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by Iwa-Show
「カン」と呼ばれる長が率いる5つの氏族。それらが終わりなき戦乱を繰り返す…それが2014年9月26日(金)発売となる『タルキール覇王譚』の世界観だ。この背景世界の設定が発表された時、まず僕が思ったことがある。
「もし、『タルキール覇王譚』のプレビューの依頼が来るとしたら…それは一体どの氏族に属するカードとなるのだろうか?」
「アラーラの断片」にて登場した、1つのセットに5つのメカニズムというスタイル。それは当初こそ驚愕のものであったが、「ラヴニカへの回帰」「ギルド門侵犯」でも引き継がれ、すっかり定番になりつつある。今回も5つの氏族それぞれに、全く異なったメカニズムが仕込まれているに違いない!一体どのようなものが登場するのか…そんな妄想をしていると、本当に来ました!ウィザーズ様からプレビューのお依頼が!ありがたやありがたや、それではどの氏族だったのか、早速発表しましょう!
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ドンッ!
ティムール境
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ティムール!5つの氏族の中で唯一、かつて中央アジア・モンゴルに存在した王朝と同名の氏族であり(表記なんかはちょっと違うんだけどね)、興味深いなと思っていたところ。赤・緑・そして青の3つのマナを基盤とする氏族に所属するカードが、こちら!
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《頑固な否認》。何もない状況で用いると、カードパワーが半分になった《呪文貫き》。これはこれで、カードとして使える最低限度のパワーはあるだろう。弱くなった《魔力の乱れ》、ゲーム最序盤のマナに余裕がない状況ならばうまく突き刺さることもあるだろう。
これが、ティムールに割り振られた能力「獰猛」の条件を達成すると、「確定カウンター」へと変貌する。呪文の解決時にあなたがパワー4以上のクリーチャーをコントロールしていると、クリーチャーでない呪文は問答無用で打消し!カード名にも含まれている《否認》の1マナ軽いものとなる。この「獰猛」モードになると強力無比・フォーマットの壁を越えて活躍するカウンターとなるわけだが、それではその「獰猛」さを引き出せる組み合わせはどれほどあるのだろうか。
まず、思いついたのが、モダンやレガシーなどで《グリセルブランド》を護るというもの。「リアニメイト」や「Sneak
Show」、「グリセルシュート」といったデッキで、ズルい方法で場に出された《グリセルブランド》、勿論対戦相手は《剣を鍬に》《流刑への道》などの除去を撃ちこんでこようとするわけだが、これをカウンターで弾いてしまえば=勝利である。
しかし、それらのデッキではカウンター呪文は、相手のカウンター呪文を弾くという役割も与えられている。《実物提示教育》のようなキーカードをねじ込むために、対戦相手の《Force
of Will》などを叩き落とすという役目で考えれば、同様の1マナ呪文である《呪文貫き》や《狼狽の嵐》と比べるとかなり落ちる1枚である。
その点を考慮すれば、《暗黒の深部》を利用したコンボデッキ「Depth」系の相方としてはもってこいだろう。コンボに必要なのは《暗黒の深部》と《演劇の舞台》。これらは両者共に土地であるため、コンボに入るまでの段階でのカウンターの応酬などは存在せず、ただ出てきた20/20の《マリット・レイジ》を除去から守りさえすれば良い。そのため、《頑固な否認》との相性は抜群と言っても過言ではない。パワー4という縛りは5周分満たしている。
一方、肝心のスタンダードではどうだろうか?現段階でティムールのカギとなるパワー4以上のクリーチャーで現段階で発表されているものだと《凶暴な拳刃》が断トツの相性を誇ることは、カードも見ただけで明らかだ。4ターン目に《凶暴な拳刃》を叩きつけながら青マナ1つ立ててターンを返すと、対戦相手には構えられた《頑固な否認》が眼前にチラついて仕方ないことだろう。このクリーチャーは1体でゲームに勝てるスペックを秘めているため、後はそれのサポートをこれで完璧にしてやれば良い。
また、現在のスタンダードに存在し、次のスタンダードでも続投となる「テーロス」ブロックと「マジック2015」を見渡してみると、いくつか相性の良さそうなカードは存在する。
《海の神、タッサ》は、条件を満たしてクリーチャー化すればパワー5と「獰猛」の条件を満たしてくれる。信心を稼ぐために場に出したパーマネント達を《頑固な否認》で守りつつ、ブロックされなくなる能力でバンバンバンと殴って勝負を決めるデッキは古き良き「クロック・パーミッション」を思い起こさせる。
さらにはパワー4以上のクリーチャーを増産できるという点で《世界を目覚めさせる者、ニッサ》は最高の相方の1つだろう。毎ターン4/4を生み続けるこのカードを《英雄の破滅》などから守りさえすれば、ただそれだけで勝利は目の前だ。
《頑固な否認》は大型クリーチャーありきのカードであり、それ1枚で勝てるというカードではない。しかし、多くの相性の良いカードを持ち、ここしばらく見ることがなかった「カウンターを構えて殴る」というデッキをスタンダードに復活させてくれる1枚となる可能性を感じさせる。
例えパワー4以上のクリーチャーがいなくとも、青マナの出る土地を1つ立てている相手にフルタップで呪文を唱えることは気を付けなければならない。プレミアイベントの大事な一戦で、1マナに泣くこともあるかもしれない。このカードがマジックの歴史に名を刻むか否か、それはここから発表される未だ見ぬカード達にも左右されることだろう。もう少し、公式情報の更新を待ち続ける日々が続きそうだ。
それでは、またBIG MAGIC LIVEや各種イベントの場でお会いしましょう!「タルキール覇王譚」万歳!
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