tendrils of Agony》でライフを削りきるデッキです。これは、以前のエクステンデットのTESやデザイアを使ったことのある方ならイメージがつき易いのではないでしょうか。このように何枚ものカードをプレイして勝つコンボをチェインコンボと言います。


・エルフ
 そして、エルフもこのチェインコンボになります。《垣間見る自然/Glimpse of Nature》で手札が減らないようにエルフを展開しながら、大量のマナを捻りだして《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》で全軍突撃して勝つデッキです。このデッキは他のコンボデッキには速さで負ける為不利なのですが、《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》を出さなくても大量のエルフを展開できるので、普通にクリーチャーデッキとして動く事も出来るのが強みです。

 それぞれ、デッキの動きが全然違いますが、とにかくでかいクリーチャーで押しつぶしたい人はSNT、勝つ為のルートを色々考えながら勝ちたい人はANT、コンボを決めるだけでなく戦闘も楽しみたい人はエルフがオススメです。





 スタンダードで活躍したデッキがそのままレガシーに参入してくるケースもあります。

・ジャンド
 ジャンドは、優秀な手札破壊である《思考囲い/Thoughtseize》や《Hymn to tourach》で相手の手札をボロボロにして、出てきたクリーチャーは《罰する火/Punishing Fire》+《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》のコンボと《突然の衰微/Abrupt Decay》で対処、《闇の腹心/Dark Confidant》や《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》でアドバンテージを稼ぎ、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》で殴り勝つ・・・。 
これ、説明が長すぎますね・・・。

 要約すると、ジャンドは赤緑黒の強いカードを詰め込んだ、いわばオールスターデッキです。
 昔から、赤と緑と黒の組み合わせにときめきを感じる人間がいます。彼らは週に2回のエルサレム(アラーラINジャンド)への祈りを欠かさず行います。ジャンドは宗教です。 

 あなたがもし、赤緑黒という組み合わせにときめきを感じたらジャンドを使いましょう。これはジャンド神のお導きなのです・・・。




 おふざけはこれぐらいにして、ジャンドは、コンボ以外には相性が良いデッキで、俗にいうメタゲーム上に存在しない「ローグデッキ」にも大体有利がつきます。

 カードパワー至上主義の方や、ボードコントロール系のデッキが好きな人、ジャンドを愛している人にはお勧めです。


・エスパー石鍛冶
 次に、エスパー石鍛冶は、青白黒の中速のクロックパーミッションで、《思考囲い/Thoughtseize》とカウンターで相手の行動を妨害し、クリーチャーで殴り勝つかジェイスの忠誠値を貯めて勝つデッキです。詳しい説明は別サイトKMCでコラムをかいていますのでそちらの方を一度ご覧下さい。


【デッキ解説】ストーンフォー次郎のこのデッキを使え!!-エスパー石鍛冶


【デッキ解説】ストーンフォー次郎のこのデッキを使え!!-エスパー石鍛冶【サイドボード編】


 私自身も何年も使い続けているデッキで、劇的に相性が悪いデッキが無く、オールラウンダーなデッキになります。

 どんなデッキにも理不尽な負け方はしたくない人や、なんでも出来るデッキが好きな人、私みたいに装備品というカード自体が好きな人にはおすすめです。







Chapter3:もし、金額を気にせずデッキを選ぶなら?

 これで、レガシーの一線級のデッキは大体紹介しました。もちろん、他にも色々なデッキは存在するので、様々な大会のトップ8を見て回るのもおすすめです。

 この中でどれを選ぶのかは迷ってしまいますが、他にもデッキを選ぶ方法があります。それは・・・

 そのデッキは数年経ったとしても強いのか?


 という事です。MTGでは新しいカードがどんどん追加されていくので、必然的にレガシーにも新しいカードが追加されていきます。まあ、1セットに1枚ぐらいしかレガシーで使えるレベルのカードは入ってきませんが・・・。
その、レガシーにも影響を与えるようなカードのせいで、相対的に弱くなってしまうデッキもあります。例えば


《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》+《安らかなる眠り/Rest in Peace》


ドレッジ・リアニメイト







《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》


(除去をFBされると、擬似的に除去の枚数が増えている)
クリーチャーデッキ全般



 このようにアンチカードが出たせいで、せっかく自分が揃えたレガシーのデッキを使いづらくなるのは、嫌な人もいると思います。
 そんな人は、新しいカードが出ても弱くなるような事が無いようなデッキを選びましょう。
 先ほど上げた何個かのレガシーのデッキから選ぶなら、


・カナディアンスレッショルド(RUGデルバー)
・パトリオット(WURデルバー)
・青白t赤相殺奇跡



などが該当します。


 今回の記事はここまでにして、次回からは、カードを実際に揃える方法と注意点を書きます。

 レガシーの面白い所の一つに、「運の要素が少ない」という所があります。青いデッキを選択していると、ほとんどのデッキに《渦まく知識/Brainstorm》を採用しています。このカードがあるおかげで不必要なカードはデッキの中に押し込めるので、試合中の引きむらをコントロールすることが出来ます。このカードを使う限りは、試合で負けたとしても運のせいで負ける事はほとんど無くなります。つまり、運よりプレイングの要素が大きいフォーマットになるわけです。


 最初は負ける事も多いでしょう。どんなプレイヤーでも最初は分からない事だらけで、どういう風にすれば勝てるようになるか分からない方もいるとおもいます。これから、強くなっていくプレイヤーも、伸び悩んでいるプレイヤーも一緒に、復習したり、新しいプレイングを見つけていけるような記事を目指していくのでよろしくお願いします。


ではまた!











おまけ


 当コラムでは、この記事はレガシーを始めようと思っている方、レガシーを始めたばかりの方、既にレガシーにどっぷりはまっている方まで楽しんでいただく為に毎回記事の中に問題を掲載します。
お時間のある方は是非お付き合い下さい!



レガシークイズQ1
難易度☆☆☆☆(入門編)


「ジェイスの能力はどれにする?」

前提
両者7枚キープ。自分後手。

これまでの動き

相手1t セット、Tundra。

自分1t 《新緑の地下墓地》から《死儀礼のシャーマン》。

相手2t セット、《忍び寄るタール坑》。

自分2t 《死儀礼のシャーマン》でアタック。相手は終了時に《渦まく知識》をプレイ。

相手3t 《石鍛冶の神秘家》→《殴打頭蓋》サーチ。自分は終了時に《突然の衰微》を《石鍛冶の神秘家》にプレイ。




 以上のような動きを経て、あなたは後手3t目に死儀礼のシャーマンから《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をプレイし、これが通りました。

 その結果以下の様な盤面になりました。

(上が相手、下が自分の場です)




 あなたはジェイスのどの起動能力を使うかで悩んでいます。さて、このターンどうするべきでしょう?


* ヒント
盤面をじっくり見ましょう。
「相手はジェイスを処理する方法があるのか?」
「次のターンに相手が取る事が出来る行動は何か?」
を考えましょう。



正解は次回へ!!

 
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