text
by Yuuki Ichikawa
0.導入
こんにちはー、市川です。
え?タイトルで結果わかるよね?出オチ?
と、言うことで今回はWMCQ大阪でまさに”惨敗”してきた私が、なぜ勝てなかったのかを考察していきたいと思います。
よろしくお願いします。
1.デッキ選択
私がWMCQ大阪に持ち込んだデッキ、それは『緑信心』でした。
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sample
deck |
24land
8《森/Forest》
3《山/Mountain》
4《奔放の神殿/Temple of Abandon》
4《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《悪意の神殿/Temple of Malice》
1《マナの合流点/Mana Confluence》
3《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine
to Nyx》
24creature
4《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4《旅するサテュロス/Voyaging Satyr》
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos,
World Eater》
4《起源のハイドラ/Genesis Hydra》
12spell
2《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》
3《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
3《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
4《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
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15sideboard
4《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》
2《セテッサ式戦術/Setessan Tactics》
4《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》
1《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
1《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
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環境のトップメタをRabble Red、赤白バーンの2つの赤いデッキと設定し、それらに強いデッキの条件を
・早いターンに大きいクロックを用意出来る
・ライフゲイン手段を持っている
で定義した場合、適合したのが緑単信心でした。
《世界を喰らう者、ポルクラノス》は額面通りビートに強く、これをマナクリーチャー経由で3ターン目にキャストすることが適えば赤いデッキに対しての勝率はグンと上がるでしょう。
ジャンドプレインズウォーカーズなども意外と《世界を喰らう者、ポルクラノス》に対しての除去呪文が入っていないので、これが場に残ってイージーウィンすることも多々あります。
『先手3ターン目の《世界を喰らう者、ポルクラノス》は環境のソリューション!!』
とは私の弁で、何小学生みたいな事言ってるんだと周りに言われましたが、それも事実でした。
また、このカードは上記の『ライフゲイン手段を持っている』に適合するカードでありながら、クロックになる優秀なカードです。
ライフゲイン量も緑色のパーマネントばかりの緑信心であれば相当量で、《頭蓋割り》されなければこれ1枚で赤白バーンに勝ててしまうほどです。
このカードを使いたい、そして一番使えるデッキは・・・と考えたら緑信心でした。
このカードの存在が緑信心を私に使わせたと言っても過言では無いでしょう。
また上記のRabble Redや、ジャンドプレインズウォーカーズ、緑信心などに対して《ミジウムの迫撃砲》の超過は非常に効果的で、特に後者2つのデッキは《ミジウムの迫撃砲》を如何に先に超過するかがゲームの焦点になるほど、《ミジウムの迫撃砲》は環境で一つキーとなるカードとなっていました。
《ミジウムの迫撃砲》の超過がゲームのゴールなのであれば、マナクリーチャーを多く入れている緑信心に利があるのは明白で、このカードをメインボードに4枚入れる構築にしようと思いました。
2.デッキ調整
デッキのスタートはReid DukeがChannel Fireballに上げていたリストからでした。
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G(r)
Devotion |
24land
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《奔放の神殿/Temple of Abandon》
1 《悪意の神殿/Temple of Malice》
11 《森/Forest》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine
to Nyx》
27creature
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4 《旅するサテュロス/Voyaging Satyr》
3 《クルフィックスの狩猟者/Courser of
Kruphix》
4 《起源のハイドラ/Genesis Hydra》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos,
World Eater》
2 《高木の巨人/Arbor Colossus》
2 《狩猟の神、ナイレア/Nylea, God of
the Hunt》
9spell
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
3 《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》
3 《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
1 《獣の統率者、ガラク/Garruk, Caller
of Beasts》
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15sideboard
2 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
2 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
2 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
1 《セテッサ式戦術/Setessan Tactics》
3 《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》
1 《原始の報奨/Primeval Bounty》
4 《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》 |
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緑信心の”顔”とも言うべき《炎樹族の使者》を排した特徴的な構成で、《獣の統率者、ガラク》も1枚しか入っておらず、マジック2015で新しく加入した《起源のハイドラ》を4枚投入しているあたりも目を引きます。
『緑信心が環境的に強い』と考え始めていた私は、デッキリストをコピーしてMagic
Onlineでさっそく回してみることに。
・確かに《炎樹族の使者》要らない
→《ニクスの祭殿、ニクソス》と合わせて引かないと弱いし、サイド後は相手の単除去や全体除去が増えて信心が溜まらないor全体除去に巻き込まれるのでサイドアウト率が非常に高い。
・《起源のハイドラ》つよ~い
→場にデカブツと有効牌、弱いわけが無かった。X=3から許容ライン、X=4強い、X=5からは宇宙。
《獣の統率者、ガラク》がふんわりしてて要らないなあと感じるほど。
・《ミジウムの迫撃砲》4枚メイン。
→上記の通り超過したら勝つマッチアップが多すぎる!
・《高木の巨人》がふんわり、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》サイド合わせて4枚。
→アグロにも強くないし、ジャンドプレインズウォーカーズやミラーマッチなどの緑軸デッキにもあんまり。黒信心の《冒涜の悪魔》はキツいけど、5マナのクリーチャーが生き残ってターン帰って来て6マナで怪物化が成就するとは思えない!って感じで《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚デッキに。
こんな感じで調整。後は安定性を求めて《ニクスの祭殿、ニクソス》を3枚に減らしたりの微調整。この辺りは性格かも知れません。
Magic Onlineでの勝率はかなり高く、私自身も手ごたえを感じていたので
『これはWMCQ大阪貰ったな』
と正直思っていました。
最後の日本代表は俺だ!!!
3.WMCQ大阪
1R.Bye
2R.Bye
3R.赤白バーン ×○○
4R 緑黒ドレッジ ×○×
5R Rabble Red ×○×
(Bye含む)3勝2敗、ここで目無しになったのでドロップ。
な、なぜだ・・・・この私が・・・・!!!と黄昏ながら、ドロップ後も暫く上位陣の試合などを見学、スイスラウンド終了を見届けてから新幹線で東京に帰りました。
4.何故負けたのか
これで終わってしまってはただの惨敗日記になってしまうので、一つ考察しましょう。
何故私は負けたのでしょうか。
○メタったデッキ以外に全然強くなかった。
まずこれです。
このデッキは赤系2種には有利が取れているものの、他のデッキにあまりにも弱すぎました。
黒信心・・・全カードきつい、《生命散らしのゾンビ》、《冒涜の悪魔》で吐血。
青信心・・・《波使い》も触れないし、《ミジウムの迫撃砲》の超過に賭けるしか無い。
青白コントロール・・・《至高の評決》で壊滅、《次元の浄化》で全滅。
そう、トップメタでないにしろ、環境に一定数いる三つのデッキに対して全て不利なのです。
赤系のデッキが環境に多いと言ってもせいぜい3割いるかどうか、会場の半分以上に不利なデッキを持ち込んで上位にいけるわけがないのです。
○有利ではあるが、実はRabble
Redの先手ドブンに対応出来ない。
次にこれです、WMCQ大阪での対戦をよく見てみると
“5R Rabble Red ×○×”
そう、こんだけ有利と吹聴しているRabble Redに私は負けてしまいました。
負け方は先手1マナ連打からの《炎樹族の使者》2連打でメインを取られサイド後先手は勝利。3ゲーム目は1ターン目《鋳造所通りの住人》、2ターン目《灰の盲信者》、3ターン目《炎樹族の使者》経由からの《灼熱の血》でこちらの《旅するサテュロス》でなす術無く敗北。
『《炎樹族の使者》クソゲー!!!!!』
と愚痴るにはまだ早い。
例えばこの3ゲーム目、黒単信心、ジャンドプレインズウォーカーズだったらどうでしょう。
2ターン目2マナの除去でいなした後に《悲哀まみれ》で場を片づけたり、《マグマのしぶき》を絡めた2アクションで相手の速度に対応したり。
と、実は他のデッキだと勝ち筋があるのです。
しかしこの緑信心にはそれが無い、《炎樹族の使者》を絡めた爆発的な動きを先手でされると実質詰み。これを果たして明確な有利と言えるでしょうか。
5.まとめ
『環境のほとんどのデッキに不利』
『メタったデッキにも実はそんな明確に有利でも無い』
と言うまさに失敗デッキで惨敗してしまいました。
こういう弱いデッキを掴んで競技イベントで惨敗する感じは幾らグランプリに出ても勝てなかった数年前の自分を思い出すようで、帰りの新幹線ではむしろ少し懐かしい気持ちになっていました。
この敗北を自分の糧に出来るように、これからはデッキ調整はもっとフラットな目線で行いたいと思います。
皆さんもこういうデッキ選択をしないようにしましょうね!
”日本代表への道”と銘打っていましたが、私は日本代表になれませんでした。
『世界選手権に行くときにワールドマジックカップの間暇だから日本代表になりたい。』
という邪な気持ちで日本代表を狙っていましたが、やはりそんな意気込みじゃダメですね!
もう2週間もすると『プロツアータルキール覇王譚』が開催されます。
シーズン最初のプロツアー、スタートダッシュするにはもってこいの場なので、WMCQを糧にして何とか3連続プロツアートップ8を目指したいところです。
と、言うことで全3回でやらせて頂きました”市川ユウキ日本代表への道
”はこれにて終わりです。
初めて続き物を書かせて頂きました、読者の方々は如何でしたでしょうか。
正直かなり末期なスタンダード環境で、話題に困る一面もありましたが、最後まで楽しく書かせて頂きました。
感想などありましたらTwitter(@serra2020)にリプライ頂けると幸いです。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
※編注 記事内で紹介したデッキリストは、以下のサイト様より引用させて頂きました。
Channel
Fireball.com
『Sylvan Caryatid and Courser
of Kruphix By Reid Duke』
closet
belief 2 『WMCQ 2014 Nagoya Results.』
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市川ユウキ
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マスクスブロック時代よりMTGを始め、インベイジョンが入る頃に引退。
ミラディンの傷跡が発売した頃にMagic OnlineでMTGに復帰。
ほぼ同時期にニコニコ生放送にて"瀬畑"のハンドルネームでMagicOnline配信を開始。
その独特で軽妙な毒舌トークと、確かな実力から人気を博す。
配信者としてのキャリアを重ねると共に地道な努力を続け、2013年MOPTQを2期連続で突破。
更に日本レガシー選手権において前人未到の2連覇を果たし一気に国内においてブレイク。
そして2014年。『プロツアー・ニクスへの旅』『プロツアー・マジック2015』において、
2連続プロツアーTOP8入賞を果たし、プロ最高ランクであるプラチナレベルにまで上り詰める。
『プロツアー・マジック2015』において使用した《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚投入した『ジャンド・プレインズウォーカー』デッキは世界のトッププレイヤー達から賞賛を受けるなど、デッキチューナーとしての評価も高まっている。
正に今、世界で最も注目を集めているプレイヤーだ。
主な戦績
・プロツアー・マジック2015 6位
・プロツアー・ニクスへの旅 4位
・グランプリ神戸2014 7位
・The Last Sun 2013 ベスト8
・Eternal Festival Tokyo 2013
3位
・2013日本レガシー選手権(夏)優勝
・2013日本レガシー選手権(春)優勝
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市川ユウキ(瀬畑太郎)
「瀬畑太郎の紙とMOのあいだ」
第1回
第2回
第3回
特別企画「新環境でつかまえて」
”プロツアーニクスへの旅”に向けての調整録
市川ユウキのGP神戸調整録
市川ユウキ日本代表への道
第1回 今までのおさらい
第2回 Rabble
Red&ローグ特集
最終回 何故市川は勝てなかったのか
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