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朴高志のスタイリッシュ!
UR Artifact
 
リュウジのMOクエストEVERY DAY チャンス

2015.08.12


どうもこんにちは!またまたスタンダードの記事を書く事になりました、朴高志と申します。
今回は自分がマジック・オリジン発売前から調整を重ね、BMOやプロツアーにも持っていった「青赤アーティファクト」デッキとその調整過程について書いていこうと思います。




1:スタート地点はメモ帳

ある日。大会が終わって、仲間達といつものように飲食店で楽しいひと時を過ごしていた折、ふと思いついたのが《アーティファクトの魂込め》を使うデッキでした。

すぐさまメモ帳にリストを書き出していると、それに気付いた仲間の1人がデッキ構築に参加してきました。
そうして2人で飯を食いながら相談して出来たのが、後に使う「青赤アーティファクト」の原型となるものでした。
余談ではありますが、自分はいつもライフメモとは別の目的でメモ帳を持ち歩くようにしています。
思いついたデッキはその場でメモ帳に記して、帰ってすぐデッキを組んで1人回しをします。
こうする事で、1週間にいくつものクソデッキが完成しては崩れていくのです。



今回のデッキも生まれては消えてゆくものの1つ、「どうせ《アーティファクトの魂込め》=ハサミを引かなかったらまともに戦えないのだろうなぁ」と思いながら家で回してみると…これが、意外とそうでも無いことに気が付きました。

《搭載歩行機械》…こいつはなかなかの曲者、《鋳造所の隊長》《幽霊火の刃》もプレイアブルで、強い。
こうして珍しく解体を免れたこのデッキは、本格的な調整過程に移る事となったのです。






2:完成までの道のり

最初のリストには、《結束した構築物》《隠棲した工匠》が入っていました。



しかし、《結束した構築物》のほうは単体で殴れず、《アーティファクトの魂込め》を付ける先としても弱かったので即解雇しました。
《隠棲した工匠》はかなりの性能だったのですが、こちらの展開と相手の展開が噛み合わないと弱い点、また環境に対する速度がもうひとつである点、この2つのマイナス要素が大きく、ならばと同じ4マナの《つむじ風のならず者》に変更しました。



低マナクリーチャー水増し要員として見つけた《水晶の番人》をデッキに入れると、いよいよ安定性が増してきました。

デッキとしての形がまとまってきた所で、後はひたすら練習してサイドを作る過程へと移行。
信頼出来る腕前、というか自分よりも上手い知り合いの方にお願いし、練習に付き合って貰う事にしました。
この時すでに週末のBMOが控えていたため、最初は環境に多く存在するであろう「緑赤信心」と「アブザン大変異」の2つとひたすらスパーリング。その2つを相手にひとしきり回した後、後半の練習では様々なデッキと実践形式の2本先取サイドボード込みでとにかくインアウトと細かいプレイングの確認をしました。

メモ帳アイディアからこうしたプロセスを経て、完成したデッキがこれです。

ボク タカシ
BIGMAGIC OPENスタンダード 8位
20land
4《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
4《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
3《マナの合流点/Mana Confluence》
1《精霊龍の墓/Tomb of the Spirit Dragon》
2《島/Island》
2《山/Mountain》

21creature
4《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4《水晶の番人/Keeper of the Lens》
4《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
3《鋳造所の隊長/Chief of the Foundry》
4《飛行機械技師/Thopter Engineer》
2《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》

19spell
4《乱撃斬/Wild Slash》
4《爆片破/Shrapnel Blast》
4《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
4《幽霊火の刃/Ghostfire Blade》
3《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》

15Sideboard
2《頑固な否認/Stubborn Denial》
2《否認/Negate》
2《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
3《焙り焼き/Roast》
2《大地の断裂/Seismic Rupture》
3《飛行機械の諜報網/Thopter Spy Network》
1《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》


荒削りではありますが、デッキとしての形はしています。
BMOでは予想通り、初戦からひたすら「緑赤信心」と「アブザン」に当たり続け、順調に勝ち星を重ねる事が出来ました。
途中「ナイスな赤単」にこそ負けましたが、1敗のままトップ8へ。

しかしここで重大な問題に突き当たる事となります。
トップ8最初の相手は緑信心を使う覚前選手、1本目は飛行クリーチャーにハサミを付けて勝利したものの、2本目と3本目はハサミ(《アーティファクトの魂込め》)を引かず負け。




そう、「緑赤信心」相手の時は、ハサミを引けるか引けないかで勝敗が決するという調整段階での課題は残されたままだったのです。
薄々気づいてはいたのですが、調整が間に合わずこのような結果になってしまいました。


ここでかなり思い切った調整を決意。


「《バネ葉の太鼓》はノイズ=不要である」と結論づけました。

理由は簡単で、2枚引くと弱いからです。
代わりに土地を投入。これでスムーズにマナが伸びるようになりました。



《飛行機械技師》も全て外す事にしました。
速攻付与能力や1枚で2枚パーマネントを用意できるアドバンテージは素晴らしいのですが、残念ながら打点が低すぎるのです。
代わりに《鋳造所の隊長》を4枚に増やし、《羽ばたき飛行機械》が0/2のまま突っ立っている確率を減らしました。
また、対「緑赤信心」対策に、《つむじ風のならず者》も3枚に増量。
こうする事で、飛行クリーチャーにハサミを付けるというルートがとれずとも数で殴りきる事が可能になり、また《龍王アタルカ》《女王スズメバチ》という肉壁が立ちふさがってきてもブロック不可能力でとどめを刺せるようになりました。




《焙り焼き》はそもそもサイドインする試合が多かったので、メインへ4枚投入。
2マナの飛行クロックとして、また全体除去避けやハサミのサポートとして《層雲の踊り手》を2枚採用。
ここまできてカード単体で見て火力の低い《乱撃斬》は全て抜き、デッキパワーが底上げされたところでデッキ完成。
調整はBMO前と同じように、腕の立つ知り合いに頼んで環境に存在するデッキとひたすらマッチを繰り返しました。

そしてプロツアーに持ち込んだレシピがこれです。


ボク タカシ
プロツアーマジック・オリジン(7-3)
23land
5 《島/Island》
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
4 《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4 《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
3 《マナの合流点/Mana Confluence》
3 《山/Mountain》

21creature
4 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 《水晶の番人/Keeper of the Lens》
4 《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
2 《層雲の踊り手/Stratus Dancer》
4 《鋳造所の隊長/Chief of the Foundry》
3 《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》

21spell
4 《幽霊火の刃/Ghostfire Blade》
4 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
4 《焙り焼き/Roast》
4 《爆片破/Shrapnel Blast》

15Sideboard
1 《精霊龍の墓/Tomb of the Spirit Dragon》
2 《マグマのしぶき/Magma Spray》
2 《引き裂く流弾/Rending Volley》
2 《頑固な否認/Stubborn Denial》
2 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2 《大地の断裂/Seismic Rupture》
3 《飛行機械の諜報網/Thopter Spy Network》
1 《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》



メインサイドともに絞り込み、プレイも仕上がった状態で臨めるプロツアー。
初日こそ5勝0敗とかっ飛ばしたものの、2日目は最後の2戦で突然の4回事故により2勝3敗。
合計7勝3敗で、イマイチだったドラフトと合わせたら9勝7敗、とても納得の行く結果ではありませんでした。
最後の2試合、相手は「赤単アグロ」と「アブザン」。相性では有利であっただけに、事故なく動ければ11勝5敗で次回のプロツアーと賞金が狙えた…そう考えると、全てが終わった後に落ち込む事しか出来ませんでした。

しかし、ものは考えようです。
今回のスタンダード10マッチ、2ターン目に《羽ばたき飛行機械》に《アーティファクトの魂込め》がエンチャント出来た回数は0回。




デッキのベストムーブの1つが1度も無い上に、どうしようもない事故に見舞われて、それでも7勝3敗という事は…デッキのポテンシャルは相当高く、練習の成果も出ていたという事だと思っています。

次回(プロツアー『戦乱のゼンディカー』)の参加権利こそ、自分の都合を考えるともう得られる機会は無いかなと思いますが、その次のプロツアー(プロツアー・アトランタ)以降は積極的に権利獲得を狙い、今回のプロツアーの続きとリベンジをしたい!と思っています。




3:プレイングとイン/アウト

さて、今回のプロツアーで、このデッキに似たものを他にもたくさんの方(Chanel Fire BallやFace to Face Gamesの人達など)が使用していました。2日目進出率は85%、トップ8にも2名選出と勝ち組デッキでした。
もちろんリストは人によって細かい部分で違ってはいたのですが、自分が初めて公開したBMOの時のリストになんとなく似ているような気がします。
もし彼らのうち一人でもBMOの結果を参考にして作った「青赤アーティファクト」をプロツアーに持ち込んできてくれていたのなら、デッキビルダーとしてかなりうれしい事です。

…少し本題からそれてしまいましたが、このデッキは特有の強いプレイングがいくつかあります。
今からその例を挙げますので、使用する場合にも対策する場合にも、これらのプレイを意識してみてください。


・2ターン目に《アーティファクトの魂込め》



1ターン目に何かしらのアーティファクトを置けていて、かつ2ターン目にこれが手札にある場合、積極的にこのプレイをして良いでしょう。
打点が高すぎて、これを《焙り焼き》などで適当にサポートしているだけで勝ててしまうほど。




同じような感じで、1ターン目にアーティファクト・クリーチャーを置けて、ハサミの代わりに《幽霊火の刃》がある場合、2ターン目には装備して殴りに行っていいでしょう。
特に《水晶の番人》と《幽霊火の刃》の組み合わせは、2ターン目に揃うと極めて強力です。


・《搭載歩行機械》から《爆片破》



2ターン目にX=1で《搭載歩行機械》をキャスト、3ターン目に《搭載歩行機械》の起動型能力を起動した後に《爆片破》を撃ちます。
そうすると、1/1の飛行クリーチャーを2体出しながら5点ダメージを飛ばせます。
《爆片破》のパーマネントを失うというデメリットを、《搭載歩行機械》のパーマネントが増えるというメリットに変える事が出来る素晴らしいプレイと言えます。
対象は《クルフィックスの狩猟者》などの放っておくと厄介なクリーチャーがベストです。
もちろん対戦相手に撃ちこんでもいいのですが、その場合、後続も合わせて相手のライフを削れる算段が立っている事が前提になります。例えば、《アーティファクトの魂込め》が手札にある、《つむじ風のならず者》→《鋳造所の隊長》と繋げられる手札であるなどの場合ですね。


この2つのプレイは極めて強力で、逆に言えば対戦する際にこれらを阻止すればデッキとしての強さは少々落ちます。
使うにせよ対策するにせよ、このプレイの情報は、常に頭に置いていても損はないと思います。


サイドボードは、デッキのシナジーや動きを阻害しないように行います。
では実際に、主だったデッキに対するイン/アウトを書いていきますね。




・緑信心系

in

2《マグマのしぶき》
2《軽蔑的な一撃》


out

1《鋳造所の隊長》
2《層雲の踊り手》
1《搭載歩行機械》






とにかく相手のマナブーストを妨害しながら攻めます。
2枚引くと弱い《搭載歩行機械》と、置くタイミングが限られる《鋳造所の隊長》は1枚ずつ削ります。



・ジェスカイテンポ系

in

2《マグマのしぶき》
2《引き裂く流弾》
3《飛行機械の諜報網》
1《嵐の神、ケラノス》
1《精霊龍の墓》


out

3《つむじ風のならず者》
4《焙り焼き》
1《鋳造所の隊長》
1《水晶の番人》




課題はクリーチャー戦。
これを制するために、相手が《神々の憤怒》を投入してくることを想定してサイドします。
《嵐の神、ケラノス》は、タフネスが3以下ばかりのジェスカイ相手に強力な1枚。
これさえ場に出てしまえば、勝利は近いでしょう。





・青黒コントロール系

in

2《頑固な否認》
2《軽蔑的な一撃》
3《飛行機械の諜報網》
1《嵐の神、ケラノス》
1《精霊龍の墓》


out

1《アーティファクトの魂込め》
4《焙り焼き》
1《つむじ風のならず者》
1《鋳造所の隊長》
2《羽ばたき飛行機械》





警戒されるハサミは1枚減らし、メインムーブと言うよりは隙をつくための奇襲アイテムとします。
後は《衰滅》などの全体除去やカウンターを意識したサイドをしていきます。
サイド後はデッキが重くなるので、追加の土地として《精霊龍の墓》を入れて安定をはかります。





・アブザン大変異

in

3《飛行機械の諜報網》
2《軽蔑的な一撃》


out

2《つむじ風のならず者》
2《水晶の番人》
1《鋳造所の隊長》




意識するのは強力なクリーチャーと《衰滅》。
《焙り焼き》や《爆片破》を引きやすくなる《飛行機械の諜報網》はとっても活躍します。





・赤単

in

2《マグマのしぶき》
2《頑固な否認》
2《大地の断裂》
1《精霊龍の墓》


out

2《層雲の踊り手》
4《幽霊火の刃》
1《鋳造所の隊長》




有利なマッチですが、油断しているとあっという間にライフが無くなります。
クリーチャーは極力倒し、常にライフを守りながら戦いましょう。





・アブザンラリー

in

2《マグマのしぶき》
2《頑固な否認》
2《軽蔑的な一撃》
2《引き裂く流弾》


out

4《焙り焼き》
1《水晶の番人》
1《鋳造所の隊長》
1《幽霊火の刃》
1《搭載歩行機械》





迂闊なアタックは敗北を招きます。
そうならないために、サイドからカウンターを4枚増やし、《先祖の結集》を許さないようにします。





・青赤アーティファクト

in

2《マグマのしぶき》
2《頑固な否認》


out

2《層雲の踊り手》
1《焙り焼き》
1《水晶の番人》



理想としては相手のハサミを防ぎつつ、こちらの強い面を押し出して戦う。
いわゆるハサミゲーになるか、もしくは飛行機械の殴りあいになるかです。









4:まとめ

今回のプロツアーでは結果を出せませんでしたが、練習方法や自分で組んだデッキに関しては相当な手ごたえを感じました。
今後もしっかり練習して、大きなトーナメントに臨んでいければと思っています。

また、マジック・オリジンにはまだまだ可能性にあふれたカードが多くあります。
特に、《ヴリンの神童、ジェイス》は思っていたよりもずっと強く、モダンなどでも使われかねないポテンシャルを秘めていると思います。



いかがでしたか?今回はいつもと違い、調整の過程なども書いてみましたが、少しでも参考になれば幸いです。
最後になりますが、今後、同型が増えると予想するのであれば、メインボードの《層雲の踊り手》2枚を抜いて、4枚目の《つむじ風のならず者》と《精霊龍の墓》を入れた構成のほうがいいかもしれません。




では、今回はこの辺で!




ノシ


 
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