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by Changs kou
こんにちは、高暢秀です。
今回は4/12~13にかけて行われたGP名古屋の参加レポートをかかせていただきました。よろしくお願いします。
今回のGPのフォーマットはテーロスブロックリミテッド。
初日のシールド9回戦の後7勝2敗以上の成績を残したものが二日目のドラフトへと進む。
まずはシールドから。
シールドはよく「おみくじだ」とか「運ゲーだ」と言われるがそれは正確ではない。確かにシールドプールの中にはどうしようもない弱いプールも存在するし、強力なレアやアンコモンで固められた強いプールも存在する。プレイの最中以外にも運が要求される事から競技イベントの中でも最も運が必要なフォーマットと言えなくもないだろう。
しかしそれと同時にデッキ構築時にも技術が問われるため最も技術が必要なフォーマットといえるだろう。
考えて見て欲しい。84枚のカードプールから最適な23枚前後を選び出すことがどれだけ難しいか。
ここからシールド構築論に突入しそうになったが今回はあくまでもGP名古屋の参加レポート。この続きはまたの機会にするとして今回のシールドプールの紹介にうつろう。
MOで試したい方は、右クリックで保存してください。
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白
1《鋤引きの雄牛/Yoked Ox》
1《忠実なペガサス/Loyal Pegasus》
1《ニクス生まれの盾の仲間/Nyxborn Shieldmate》
1《乗騎ペガサス/Cavalry Pegasus》
1《オレスコスの太陽導き/Oreskos Sun Guide》
1《散兵の精鋭/Elite Skirmisher》
1《大アカシカ/Great Hart》
2《エイスリオスの学者/Scholar of Athreos》
2《沈黙の職工/Silent Artisan》
1《セテッサのグリフィン/Setessan Griffin》
1《エファラの輝き/Ephara's Radiance》
1《定命の者の熱意/Mortal's Ardor》
1《今わの際/Last Breath》
1《異端の輝き/Glare of Heresy》
1《解消の光/Ray of Dissolution》
1《日の出から日没/Dawn to Dusk》
青
1《深海の催眠術師/Deepwater Hypnotist》
1《閃足の幻霊/Flitterstep Eidolon》
1《ニクス生まれのトリトン/Nyxborn Triton》
1《潮流の合唱者/Chorus of the Tides》
1《水跳ねの海馬/Breaching Hippocamp》
1《スフィンクスの信奉者/Sphinx's Disciple》
1《地平の識者/Horizon Scholar》
1《迷宮での迷子/Lost in a Labyrinth》
1《撤回のらせん/Retraction Helix》
1《タッサの拒絶/Thassa's Rebuff》
1《予言/Divination》
1《神託者の眼識/Oracle's Insight》
1《突然の嵐/Sudden Storm》
1《タッサの褒賞/Thassa's Bounty》
黒
1《悪意の幻霊/Baleful Eidolon》
1《苦痛の予見者/Pain
Seer》
1《ティマレットの召使い/Servant of Tymaret》
1《悪魔の皮のミノタウルス/Felhide Minotaur》
1《オドゥノスの黒樫/Black Oak of Odunos》
1《蘇りしケンタウルス/Returned Centaur》
1《フィナックスの信奉者/Disciple of Phenax》
1《モーギスの戦詠唱者/Warchanter of Mogis》
2《湿原霧のタイタン/Marshmist Titan》
1《忌まわしき首領/Abhorrent
Overlord》
1《災いの印/Scourgemark》
1《胆汁病/Bile Blight》
1《骨読み/Read the Bones》
1《屍噛み/Necrobite》
1《宿命的復活/Fated
Return》
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赤
1《アクロスの十字軍/Akroan Crusader》
1《無謀な歓楽者/Reckless Reveler》
1《性急な太陽追い/Impetuous Sunchaser》
1《攻撃の元型/Archetype of Aggression》
1《クラグマの解体者/Kragma Butcher》
2《国境地帯のミノタウルス/Borderland Minotaur》
1《統率の取れた突撃/Coordinated Assault》
1《雷撃の威力/Thunderous Might》
1《恐るべき気質/Fearsome Temper》
1《裏切りの先触れ/Portent of Betrayal》
緑
1《突進するアナグマ/Charging Badger》
1《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
1《ケイラメトラの侍祭/Karametra's Acolyte》
1《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》
1《ネシアンのアスプ/Nessian Asp》
1《黄金の木立ちの蛇/Snake of the Golden
Grove》
1《狩人狩り/Hunt the Hunter》
1《蛮族の血気/Savage Surge》
1《拠点防衛/Defend the Hearth》
1《ケイラメトラの好意/Karametra's Favor》
1《定命の者の決意/Mortal's Resolve》
1《霊気のほころび/Unravel the AEther》
1《切り裂く風/Shredding Winds》
1《古代への衰退/Fade into Antiquity》
1《選別の印/Culling Mark》
1《ナイレアの弓/Bow
of Nylea》
1《狩人の勇気/Hunter's Prowess》
マルチカラー
1《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
1《速羽根のサンダル/Fleetfeather Sandals》
1《青銅の黒貂/Bronze Sable》
土地・アーティファクト
1《伏魔殿のピュクシス/Pyxis
of Pandemonium》
1《戦識の重装歩兵/Battlewise Hoplite》
1《アクロスの重装歩兵/Akroan Hoplite》
1《魔心のキマイラ/Spellheart Chimera》
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緑と黒にレアが寄っているためデッキ構築もさほど迷わなかった。
それでは構築したデッキがこちら。
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sample
deck |
17land
2《平地/Plains》
7《沼/Swamp》
8《森/Forest》
14creature
1《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
1《苦痛の予見者/Pain Seer》
1《悪意の幻霊/Baleful Eidolon》
1《ティマレットの召使い/Servant of Tymaret》
1《モーギスの匪賊/Mogis's Marauder》
1《悪魔の皮のミノタウルス/Felhide Minotaur》
2《エイスリオスの学者/Scholar
of Athreos》
1《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》
1《ケイラメトラの侍祭/Karametra's Acolyte》
1《フィナックスの信奉者/Disciple of Phenax》
1《ネシアンのアスプ/Nessian Asp》
1《黄金の木立ちの蛇/Snake of the Golden
Grove》
1《忌まわしき首領/Abhorrent Overlord》
9spell
1《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
1《霊気のほころび/Unravel the AEther》
1《定命の者の決意/Mortal's Resolve》
1《ケイラメトラの好意/Karametra's Favor》
1《胆汁病/Bile Blight》
1《屍噛み/Necrobite》
1《骨読み/Read the Bones》
1《ナイレアの弓/Bow of Nylea》
1《狩人の勇気/Hunter's Prowess》
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《ナイレアの弓》、《狩人の勇気》、《忌まわしき首領》という強力なレアパワーを満喫できるように構築した。では、構築時に工夫した部分の中でもタッチしてある《エイスリオスの学者》について解説しよう。
マナサポートとして《ケイラメトラの好意》、《バネ葉の太鼓》を有するこのデッキに3色目を数枚タッチすることは十分可能である。
そこで選択肢にあがるのが白の《エイスリオスの学者》と青の《撤回のらせん》と《神託者の眼識》であった。
では何故《エイスリオスの学者》を選択することになったのかだが、まず前提としてこのデッキは7マナの《忌まわしき首領》をプレイするためにマナブースト関連のカードである《ケイラメトラの好意》、《ケイラメトラの侍祭》、《バネ葉の太鼓》は全て投入されることになる。
そのため中盤以降マナが余りやすい。この余ったマナを有効活用できるのが《エイスリオスの学者》であった。
さらにこのデッキには緑と黒のクリーチャーは少なめになっている。そんな中にどちらもクリーチャー依存のカードである青をタッチすることはためらわれた。
以上から《エイスリオスの学者》をタッチすることに決めたのだがこの選択には十分に満足している。実はこのデッキで最も活躍したカードがまさにこの《エイスリオスの学者》だったのである。
もともとデッキが攻めるというよりも守るカードが多かったため試合が長引きやすく《エイスリオスの学者》が活躍する機会が多かったのだ。
メインデッキでの組み間違いとしては《モーギスの匪賊》をより守るためと神啓とのシナジーを意識して《オドゥノスの黒樫》にすべきだったと感じた。
このデッキを使用した結果はR5に2本ともダブルマリガンから土地が置けずに敗北という辛い負けとR7でのマナフラッドと最後選択ミスして負けて残りは勝利し7-2で晴れて二日目へと進出できた。
その中でもいわゆるバブルマッチ(ここでは勝てば二日目、負ければ終了というマッチ)であるR9について詳しくお話しよう。
6-2で迎えた初日最終戦。その対戦相手は「業師」中村聡選手。
マジック黎明期から日本のマジック界を支えてきたプロプレイヤー。そんな強豪と対戦できる機会に感謝しつつ試合開始。
中村聡選手のデッキは緑白タッチ青。
1本目
序盤から相手の《イロアスの英雄》に押される展開。
緑白という色はコンバットトリックが豊富なため下手なブロックはせずに受け気味に試合を展開する。
相手も何も無いのにコンバットトリックを用いて《イロアスの英雄》を育てるわけにも行かずにこちらが《ネシアンのアスプ》で固めたところから試合は中盤戦へ。
こっちは《忌まわしき首領》で一気に攻守逆転を狙う。相手としては《忌まわしい首領》本体を放っておくわけにもいかずこちらとしても《ニクス生まれの狼》が授与された《イロアスの英雄》をずっと放置するのは怖いため相打つ。
結局残ったトークンに《狩人の勇気》をプレイしてそのアドバンテージと《エイスリオスの学者》を活かして勝利。
2本目
相手は3ターン目に《威名の英雄》をプレイ。
こちらは手札に《異端の輝き》があるが白マナが他にクリーチャーを要求する《バネ葉の太鼓》しかなく《悪魔の皮のミノタウロス》をプレイしてターンを返す。
相手のアタックはスルーするつもりだったが相手は《散兵の精鋭》をプレイしただけでアタックはせずに平地1枚を立たせて終了。
これに対して《神の思し召し》をケアして《異端の輝き》はプレイせずに《エイスリオスの学者》をプレイして《冷気のほころび》を構えて終了。
1本目に5マナの授与カードを2種類みていたのでそれをつけられたら《霊気のほころび》で処理して安全に《異端の輝き》をプレイするつもりだったがさすがに中途半端すぎた。
相手が《神の思し召し》を構えているならばこの先もずっと構え続けるだろうからこのままでは《威名の英雄》に殴られ続けてしまう。ここは思い切ってプレイすべきだった。
結局《蒔かれたものの収穫》からブロッカーを寝かされてしまい大打撃をうける。どうにか《威名の英雄》は《異端の輝き》で処理出来たが残った《散兵の精鋭》の能力のせいでダメージを抑えられずに最後は《海神の復讐》で負け。
3本目
こちらが先手でどんどんカードを展開。相手は森が1枚しかなくなかなかクリーチャーを展開できずにいる。
途中《苦痛の予見者》が《忌まわしい首領》をめくってしまうも攻めてるのはこっちなので問題なし。
この《忌まわしき首領》のトークンは《海神の復讐》で流されるもフルタップの相手に《狩人の勇気》をプレイして一気に9枚ドロー!
内容はほとんどが土地だが問題ないだろうと考えていた。そこに飛んできたのは二枚目の《海神の復讐》。これで《忌まわしき首領》以外のクリーチャーがバウンスされてしまい《忌まわしき首領》は自身の能力で生贄に。
それでもこっちはカードを9枚も引いたんだとばかりに残りライフの少ない相手に《エイスリオスの学者》を2枚プレイ!
返しに《威名の英雄》がでてくるも相手のライフは《エイスリオスの学者》の能力でたったの5!こっちは9マナも出せる。
勝った!バブルマッチ完!!
なんて考えていた…。
相手の《威名の英雄》のアタックは万が一をケアして《エイスリオスの学者》の片方でチャンプする。これでのこった《エイスリオスの学者》が相手を介錯する予定だったのだが相手からプレイされたのは《異端の輝き》!!
一瞬何をされたのか理解できなかった…。こっちのデッキはあくまでもメインは緑黒。
それに対して《異端の輝き》をサイドインするなんて…。
すっかり心ここにあらずという感じだがまだ負けたわけではない。最後の《エイスリオスの学者》の能力で相手のライフは3しかない。こっちにはまだ《ナイレアの弓》がある。
相手のブロッカーを上回る数だけのクリーチャーを並べることができれば《ナイレアの弓》で強化すれば勝てる。
とりあえず《サテュロスの道探し》をプレイしてターンを返す。相手もここが正念場と長考。他にクリーチャーがいなかったのかチャンプブロックを強要するために《悪戯と騒乱》を《威名の英雄》にプレイしてアタック。
こっちは当然これをブロックしなければならないのだが手札にあったのは《屍噛み》。これで再生した《サテュロスの道探し》が《ナイレアの弓》で強化されてどうにか勝利した。
どうにか勝利出来たがたくさんの反省があったし学んだこともあった試合であった。
まず試合を通して全体的に受けすぎたこと。ケアできないものをケアしようとして大失敗なんてことが多かった。
そして何よりも基本緑黒である相手に対してタッチされている《エイスリオスの学者》が自分のデッキにとって致命傷になりうると判断して冷静に《異端の輝き》をサイドインするという中村聡選手の考え方。まさにプライスレスな経験となった試合であった。
なにはともあれ晴れて二日目進出である。次の日の朝も早いので最終戦の興奮も冷めやらぬまま宿に戻って就寝。
とりあえず今回はここまで。
次回は二日目のドラフトから。
後編に続く。
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