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by Ishida Ryuuichiro
一年ぶりの記事となります。石田龍一郎です。
この度BMOスタンダードで優勝することができました。(調整に付き合ってくれた静岡の友人達は本当にありがとうございました。)
その際の使用デッキ【アブザンアグロ】と現スタンダード環境についてご紹介したいと思います。
それでは早速ですがデッキリストと各パーツの解説を。
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sample
deck |
25land
4《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
4《疾病の神殿/Temple of Malady》
2《静寂の神殿/Temple of Silence》
3《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb
of Yawgmoth》
3《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2《森/Forest》
1《平地/Plains》
21creature
4《荒野の後継者/Heir of the
Wilds》
4《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
3《ラクシャーサの死与え/Rakshasa Deathdealer》
4《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the
Foremost》
2《責め苦の伝令/Herald of Torment》
4《包囲サイ/Siege Rhino》
14spell
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《英雄の破滅/Hero's Downfall》
3《アブザンの魔除け/Abzan Charm》
3《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn
Visitor》
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15sideboard
4《胆汁病/Bile Blight》
3《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1《残忍な切断/Murderous Cut》
2《風番いのロック/Wingmate Roc》
1《異端の輝き/Glare of Heresy》
1《消去/Erase》
2《狩人狩り/Hunt the Hunter》
1《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
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・2マナ域クリーチャー
4《荒野の後継者/Heir of the Wilds》
4《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
3《ラクシャーサの死与え/Rakshasa Deathdealer》
2マナ域のクリーチャーの採用枚数ですが、序盤に出したい打点の高いクリーチャー二種の優先順位を上げました。特に《荒野の後継者/Heir
of the Wilds》はオーバースペックな灰色熊であり、受け攻めどちらにも活用できるので個人的にはとても大好きです。
《ラクシャーサの死与え/Rakshasa Deathdealer》は対コントロールや終盤で滅法強いのですが、ダメージランドの多さと序盤のダメージ効率から3枚にしました。
・3~4マナ域クリーチャー
4《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza,
the Foremost》
2《責め苦の伝令/Herald of Torment》
4《包囲サイ/Siege Rhino》
《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza,
the Foremost》は伝説クリーチャーということもあり4積みを敬遠される方も多いと思いますが、自分は残ったら勝ちのマスト除去クリーチャーだと思っているので4積みにしました。4/4の生きたプチ《ガヴォニーの居住区》です。《荒野の後継者/Heir
of the Wilds》or《羊毛鬣のライオン/Fleecemane
Lion》から《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza,
the Foremost》の動きはこのデッキの一番強い動きであり、ベストムーブを目指すために4枚。緑信心のような除去の薄いデッキの時だけサイドで枚数を減らします。
《責め苦の伝令/Herald of Torment》はマナカーブを埋めるためのベストカードです。攻撃力の高さに加え後半の奇襲性もあることから、デッキの強い動きを作るのにはうってつけのカードでした。また苦手な相手もはっきりしているのでサイドアウトがし易いのもメリットでした(笑)
《包囲サイ/Siege Rhino》の強さは皆さんもよくご存じかと思いますので割愛。
・非クリーチャー呪文
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《英雄の破滅/Hero's Downfall》
3《アブザンの魔除け/Abzan Charm》
3《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn
Visitor》
兎に角《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn
Visitor》が強いです。
このデッキはソリンデッキであり、プレイングも『如何に生物を残し《真面目な訪問者、ソリン/Sorin,
Solemn Visitor》を機能させるのか』というゲームプランを考えることになります。《思考囲い/Thoughtseize》や《責め苦の伝令/Herald
of Torment》、各種ダメージランドなどライフリソースの無茶も全てソリンのおかげで成り立っているので、ソリン様様です。ダメージレースが無意味になるマッチアップを除き、絶対に抜けない重要カードです。
《英雄の破滅/Hero’s Downfall》と《アブザンの魔除け/Abzan
Charm》の除去は2~3マナ域のクリーチャーで得たテンポの優位を確保してくれます。特に最近アブザン対策で入ってくることが増えた《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath
Dragon》対策に《英雄の破滅/Hero’s Downfall》を増やしてみましたが、今回はどうやら取り越し苦労のようでした。
・土地
4《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
4《疾病の神殿/Temple of Malady》
4《コイロスの洞窟/Caves of Koilos
3《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
3《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb
of Yawgmoth》
2《静寂の神殿/Temple of Silence》
2《森/Forest》
1《平地/Plains》
前日のSCGスタンダードにも出ましたが、その際は今のデッキリストと大分違いメインに《蔑み/Despise》を採用したものでした。(結果は5-2)前日から当日の形の最大の変更点は土地の一枚増量だったのかもしれないと思っています。
土地事故や色マナトラブルで勝敗がつくゲームが多く、一ターンで2アクション取るためにも土地は5枚欲しい。そんな思いつきで《ラノワールの荒原/Llanowar
Wastes》を一枚追加した結果、前日と比べてマリガントラブルが減り4~5ターン目の動きがスムーズになったと感じました。実際相手が1,2ターンマナトラブルをしている間に展開して勝つということが多かったです。
思いつきを直前で試したものなので、実はただ運が良かったのか本当のところはよくわかりません。けれど土地回りの安定性を図るのは色拘束の強いカードが多い今とても重要だと思います。
・サイドボード
4《胆汁病/Bile Blight》
3《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1《残忍な切断/Murderous Cut》
2《風番いのロック/Wingmate Roc》
1《異端の輝き/Glare of Heresy》
1《消去/Erase》
2《狩人狩り/Hunt the Hunter》
1《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
前提としてまずこの環境のサイドボードは非常に難しいと思っていました。
一つのアーキタイプと思って一括りにサイドプランを作っていると、検討違いで当てが外れたりしてしまうことが多々ありました。そのため相手のプランや先手後手で臨機応変にプランを変更する必要があると感じています。
基本的には2マナ域のクリーチャーとソリン・サイというデッキコンセプトはそのままで、苦手カードを対処していくことが望ましいと思います。
・《胆汁病/Bile Blight》《悲哀まみれ/Drown
in Sorrow》《残忍な切断/Murderous Cut》
《胆汁病/Bile Blight》は《カマキリの乗り手/Mantis
Rider》や《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin
Rabblemaster》を捌いたり《女王スズメバチ/Hornet
Queen》での負けを防げたりと、とてもサイドイン率が高かったです。今ならメインに2枚入れたいです。
《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》は赤単をはじめとした高速ビートダウン用カードで、メインで軽量クリーチャーに触れない分サイドは枚数を裂きました。
《残忍な切断/Murderous Cut》は追加の《英雄の破滅/Hero’s
Downfall》で、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath
Dragon》対策や同型でのクリーチャー合戦で役立ちます。3ターン目のクリーチャーを除去できない場合があるので、後半用に一枚だけ。
・《風番いのロック/Wingmate Roc》《狩人狩り/Hunt
the Hunter》
《風番いのロック/Wingmate Roc》はアブザン同型対策です。アグロ・ミッドレンジ両方に対して先に強襲して出せれば大体勝ちです。対アグロの先手なら《思考囲い/Thoughtseize》を抜いて戦場にのみ焦点を当て強気に強襲狙い、後手なら《責め苦の伝令/Herald
of Torment》を抜き受けに回ることを想定します。
《狩人狩り/Hunt the Hunter》も同型に入れますが、緑信心のマナクリを潰しつつ打点を高める一マナのカードは貴重。《セテッサ式戦術/Setessan
Tactics》と比べクリーチャーの展開を阻害しない分使い易いです。
・《消去/Erase》《異端の輝き/Glare
of Heresy》
主にジェスカイカラーの相手に入ります。
《消去/Erase》は《払拭の光/Banishing
Light》や《ジェスカイの隆盛/Jeskai
Ascendancy》に対処できるので、入っていることが確認できたのなら入れます。またフィニッシャーに《嵐の神、ケラノス/Keranos,
God of Storms》を採用しているタイプもあるので、入れることが多かったです。一マナのインスタントなので動きやすいのがいいですね。
《異端の輝き/Glare of Heresy》はこれらに加え《カマキリの乗り手/Mantis
Rider》に対処できるのが強みです。コンボでないジェスカイ相手だと《消去/Erase》が本当に効くのか不明なことが多いですが、《異端の輝き/Glare
of Heresy》は対象を取れる可能性が高いので安心して入れられる一枚です。
ただどちらも『相手の対応に対する対応カード』なので、枚数を取り過ぎるとロングゲームになり易いため1枚ずつです。《ジェスカイの隆盛/Jeskai
Ascendancy》コンボを意識するのであれば《消去/Erase》は2~3枚採用してもいいですね。
・《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
対コントロール用の一枚。《予知するスフィンクス/Prognostic Sphinx》や《真珠湖の古きもの/Pearl Lake Ancient》が多く採用されている現在ではかつてのような安定した活躍は望めませんが、それらが間に合わない早めのターンに出せれば相変わらず制圧力は高いです。お守り。
【総括】
全てのマッチをメモで見返しながら感じたのが、勝負を決めるのは相手の土地事故ということがとても多かったことです。また全てのデッキに多様性がありサイドボードで特定の対策のみでは通用しないことから、土地・マナバランスとサイドボードがとても重要な環境だと思いました。
また現スタンダードはどのデッキもカードパワーが高いので、特定のデッキが勝ち組ということのない面白い環境だと思います。実際TOP8以外のデッキでも十分TOP8に残っても不思議ではないデッキ・プレイングの人が多くおり、今もう一度BMOを開催したら結果は全然違うものになっているのではないかとも思えます。それだけ拮抗した面白い環境だと思います。
そんなスタンダード環境の中で、自分のこの記事が何かの足掛かりになれば幸いです。
それではまた次の機会に―
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