プロモアーカイブも連載を続けてもうすぐ1年。ということで、今回は特別編をお送りしよう。「ex.」シリーズと題した回では、「厳密に言うとプロモではないが、通常のカードではない特殊な連中」を紹介して行きたいと思う。第1回は見た目のインパクトも強い、「ヴァンガード」だ。
1997/07/18
Set.1
Ertai
1997年夏、マジックのシーズン・イベントが開催された。その名も「Arena
League Summer 97」。アリーナ・リーグというもので配布されたプロモについては、また別の記事で書くとしよう。それらのアリーナ・プロモの1つが、この「ヴァンガード」であった。「ヴァンガード」とは、ゲーム開始時に提示することで、プレイヤーがその人物となりゲームを行うことが出来るという、「ヴァンガード戦」にて使用する大判カードである。このカジュアルゲーム用のカード、現在でもMagic
Online上では「アバター」というカードとして残っている。選んだ人物によって初期ライフと初期(最大)手札枚数が変動し、何らかの能力を得ることが出来るという、通常マジックでは考えられない面白さがそこにはある。
最初に配布された2セットのうち、Set.1に収録されていたのがこの「Ertai」。初期手札は-1であるため、6枚。初期ライフは+4で24点。そして自軍全てに被覆がつくという常在型能力を得ることが出来るのだ。ピン除去は全て無駄牌に成り下がる、驚異の戦いが行われるのだ。
Karn
同じくSet.1から銀のゴーレム、Karn。初期手札もライフも+というナイス性能だが、その能力は現在ではデメリットになることも多い。《梅澤の十手》や《殴打頭蓋》はただのバニラクリーチャーに成り下がり、「ミラディン」のアーティファクト・土地サイクルは軒並み即死。専用の構築が求められるヴァンガードである。
Maraxus
ウェザーライト・サーガの最初の悪役、ケルドのMaraxus。筋肉至上主義な見た目に反して手札ボーナスが得られるという、この時点で既に強力。さらにその常在型能力は、自軍のクリーチャー全てのパワーを底上げする驚異の「アンセム系」(全体強化の意)。ちなみに僕はヴァンガードを遊ぶ時、常にこのMaraxusさんを使っていました。強い事しか書かれていない!
Sisay
ウェザーライト号の船長、Sisay。彼女はそのポジションからは考えられないような、初期値が両方ともマイナスという能力持ち。ライフが数点はまあ良いとして、常にダブルマリガンというのはなかなか厳しい。しかしその常在型能力は、このデメリットを補ってあまりある。土地から追加で1マナ出るのだ。1ターン目2マナ、2ターン目4マナ。こりゃダブマリもしゃーない。
Set.2
Gerrard
ウェザーライト・サーガの主人公、Gerrard。彼は主人公たる強烈な能力を持っているは…えぇ!?4マリ!?ゲーム開始時にプレイヤーに許されたハンドはたったの3枚。これは…。その能力は毎ターン追加の1ドローを得るというもの。それ自体は素晴らしいが…かなりデッキを選ぶ…というか、合うデッキを作るのが至難の業だ。
この年の10月に発売された、「Duelist」という雑誌に付録として収録されたため、総枚数は最も多い。
Mirri
ジェラードに想いを寄せる猫族の戦士、Mirri。彼女の能力は、基本土地から5色のマナがプロデュースが可能になるという、色事故知らずのナイス能力。これはむしろ専用のデッキを組んでこそ価値がある1枚だし、構築も簡単だ。
Squee
ゴブリンの乗組員、Squee。お調子者で臆病、度胆をぬく料理をする彼の能力は、初期手札10枚スタート!「オート・アンリコ」という贅沢に加えて、対戦相手はその手札を公開した状態でゲームを行うという「ナチュラル・ギタクシアン」な極楽浄土。コンボプレイヤーはこのヴァンガードしか見えないことだろう。
Tahngarth
ミノタウルスの戦士、Tahngarth。彼の気性の荒さを表すかのように、能力は自軍クリーチャー全てに速攻を付与。今なら《聖トラフトの霊》なんかが疾走してくることだろう。どんなデッキでもクリーチャーが入っていれば腐ることは決してない能力だ。さらに初期ライフは、「ヴァンガード
シリーズ1」において最大の初期ライフ+7を誇る。これも僕のお気に入りの1枚。
これらヴァンガードは、コレクターズアイテムとしても人気が出たため、この年の12月に「Vanguard
Gift Box」という形で一般販売が行われたため、厳密に言うとプロモではなくなったカードとなる。いつもとは違ったマジックを楽しめるシリーズ、コレクションに加えてみてはいかがだろうか。こんなところで、今週はオシマイ。また来週!
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