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村栄龍司「リュウジのバーン道場」第7回 神々の軍勢後のスタンダード:赤と緑か黒 
 
text by Ryuji Murae


  前回のプロツアー予選からはや数週間。スタンダードシーズンは続きますが、「神々の軍勢」も発売され、これからは新環境です。
 新環境直後は新しいカードを使えるデッキが強いと個人的には思っているので、そこからデッキを選んでいくことにしました。というわけで、今回は新環境後のデッキ選択と、その調整録です。

①「発売前」

リストが出揃った後、まず候補に挙げたデッキは《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》そして《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》。強いカードをふんだんに使えるうえに、《ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos》《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》といった新カードの恩恵を存分に受ける事ができそうということで緑赤のミッドレンジが真っ先に浮上しました。強化のされ方がわかりやすいアーキタイプですね。



Sample Deck
23land
8《森/Forest》
5《山/Mountain》
4《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4《奔放の神殿/Temple of Abandon》
2《変わり谷/Mutavault》

27creature
4《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
3《森の女人像/Sylvan Caryatid》
2《カロニアの大牙獣/Kalonian Tusker》
3《ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos》
2《加護のサテュロス/Boon Satyr》
4《ゴーア族の暴行者/Ghor-Clan Rampager》
4《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》
3《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
2《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》

10spell
4《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》
2《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
4《肉体/血流/Fresh/Blood》


 ここからスタート。
前環境からあるデッキですがあまり使った経験がなかったので、使用感がわからなかった《肉体/血流/Fresh/Blood》は4枚からのスタートです。

フルスポイラー~発売までに回してみた結果

・《肉体/血流/Fresh/Blood》は2ターン目に使えない
相手の脅威を取り除きたい場合に頼れない場面が多々ありました。もちろん除去が薄いデッキやクリーチャーの少ないコントロール相手には《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》よりも有効なのですが、環境初期はアグロの方が多いという予想と、高速アグロへの耐性の低さから《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》を優先することになりました。

・《漁る軟泥/Scavenging Ooze》>《カロニアの大牙獣/Kalonian Tusker》
知ってたけど。
色拘束・能力。負けているのは初期サイズのみ。信心を必要とするデッキでもないですし、そもそも序盤からタイトにライフを序盤からライフを詰めにいくデッキでもないので、大人しく入れ替えました。


・《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》が強い
これも知ってたけど。

他のカード(ポルクラノスや嵐の息吹のドラゴン)よりも優先して出した方が強い場面がどれだけあるか
→割とある

押されている場面以外は問題無し。場に出る事のプレッシャーはかなり大きい。


どの程度顕現できるか。生物として期待できるか
→できる

信心を緑と赤どちらでもカウントできる→デッキ内のカードのほとんど(マナクリーチャー、漁る軟泥以外)が2カウント、さらに自身で2カウントあるので、7という数字は思っていたよりも簡単にクリアできました。

 概ね好感触だったので2枚採用を継続。
押している盤面では言わずもがなな強さ。《ゴーア族の暴行者/Ghor-Clan Rampager》が戦場に出ても強いというのがとてもよかったです。


そしてもう一つデッキ案として出てきたのがラクドスアグロです。

Sample Deck
25land
8《沼/Swamp》
6《山/Mountain》
4《血の墓所/Blood Crypt》
4《悪意の神殿/Temple of Malice》
3《変わり谷/Mutavault》

23creature
4《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》
4《とげの道化/Spike Jester》
4《悪意に満ちた蘇りし者/Spiteful Returned》
4《責め苦の伝令/Herald of Torment》
3《ラクドスの血魔女、イクサヴァ/Exava, Rakdos Blood Witch》
3《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
1《リックス・マーディのギルド魔道士/Rix Maadi Guildmage》

12spell
3《思考囲い/Thoughtseize》
3《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
3《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2《戦慄掘り/Dreadbore》
1《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》

 元は友人案ですが、気に入ったのでお願いして一緒に使わせてもらいました。

 《悪意の神殿/Temple of Malice》で安定したマナベースに加えて、《悪意に満ちた蘇りし者/Spiteful Returned》、《責め苦の伝令/Herald of Torment》のおかげで土地が多い日でも安心です。

 中盤以降無駄になりやすい《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》等の軽量クリーチャーを蘇らせるこの2種類の授与クリーチャーが思っていたより強く、アグロなのに終盤まで戦える感じがとても気に入ったので、プロツアー予選まではこの2つのデッキを並行して調整することに。





②神々の軍勢発売後

グルール
 京都で行われているAncient City Cupにグルールで参加。
結果は5-1でSEに残り、一没でした。

Sample Deck
23land
8 《森/Forest》
5 《山/Mountain》
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《奔放の神殿/Temple of Abandon》
2 《変わり谷/Mutavault》

26creature
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
3 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
3 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2 《加護のサテュロス/Boon Satyr》
2 《ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos》
4 《ゴーア族の暴行者/Ghor-Clan Rampager》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》
2 《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
2 《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》

11spell
4 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
4 《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》
2 《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
1 《ナイレアの弓/Bow of Nylea》
15sideboard
3 《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》
3 《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》
2 《垂直落下/Plummet》
2 《ショック/Shock》
2 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
2 《霊気のほころび/Unravel the AEther》
1 《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》

 ここまで触れていなかった新カード、《ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos》について。
3マナ3/3トランプル。大体額面通りの強さです。このサイズで運用しても問題ないデッキで真価を発揮する感じでした。



 今回の構成は割とマナ域が高めに設定されていたので、いまいち生かしきれないと感じました。結局マナ域はいじらず、より安定して土地を伸ばせる《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》に。《ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos》自体は決して弱いカードではなく、もう少し軽めの構成にすれば・・・と思っていたのですが、2つのデッキを並行して調整していたため、プロツアー予選までにその時間を割くことはできませんでした。




ラクドス
ラクドスアグロでもGPTに参加。
このままでも割り切った感じがしていいと思ったのですが、GPTに出るにあたって、いくつか変更を加えました。


・除去の選択
メインボードの除去が《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》《英雄の破滅/Hero’s Downfall》《戦慄掘り/Dreadbore》の3種。そしてサイドボードには《胆汁病/Bile Blight》《破滅の刃/Doom Blade》《闇の裏切り/Dark Betrayal》。



 得手不得手はっきりした除去群ですね。サイドボードは有効な相手にそのまま入れるとして、メインボードの除去をもう少し考えましょう。


《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》がいる限り、採用不可避な除去。
超過はおまけ程度ですが、《悪意の神殿/Temple of Malice》のおかげで割と使える事もあったり。赤マナで除去、黒マナでクリーチャー展開といった動きもしやすいですね。


《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
環境を代表する万能除去。インスタントなのは魅力的ですが、《変わり谷/Mutavault》を積極的に使用するこのデッキだと3マナは少し重めです。


《戦慄掘り/Dreadbore》

万能除去その2。除去としては間違いなく強いのですが、色拘束が少し気になりました。



使ってみると、この3種類という組み合わせには不満がちらほらと出てきました。


・インスタント除去が《英雄の破滅/Hero’s Downfall》しかない
インスタントは構えて動く、という展開を行ううえで非常に重要な要素ですが、それが3マナの《英雄の破滅/Hero’s Downfall》だけというのは少し不安が残ります。


・《波使い/Master of Waves》を除去できるのが《英雄の破滅/Hero’s Downfall》だけ
新環境最初のSCGで優勝したのが「青単信心」。まずい・・・
京都では確実に意識しないといけないアーキタイプなので、このままではよくないですね。


 ここを解決する除去・・・ということで、《究極の価格/Ultimate Price》に白羽の矢が立ちました。

 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》は《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》を除去する為に替えられませんが、他の2つとは一長一短で、テンポ面を考えると採用の価値があると判断したために1枚ずつ減らして《究極の価格/Ultimate Price》を2枚採用し、GPTに参加しました。結果は4-1-1で2位通過した後SE二没。まあまあです。使ったリストがこちら。

Sample Deck
25land
8《沼/Swamp》
6《山/Mountain》
4《血の墓所/Blood Crypt》
4《悪意の神殿/Temple of Malice》
3《変わり谷/Mutavault》

23creature
4《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》
4《とげの道化/Spike Jester》
4《悪意に満ちた蘇りし者/Spiteful Returned》
4《責め苦の伝令/Herald of Torment》
3《ラクドスの血魔女、イクサヴァ/Exava, Rakdos Blood Witch》
3《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
1《運命の工作員/Agent of the Fates》

12spell
3《思考囲い/Thoughtseize》
3《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
2《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2《究極の価格/Ultimate Price》
1《戦慄掘り/Dreadbore》
1《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
15sideboard
3《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
2《闇の裏切り/Dark Betrayal》
2《破滅の刃/Doom Blade》
2《ラクドスの復活/Rakdos's Return》
1《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
1《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
1《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
1《胆汁病/Bile Blight》
1《思考囲い/Thoughtseize》
③プロツアー予選


「緑赤ミッドレンジ」

「黒系コントロール」

「青単信心」

「青白系コントロール」

「エスパーミッドレンジ」

「セレズニアアグロ」


 これは僕が京都予選で意識していたアーキタイプです。特に緑赤ミッドレンジ、黒系コントロールが多いという予想でした。
どちらのデッキもTOP8まで残れていますし感触は悪くなかったのですが、結局ラクドスの方を使用することに。
多いと考えていたグルール、黒系に対してラクドスの方が明確に強かったのが一番の選択理由です。緑赤ミッドレンジは同系で明確に強いプランを確立できていなかったので、その状態で使うべきではないと判断しました。

 青白系コントロールは《思考囲い/Thoughtseize》《ラクドスの復活/Rakdos’s Return》で元々有利な相手なので、ここから他のデッキの相性改善に努めます。
先にプロツアー予選で実際に使用したリストを。

2014/02/15 イエローサブマリン京都店主催 PTQ京都 TOP8
25land
8《沼/Swamp》
6《山/Mountain》
4《悪意の神殿/Temple of Malice》
4《血の墓所/Blood Crypt》
3《変わり谷/Mutavault》

24creature
4《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》
4《とげの道化/Spike Jester》
3《責め苦の伝令/Herald of Torment》
3《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
3《悪意に満ちた蘇りし者/Spiteful Returned》
3《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
2《ラクドスの血魔女、イクサヴァ/Exava, Rakdos Blood Witch》
2《冒涜の悪魔/Desecration Demon》

11spell
3《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
2《究極の価格/Ultimate Price》
2《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2《思考囲い/Thoughtseize》
1《戦慄掘り/Dreadbore》
1《ラクドスの魔鍵/Rakdos Keyrune》
15sideboard
1《胆汁病/Bile Blight》
1《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
2《闇の裏切り/Dark Betrayal》
2《思考囲い/Thoughtseize》
2《ラクドスの復活/Rakdos's Return》
3《破滅の刃/Doom Blade》
1《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
1《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1《冒涜の悪魔/Desecration Demon》
1《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》


 随分変わりました。アグロというよりはミッドレンジですね。

* メインボードに新しく採用したカードと雑感

《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》

元々サイドボードに採用していたのですが、上記のデッキ4/6に対して有効で、青白系には前方確認と威嚇、さらにサイド後の《テューンの大天使/Archangel of Thune》までカバー。青単信心にも威嚇はそこそこ有効なので、GPTから当然のようにメインボードに昇格しました。
→大当たり。前方確認でプランを立てやすくなるのはもちろん、読み通りクリーチャーを抜けない事があまりありませんでした。


《冒涜の悪魔/Desecration Demon》

青白系コントロール以外に強いクリーチャー。青白系以外の相性を改善したかったのでこちらもメインボードに昇格。
→目論見通りの強さ。メインに3枚採用してもいいくらいには強かったです。


《ラクドスの魔鍵/Rakdos Keyrune》
追加の《変わり谷/Mutavault》枠兼マナベース安定に保険として。
→3ターン目にこれを出して嬉しい場面がほぼ無かったので、大人しく追加の除去か《思考囲い/Thoughtseize》で良かったです。残念。




青単信心○×○
黒白ミッドレンジ○×○
エスパーミッドレンジ○○
緑赤ミッドレンジ×○×
赤t緑白信心○○
緑赤ミッドレンジ○○
ID

8位通過でSE
青白コントロール○○
青単信心××


 結果は5-1-1で8位通過の後、青白コントロールに勝ち、青単信心に負けで二没でした。
 後日動画が載ると思いますが、青単信心に対しては2ゲーム目、《波使い/Master of Waves》を除去する前に《冒涜の悪魔/Desecration Demon》を出す→2枚目の《波使い/Master of Waves》を出されてトークンを処理できなくるというミスもあったので文句ないです。状況的に2枚目の《波使い/Master of Waves》は当然考えるべきでした。SEで明確なミスをしているうちは何も言えません。

 TOP8まではデッキの強さでこれたようなものなので、まだまだ練習が必要です。翌日にもあった予選には参加できませんでしたが、参加できていたらならおそらく《ラクドスの魔鍵/Rakdos Keyrune》を《胆汁病/Bile Blight》か《戦慄掘り/Dreadbore》にして参加していたと思います。



総括

 短期間でのデッキ構築でしたがTOP8には残れたので、成果はありました。その後の結果は地力が足りなかった結果ですね。
今回は少数の知人だけで調整していたのですが、意見の方向性のブレも少なくいい感じでできたと思います。付き合ってくれた人達に感謝です。


 僕が結局使わなかった緑赤ミッドレンジもTOP8に。
  《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》《ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos》を両方採用し、よくあるリストもより少しマナ域が低めのアグロ構成になっています。

  速度勝負だとこの「少し」がとても重要になってきますね。また、同系用サイドボードとして《狩人狩り/Hunt the Hunter》を3枚仕込んでいるのがかなり割り切った感じでとても好きです。

 マナクリーチャーを使うデッキでは重めの構成にしがちな自分では、この短期間でこのような割り切った構成には出来なかったと思うので、やっぱり黒にしておいてよかったなと思いました。



 まだもう少しスタンダードでの予選は続きます。おそらく東京の予選は参加できないと思うので、Magic Onlineでいろいろ試したいと思います。


アカウント名は秘密ですが、またどこかでお会いしましょう。 

 
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