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安田マサユキの“実物提示教育致します”~Legacy Analyze~ 
 
text by Yasuda Masayuki

~秋冷の候、ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます~
日増しに秋の深まりを感じる季節となりましたが、お変わり無くマジック三昧な日々をお過ごしでしょうか。


プロツアー・タルキール覇王譚も終了し、スタンダード熱が冷め止まぬ中ですが、次の大きな波が近付いてます。

そう、レガシーイベントの季節です!

BIGMAGIC OPEN、BoMチャレンジを皮切りに、翌週にはエターナルフェスティバルが!

さらに海外グランプリのGPニュージャージーを挟み、12月6日にエターナルパーティーが!!

12月6日にエターナルパーティーが!!


当BIGWEBでもこの大波に乗らない手はありません!ビッグウェーブだけに。


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さて、タルキール覇王譚が発売されてはや1カ月。
強力なカードが多数収録、フェッチランドの採録もあり、パックを剥くだけで楽しくなれますね。
僕は悲しくなる事が多いですが・・・

そして、レガシーにインパクトを与えるであろうカードが何枚も出てきました。

これを使用して既に結果を残したデッキタイプもあるので、メタゲームが動きつつあるかもしれません。

今回はこれらのカードに注目し、BIGMAGIC OPENへの新デッキをチェックしましょう!!

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注目カード1
《宝船の巡航》


さて、テキストを読んでみましょう。
① 1~2マナでカードを3枚引く。
② 引いたカードを使う。
③ あなたは勝つ。

おおよそこんな事が書いてあるはずです。調整されているとはいえ流石は《Ancestral Recall》。
いとも簡単に3枚のカードが引けるだなんて、これは危ない香りがしますね。



しかしこの《Ancestral Recall》の強みを生かす為には、少しばかり条件を満たしてやる必要があります。
墓地を素早く増やす事、引いたカードをすぐ盤面やダメージに変換できる構成にする事、これが肝となります。
低マナドロー呪文を連打して一気に手札を回転させるデッキ、あるいは手札を一気に消費するオールインデッキに採用するのが最も効果的に使えるでしょう。


まずこのデッキをご覧ください
SCG Invitational Qualifier 優勝
19and
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
4 《Tropical Island》
1 《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》
1 《森/Forest》
4 《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》

12creature
4 《荒廃の工作員/Blighted Agent》
4 《ぎらつかせのエルフ/Glistener Elf》
4 《貴族の教主/Noble Hierarch》

29spell
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
3 《宝船の巡航/Treasure Cruise》
4 《目くらまし/Daze》
4 《Force of Will》
4 《激励/Invigorate》
4 《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
2 《Berserk》
15sideboard
1 《無のロッド/Null Rod》
1 《呪文滑り/Spellskite》
2 《輪作/Crop Rotation》
1 《水流破/Hydroblast》
2 《クローサの掌握/Krosan Grip》
1 《自然の要求/Nature's Claim》
3 《呪文貫き/Spell Pierce》
1 《水没/Submerge》
1 《宝船の巡航/Treasure Cruise》
1 《不毛の大地/Wasteland》
1 《Karakas》

決してメタ上位とは言えないものの、これまでもメタの合間を潜り抜けて勝ちを積み重ねてきた、瞬殺デッキ。
大量に投入された強化スペルのお陰で墓地が一気に肥えるので、すぐに《宝船の巡航》を唱えられる状態になります。
感染クリーチャーを介したオールインである為、これまではクリーチャーを適当に処理されだけで後続が続かない事がままありました。
この弱点を《宝船の巡航》の採用によりオールイン後容易にリカバリーできる様になったので大幅に強化されました。
そしてその結果、上記の大会で結果を残したのです。
オールインデッキへの、非常に理に適った投入ですね。


【対感染デッキのワンポイントメモ】
リカバリーが容易になったとは言え、所詮はクリーチャーを介したデッキです。
目の前に出てきたクリーチャーを、「自分のメインフェイズ」で除去しましょう。
除去に対応してパンプアップや呪禁を付与されては目も当てられません。
除去に対応してくれれば、こちらへのダメージも減らせますしね。
毒9までなら死ぬことは無いので、死ぬギリギリを見極めてダメージレースしましょう。


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注目カード2
《僧院の速槍》



《ゴブリンの先達》と何が違うの?
あっちの方がパワー2だから強いんじゃない?

いいえそんな事はございません。
このカードが使われるのは、低マナの呪文を連打するタイプのデッキ。
つまり1ターン目に出した時以外は、ほぼパワー2以上で殴り続けます。
もしドロースペルを大量に唱えられたなら、タルモゴイフすら上回るパワーで殴りに行きます。
そんなカードが使われない訳ありません!

そんな新カードを存分に生かしたデッキがこちら

StarCityGames.com Legacy Open - Edison
1位/259人
17land
1 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
1 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《Volcanic Island》
2 《島/Island》
1 《山/Mountain》

12creature
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
4 《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》

31spell
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
2 《二股の稲妻/Forked Bolt》
1 《Chain Lightning》
4 《目くらまし/Daze》
4 《Force of Will》
4 《宝船の巡航/Treasure Cruise》
15sideboard
3 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《血染めの月/Blood Moon》
2 《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》
1 《無のロッド/Null Rod》
1 《粉々/Smash to Smithereens》

先ほど述べた「低マナドロー呪文を連打して一気に手札を回転させるデッキ」として注目カード1、《宝船の巡航》をも生かしたデッキです。
大量のスペルにバックアップされた《Delver》《僧院の速槍》が速やかにライフを削り、《ヤンパイ》とその僕である大量のトークン、そして優秀な火力達がゲームを締めくくります。
キャントリップスペルにバックアップされた《Delver》はすぐ3/2に変身し、《僧院の速槍》は毎ターンパンプアップされ、宝船もすぐに出港するので手数が尽きません。

《宝船の巡航》・《Force of Will》を除く全てのスペルが2マナ以下(この両者も低マナorピッチとしてプレイ可能)。
ドローがドローを呼び、息切れさせずにクロックを刻み続ける。
無駄なカードを採用せずデッキ構成が一つのエンジンとして回る様は、まさにチェインコンボです。

一人回しが止まらないくらい楽しくて仕方ないので、ご利用は程々に。


また紹介したURデッキ以外にも、バーンに投入されたタイプのデッキがモダン環境で暴れている様です。

デッキの組みやすさと相まって、BMOの大会本番でもよく見かけました。

皆さん、《青霊破》の準備は宜しいですか??



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注目カード3
《時を越えた探索》



昨日のプロツアーでも大活躍した一枚。
上記で使われている《宝船の巡航》とはまた異なる強さを持ったカードです。
雑に3枚引くのでは無く必要なカードを2枚チョイスできるのが強みで、特定のキーカードを必要とするコンボデッキや、フィニッシャーを探すコントロールデッキに入れて一気に勝負を決める使い方が効果的です。

ただ、レガシーに於いては海外の大規模トーナメントでまだ結果を残しておらず、サンプルリストが中々ありません。
しかし国内の大会では何度か結果を残していますので、これに着目してみましょう。

第41回  KMC エタパ&エタフェストライアル
優勝
22land
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3《Tundra》
3《Volcanic Island》
5《島/Island》
2《平地》
1《Karaks》

4creature
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

34spell
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
2《呪文貫き/Spell Pierce》
1《対抗呪文/Counterspell》
1《紅蓮破/Pyroblast》
1《議会の採決/Council’s Judgment》
4《Force of Will》
2《時を越えた探索/Dig Through Time》
4《終末/Terminus》
2《天使への願い/Entreat the Angels》
15sideboard
2《摩耗/損耗/Wear/Tear》
2《謙虚/Humility》
2《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《紅蓮破/Pyroblast》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《殴打頭蓋/Batterskull》
1《天使への願い/Entreat the Angels》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
第41回  KMC エタパ&エタフェストライアル
3位
19land
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
3《Volcanic Island》
2《Tundra》
3《古えの墳墓/Ancient Tomb》
1《裏切り者の都/City of Traitors》
2《島/Island》
1《山/Mountain》

8creature
4《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
4《グリセルブランド/Griselbrand》

33spell
3《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4《騙し討ち/Sneak Attack》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《思案/Ponder》
2《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
2《呪文貫き/Spell Pierce》
2《目くらまし/Daze》
4《Force of Will》
4《実物提示教育/Show and Tell》
2《時を越えた探索/Dig Through Time》
15sideboard
2《誘惑蒔き/Sower of Temptation》
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2《防御の光網/Defense Grid》
2《紅蓮獄/Pyroclasm》
2《摩耗/損耗/Wear/Tear》
2《紅蓮破/Pyroblast》
1《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
















前者はコントロールデッキの代表、奇跡コン。
序盤を捌くのはお手のものなデッキ。
それ故、数ターン経った頃には墓地がしっかり肥えている事でしょう。
そこから速やかに勝利すべく、特定のフィニッシャー組み合わせ(独楽+相殺、ジェイス+それを守るカード、天使への願い+渦巻く知識)を探したいデッキなので、一気に勝負を決める事が出来る様になりました。
もちろん必要に応じて追加の除去や打消し呪文も探せるので、攻守共に無駄がありません。
インスタントタイミングで動ける為、隙を作らないのもデッキに合っています。


後者は言わずと知れた瞬殺コンボデッキ。
手前味噌ながら、これは私の使用したリストです。
他のトーナメントにて優勝も出来ましたので、デッキの強さは中々のものでした。

このデッキは序盤の手札をキャントリップで整える為、墓地があっと言う間に増えていきます。
そして一度《時を越えた探索》を通せば、打ち消し呪文でバックアップされた瞬殺コンボを一気に決められます。
また一度コンボを邪魔されても、《時を越えた探索》で一気にリカバリーが可能な為、二の矢三の矢を放てます。
墓地を再利用することがほぼ無いデッキなので、遠慮なく探査コストに当てられるのも魅力ですね。


攻撃的なデッキ、防御的なデッキ、どちらのタイプにも採用しやすいカードなので《宝船の巡航》ほどでは無いものの、見かけるカードになるでしょう。

皆さん、《赤霊破》の準備は宜しいですか??


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最後に
10秒で考えた秋の新作コンボ

もう一枚、私が密かに注目しているカードとデッキを紹介して締めくくりましょう。

それは・・・


ヤセイノエイヴンヲモシャシテイル!!
《ジェスカイの隆盛》


モダンでも話題のこのカード、最速2ターンキルが可能なのです!

【Metabolic Jeskai】
18land
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
3 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2 《Tropical Island》
1 《Volcanic Island》
1 《Tundra》
1 《Taiga》
1 《Savannah》
1 《島/Island》
1 《森/Forest》

10creature
4 《極楽鳥/Birds of Paradise》
4 《貴族の教主/Noble Hierarch》
2 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
32spell
2 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
4 《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》
3 《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
3 《Force of Will》
3 《宝船の巡航/Treasure Cruise》
1 《燃え立つ願い/Burning Wish》
1ターン目、《極楽鳥》
2ターン目、《ジェスカイの隆盛》
これで準備は完了
《ギタクシア派の調査》か《金属モックス》をプレイし、《極楽鳥》がアンタップ、ルーター能力で手札も回転。
1マナキャントリップをひたすら連打して手札を回転回転回転!
その度に《極楽鳥》がアンタップ、ついでにパンプアップ!!
そして《師範の占い独楽》が二枚揃えば、無限回転開始!!

①独楽プレイ

→②《極楽鳥》アンタップ

→③独楽の能力でドロー

→④2枚目の独楽プレイ、《極楽鳥》アンタップ

→⑤独楽の能力でドロー、先ほどの独楽1が手札に

→①に戻る

100/101になった極楽鳥でブン殴るも良し、ライブラリを引き切って燃え立つ願いからストーム2000のぶどう弾を叩き込むも良し。

サイド後は豊富なサーチ手段を生かして、相殺独楽を決めるも良し!HelmRIPを決めるも良し!
如何でしょう!まだ粗だらけではあるものの、浪漫溢れるデッキではないでしょうか?

もしBMOに持ち込んで勝ったら、DeckTechとしてフィーチャーされる事間違いありませんね!!(皮算用)


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それでは皆様、季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ではありますが、くれぐれもお体に気をつけてください。



~2014年 晩秋~


安田真幸
主な戦績
レガシー選手権2011 優勝
レガシー選手権2012 5位
プロツアーオースティン2008 出場
プロツアー名古屋2011 出場”
プロツアー“ドラゴンの迷路” 参加未遂

フォーマットを問わずプレイするオールラウンダー。レガシー選手権優勝、3度獲得したプロツアーの権利もすべて違うフォーマットというところからも、その器用さが伺える。
海外でのプレイ経験も豊富なベテランプレイヤーである。

本人のブログ:MTG戦歴を報告致します

過去の記事
「Modern Deck Tech このデッキを実物提示教育致します(Trico Traft)」

Deck Tech: 安田 真幸(大阪)の「ずっと俺のターン!」


「安田マサユキの “実物提示教育致します”」
第1回
第2回
第3回

「勝手に挑戦・PTQタルキール覇王譚~
Journey into Honolulu~」

その1
その2
その3
その4
 
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