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「りょーちんのMad Sappy Suckers」 第3回 徹底分析!プロツアー『神々の軍勢』モダン構築戦! 
 
text by Ryosuke Sakamoto




 全国1,000万人のモダン・ジャンキーの皆さん、こんにちは!


 今年8月にはこの日本の神戸でグランプリが開催されるということもあり、昨年末頃から全国的に盛り上がりを見せ始めているモダン・フォーマット。



 そして先日の禁止改訂により
「全てのビートダウンの上位互換」《野生のナカティル/Wild Nacatl》
「今のスタンには2キルがある」《苦花/Bitterblossom》
という2つの強力なカードがその禁を解かれたことで、その熱は更に加速しています。

 そんな中、2/21-2/23にスペインは火祭の都、バレンシアで開催された「プロツアー・神々の軍勢」…
世界中のトッププレイヤー達が繰り広げたモダン構築戦の結果は如何に!




Pro Tour Bone of the Gods Top8 Decklists

 


1st 青白赤コントロール
2nd 緑白黒《出産の殻/Birthing Pod》
3rd 赤青緑《欠片の双子/Splinter Twin》
4th 赤青《欠片の双子/Splinter Twin》純正コンボ型
5th 赤青「ブルー・ムーン」
6th 親和
7th 赤青ストーム
8th 赤青白《欠片の双子/Splinter Twin》



 懸念されていた《野生のナカティル/Wild Nacatl》の暴走、《苦花/Bitterblossom》の支配はそこにはなく、由緒正しい?トリコロールの重コントロール、いわゆる「無限頑強」ギミックを仕込んだ《出産の殻/Birthing Pod》デッキがトップを飾りました。
 そしてその下には色を違える3人の《欠片の双子/Splinter Twin》、まだまだ猫に最速の称号は与えまいと奮闘する「親和」&「ストーム」、そして今大会で華々しくデビューしTOP8にまで食い込んだ新手のローグ・デッキ「ブルー・ムーン」。


 まずはそれぞれのデッキについてざっくりと解説してしまいましょう。


① 青白赤コントロール


2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:1位
Player:Shaun McLaren
26land
3 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《天界の列柱/Celestial Colonnade》
2 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2 《島/Island》
1 《山/Mountain》
1 《平地/Plains》
1 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《蒸気孔/Steam Vents》
2 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
4 《地盤の際/Tectonic Edge》

5creature
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

29spell
1 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
3 《謎めいた命令/Cryptic Command》
3 《電解/Electrolyze》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《稲妻のらせん/Lightning Helix》
4 《マナ漏出/Mana Leak》
3 《流刑への道/Path to Exile》
2 《差し戻し/Remand》
1 《呪文嵌め/Spell Snare》
2 《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》
2 《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》
15sideboard
1 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1 《天界の粛清/Celestial Purge》
1 《対抗変転/Counterflux》
1 《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
1 《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
1 《論理の結び目/Logic Knot》
2 《斑岩の節/Porphyry Nodes》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《石のような静寂/Stony Silence》
1 《不忠の糸/Threads of Disloyalty》
1 《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
1 《摩耗/損耗/Wear/Tear》

 《稲妻/Lightning Bolt》、《稲妻のらせん/Lightning Helix》、《流刑への道/Path to Exile》の単体除去11枚、面展開にも対処可能な《電解/Electrolyze》《神々の憤怒/Anger of the Gods》といった複数除去4枚、《マナ漏出/Mana Leak》《差し戻し/Remand》《謎めいた命令/Cryptic Command》《呪文嵌め/Spell Snare》のカウンター10枚・・・
 そしてこれらを使いまわす《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》4枚により、鉄壁の防御力を誇るデッキです。




 ひたすら土地を伸ばして相手の繰り出す脅威に対処しつつ、最後は土地でありフィニッシャーでもある《天界の列柱/Celestial Colonnade》による骨太なビートダウンで締めくくるか、《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》や《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》のような制圧スペルで相手の戦意を粉砕します。



 同じトリコロールで言えば、《修復の天使/Restoration Angel》まで入った「トリコフラッシュ」、単体除去を乱射しながら《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》が無人の荒野を駆け抜ける「トリコトラフト」といった姉妹デッキもありますが、優勝したショーン・マクラーレンのものは完全に受身なコントロール・デッキです。


 いきなりですが、今回のPTはZooとフェアリーの復権がその焦点となっていました。
《稲妻のらせん/Lightning Helix》を連射するトリコロールは前者に有利ですし、バーン・スペルが大量にあるという見方をすれば、《思考囲い/Thoughtseize》や《苦花/Bitterblossom》で崖っぷちまで自傷したフェアリー使いの背中をあと一押しして谷底に突き落とすのはたやすいことです。

 反面、行く手を遮るものが増えてしまった《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》や《修復の天使/Restoration Angel》はお役御免となり、結果としてこのような重火力コントロールが勝利を収めたのは納得の結果です。
 唯一《出産の殻/Birthing Pod》には分が悪いのですが、決勝戦でも炸裂した新兵器=《神々の憤怒/Anger of the God》のおかげで十分に渡り合えるようになっています。



神「復活の声?あーあー聞こえない」



②緑白黒《出産の殻/Birthing Pod》

2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:2位
Player:Jacob Wilson
23land
3 《森/Forest》
3 《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》
1 《神無き祭殿/Godless Shrine》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2 《草むした墓/Overgrown Tomb》
3 《剃刀境の茂み/Razorverge Thicket》
1 《沼/Swamp》
1 《寺院の庭/Temple Garden》
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1 《森林の墓地/Woodland Cemetery》

28creature
4 《極楽鳥/Birds of Paradise》
1 《永遠の証人/Eternal Witness》
4 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
1 《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》
1 《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》
2 《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》
3 《貴族の教主/Noble Hierarch》
1 《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》
1 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
1 《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》
1 《目覚ましヒバリ/Reveillark》
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1 《叫び大口/Shriekmaw》
1 《呪文滑り/Spellskite》
1 《臓物の予見者/Viscera Seer》
2 《復活の声/Voice of Resurgence》
2 《根の壁/Wall of Roots》

9spell
2 《突然の衰微/Abrupt Decay》
4 《出産の殻/Birthing Pod》
3 《召喚の調べ/Chord of Calling》
15sideboard
1 《納墓の総督/Entomber Exarch》
1 《調和スリヴァー/Harmonic Sliver》
1 《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》
1 《強情なベイロス/Obstinate Baloth》
2 《流刑への道/Path to Exile》
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1 《罪の収集者/Sin Collector》
2 《殺戮の契約/Slaughter Pact》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《復活の声/Voice of Resurgence》

 いわゆる「メリーラ・ポッド」と言われるドランカラーのタイプです。「殻系デッキ」と言われるものは、大きく次の2つに分かれます。



・「キキ・ポッド」
 その名の通り《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》&《修復の天使/Restoration Angel》による無限クリーチャーコンボを内蔵したバージョンです。
 瞬殺とは言え必要なマナは多く、色拘束も激しいものの、コンボパーツであるこの2つのクリーチャーはデッキ内に多数存在する「187クリーチャー」とシナジーを形成しており、《出産の殻/Birthing Pod》を引けずともパワフルなミッドレンジ・ビートダウンを仕掛けられるというのが魅力です。





・「メリーラ・ポッド」
 こちらは《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》+頑強生物+《臓物の予見者/Viscera Seer》による無限コンボを内蔵したバージョンです。
 キキ・ポッドとの違いとして、「個々のコンボパーツが軽いけど弱い」というのが特徴です。



「1兆回占術します。ライフ2兆14点です。エンド。」


 今回準優勝したデッキは「メリーラ」のタイプ。

 徹底的な《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》戦略によりZooを完封し、サイド後は黒を取っている利点とも言える《思考囲い/Thoughtseize》で、Zooに対し有利なアーキタイプでもある青系コントロールやコンボデッキに対処可能、というのが選択理由なのでしょうか。

 ちなみに、忘れられがちですが《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》の能力故に「感染」デッキをナチュラルに潰せるというのも地味なメリットです。



感染が無いとただの1/1・・・








③ 《欠片の双子/Splinter Twin》コンボ

 デッキ使用率ではZooに次ぐ2位を誇り、top8に3人を送り出したモダンのトップ・デッキが登場です。


「残ライフ2兆14点?じゃあ《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》3兆体でアタック…」






 とは言え、入賞している「双子」デッキたちはまさに三者三様。

 Anssi Alkioが選択したのはもっともシンプルな「純正」タイプ。

2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:4位
Player:Anssi Alkio
23land
1 《僻地の灯台/Desolate Lighthouse》
5 《島/Island》
3 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2 《山/Mountain》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3 《蒸気孔/Steam Vents》
1 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
3 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
1 《地盤の際/Tectonic Edge》

14creature
4 《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》
1 《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》
2 《やっかい児/Pestermite》
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1 《呪文滑り/Spellskite》
2 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

23spell
2 《謎めいた命令/Cryptic Command》
1 《払拭/Dispel》
2 《電解/Electrolyze》
1 《イゼットの魔除け/Izzet Charm》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
1 《のぞき見/Peek》
3 《差し戻し/Remand》
4 《血清の幻視/Serum Visions》
1 《呪文嵌め/Spell Snare》
4 《欠片の双子/Splinter Twin》
15sideboard
3 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2 《殴打頭蓋/Batterskull》
2 《血染めの月/Blood Moon》
1 《払拭/Dispel》
2 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
2 《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《不忠の糸/Threads of Disloyalty》


 赤青の2色ですっきりとまとめ、安定して双子コンボを狙いに行く形です。
後述する「ブルー・ムーン」の《血染めの月/Blood Moon》&《広がりゆく海/Spreading Seas》戦略に耐性が高く、寧ろ自分がサイド後に《血染めの月/Blood Moon》を使えるのが大きな利点です。

 禁止改訂前はジャンドのような大振りのデッキに強い「テンポ・ツイン」(※)と呼ばれるタイプが幅を利かせていましたが、《死儀礼》の禁止と《ナカティル》の復活を経て、また純粋なコンボ・タイプが返り咲いたというのは実に合理的な結果です。


※テンポ・ツイン
コンボが狙えなくとも軽火力と飛行クリーチャーによるバーン戦略で相手を沈めることが出来る形の「双子」デッキ。
《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》や《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》のようなライフを奪えるクリーチャーが採用されるとともに、パワー2の飛行持ちである《やっかい児/Pestermite》が《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》よりも多く積まれている。


 続いてはTim Riveraの「トリコ・ツイン」。

2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:8位
Player:Tim Rivera
24land
4 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《天界の列柱/Celestial Colonnade》
1 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2 《島/Island》
2 《山/Mountain》
1 《平地/Plains》
2 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《蒸気孔/Steam Vents》
2 《硫黄の滝/Sulfur Falls》

17creature
4 《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》
3 《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》
4 《修復の天使/Restoration Angel》
2 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4 《前兆の壁/Wall of Omens》

19spell
4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《稲妻のらせん/Lightning Helix》
4 《流刑への道/Path to Exile》
4 《差し戻し/Remand》
4 《欠片の双子/Splinter Twin》
15sideboard
3 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
3 《払拭/Dispel》
1 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1 《稲妻のらせん/Lightning Helix》
2 《塩まき/Sowing Salt》
2 《呪文滑り/Spellskite》
2 《石のような静寂/Stony Silence》
1 《摩耗/損耗/Wear/Tear》

 白からはコンボパーツであり優秀な飛行戦力である《修復の天使/Restoration Angel》《天界の列柱/Celestial Colonnade》のほか、なんと《前兆の壁/Wall of Omens》までもが採用されています。
 タフネス4の壁、そして更には《稲妻のらせん/Lightning Helix》《流刑への道/Path to Exile》等、これまた徹底的にZooを叩き潰す!という意志が現れたデッキです。
 基本構造はほとんどトリコ・コントロールと同じで、コンボデッキというよりは、かつての「ジョイタイム」のような即死を持ったコントロールデッキというべきでしょう。


※ジョイタイム
時のらせん~ローウィン期に存在した青白赤のコントロール・コンボデッキ。
基本は「青白ヒバリ」でありつつ、《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を使った無限コンボも搭載しており、2つの相反する戦略は相手からすれば対処困難の一言であった。



 最後に、そしてもっとも順位の高かったPatrick Dickmanが選んだ色はなんと「緑入りツイン」。

2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:3位
Player:Patrick Dickmann
21land
1 《繁殖池/Breeding Pool》
1 《森/Forest》
2 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
2 《島/Island》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
1 《山/Mountain》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3 《蒸気孔/Steam Vents》
1 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2 《硫黄の滝/Sulfur Falls》

16creature
3 《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》
3 《やっかい児/Pestermite》
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》

23spell
2 《謎めいた命令/Cryptic Command》
1 《電解/Electrolyze》
2 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
2 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《差し戻し/Remand》
4 《血清の幻視/Serum Visions》
4 《欠片の双子/Splinter Twin》
15sideboard
2 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1 《殴打頭蓋/Batterskull》
1 《焼却/Combust》
1 《対抗変転/Counterflux》
1 《四肢切断/Dismember》
1 《払拭/Dispel》
1 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1 《自然の要求/Nature's Claim》
1 《否認/Negate》
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1 《呪文滑り/Spellskite》
1 《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》

 色拘束が強く重たい《キキジキ》は解雇され、代わりに《タルモゴイフ/Tarmogoyf》や《漁る軟泥/Scavenging Ooze》と言った、緑系ビートダウンの定番クリーチャーが採用されており、今度は「クロックパーミッション・コンボ」とでも呼ぶべき仕上がりになっています。
RUG Delverのように見せかけつつ、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》で相手の手札を覗き込んで…除去がない?ないなら今のうち!とばかりにコンボで締めるのは中々爽快でしょう。

 テンポ・ツインとは別な方向で「第二の矢」を用意しており、かつ緑を採用したことでサイドボードに対親和戦で劇的な威力を持つ《古えの遺恨/Ancient Grudge》が採用出来るようになった非常に面白いデッキです。
筆者自身一度組んで使ってみたいとも思っています。





④ 親和

 モダン界の非常識デッキ代表、親和もちゃっかりお一人様入賞です。

2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:6位
Player:Christian Seibold
16land
4 《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
3 《空僻地/Glimmervoid》
4 《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》
1 《島/Island》

26creature
4 《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》
3 《刻まれた勇者/Etched Champion》
1 《エーテリウムの達人/Master of Etherium》
3 《メムナイト/Memnite》
4 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 《信号の邪魔者/Signal Pest》
3 《鋼の監視者/Steel Overseer》
4 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》

18spell
4 《頭蓋囲い/Cranial Plating》
1 《感電破/Galvanic Blast》
4 《オパールのモックス/Mox Opal》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
4 《物読み/Thoughtcast》
1 《溶接の壺/Welding Jar》
15sideboard
2 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1 《血染めの月/Blood Moon》
1 《刻まれた勇者/Etched Champion》
1 《感電破/Galvanic Blast》
1 《エーテリウムの達人/Master of Etherium》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《呪文貫き/Spell Pierce》
2 《呪文滑り/Spellskite》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《倦怠の宝珠/Torpor Orb》
1 《鞭打ち炎/Whipflare》

 説明不要、と言いたいところですが、簡単に言えば「2ターン目までに手札の全戦力をばらまいて撲殺する」という単純明快なアーティファクト・ビートダウンです。

1ターン目に
《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
《オパールのモックス/Mox Opal》
《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
《信号の邪魔者/Signal Pest》
から《物読み/Thoughtcast》で手札を補充、2ターン目に更にばらまいて《頭蓋囲い/Cranial Plating》装備アタック2ケタダメージ!なんて速度、普通対処できません。



 が、右も左も《稲妻/Lightning Bolt》が連射されるこの環境。ここまで上り詰めてくるのは相当に大変な事だったと思われます。
 極めてオーソドックスで遊びのないデッキですが、強いて言えばかつて《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》を除去する為にフルで取られることの多かった《感電破/Galvanic Blast》がメインは1枚に抑えられているのが印象的ですね。こういった小さな工夫が彼をプロツアー・サンデーの栄光の場に導いたのかもしれません。




⑤ 青赤ストーム

 非常識デッキ3兄弟(長男:ウルザトロンは今回都合によりお休み)の末っ子、「赤青昇天」「PiF Combo(《炎の中の過去/Past in Flames》コンボ)」とも言われるストーム・デッキです。

g

2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:7位
Player:Chris Fennell
18land
3 《島/Island》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
1 《山/Mountain》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3 《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
3 《蒸気孔/Steam Vents》

3creature
3 《ゴブリンの電術師/Goblin Electromancer》

39spell
4 《捨て身の儀式/Desperate Ritual》
3 《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
3 《ぶどう弾/Grapeshot》
2 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《魔力変/Manamorphose》
3 《炎の中の過去/Past in Flames》
4 《発熱の儀式/Pyretic Ritual》
4 《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》
4 《血清の幻視/Serum Visions》
4 《手練/Sleight of Hand》
15sideboard
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
3 《防御の光網/Defense Grid》
1 《残響する真実/Echoing Truth》
3 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
1 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《白鳥の歌/Swan Song》
2 《倦怠の宝珠/Torpor Orb》
 墓地を食い物にする《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》、《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》を簡単に潰しに来る《突然の衰微/Abrupt Decay》擁するジャンドの衰退により恩恵を受け、再び最前線に舞い戻ってきました。

  基本的な動きはドロー&マナ加速呪文を連打して《ぶどう弾/Grapeshot》、ですが、これをサポートするのが

《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》
《ゴブリンの電術師/Goblin Electromancer》

という2つの置物です。



 サイド後は墓地対策や置物対策が当然なされることになるので、呪文連打から低いストーム数で素早くゴブリンをばらまく《巣穴からの総出/Empty the Warrens》戦法に切り替える場合もあります。

 Chris Fennelは3枚採用していますが、「双子」や「死せる生」といったコンボ対策にサイドボードを割くプレイヤーが多い中、この総出戦法はなかなか効果覿面だったのではないでしょうか。



 ということで、いかがだったでしょうか!

 激動のプロツアー・神々の軍ぜ…


 何か忘れてないかって?


  あのデッキを早く紹介しろ?


 寧ろここまでの記事は読み飛ばしたんだ!だって?


 そんな不届きものには感謝の《豪腕のブライオン/Brion Stoutarm》1,000枚プレゼント。
 これ使ってGP神戸に出てね。りょーちんとの約束だよ。俺は使わないけど。

 ちなみに《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》、《ヴィダルケンの枷/Vedalken Shackles》と併用した「トリコブライオン」、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を投げまくる「ブライオン殻」はGP神戸の脳内トップメタです。


  …すみません。いい加減やります。怒らないでください。



  という茶番は置いといて、最後になりましたが、今回華々しくプロツアーで大暴れした地雷デッキのご紹介です。



⑥ ブルー・ムーン

2014/02/21-23 Pro Tour Born of the Gods
順位:5位
Player:Lee Shi Tian
22land
10 《島/Island》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
1 《山/Mountain》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3 《蒸気孔/Steam Vents》

5creature
2 《波使い/Master of Waves》
3 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》

33spell
2 《殴打頭蓋/Batterskull》
4 《血染めの月/Blood Moon》
2 《謎めいた命令/Cryptic Command》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
2 《マナ漏出/Mana Leak》
3 《差し戻し/Remand》
4 《血清の幻視/Serum Visions》
4 《呪文嵌め/Spell Snare》
2 《広がりゆく海/Spreading Seas》
2 《不忠の糸/Threads of Disloyalty》
2 《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》
2 《ヴィダルケンの枷/Vedalken Shackles》
15sideboard
3 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1 《焼却/Combust》
1 《対抗変転/Counterflux》
1 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
1 《否認/Negate》
2 《広がりゆく海/Spreading Seas》
1 《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》
2 《汚損破/Vandalblast》
3 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

 赤青という今大会を彩る2色のデッキにして、異彩を放つこのデッキ。MTG Mint Cardチームが持ち込んだ「秘密兵器」です。


 《血染めの月/Blood Moon》と《広がりゆく海/Spreading Seas》によるマナ基盤破壊で相手を締め上げ、相手が何とか捻り出したクリーチャーは《不忠の糸/Threads of Disloyalty》、《ヴィダルケンの枷/Vedalken Shackles》で奪い、そしてグロッキーになった相手を《波使い/Master of Waves》と《殴打頭蓋/Batterskull》が介錯する…という斬新なデッキです。

 以上、解説おしまい。


…と言うと怒られそうですが、言ってしまえばそんな雑☆極まりないデッキです。

 このデッキの活躍が物語るのは、「如何にモダン環境のマナ基盤がセンシティブか」ということ。
確かに、Zooやジャンドは土地を島と山に変えられてしまってはロクに動くことも出来ませんし、この2色を含むトリコロールですら、《血染めの月/Blood Moon》で赤赤赤赤しか出なくなってしまうと悶絶します。
純正2色の双子やマーフォークにとっては殆ど影響はありませんが、基本はパーミッション・デッキなので、双子に対しては絶望的に不利という訳でもありません。

 とは言え、やはりプロツアーという大舞台での「隠し技」として持ち込まれたこのデッキ。ひとたび警戒されて消え去ってしまうのか、それとも更に何か次なる秘策を用意してメタゲームに君臨し続けるのか…今後の動向から目が離せません。




 さて、今度こそいかがだったでしょうか。全世界が見守る中、世界最高峰のプレイヤー達の手によって、最先端のデッキがひしめき合ったプロツアー『神々の軍勢』。
これからのモダンのメタゲームに極めて大きな影響を与えたこの大会の結果を踏まえ、今度は皆さん自身が世界を手にする為に歩き出す番です!

 優勝デッキをコピーするもよし、自身が地雷デッキを持ち込むも良し…

 新たなるモダンの世界は、今その扉を開いたばかりです。








【余談】

 これから神戸に向けてモダンのメタゲームを知りたい!という方向けのデッキ解説だったので、救いようのないモダン・ジャンキーの皆様からすれば
「ふーん。知ってる。スパイスが足りない。」
なーんて言われてしまうかもしれません。

 そんな方には是非、このローグ・デッキを持ち込んでほしいのです。
 そして全敗して欲しいのです。

Sample Deck:UWR Geist Catcher
land
4《乾燥台地/Arid Mesa》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2《蒸気孔/Steam Vents》
2《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
1《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
8《島/Island》
1《山/Mountain》
1《平地/Plains》

15creature
4《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
3《豪腕のブライオン/Brion Stoutarm》

spell
4《稲妻/Lightning Bolt》
3《稲妻のらせん/Lightning Helix》
4《流刑への道/Path to Exile》
4《差し戻し/Remand》
2《捕獲+放流/Catch+Release》
2《ヴィダルケンの枷/Vedalken Shackles》
2《謎めいた命令/Cryptic Command》
15sideboard
4《前兆の壁/Wall of Omens》
4《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》
2《やっかい児/Pestermite》
4《欠片の双子/Splinter Twin》
1《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》
Zooが厳しそうだったけどサイド後は不思議と勝率が高かった。
 
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