2015.7.3 text by Hayashi Shoya 対戦ゲームには“メタ”と言う概念が存在しています。 今一体どんなデッキが環境に存在し、最も使用者が多いデッキは何か・それに勝てるデッキを選択するのか、万遍なくどのデッキにも勝てるデッキを選択するのか…そんな、テーブルに着いてゲームを行う以前にプレイヤーに求められる読み・駆け引きを“メタゲーム”と言い、略して“メタ”ということが多いです。 環境の中心となるデッキ等がその“メタ”を形成するわけですが、中でも一際頭の抜けた存在である、対策されて当たり前・対策されても使う価値があると言われるぐらい力のあるデッキ群が“トップメタ”と呼ばれます。 今から7年程前、ある一つのデッキがトップメタとして環境を大きく荒らしていました。 『モダンマスターズ2015年版』で再録もされたパワーカード、《苦花》を有する「青黒フェアリー」デッキです。
《苦花》を2ターン目に置くだけで「2キルされた」と言われる等、多くのプレイヤーのヘイトを買いつつも「勝ちたいなら黙ってフェアリーを使おう」と言われた人気と実力を兼ね備えたデッキでありますが、当時から《山》の好きな僕はそんなメタゲームなんて知らないよと、違うデッキを使っていました。 「5色エレメンタル」です。 (編:シブいな~)
何故このデッキで遊んでいたのか、今となっては全くわかりませんが、多分《煙束ね》のスピード感と《炎族の先触れ》の《吸血の教示者》感に惹かれたのだと思います。 後は《熟考漂い》と《目覚ましヒバリ》、それらを使いまわす《概念の群れ》によるアドバンテージと、《カメレオンの巨像》や《雲打ち》といった打撃力のある連中でのビート戦略と……って、見返せば理由はいくらでもありましたね。 とにかく何でも出来そうな夢のあるこのデッキが大好きでした。 このデッキは5色デッキなのですが、一般に5色と聞いてイメージするものよりは色事故が起きにくい代物となっております。
エレメンタル専用の5色土地である《原初の彼方》の存在も大きかったですが、このデッキを支えてくれた5色土地はまだあります。 それが《鮮烈な岩山》です。
このデッキ、5色なのに土地が異様に安かった気がします。本来5色デッキというのは、その土地集めに苦労するものなのですが… 《原初の彼方》も《鮮烈な岩山》もシングル価格が全然高くなかったのが大きいでしょう。岩山はアンコモンというのもあって、学生には大助かりです。 当時のスタンダードでは、ほぼブロック構築のこのデッキを使ってフェアリーの海を泳いでいました。《概念の群れ》《目覚ましヒバリ》と決め手が重いデッキなのでカウンターに弱く、相性はとても良いとは言い切れませんでしたが…《猛牛の目》《薄れ馬》《雲打ち》《カメレオンの巨像》と、頑張れる要素はところどころありました。 このデッキでファイナルズ(※)の予選を抜けることが出来たのは今でも不思議で、しかし良い思い出です。 (※編:正式名称「The Finals」。95年から11年まで毎年年末に開催された、日本で構築が一番強いプレイヤーを決めるトーナメント。全国各店舗で予選が開催され、それを勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できた。ちなみに、当コラムを担当しているHayashi君はファイナルズの併催イベント、リミテッド最強決定戦である「The Limits」で準優勝という経歴を持っている。やりおる。) 今回は《鮮烈な岩山》によく似た地形で、美しく壮大な自然の景色を眺める事が出来る「ザイオン国立公園」を紹介して幕を閉じたいと思います。 エリア内に高原、砂漠、渓谷など某ゲームのサファリパークを彷彿とさせる多種多様な地形が存在し、様々な動植物を観察できるのが最大の売りです。勿論、餌と捕獲用道具は支給されないので、あしからず。