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by Ichikawa Yuuki
0.導入
こんにちはー、市川です。
今日は前回の続き、世界選手権調整録のスタンダード編をお送りしたいと思います。
よろしくお願いします。
1.世界選手権前のメタゲーム予想
まずプロツアータルキール覇王譚時とスタンダードのメタゲームがどのように変動して来たかを見てみましょう。
プロツアー覇王譚前のメタゲーム予想は以前にしていますので、そちらもご参照下さい。
市川ユウキのPTタルキール覇王譚調整録
◇ジェスカイテンポ....大幅減
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Shaun
McLaren - ジェスカイ・ウィンズ
プロツアー『タルキール覇王譚』 トップ8 |
25land
2 《島/Island》
3 《山/Mountain》
1 《平地/Plains》
4 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4 《神秘の僧院/Mystic Monastery》
2 《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4 《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
1 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
4 《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
9creature
1 《道の探求者/Seeker of the
Way》
4 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
4 《カマキリの乗り手/Mantis Rider》
26spell
4 《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4 《マグマの噴流/Magma Jet》
4 《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
2 《払拭の光/Banishing Light》
4 《かき立てる炎/Stoke the Flames》
4 《時を越えた探索/Dig Through Time》
2 《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
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15sideboard
1 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
2 《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of
Storms》
2 《消去/Erase》
2 《否認/Negate》
1 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
3 《解消/Dissolve》
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
2 《対立の終結/End Hostilities》 |
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プロツアータルキール覇王譚では最大勢力を誇り、
トップ8にも二人送り込んだまさに環境の花形とも言うべきジェスカイテンポ。
(※参考:プロツアー『タルキール覇王譚』スタンダードメタゲームブレイクダウン・2日目)
しかしタルキール覇王譚が発売していから月日が流れ、今やその栄光も見る影も無く・・・・。
は、少し言い過ぎかもしれませんがあながち間違っていないのではないかと言う使用率の低下。
私の主戦場のMagic Onlineでも殆ど見ず、たまにマッチングされた時には懐かしさすら覚えるほどまでの衰退っぷり。
理由はデッキの全容が環境中期に寄って来たことによって解明、研究されていること、単純にデッキに入っているカードのカードパワーの低さが挙げられます。
特にこれら3枚のカードはタフなクリーチャーで構成されているデッキが多い現環境では、積極的に採用したいカードとはとても言えません。
それらがデッキの屋台骨を支えているジェスカイテンポが環境から淘汰されてしまったのは自然の理なのかもしれません。
◇アブザンミッドレンジ....増
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Ari Lax
- アブザン・ミッドレンジ
プロツアー『タルキール覇王譚』 トップ8 |
24land
2 《平地/Plains》
3 《森/Forest》
4 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
4 《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
2 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
1 《静寂の神殿/Temple of Silence》
2 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4 《疾病の神殿/Temple of Malady》
1 《マナの合流点/Mana Confluence》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb
of Yawgmoth》
16creature
2 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4 《包囲サイ/Siege Rhino》
2 《風番いのロック/Wingmate Roc》
20spell
4 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《アブザンの魔除け/Abzan Charm》
3 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2 《完全なる終わり/Utter End》
2 《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn
Visitor》
2 《英雄の導師、アジャニ/Ajani, Mentor
of Heroes》
3 《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's
Champion》
|
15sideboard
3 《胆汁病/Bile Blight》
3 《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
2 《残忍な切断/Murderous Cut》
1 《霊気のほころび/Unravel the AEther》
1 《対立の終結/End Hostilities》
1 《砂塵破/Duneblast》
1 《集団の石灰化/Mass Calcify》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
1 《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
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プロツアーを制覇したアブザンミッドレンジ、プロツアー時には2番手とメタの一角を担っていましたが、1番手のジェスカイテンポとは違って、環境が成熟した今でもメタゲームに存在しています。
逆にジェスカイテンポが衰退したことによってトップメタに躍り出たと言っても過言では無いでしょう。
(※参考:プロツアー『タルキール覇王譚』スタンダードメタゲームブレイクダウン・2日目)
このデッキの特徴はまずカードパワーの高さ。
テーロスブロック構築を席巻した《森の女人像》、《クルフィックスの狩猟者》パッケージは勿論、どんなデッキも対処に困る《包囲サイ》と言うただ強カード。
それらの脇を固める除去呪文も《英雄の破滅》、《アブザンの魔除け》と用途が広く裏目が無い。
またこのカラーリングは採用出来るカードの多さが特徴です。
低マナを固めたいのであれば《羊毛鬣のライオン》や、アグロに強く構成したいなら《胆汁病》。
同型やコントロールが多いなら《世界を目覚めさせる者、ニッサ》をメインに投入したりなど。
第一エキスパンション発売後とは思えないほどにアブザンはカードが選べる状態で、それがこのデッキを環境に居座らせている最大の要因でしょう。
世界選手権でも、その安定性の高さから選択するプレイヤーも多いだろうと考えていました。
アブザンミッドレンジに勝てないデッキは持ち込まない、これは目標では無く最低ラインでしょう。
◇アブザンアグロ....大幅増
|
Mike
Sigrist - アブザン・アグロ
プロツアー『タルキール覇王譚』 トップ8 |
24land
1 《平地/Plains》
2 《森/Forest》
4 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
4 《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
4 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
1 《静寂の神殿/Temple of Silence》
2 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4 《疾病の神殿/Temple of Malady》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb
of Yawgmoth》
21creature
4 《羊毛鬣のライオン/Fleecemane
Lion》
4 《ラクシャーサの死与え/Rakshasa Deathdealer》
2 《荒野の後継者/Heir of the Wilds》
4 《責め苦の伝令/Herald of Torment》
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza,
the Foremost》
4 《包囲サイ/Siege Rhino》
15spell
4 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《潰瘍化/Ulcerate》
4 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
3 《アブザンの魔除け/Abzan Charm》
3 《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn
Visitor》
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15sideboard
2 《風番いのロック/Wingmate Roc》
2 《蔑み/Despise》
2 《消去/Erase》
3 《胆汁病/Bile Blight》
3 《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1 《英雄の導師、アジャニ/Ajani, Mentor
of Heroes》
1 《信者の沈黙/Silence the Believers》
|
|
プロツアータルキール覇王譚でトップ8に入った、台風の目と言うべきアブザンアグロ。
緑軸のデッキで《森の女人像》と《クルフィックスの狩猟者》を入れない構築は当時では物凄く斬新で、トップ8リストを見た時に感心したものです。
このデッキの長所は序盤から終盤まで引きムラが少なく、どのタイミングでもある程度強いカードで構成されているところ。
《ラクシャーサの死与え》や《羊毛鬣のライオン》などが一番良い例でしょうか。
序盤から終盤まで対処に困る彼らはこのデッキの中心と言えます。
また前述したアブザンミッドレンジ同様カードの選択肢が多く、世界選手権前の様々なグランプリで多数トップ8に入るなど、メタゲームトップに食い込む活躍をしていました。
このデッキもその隙の無さからある程度使うプレイヤーは多いだろうと感じていました。
◇シディシウィップ....大幅増
|
ALBERT
AKE – SIDISI WHIP
GRAND PRIX SAN ANTONIO TOP8 |
23land
1 《マナの合流点/Mana Confluence》
1 《島/Island》
2 《沼/Swamp》
3 《森/Forest》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
2 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
2 《疾病の神殿/Temple of Malady》
4 《華やかな宮殿/Opulent Palace》
4 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
1 《神秘の神殿/Temple of Mystery》
23creature
4 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
1 《サグのやっかいもの/Sagu Mauler》
2 《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
4 《血の暴君、シディシ/Sidisi, Brood Tyrant》
1 《イニストラードの魂/Soul of Innistrad》
3 《女王スズメバチ/Hornet Queen》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
14spell
3 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《残忍な切断/Murderous Cut》
3 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
1 《召喚の調べ/Chord of Calling》
3 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
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15sideboard
1 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
2 《胆汁病/Bile Blight》
1 《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》
2 《否認/Negate》
2 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1 《苦悶の神、ファリカ/Pharika, God of
Affliction》
2 《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》
3 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare
Weaver》 |
|
プロツアータルキール覇王譚でも少ないながらも一定数使用者がいたシディシウィップ。
世界選手権までのグランプリでは優勝こそ無いものの、常に上位に食い込んで存在感を示していました。
”死ななければ勝ち”と形容されるくらいロングゲームに強いシディシウィップですが、アブザンミッドレンジやマルドゥミッドレンジなどのミッドレンジ対決では滅法強く、それらが環境に跋扈していることを鑑みると、その絶対数を増やしてきたことも説得力があります。
似たようなパーツで構成されている緑黒信心との大きな違いは、デッキ名となっている《血の暴君、シディシ》は勿論ですが、青いカード分のサイドボードカードの豊富さでしょうか。
《スゥルタイの魔除け》は《エレボスの鞭》デッキ対決では腐り辛い《帰化》となりますし、同じような速度のミッドレンジデッキには《軽蔑的な一撃》が非常に効果的な打消し呪文と言えるでしょう。
シディシウィップの速度に合わせてサイドボードして来た相手には《悪夢の織り手、アショク》は対処し辛いフィニッシャーに成り得るでしょう。
世界選手権と言う特殊なメタゲームでは赤単や白青英雄などの極端に早いデッキが少なくなる傾向にあり、それらが居ないメタゲームなら滅法強いと思われるシディシウィップは、上記二つのアブザンデッキと併せて多くの使用者がいるだろうと考えていました。
2.メタゲーム
/ ここまでのまとめ
・アブザンミッドレンジ、アブザンアグロ、シディシウィップなどロングゲームに強く、対応力のあるデッキが多そう。
・ジェスカイテンポ、赤単、白青英雄などライフを攻めてくる早いデッキは少ないだろう。
これに加えて
・マルドゥミッドレンジや青黒コントロールなどの他の遅いデッキも一定数いるかも知れないが、そもそも上記3つのデッキと比べてデッキパワーが高くないので、単純に強いデッキを持ち込めばそこまでガードを上げる必要は無い。
と考えた私は
”デッキパワーが単純に高く、アブザンミッドレンジ、アブザンアグロ、シディシウィップに強いデッキを持ち込もう。”
と決めて、世界選手権用のスタンダードの調整を始めたのでした。
3.使用デッキ
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市川ユウキ
世界選手権2014 |
23land
4 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4 《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
4 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
3 《疾病の神殿/Temple of Malady》
2 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
2 《森/Forest》
2 《平地/Plains》
1 《静寂の神殿/Temple of Silence》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb
of Yawgmoth》
26creature
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
2 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4 《包囲サイ/Siege Rhino》
4 《風番いのロック/Wingmate Roc》
2 《テーロスの魂/Soul of Theros》
2 《女王スズメバチ/Hornet Queen》
11spell
3 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
3 《残忍な切断/Murderous Cut》
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15sideboard
1 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《胆汁病/Bile Blight》
2 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
2 《完全なる終わり/Utter End》
4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
2 《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
1 《英雄の導師、アジャニ/Ajani, Mentor
of Heroes》 |
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このデッキは世界選手権前に行われていたGPサンティアゴで優勝したアブザンリアニメイトをベースに構築しています。
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EDUARDO
DOS SANTOS VIEIRA
GRAND PRIX SANTIAGO 2014 TOP8 |
23land
2 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
4 《森/Forest》
4 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
1 《平地/Plains》
4 《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
3 《疾病の神殿/Temple of Malady》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb
of Yawgmoth》
4 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
27creature
2 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4 《包囲サイ/Siege Rhino》
2 《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
3 《テーロスの魂/Soul of Theros》
3 《女王スズメバチ/Hornet Queen》
1 《開花の幻霊/Eidolon of Blossoms》
10spell
2 《神々との融和/Commune with
the Gods》
3 《残忍な切断/Murderous Cut》
3 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
2 《払拭の光/Banishing Light》
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15sideboard
1 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1 《異端の輝き/Glare of Heresy》
1 《停止の場/Suspension Field》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
4 《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
1 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1 《完全なる終わり/Utter End》 |
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調整はしているものの使うデッキを決めあぐねていた私は、GPサンティアゴで優勝したこのリストを見つけテストプレイしてみたところ、そのデッキパワーの高さに惚れ、このデッキを調整していくことを決めました。
特に同じようなパーツで構成されていながら《エレボスの鞭》、《女王スズメバチ》とロングゲームになったら効果を発揮するカードをこちらだけ入れている関係上、アブザン系のデッキにとても高い勝率を誇ったことが最大の理由でしょう。
4.各種パーツの解説
以下はGPサンティアゴ優勝リストと比べて、大きく変更した点を解説します。
▽《開花の幻霊》、《払拭の光》、《神々との融和》の不採用
オリジナルのリストには申し訳ない程度の枚数づつ投入された星座要素。
長い期間オリジナルリストを回しては見ましたが感想は”蛇足”。
《開花の幻霊》は場に残って爆発してくれたら強いのですが、そもそもエンチャント自体の枚数がそこまで入っていないのでそんなことも無く。
となると単純に単体でのスペック『4マナ2/2、場に出た時に1ドロー』が果たして強いか?と自問したら抜けていくのは道理でしょう。
《払拭の光》は《開花の幻霊》とのシナジー込みで入っていたカードなので、サイドボード後のエンチャントヘイトが刺さらないように《英雄の破滅》に。
《神々との融和》はカードとしての遅さが気になりました。
2ターン目に打っても強くなく、4~5ターン目に打つならそもそもそのマナ域のカードにした方が良い。
大体6ターン目にキャスト→拾ったカードをキャストみたいな動きが多かったので違うカードにした方が良いと判断しました。
サイド後のエンチャント対策をモロに食らわないように、如何にエンチャント要素を薄くするかが私の構築の肝です。
▽《風番いのロック》の採用
そこで白羽の矢が立ったのが《風番いのロック》でした。
このカードは単体でミッドレンジデッキに強く、また《エレボスの鞭》や《テーロスの魂》との相性も良いです。
アタックしてから《エレボスの鞭》で《風番いのロック》を出すとカードを使わずに3/4飛行が場に残ります、凄い!
▽《エルフの神秘家》の増量
《風番いのロック》を採用するに当たって、強襲するクリーチャーが必要です。
《クルフィックスの狩猟者》や《包囲サイ》はタフなクリーチャーなのでこれらだけでも十分かと思いますが、もう一工夫。
オリジナルのリストでは《エルフの神秘家》2枚、《森の女人像》4枚と言う構成でしたが、ここを逆の《エルフの神秘家》4枚、《森の女人像》2枚に。
これは多数引いて持て余している《エルフの神秘家》をチャンプアタックの強襲要員として数えることは勿論、
4ターン目に《風番いのロック》を強襲で出したい
↓
2ターン目に強襲要員としては最適な《サテュロスの道探し》を出しながらマナ加速したい
↓
1ターン目にマナクリーチャーを設置したい
と言う理念にあります。
《風番いのロック》を採用したことによりこのデッキの《サテュロスの道探し》は
・マナベースの安定
・墓地肥やし(《エレボスの鞭》、《残忍な切断》用)
・《風番いのロック》の強襲
とマルチな活躍をするスーパークリーチャーに、《サテュロスの道探し》愛してる!
その他単体で強い《風番いのロック》を採用したことによりこれより上のマナ域の《テーロスの魂》、《女王スズメバチ》を減らして低マナを支える《思考囲い》をメインボードに。
この辺は性格に拠るものかも知れませんね、カードパワーが高いデッキは好きなんですが、もっさりするのは嫌いです。
▽サイドボードに《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚
ミッドレンジ同型最強、出したらほぼ勝ちと言っても良い《女王スズメバチ》もサイドボード後はそうはいきません。
《悲哀まみれ》や《対立の終結》、《破滅喚起の巨人》などで対戦相手も《女王スズメバチ》対策をしてくるので、ゲームを決める働きは中々してくれないのです。
また《エレボスの鞭》も前述したように《女王スズメバチ》対策をされること、相手がエンチャント対策をしてくることを見越すとそこまで有効的では無く。
この辺りをごっそり入れ替えて相手の虚をつくカードと言えば・・・・。
そう、みんな大好き《世界を目覚めさせる者、ニッサ》!
新環境になってから少し影の薄くなった彼女ですが、そのカードパワーは折り紙つき。
ミッドレンジ以降のデッキには劇的に働いてくれますし、対応策も限られています。
これに含めて《英雄の導師、アジャニ》などをサイドインして、サイド後は対策されるカードを減らしてアブザンミッドレンジのように振る舞うのがサイドプランです。
5.末尾と予告
世界選手権のメタゲームをミッドレンジ多数と睨み、
”ミッドレンジ界最強”
のデッキを組み上げようと躍起になった日々でした。
以上が世界選手権のスタンダード調整録になります。
如何だったでしょうか。
次回は世界選手権のフォーマットとなったVintage Masters
Draft、及びタルキール覇王譚ドラフトへの所見と、世界選手権の大会レポートを書きたいと思います。
ではまた次回の記事でお会いしましょう。
市川
※編注:記事内のデッキリストは、以下のページから引用しました。
プロツアー『タルキール覇王譚』
トップ8プレイヤーデッキリスト(スタンダード)
GRAND
PRIX SAN ANTONIO 2014 COVERAGE
GRAND
PRIX SANTIAGO 2014 COVERAGE
世界選手権2014
スタンダード 全デッキリスト
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市川ユウキ
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マスクスブロック時代よりMTGを始め、インベイジョンが入る頃に引退。
ミラディンの傷跡が発売した頃にMagic OnlineでMTGに復帰。
ほぼ同時期にニコニコ生放送にて"瀬畑"のハンドルネームでMagicOnline配信を開始。
その独特で軽妙な毒舌トークと、確かな実力から人気を博す。
配信者としてのキャリアを重ねると共に地道な努力を続け、2013年MOPTQを2期連続で突破。
更に日本レガシー選手権において前人未到の2連覇を果たし一気に国内においてブレイク。
そして2014年。『プロツアー・ニクスへの旅』『プロツアー・マジック2015』において、
2連続プロツアーTOP8入賞を果たし、プロ最高ランクであるプラチナレベルにまで上り詰める。
『プロツアー・マジック2015』において使用した《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚投入した『ジャンド・プレインズウォーカー』デッキは世界のトッププレイヤー達から賞賛を受けるなど、デッキチューナーとしての評価も高まっている。
正に今、世界で最も注目を集めているプレイヤーだ。
主な戦績
・プロツアー・マジック2015 6位
・プロツアー・ニクスへの旅 4位
・グランプリ神戸2014 7位
・The Last Sun 2013 ベスト8
・Eternal Festival Tokyo 2013
3位
・2013日本レガシー選手権(夏)優勝
・2013日本レガシー選手権(春)優勝
・世界選手権2014出場
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市川ユウキ、BIGMAGICとプロスポンサー契約を締結!!
市川ユウキ(瀬畑太郎)
「瀬畑太郎の紙とMOのあいだ」
第1回
第2回
第3回
特別企画「新環境でつかまえて」
”プロツアーニクスへの旅”に向けての調整録
市川ユウキのGP神戸調整録
市川ユウキのPTタルキール覇王譚調整録
市川ユウキのアブザンリアニ解説
世界選手権2014レポート
俺より強い奴に会いに(フランスに)行く
モダン調整編
市川ユウキ日本代表への道
第1回
今までのおさらい
第2回
Rabble Red&ローグ特集
最終回
何故市川は勝てなかったのか
市川ユウキの「これを1000枚買え!!!」
タルキール覇王譚編 | |