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by Goto Yuusei
みなさんはじめまして、ゴトウです。
今回GP神戸2014において幸運にも準優勝という結果で終わることができ、この記事を書かせていただける事になりました。
正直、モダンシーズンも一区切りつき、優勝したわけでもなく、プロプレイヤーでもない自分の記事にどれほど需要があるのかと心配ではありますが、少しでも興味のある方のお力になればと筆をとらせて頂きました。
それではさっそくリストから。
①GP神戸2014本戦で使用したデッキリスト
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sample deck |
14land
4 《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
4 《空僻地/Glimmervoid》
2 《マナの合流点/Mana Confluence》
16creature
4 《メムナイト/Memnite》
4 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》
30spell
4 《オパールのモックス/Mox Opal》
4 《彩色の星/Chromatic Star》
4 《感電破/Galvanic Blast》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《頭蓋囲い/Cranial Plating》
4 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
4 《爆片破/Shrapnel Blast》
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15sideboard
2 《摩耗/損耗/Wear/Tear》
2 《流刑への道/Path to Exile》
2 《陽光の呪文爆弾/Sunbeam Spellbomb》
1 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2 《呪文滑り/Spellskite》
2 《鞭打ち炎/Whipflare》
2 《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》 |
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②このデッキを選択した理由
最近当たり前のように聞くようになったメタゲームという言葉。
みなさんは神戸のメタゲームをどのように想定したでしょうか?
双子・BG系・親和、人それぞれ考えて対策をした事と思います。
しかし僕の場合、この環境の店舗大会やPTQを経験した結果、「この環境にメタゲームなんて存在しない」という結論にたどり着きました。
正確にいえば、もちろん上記のデッキを意識したりはしましたが、
グランプリという誰でも参加できる回戦数の非常に多い大会であること。
普段あまり馴染みのないこのシーズンのみのフォーマットであること。
モダン需要によりカードの高騰が起き、メタが動くたびに有名アーキタイプである強いデッキを使い分けるより、自分の得意とするデッキで有名アーキタイプを対策する側に回るという予測。
また同じアーキタイプ、カラーコンビネーションでもカード選択により全く違ったアプローチのデッキになり得る事。(BGタッチ◯系や双子系など)
これらの想定により、同じデッキを踏むことは多くて2回。
むしろさまざまなデッキを踏む可能性のほうが高い。
という考えにたどり着きました。
そうなれば受けに回るデッキより自分のやりたい事をやるデッキのほうが立ち回りやすいのは明らかです。
またコンボデッキの存在するこの環境で、最速と呼ばれるビートダウンを僕が手に取るまで、時間はかかりませんでした。
そう、親和デッキです。
しかし一般的に知られる親和デッキは、シナジーを重視するため、爆発力に欠け、コンボデッキに速度負けする事がありました。
《鋼の監視者》で生物を育てていたら負けていた、なんてことも多々。
また、ほとんどのプレイヤーに意識されるデッキでありながら、カードパワーの低いカードも採用しているため、対策されると非常に脆いデッキである事も悩みの種でした。
そこで僕は 「安定4キル」 を合言葉に横のシナジーよりも縦の突破力を重視した構築をはじめました。
そして完成したのが上記のリストです。
③一番考慮した仮想敵とそのデッキに対する対策
デッキの脆い部分を抜いていく作業の中で、個人的に意識したのは、火力+《瞬唱の魔道士》という組み合わせでした。
双子やトリコロールのコントロールなど、この組み合わせは様々なデッキで用いられる協力なタッグであり、このカラーでは電解という親和に対する協力なキラーカードが存在しました。
これに加えてサイドボードから《粉砕の嵐》《古えの遺恨》などアーティファクト破壊まで投入されるのですからたまった物ではありません。
これらに耐性をもたせる為に白羽の矢がたったのが、みんな大好き《タルモゴイフ》でした。
全てのプレイヤーは《タルモゴイフ》に屈する。
どんなデッキも《タルモゴイフ》をタッチしておけばいい。
なんて言われる事もありましたが、
「僕が《タルモゴイフ》の強さにに屈してデッキに入れたわけじゃない!《タルモゴイフ》が入れてくださいと頭を下げてきたんだ!」
なんて友人と冗談交じりに話したのも今となってはいい思い出です。
④モダンの4強デッキと意識していたデッキに対するサイドボーディングを教えてください。
ゲームプラン等、一言簡単な解説もお願いします。
■BG
サイドin
2《呪文滑り》
1《思考囲い》
サイドout
2《メムナイト》
1《頭蓋囲い》
緑黒側の《突然の衰微》をいかに避けるかというゲームです。
タッチ白の場合は未練ある魂や《石のような静寂》を意識して《頭蓋囲い》3枚を抜くことになります。
■親和
サイドin
2《摩耗/損耗》
2《古えの遺恨》
2《流刑への道》
サイドout
4《メムナイト》
2《思考囲い》
《鋼の監視者》をいかに処理するかで勝敗が決まります。対戦相手のシナジーのエンジンが動き出すとデッキパワーで不利になるので監視者・荒廃者の処理に全力を注ぎましょう。
■双子
サイドin
2《呪文滑り》
1《思考囲い》
サイドout
2《羽ばたき飛行機械》
1《頭蓋囲い》
《流刑への道》や《摩耗/損耗》など入れたいカードはたくさんありますが、これら受けのカードは入れすぎると攻め手が減りすぎて対戦相手の受けのサイドボードに処理されやすくなるので気をつけましょう。
トリコロールだったりタッチ緑だったりと様々な派生系があるので、サイドボーディングも固定概念に囚われず、相手に合わせて柔軟な入れ替えが大切です。
■《出産の殻》
サイドin
2《鞭打ち炎》
2《エイヴンの思考検閲者》
サイドout
4《メムナイト》
基本的にファイレクシアマナやギルドランドによりライフを減らしてくれるので楽なマッチアップです。
地上は頑強生物によりシャットアウトされてしまうので飛行で削り火力で〆るパターンになります。
マナクリーチャーから展開されると速度で追いつかれてしまうので、《鞭打ち炎》を。
また、コンボだけ気をつければキルターンもそこまで早いデッキではないので、火力を引くまでの時間も充分あるでしょう。
よく親和のサイドに積まれる《倦怠の宝珠》は対戦相手のサイドから投入されるアーティファクト破壊に巻き込まれる可能性があります。
その点、《エイヴンの思考検閲者》はそれに引っかからず、《出産の殻》の地上生物を乗り越えるのに非常にマッチしています。
でも《修復の天使》だけは常に意識しましょう。
■風景の変容
サイドin
2《エイヴンの思考検閲者》
1《思考囲い》
サイドout
2《羽ばたき飛行機械》
1《頭蓋囲い》
基本的思考はコンボを遅らせながら殴り切る事です。
《呪文滑り》は稲妻を避けるのには便利ですが、《古えの遺恨》に対して効果が薄いので採用しません。
逆に《エイヴンの思考検閲者》は、赤緑系の使用してくるアーティファクト破壊を回避することが出来るために非常に強いです。
■トロン
サイドin
2《摩耗/損耗》
1《思考囲い》
サイドout
2《羽ばたき飛行機械》
1《頭蓋囲い》
基本的には有利なマッチアップです。
気をつけなければならないのは忘却石と白金の天使&白金の帝像です。
■バーン
サイドin
2《流刑への道》
2《摩耗/損耗》
2《陽光の呪文爆弾》
2《呪文滑り》
サイドout
4《羽ばたき飛行機械》
4《頭蓋囲い》
《陽光の呪文爆弾》は火力呪文2枚を打ち消すのと同等の働きをします。
《摩耗/損耗》は対戦相手の《石のような静寂》を意識していますが、《大歓楽の幻霊》にも対処できる事を忘れないでください。
手札に除去が1枚しかない時は常に「次のターンに《渋面の溶岩使い》が出てきたらどうなるか」を意識してみましょう。
⑤このデッキを使うプレイヤーにアドバイスがあればお願いします。
親和と非常に似通っていますがシナジー重視の物とは全く異なった動きをするため、キープ基準などはZooに近くなります。
親和の初速
BGの《思考囲い》→《タルモゴイフ》の黄金パターン
ドメインZoo並のフィニッシュブロウである火力
5色である事の無限の可能性
自分で言うのもお恥ずかしいですが、とても魅力的なデッキにできたのではないかと思っています。
しかしこのままの形でプレイされる事はおすすめ致しません。
もちろんそれなりのパフォーマンスは発揮するでしょうが、
地元の大会などに参加される場合はグランプリよりもメタゲームが形成されやすくなると思うので、バーンが多そうなら《思考囲い》はサイドへ送るなど、勝つための微調整は必ず行うようにしてください。
神戸の時点ではこのデッキはベターなデッキであったと自負してはいますが、大会ごとにベストな構成というものは変わります。
モダンという広いカードプールですから、勝つための努力・調整を怠らないようにしていただければと思います。
もちろんそれは全てのデッキに言える事ですが。
⑥締めの一言
いかがでしたでしょうか?
今回このような機会を頂いたことで、早足ながらどのような事を考えGP神戸に望んでいたか、その一部を騙らせていただきました。
さまざまなデッキの情報が簡単に手に入る昨今ですが、皆さんにも是非固定概念に囚われず素晴らしいデッキを作る事に挑戦していただきたいと思っています。
オリジナリティを形にする過程で全敗することもあるでしょう。
しかしその挑戦が、僕の届かなかった優勝という素晴らしい結果に繋がるかもしれないのですから。
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