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Text by Kawasaki Keita
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1 自己紹介
初めまして。川崎慧太と申します。この度はGPシンガポールでベスト4に入賞でき、普段からBIGMAGICなんば店に通っている縁もあり寄稿させていただくこととなりました。
まずは簡単な自己紹介を。元々は神奈川出身でして、中学生の時に『ウルザズ・デスティニー』が発売した頃にマジックを始め、そこからマスクス・ブロックを経て、『プレーンシフト』が発売された頃に進学等もあり、一度止めました。
時は流れて社会人になって数年後、大阪転勤となりました。縁もゆかりもない地、休日に遊ぶ友人もいない為、「休日の趣味を何か」ということで再開。それがちょうど『ラヴニカへの回帰』が発売された頃なので、マジック歴としては合計で5年程度、再開してからは3年弱といったところです。
競技イベントの「緊張感」と、それに伴う勝った時の「達成感」が何より好きで、その競技イベントの最高峰であるプロツアーを目指し、日々イベントに参加しております。競技を求めて海外GPに行く位なのでプレイヤー分類としては“グラインダー”(※)に近いかと思いますが、仕事もありますのでそこまでオールインはできず、PTQ・GP遠征が関の山です。なので「PTQ芸人」と自称しています。笑
(※編:マジックに全てを注ぎ、特にプロツアーを目指して各地のトーナメントを転戦するプレイヤー
の総称。代表的なグラインダー、クリスチャン・カルカノは2年間で40ものGPに参加したという。今日の彼の成功は、多大な努力に基づいているのである。グラインダーについて詳しくはこちらを参照していただければ)
BMライターの表西君の家が自分の家から近く、「マジックの練習がしたい」という時には快く開放してくれるので、大会前には平日休日問わず表西邸に出入りし、数人で調整会を行う、そんな日々を送っています。
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2 行き先はシンガポール、フォーマットはモダン
今回シンガポールに行く直接のきっかけとなったのが「PTQ制度の変更」です。予備予選であるPPTQを突破した上で、本戦となるRPTQの相手は各地のPPTQを突破してきた強者揃い、権利を得られる人数も前制度の時よりも減少している(前のPTQ制度では1シーズン10人強の権利者が出ていたのに対し、現行システムでは多くても8人です。)と、PTQからプロツアーを目指すということのハードルが上がった一方、GPでのPT権利付与条件は緩和傾向(13勝2敗の全てのプレイヤーが権利獲得)にあったので、そちらでの権利獲得を目標に、国内GPに加えて海外GPにも参加を決めました。そのような理由は抜きにしても、GP自体とても楽しいので参加回数は増やしたかったですしね!
海外GPの中でも比較的行きやすいアジア圏の日程を調べたところ、GPシンガポールが会社の休みも取りやすそうなタイミングで、フォーマットも比較的自分が好きなモダンでしたのでこのGPに参加することにしました。
モダンは多様なデッキが入り乱れており、どのデッキも問答無用で自分のプランを相手に押し付けられるブン回りがある為、乱暴に言ってしまえば「じゃんけん」のようなところもありますが…その一方、カードプールが広い為、どんなデッキにもある程度の対策は施せます。環境を理解し、適切なデッキ構築とゲームプランニングを習得できれば、どのデッキにも可能性があるフォーマットなのかなと考えています。
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3 調整過程
このGPへの参加が確定したのが4月前半。その後にGP京都、RPTQマジック・オリジンと立て続けに参加し、一方5月のGP千葉は参加できないと決まっていたので、調整はこの5月頭から開始しました。
モダンは2年半前のPTQからプレイし続けており、使用デッキは一貫して「ジャンド」。昨年のGP神戸も11勝4敗と内容は悪くはなかったので、今回もBG系のデッキから調整するのは決めていました。
直近のモダンのプレミアイベントであるPT運命再編では「アブザン」が多いようだったので、まずはそちらをMagic
Onlineで試してみたのですが…スペルは確かに強いものの全体的に重い。ボードコントロール力も「ジャンド」より低く、感触はイマイチ。すぐに本命の「ジャンド」調整に戻りました。
6/6にモダンのPPTQシーズンが開幕。勿論、調整も兼ねて初日から参加します。とりあえず初回は環境把握の為、お試しということで直近のSCGで勝っていたジャンドのリスト(《闇の腹心》入り)に微調整を加えたリストで参加。
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MOで調整していた感触では《闇の腹心》はイマイチだったのですが、勝ったリストということもあってとりあえず入れたままで試します。スイスラウンド5回戦を3-1-1で抜けた後、SEも勝てて突破。
結果自体は残せましたが、この大会でも《闇の腹心》のアドバンテージで勝ったマッチはなく「採用しなくても特に支障ないだろう」と判断し、以後の調整では採用カードの候補から外れました。
この後は、表西邸での調整をメインにします。「親和」や「双子」のような主要どころのデッキを相手にした調整は昨シーズン十分に練習しましたので(これらのデッキは昨シーズンと大きく構成が変わっている訳ではない)、《集合した中隊》を軸にした各種デッキや「グリセルシュート」のような新しい戦略を獲得したデッキ、「リビングエンド」などのメタの中心から少し外れたところにあるデッキに対するゲームプランの習得に時間を費やすことにしました。自分はモダンに対して、上述した通り非常にデッキ数が多いと考えていましたので、「直近のGP結果によるメタ読み」よりも「環境に存在するデッキの中で相性が悪いマッチへのゲームプランの習得」「環境理解」を優先し、調整を行いました。
どのデッキと当たるかを読みそこを突き詰める、という戦略よりも、どんなデッキと当たっても大丈夫なようにゲームプランを持っている。これが大事だと思ったのです。
シンガポールに同行する友人らとデッキをシェアし、お互いにフィードバックをしながら調整を進める途中、一緒に練習していた覚前君(※)も「ジャンド」を使うことに決めた為、最終的に4人で「ジャンド」をシェアすることに。出発前に一度すり合わせを行い、私のデッキリストは以下の様になりました。
(※編:「プラチナレベルを目指す」という高い志を掲げてマジック界に還ってきた関西の強豪プレイヤー。GP神戸14・GPオークランド15王者。現在プロポイント38点、この夏のプロツアーで果たしてプラチナに手が届くか!?)
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Kawasaki Keita Jund |
24land
1 《森/Forest》
2 《沼/Swamp》
2 《草むした墓/Overgrown Tomb》
1 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2 《怒り狂う山峡/Raging Ravine》
2 《血の墓所/Blood Crypt》
4 《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
2 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2 《樹上の村/Treetop Village》
14creature
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
3 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1 《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》
2 《高原の狩りの達人/Huntmaster of the
Fells》
2 《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》
2 《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden
Fang》
22spell
4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
3 《終止/Terminate》
3 《コラガンの命令/Kolaghan's Command》
3 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the
Veil》
sideboard
3 《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
3 《部族養い/Feed the Clan》
2 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2 《窒息/Choke》
2 《魂の裏切りの夜/Night of Souls' Betrayal》
1 《滅び/Damnation》 |
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18land
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2 《蒸気孔/Steam Vents》
1 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1 《繁殖池/Breeding Pool》
3 《島/Island》
1 《森/Forest》
14creature
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》
2 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
28spell
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《血清の幻視/Serum Visions》
4 《思考掃き/Thought Scour》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
3 《頑固な否認/Stubborn Denial》
3 《マナ漏出/Mana Leak》
2 《撹乱する群れ/Disrupting Shoal》
2 《シミックの魔除け/Simic Charm》
1 《タール火/Tarfire》
1 《呪文嵌め/Spell Snare》
sideboard
4 《高原の狩りの達人/Huntmaster of the
Fells》
3 《血染めの月/Blood Moon》
2 《破壊的な享楽/Destructive Revelry》
1 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2 《紅蓮地獄/Pyroclasm》
1 《引き裂く流弾/Rending Volley》
1 《焙り焼き/Roast》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
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