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石田弘
「黒に染まりゃいいんだよ!」第4回
 

2015.04.09


text by Ishida Hiroshi



 『タルキール龍紀伝』発売されましたが、レガシーでも何枚か新しいカードが試されているみたいですね。
黒の新しいカードは……《強迫》の絵柄が増えましたね!  やったぜ!!


まぁ真面目な話、《コラガンの命令》や《龍王シルムガル》なんかは使えるのではないかと思います。シルムガル様でエムラクールぱくったら超気持ちイイ!


今回はGP京都直前という事で、環境に存在する色々な黒いデッキを独断と偏見で紹介していきます。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。情報は最大の武器だと、あのシェオルドレッド様もおっしゃっていました。
また「まだGPで使うデッキが決まっていないよ~」という人の助けにもなれば幸いです。


Reanimator by Nick Patnode
SCG Legacy Premier IQ Richmond, 1st Place
2015 05 29
16land
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
2 《Underground Sea》
2 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《Bayou》
1 《Tropical Island》

7creature
3 《グリセルブランド/Griselbrand》
1 《墓所のタイタン/Grave Titan》
1 《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》

37spell
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《納墓/Entomb》
4 《Force of Will》
4 《入念な研究/Careful Study》
4 《死体発掘/Exhume》
4 《再活性/Reanimate》
3 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3 《目くらまし/Daze》
3 《思案/Ponder》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《動く死体/Animate Dead》
1 《時を越えた探索/Dig Through Time》

Sideboard
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
3 《強迫/Duress》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《夜の戦慄/Dread of Night》
1 《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
1 《時を越えた探索/Dig Through Time》
1 《見栄え損ない/Disfigure》
1 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
1 《Tropical Island》
 




「青黒リアニメイト」デッキはレガシーではメジャーなデッキタイプです。
黒の特色である墓地からの復活呪文で、大型クリーチャーを早期に場に出し相手を圧倒します。

基本的に初動で釣り上げるのは《グリセルブランド》で、能力でのドローからカウンターを大量に抱えて相手の反撃を無力化し押し切ります。
他には相手のデッキや状況に応じて何種類かの生物が採用されます。納墓で好きなクリーチャーを墓地に落とせるので、シルバーバレット戦略ができるわけです。

リアニメイトの最大の強みは、その驚異的な速度にあります。
《納墓》も《再活性》も1マナなので最悪マナソースが一つあればコンボカードをすべてプレイできてしまいます。これは同じくマナコストの踏み倒しを狙う《実物提示教育》系デッキよりもさらに速度が早いことを意味し、レガシーでも最速のコンボデッキの一つに数えられます。

また、それほどの速度を持ちながらしっかりと妨害カードが搭載できるのも明確な強みで、《Force of Will》や《目くらまし》、《思考囲い》と大量の妨害カードを積んでいます。
ハンデスとカウンター両方を無理なく採用できるコンボデッキというのはそれだけで利点があり、これらは自分からコンボを決める際のサポートとしても手厚く、相手がコンボデッキだとしても強く妨害できることを意味しています。
即ち「リアニメイト」とは、アンフェアデッキの中でもアンフェアデッキに強いデッキタイプなのです。

最速の攻撃力と十分な妨害力を備えた強力な「リアニメイト」ですが、その分弱点も多いです。
相手の妨害には極度に弱く、特にメインボードでは《死儀礼のシャーマン》が場に出てしまうとほぼお手上げです(一応、《死体発掘》+墓地に生物2体以上あればリアニメイト出来ますが、難しい話です…)。
またサイド後こそが鬼門で、レガシーではほぼあらゆるデッキがしっかりサイドボードに墓地対策カードを取っていますので、メイン以上にリアニメイトを決めるのが難しくなります。


そのためサイド後は墓地を介さず、《実物提示教育》から踏み倒すサブプランを取っていることが多いです。
最近ではそれさえも禁じてしまう《封じ込める僧侶》の登場は大きな逆風です。

弱点があるとは言っても、レガシー環境でも非常に強力なデッキの1つで、慣れればプレイングもそこまで難しくはありません。
何より、黒ならではの、そしてレガシーならではの動きをする魅力あるデッキです。
高額カードが多いですが、レガシーをプレイしていくなら持っていて損のないカードが多く、レガシーを長くやっていくなら集めてみるのも悪くありません。
またリアニメイトデッキについてはこちらの記事でも詳しく紹介されています。 
レガシー特別記事「Enter the Entomb ―レガシーにおける最強のリアニメイトを目指して」




●ANT

ANT by larkblue
Legacy Daily #8107783, (3-1) 2015 03 26
14land
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
3 《Underground Sea》
2 《宝石鉱山/Gemstone Mine》
2 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《Tropical Island》
1 《Tundra》
1 《Volcanic Island》

46spell
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
4 《思案/Ponder》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》
4 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3 《沈黙/Silence》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《定業/Preordain》
2 《金属モックス/Chrome Mox》
2 《強迫/Duress》
1 《炎の中の過去/Past in Flames》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1 《むかつき/Ad Nauseam》

Sideboard
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
2 《突然の衰微/Abrupt Decay》
2 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
2 《防御の光網/Defense Grid》
2 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
1 《夜の戦慄/Dread of Night》
1 《Karakas》
1 《クローサの掌握/Krosan Grip》
1 《紅蓮地獄/Pyroclasm》




「ANT」は古(『アラーラの断片』発売時)から環境に存在し続ける古豪で、今なお一線で活躍するコンボデッキです。
『タルキール覇王譚』発売以降、殆どのコンボデッキが《時を越えた探索》によりパワーアップしたのに対し、《むかつき》によるライフロスの影響により総マナコストそのものが問題になってしまう「ANT」では《時を越えた探索》を採用することが出来ません。
ですがそもそも、《むかつき》のドロー能力は《時を越えた探索》の比ではありません。《むかつき》の使用に特化しただけの事はあります。この尖りっぷりが黒らしいですね。

レガシーのコンボデッキの中でも特に複雑で、プレイングに習熟が必要なデッキです。
また使われた際にも、どこをどう攻めれば一番有効なのか(特にハンデスで何を落とすべきか)、しっかりと理解しておく必要があります。


ハンデスしていっても墓地からフラッシュバックできる《炎の中の過去》のせいで安心できません。
「ANT」に関してはこちらの記事に詳しく紹介されています。



「ANT」を使っている人はずっと使い込んでいて、プレイングにも習熟しているプレイヤーが多い印象があります。このライターの朴さんも愛知のプレイヤーですので交流があるのですが、いや~やっぱり上手いんですよね
「ANT」と戦う場合には、デッキの強さ以上に、プレイヤーの強さにも注意すべきかもしれません。



●ジャンド

Punishing Jund by CalebD
Legacy Daily #8068347, (4-0) 2015 03 11
23land
4 《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
3 《Badlands》
3 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
3 《不毛の大地/Wasteland》
2 《Bayou》
2 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
1 《森/Forest》
1 《沼/Swamp》

15creature
4 《闇の腹心/Dark Confidant》
4 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
3 《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》

22spell
4 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《突然の衰微/Abrupt Decay》
4 《罰する火/Punishing Fire》
3 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
3 《Hymn to Tourach》
3 《稲妻/Lightning Bolt》
1 《森の知恵/Sylvan Library》

Sideboard
3 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《Chains of Mephistopheles》
2 《仕組まれた疫病/Engineered Plague》
2 《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
1 《Hymn to Tourach》
1 《森の知恵/Sylvan Library》
1 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1 《破滅的な行為/Pernicious Deed》
1 《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》




ジャンドは黒デッキと言うよりは緑の印象が強いですが、実はダブルシンボルを要求するのは黒だけであり、つまり黒が一番濃いので黒いデッキと言えないこともありません(無理やり)。

このデッキはレガシーのデッキの中ではフェアなデッキで、普通に強力なカードをプレイして普通にカードパワーやアドバンテージで相手を圧倒し、普通にクリーチャーで相手のライフを削って普通に倒すデッキです。
しかし、単純だからこその強さがあり、単純なデッキパワーはかなりのものです。
プレイングやデッキスタイルはモダンやスタンダードのデッキに近いので、あまりレガシーに慣れていない人でも使いやすいと思います。

パワーがある分、速度はレガシーの中では遅めで、カウンターも取れないのでコンボデッキ相手には苦しい面もあります(それでも、手札破壊やサイドボードで最低限の妨害は出来ます)。
その分、同じ土壌で戦うフェアデッキ相手にはかなり有利で、1枚1枚のカードパワー差で圧倒するゲーム展開を作れます。


レガシーならではの強みとして、《罰する火》と《燃え柳の木立ち》のコンボがあります。これこそ「ジャンド」の強みの一つで、低タフネスが多いレガシーのクリーチャーはこれだけで殆ど制圧されてしまいます。

コンボデッキは苦手ですが、おそらくは使用者が多いであろうデルバー系のデッキに対して有利がつくのが魅力のデッキです。
デッキの値段自体は高いのですが、使われているカードは最近のものが多いので、モダンでBG系のデッキを使っているプレイヤーにとっては比較的組みやすいと思います。

また独自に調整する楽しさもあり、最近のカードですと《ゴブリンの熟練先導者》や《殺戮遊戯》なども採用されて結果を残していたりします。


カードパワーに物を言わせて、真正面から叩き潰すゲームが好きなプレイヤーにはオススメのデッキタイプです。




●BUG

BUG Delver by therock988
20land
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《Underground Sea》
4 《不毛の大地/Wasteland》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
2 《Bayou》
2 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1 《Tropical Island》

14creature
4 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
2 《闇の腹心/Dark Confidant》

26spell
4 《Hymn to Tourach》
4 《思案/Ponder》
4 《突然の衰微/Abrupt Decay》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《目くらまし/Daze》
3 《Force of Will》
2 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
1 《思考囲い/Thoughtseize》

Sideboard
3 《見栄え損ない/Disfigure》
2 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1 《Force of Will》
1 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《無のロッド/Null Rod》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《森の知恵/Sylvan Library》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》



レガシートップメタを常にひた走る「デルバー」系デッキ。
その中でも一番黒要素が濃い「BUGデルバー」を紹介します。
メタゲームや自分のプレイングに合わせた細かい部分での調整が大事なデッキで、レシピは使用者によってまちまちですがこのリストではしっかりhymnとリリアナをとっているので黒デッキと言ってもいいでしょう。


「BUGデルバー」はデルバー系デッキの中では遅めのデッキですが、その分強力なパワーカードを搭載しており、長期戦にも耐えうる構造をした「丸い」デッキです。

手札破壊とカウンターのコンビネーションはやはりコンボデッキ相手に有効ですし、《突然の衰微》はどんなフェアデッキにも対応できます。
どんなデッキとも戦えて、一枚一枚のカードパワー自体も十分。「丸い」というよりも「万能」という言葉のほうが相応しいかもしれません。

いかにもレガシーらしいデッキで、プレイングの引き出しや細かい調整などで使い甲斐もあります。高いカードも多いですが、このデッキ一つあればレガシーを長く楽しめると思いますので、頑張って作ってみるのもいいかもしれません。



●ドレッジ

Dredge by Andrew Shrout
SCG Legacy Premier IQ Richmond, 12th Place 2015 03 29
14land
4 《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》
4 《真鍮の都/City of Brass》
4 《宝石鉱山/Gemstone Mine》
2 《マナの合流点/Mana Confluence》

23creature
4 《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
4 《ナルコメーバ/Narcomoeba》
4 《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》
3 《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》
3 《イチョリッド/Ichorid》
3 《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》
1 《炎の血族の盲信者/Flame-Kin Zealot》
1 《グリセルブランド/Griselbrand》

23spell
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》
4 《黄泉からの橋/Bridge from Below》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4 《入念な研究/Careful Study》
4 《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
2 《戦慄の復活/Dread Return》
1 《打開/Breakthrough》

Sideboard
3 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3 《炎の嵐/Firestorm》
3 《自然の要求/Nature's Claim》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《打開/Breakthrough》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》



「ドレッジ:ザ・ギャザリング」と言われるように、他のデッキとはまったく異なるプレイ感が特徴のデッキタイプ。
ただひたすらに山札を墓地に置き続け、墓地のカードの誘発型能力を中心に闘うという、その独特のプレイ感に魅了されたプレイヤーは数多く、今でも根強い使用者がいるデッキタイプです。

ブン回りした時の手の付けようのなさは随一で、勝つときはとにかく理不尽なほどの展開になります。
逆に負ける場合は何もできずあっさりと負けてしまったりもしますが、そこもこのデッキの面白いところでしょう。
デッキ構成からプレイングまで、とにかくピーキーな、尖りまくったデッキです。


意外と消耗戦には強く、特に劇的なアクションがなくても数体のゾンビとイチョリッドによるアタックだけでライフを削りきる展開もありえます。

誕生からしばらく経った今の環境でもその爆発力は十分ですが、プレイングにはかなりの習熟を必要とします。対戦する際に、特に重要なのは墓地対策を打ち込むタイミングでしょう。上手な「ドレッジ」プレイヤーは、一度や二度墓地を空にされても立て直せるようなプレイングをしてきます。
当たったら要注意なデッキタイプと言えますが、これほど独特なデッキも他にありません。こういったデッキが存在するのも、レガシーの奥深さと言えるでしょう。



●黒単POX

B by FatherOblivion
Legacy Daily #8107876, (3-1) 2015 03 29
26land
9 《沼/Swamp》
4 《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》
4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
4 《不毛の大地/Wasteland》
2 《The Tabernacle at Pendrell Vale》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
1 《変わり谷/Mutavault》
1 《烏羅未の墳墓/Tomb of Urami》

1creature
1 《冥界のスピリット/Nether Spirit》

33spell
4 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
4 《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
4 《Sinkhole》
4 《小悪疫/Smallpox》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
3 《Hymn to Tourach》
3 《無垢の血/Innocent Blood》
2 《Grim Tutor》
2 《呪われた巻物/Cursed Scroll》
2 《Nether Void》
1 《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》

Sideboard
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
3 《記憶殺し/Memoricide》
2 《罠の橋/Ensnaring Bridge》
2 《魂の裏切りの夜/Night of Souls' Betrayal》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《The Abyss》



MOデイリー上位デッキリストで、デッキカテゴリが単純に「B]になっていました。
なんて男らしい…まさに黒の鑑だ!!

それはともかく「POX」デッキです。
「POX」と言っても色々なタイプがありますが、これは比較的メジャーな構成ではないでしょうか。
基本的にはマナ基盤を攻めていって《Nether Void》で蓋をし、ミシュラランドで削りきるハメゲーを目指します。


「POX」デッキについては書ききれないぐらいで、そのうち特集を組みたいと思っているぐらいです。
(編:ええで)

レガシーの有名デッキの中では貴重な、黒単色でも組めるデッキなのが特徴です。ただしこのデッキのように完璧に組もうとすると、とにかく高額なカードが障壁となるでしょう。


他には《壌土からの生命》などのために緑をタッチしたタイプも多く見受けられます。

実は相性差が激しく勝敗に直結するデッキタイプで、勝つときは何もさせずに封殺、負けるときは何がしたいのかわからずそのまま負け、とハッキリとした展開になりがちです。

また序盤を捌いて妨害を続けてもなかなか相手を倒せずにとにかく長引きまくって…という展開にもなりがち。もっとも、それが好きな人もいると思います。ですが、引き分けにはならないようにダラダラしたプレイングは駄目ですよ?

レガシー初心者にはあまりおススメできるデッキタイプではありませんが、自分からリソースを失っていくマゾさと、何もさせずにじわじわ嬲り殺すドS成分が両立した、これ以上ないほど黒らしいデッキタイプです。



●ゾンバードメント

WBR Zombies by Sam Black
Grand Prix-Atlanta 2012
20land
3 《Badlands》
3 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2 《湿地の干潟/Marsh Flats》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
3 《Scrubland》
2 《沼/Swamp》
1 《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》
3 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》

18creature
3 《血の芸術家/Blood Artist》
4 《恐血鬼/Bloodghast》
4 《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
4 《墓所這い/Gravecrawler》
3 《潮の虚ろの漕ぎ手/Tidehollow Sculler》

22spell
2 《苦花/Bitterblossom》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4 《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
3 《ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment》
4 《未練ある魂/Lingering Souls》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《悲劇的な過ち/Tragic Slip》

Sideboard
2 《闇の腹心/Dark Confidant》
1 《暗黒破/Darkblast》
2 《解呪/Disenchant》
2 《喉首狙い/Go for the Throat》
2 《非業の死/Perish》
2 《真髄の針/Pithing Needle》
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
1 《名誉回復/Vindicate》



岩SHOWさんの大好きなレガシーのゾンビデッキ。
(編:せやで)
アメリカを代表するプレイヤーであるサミュエル・ブラックによるデザインで、デッキ名はゾンビ+ボンバードメント(《ゴブリンの砲撃》の英名)からなります。
とにかくデッキ全体がシナジーの塊で、使っていても相手をしても楽しいデッキです。
一見線が細い生物が多いですが動き出してしまうとかなりのクロックの早さを持ち、《ゴブリンの砲撃》を何度も使うことでクリーチャーデッキを制圧します。


また蘇生するクリーチャーや複数のトークン生成カードを使う関係上、《陰謀団式療法》がとても強く使えるので、多数のハンデスと合わせコンボ相手にもかなり戦えます。

これは最初期のリストですが、最近あまり姿を見なくなったのは《死儀礼のシャーマン》の影響でしょうか?
逆にこのデッキ自体も《死儀礼のシャーマン》を活用できますので、現代風にバージョンアップしてみるのも面白そうです。味方であり敵にもなる、実に黒らしい1枚だと改めて思います。



●デッドガイ・エール

Deadguy Ale by Wilkin Chau
2nd Place at StarCityGames.com Premier IQ on 2015 04 05
21land
1 《平地/Plains》
3 《沼/Swamp》
1 《Bayou》
4 《湿地の干潟/Marsh Flats》
2 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《Scrubland》
1 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4 《不毛の大地/Wasteland》
1 《Karakas》

14creature
4 《闇の腹心/Dark Confidant》
4 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
1 《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》
2 《叫び大口/Shriekmaw》
3 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》

25spell
3 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
1 《殴打頭蓋/Batterskull》
2 《金属モックス/Chrome Mox》
1 《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1 《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
1 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
1 《議会の採決/Council's Judgment》
2 《Hymn to Tourach》
1 《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
3 《未練ある魂/Lingering Souls》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《名誉回復/Vindicate》

Sideboard
2 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
1 《封じ込める僧侶/Containment Priest》
1 《赤の防御円/Circle of Protection: Red》
1 《虚空の力線/Leyline of the Void》
1 《見栄え損ない/Disfigure》
1 《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
1 《外科的摘出/Surgical Extraction》
1 《盲信的迫害/Zealous Persecution》
1 《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
1 《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
1 《毒の濁流/Toxic Deluge》



「デッドガイ・エール」は最近ではあまり見なくなりましたが、4/5のSCGプレミアイベントで2位に入賞したレシピを見つけましたので紹介します。
白黒のフェアデッキで、ハンデスで妨害しながら《石鍛冶の神秘家》で装備品をサーチし、《未練ある魂》などで並ぶトークンに装備して殴り倒す動きを基本とします。

ハンデス、除去、そしてアドバンテージ獲得と、一通りどんなデッキ相手でも戦える万能性が魅力のデッキです。
やることがはっきりしていて、アドバンテージを得やすいデッキということで、個人的には好きなデッキタイプです。
クリーチャーの線が細く、速度が比較的遅めなのが弱点です。個々のカードパワーはあまり高くなく、デッキパワー自体は低いので、最近のカードパワー推奨環境では苦しいかもしれません。


メインのハンデスに加え、サイドボードの白いカードのおかげで、コンボデッキにはそこそこ戦えるのは利点です。
このリストでは《金属モックス》の採用が特徴的で、《死儀礼のシャーマン》と合わせてマナ加速することで現環境の速度に対応させたものと思われます。



 そこまで高額カードも必要なく、2色デッキなので比較的安く組めるのも魅力です。
どんなデッキとも一通り戦えるので、レガシー初心者の方にはオススメしたいデッキです。


自分もレガシーをはじめたての頃は使っていたデッキタイプです。《マラキールの門番》や《鞭打ち悶え》の入った黒の濃いレシピでしたが!



●POXリアニメイト

Sample Deck:ポックスリアニ
22land
17《沼/Swamp》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
4《不毛の大地/Wasteland》


6creature
1《グリセルブランド/Griselbrand》
1《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》
1《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1《墓所のタイタン/Grave Titan》
1《灰燼の乗り手/Ashen Rider》

32spell
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《Hymn to Tourach》
4《小悪疫/Smallpox》
4《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
4《納墓/Entomb》
4《再活性/Reanimate》
4《動く死体/Animate Dead》

Sideboard
1《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
3《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
3《無垢の血/Innocent Blood》
1《Dystopia》
2《仕組まれた疫病/Engineered Plague》
2《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
3《真髄の針/Pithing Needle》



dds666オリジナルのデッキです。
以前に記事を書かせてさせてもらっていますので、詳しいことはそちらでどうぞ。

ポックスリアニ記事


最近また自分も使っており、なかなかいい感じの結果を出せています。
やはり思い入れの在るデッキです。

苦手だった「奇跡」デッキが以前と比べて少し減ったので、そこは追い風だと感じています。自分は不参加だったのですが、同様のデッキタイプがGPTでもトップ8に入っていました。
やはり地力はあり、GPでも十分に戦えると思います。

黒ならではの邪悪なプレイ感がありプレイしていて楽しいデッキですが、このデッキの利点は何よりも安さです。
純正の「POX」デッキと比べても、《Nether Void》などの高額カードは必要ありません。
レガシーで黒いデッキを使ってみたいけどあまり資産が……という方にも優しく、オススメのデッキです!




・今週の「闇より這い出しもの」

 というわけでレガシーの黒いデッキをざっと紹介してきましたが、やはりレガシーのデッキは高い!
ここは簡単に組める黒いデッキを紹介しましょう!

Sample Deck:「スーパー黒単ウィニー!」
14land
6《沼/Swamp》
4《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》

24creature
4《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4《墓所這い/Gravecrawler》
4《戦墓のグール/Diregraf Ghoul》
4《マルドゥの影槍/Mardu Shadowspear》
4《血に染まりし勇者/Bloodsoaked Champion》
4《肉裂き怪物/Flesh Reaver》

22spell
4《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4《殺し/Snuff Out》
4《思考囲い/Thoughtseize》
2《強迫/Duress》
4《不吉の月/Bad Moon》


安い!  早い! スーサイド!  と3拍子揃った、昔の黒を思い出す「ウィニー」デッキです。
見ての通りデッキ内の大半が1マナ以下。土地を限界まで切り詰めましたが《暗黒の儀式》や《睡蓮の花びら》も合わせればマナソース22枚もあるから大丈夫大丈夫!
実に20枚もの1マナクリーチャー軍団は圧巻です!
《肉裂き怪物》は強くはないけど、第0回からやたら画像でプッシュされてる気がしたので入れてみました!
(編:バレましたね)


ここまでスーサイドだと《死の影》を入れてみるのも面白いかもしれません。

Sample Deck:「緑黒POXリアニ」
land
4《沼/Swamp》
4《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
4《Bayou》
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4《不毛の大地/Wasteland》
2《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》

creature
1《グリセルブランド/Griselbrand》
1《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
1《墓所のタイタン/Grave Titan》
1《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
1《灰燼の乗り手/Ashen Rider》

spell
4《納墓/Entomb》
4《再活性/Reanimate》
4《動く死体/Animate Dead》
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4《小悪疫/Smallpox》
2《Hymn to Tourach》
1《破滅的な行為/Pernicious Deed》
1《壌土からの生命/Life from the Loam》
4《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》

Sideboard
2《強迫/Duress》
2《仕組まれた疫病/Engineered Plague》
1《破滅的な行為/Pernicious Deed》
4《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《外科的摘出/Surgical Extraction》
1《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
2《無垢の血/Innocent Blood》
1《真髄の針/Pithing Needle》


今回はGP京都直前ということで豪華二本立てです!
現在使っている「POXリアニ」の最新レシピを紹介します。
緑をタッチしているのはデッキそのものと相性抜群の《壌土からの生命》はもちろん、生物や置物対策になるカードが容易に取れるからです。


最近は《死儀礼のシャーマン》は当然として、《封じ込める僧侶》や《虚空の盃》もよく見るようになってきましたからね。
またコンボデッキが多そうなメタゲームから、メインのhymnは《陰謀団式療法》のほうがいいのではないか?とも考えていますが、個人的にはhymnというカードそのものが好きなので悩んでいます。

緑をタッチする事によるデメリットも勿論あって、《不毛の大地》への耐性が従来の黒単より低くなるのは当然として、デルバー系相手にサイド後の《水没》をピッチで打たれてしまうのがマズイです。
とは言えやはり《突然の衰微》と《破滅的な行為》の万能性は、やはり魅力的ですね…。

 黒単色では無くなってしまったのでデュアルランドなども必要になり値段も上がってしまいましたが、順当にデッキパワーも上がっています。
このデッキをGP京都で使うかどうかはわかりませんが、やはり思い入れのある自分のデッキですし、調整は続けていこうと思います。





というわけでGP京都直前特集でした。
国内では初めてとなるレガシーのGP、楽しみですね。
レガシーは何でもありのフォーマットです。
どんな黒いデッキが活躍するのか、まだ見ぬ黒いデッキを見られるのか……考えるだけでワクワクします。

「俺より黒いヤツに会いに行く!」



それでは次回も……黒に染まりゃいいんだよ!





(編:dds666さんより「黒いヤツ」…8人集めて「漆黒トーナメント」でも開きましょう)


石田弘
自他共に認めるリミテッダーで、dds666のハンドルネームでおなじみである。
国内のリミテッドPEで2度の入賞、初出場のプロツアー“ギルド門侵犯”においても賞金圏内に入賞を果たすなど、その実力は確かなもの。

本人のブログ:ライフは一点あればいい


主な戦績
グランプリ神戸2011 Top8
The Limits2011 Top8
プロツアー“ギルド門侵犯” 出場
「黒に染まりゃいいんだよ!」
第0回
第1回
第2回
第3回
第4回

「カジュアルで遊ぼう」
第1回モミールベーシックで遊ぼう1
第2回モミールベーシックで遊ぼう2
第3回モミール戦略:構築編
第4回モミール戦略:戦術編

「ポックスリアニ」
その1~誕生編~
その2~デッキ解説編~
その3~サイドボード編~
その4~調整編~

「コンスピラシードラフトを楽しもう」
その1
その2

赤黒ゾンビデッキとの遭遇

「グランプリ静岡参加レポート」
 
 
 
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